SHISHAMOの魅力がより鮮明に
Title:ACOUSTIC SHISHAMO
Musician:SHISHAMO
先日紹介したヤバイTシャツ屋さんも、10周年記念のベスト盤をリリースしていましたが、こちらもCDデビューから10周年目を迎えるバンド、SHISHAMO。ご存じ、スリーピースのガールズバンドで、ポストチャットモンチー的な立ち位置で出てきたガールズバンドの中でも、サウンド的にはロックな方向性が強く、なおかつメロディーラインはポップという、ある意味、チャットモンチーの後釜の最右翼的バンドという印象を受けているバンドです。
そんな彼女たちが10周年を記念してリリースするのは、ベスト盤、ではなく、自分たちの代表曲をアコースティックアレンジにカバーした、アコースティックアルバム。ベスト盤は2019年にリリースしたばかり、という影響もあるのでしょう。ただ、率直にいうと、最初、かなり地味な印象も受けた企画になっていました。ただ、ここでわざわざ大枠で取り上げらたことからもわかる通り、これが予想外の傑作アルバムに仕上がっていました。
まずアコースティックアレンジを施すことによって楽曲の印象がかなり異なります。もともとバンドサウンドによるアレンジの段階でも比較的シンプルなアレンジの多い彼女たちですが、アコースティックアレンジにより、その印象も大きく変化します。聴いていてロックバンドというよりも、「アコギ女子」みたいな名前の与えられそうな、アコギを抱えて弾き語る、女性シンガーソングライターの曲を聴いているような印象を受けます。
逆に、それだけ彼女たちの曲が、アコースティックアレンジとマッチしていた、ということも言えるかもしれません。彼女たちの書くメロディーはシンプルでなおかつメロディアス。いわばロック系によくありがちな、リズムやバンドサウンドの勢いに頼ることなく、しっかりとメロディーを聴かせる曲ばかり。歌詞についても同様。シンプルなラブソングが多いのですが、女の子の感情を素直に吐露した、聴いていてキュンとなるようなラブソングが多く、アコースティックアレンジにもピッタリとマッチしています。
そしてアコースティックアレンジにしてあらためて感じるのは、メロディーにしろ歌詞にしろ非常に優れたバンドなんだな、ということをあらためて感じました。バンドサウンドにすると、どうしてもサウンドの方が目立ってしまってしまうのですが、アコースティックアレンジでは、このメロと歌詞の良さが、よりはっきりと前に出てきた結果、SHISHAMOの持つ、メロディーと歌詞の良さがより際立ったアルバムになっていました。
SHISHAMOの持つ魅力、特にそのメロディーラインと歌詞の魅力をより伝わる傑作アルバムになっていたと思います。アコースティックアレンジが、これほどSHISHAMOにピッタリくるとは思いませんでした。普段のSHISHAMOにさほどピンと来なくても、このアルバムで彼女たちの実力を感じることが出来るかもしれません。彼女たちがどんなバンドを知るためにも最適な1枚でした。
評価:★★★★★
SHISHAMO 過去の作品
SHISHAMO 3
SHISHAMO 4
SHISHAMO 5
SHISHAMO BEST
SHISHAMO 6
SHISHAMO 7
ブーツを鳴らして-EP
恋を知っているすべてのあなたへ
ほかに聴いたアルバム
聖なる交差点/神聖かまってちゃん
こちらは結成15周年。神聖かまってちゃんの2枚目となるベストアルバム。2015年にベストアルバム「ベストかまってちゃん」をリリースしており、それ以来のベストアルバムとなるため、比較的、最近の曲が多く収録されています。ちょっとゴチャゴチャした感のある、シンセも取り入れたサウンドや、エフェクトを使って、あえてハイトーンとしているの子のボーカルなど、癖のある点が強いバンドなのですが、よくよくメロディーや歌詞を聴くと、実は非常に優れたメロや歌詞を書けるバンドということはよくわかります。今回、「フロントメモリー」でずっと真夜中でいいのに。のACAね、「僕は頑張るよっ」ではanoをボーカルとして起用。の子のハイトーンボイスを女性ボーカルに入れ替えることにより、いい意味でのわかりやすさが増した感じがします。全体的にはエキセントリックな方向性ばかりが目立ってしまっている点がマイナスなのですが、まだまだこれからへの期待も感じさせるベストアルバムでした。
評価:★★★★
神聖かまってちゃん 過去の作品
友だちを殺してまで。
つまんね
みんな死ね
8月32日へ
楽しいね
英雄syndrome
ベストかまってちゃん
夏.インストール
幼さを入院させて
ツン×デレ
児童カルテ
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