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2023年12月 5日 (火)

架空のラジオ番組を楽しめる、良質なシティポップコンピ盤

今回は、話題のシティポップのコンピレーションアルバムの紹介です。

Title:FM STATION 8090~GOOD OLD RADIO DAYS~ DAYTIME CITYPOP by Kamasami Kong

Title:FM STATION 8090~GENIUS CLUB~ NIGHTTIME CITYPOP by Katsuya Kobayashi

架空のFMラジオ局「FM STATION 8090」から流れるラジオ番組をイメージしたコンピレーションアルバム。ラジオ番組そのままに、曲の間にMCのコメントや簡単な曲紹介が入るスタイル。曲間のMCも全て英語となっており、FM局でも、特にInter FM系、もしくは(90年代あたりの?)JFL系を彷彿とさせる雰囲気となっています。

そして参加しているMC勢も豪華。「DAYTIME CITYPOP」の方はカミサマ・コング、「NIGHTTIME CITYPOP」は小林克也と、FMのMCとしてはおなじみの大御所が参加しています。その名前を知らなくても、声を聴けば、おそらく「ああ、あの人」と誰もが思うような声だと思います。

「架空のラジオ番組」という点ではかなりこだわりがあるようで、特に「DAYTIME CITYPOP」の方では、曲間になんとゲストとして早見優が登場し、曲をリクエストする、なんていう、いかにもラジオ番組らしいコーナーもあったりして。聴いていて本当にラジオ番組を聴いているかのように錯覚してしまいそうな、凝った構成になっています。

楽曲は、最近では海外からも高い評価を受けているシティポップの楽曲が並びます。「DAYTIME CITYPOP」はタイトル通り、昼間に聴くのにピッタリな明るく爽やかなポップス、「NIGHTTIME CITYPOP」はムーディーな雰囲気漂う、夜に聴くのにピッタリな曲が並んでいます。どちらも「8090」というタイトル通り、80年代90年代の楽曲がメイン。聴いていて懐かしさを醸し出すような構成になっていました。

「懐かしさ」という点では、非常に印象的なのはそのジャケット写真ではないでしょうか。かつてFM専門誌として発売されていた「FM STATION」をイメージした構成。当時、「FM STATION」の表紙を手掛けていたイラストレーターの鈴木英人が手掛けています。このジャケットを眺めながら、当時の曲を聴くと、その時代を思い起こして懐かしさを彷彿させるのではないでしょうか・・・

・・・と言っておいて、若干、この「懐かしさ」という点では疑問もあります。まず第一に、「懐かしい」といってもこの英語MCのトークを挟んだスタイルって、Inter FMとかだと今も変わらないですよね?最近はFMもあまり聞かなくなってしまったので、今のスタイルは詳しくはわからないのですが・・・。もうひとつ、どちらかというとこちらの方が疑問点なのですが、ここで流れていたようなポップスって、洋楽中心だった80年代90年代にはあまりFMで流れなかったのでは?という疑問。特に「NIGHTTIME CITYPOP」に収録されている大橋純子の「シルエットロマンス」や寺尾聰の「出航 SASURAI」あたりは、今でこそ「シティポップ」的な評価をされるようになりましたが、80年代は完全に「歌謡曲」の枠組みで、Inter FMはもちろん、JFL系でもまず流れなかった曲なのでは?なんとなく、本当に80年代90年代のFMラジオ番組を再現した、というよりは、懐かしいというイメージだけをピックアップしたフェイクなのでは?と感じました。

もっとも、エンタテイメントにとって、ある種の「フェイク」というのは重要で、そういう意味では「フェイク」だからといってこのコンピレーションの価値が下がるものではありません。最近では、むしろ海外で高い評価を受けている松原みきの「真夜中のドア~Stay With Me」をはじめ、おなじみ杏里「オリビアを聴きながら」や杉山清貴、来生たかお、EPOなど、豪華なメンバーがズラリと並んでおり、最近評価の高い、「シティポップ」とは何か、ということを知るには最適なコンピレーションアルバムだったと思います。

ちょっと残念だったのは、松任谷由実の「ルージュの伝言」「やさしさに包まれたなら」「CHINESE SOUP」が権利の関係か、ユーミン歌唱ではなく、絢香と土岐麻子によるカバーだった点。このカバーももちろんよかったのですが(純粋な歌唱力という意味ではユーミンよる上かも?)、他がオリジナルだっただけにちょっと残念。他にもシティポップの名曲はいろいろとあるのだから、無理にユーミンを入れなくてもよかったとは思うのですが。それとも、若手(というよりももうキャリア的にはベテランなのですが)のシンガーを入れることによって、もっと下の世代を呼び込みたかったのでしょうか?

個人的には「NIGHTTIME」の方は、ちょっとムーディーな曲が多くて、悪い意味で「歌謡曲」すぎないか?という疑問もあったのですが、その点を差し引いても、全体的にラジオ番組を聴いているように楽しめたコンピレーションアルバムでした。80年代90年代にリアルタイムで聴いていた方はもちろん、最近、評価が高くなっているシティポップを知りたい若い世代の方にもおすすめのコンピです。

評価:DAYTIME CITYPOP ★★★★★
NIGHTTIME CITYPOP ★★★★


ほかに聴いたアルバム

カラタチの夢/大橋トリオ

大橋トリオの新譜は5曲入りのEP盤。ただ、この収録曲のタイアップがかなり豪華。5曲中3曲がドラマ主題歌。あと1曲もテレビ番組のテーマソングと、5曲中4曲までがタイアップ付きという内容となっています。確かにアコースティックアレンジにメランコリックに聴かせるポップソングは、いい意味で癖のなく、万人受けしそうな「良質なポップソング」。テレビのタイアップ曲としてはピッタリなんだろうなぁ、とは思います。ただ、良質なポップソングはポップソングなのですが、もうちょっとある種の「毒」は欲しい感じはしてしまうのですが。

評価:★★★★

大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R

FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ
PARODY
10(TEN)
Blue
STEREO
植物男子ベランダー ENDING SONGS
植物男子ベランダーSEASON2 ENDING SONGS
THUNDERBIRD
This is music too
NEW WORLD
ohashiTrio best Too
ohashiTrio collaboration best -off White-

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