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2023年12月23日 (土)

AIを使った挑戦的な作品も

Title:クロスロード
Musician:UNICORN

メンバー全員、アラ還に近づきながらも積極的な活動を続けるUNICORN。特に再結成後は、自由度の高い音楽性のアルバムが魅力的で、そんな「おじさんの遊び心」は年を取れば取りほど顕著になっている感はあります。今回、約2年ぶりとなるニューアルバムとなりますが、いつに増して好き勝手に音楽で遊んだような、肩の力の抜けた自由度の増したアルバムに仕上がっていました。

今回のアルバムもまた、メンバー全員がほぼ平等に作詞作曲を担当し、それぞれボーカルを担当しているのですが、それぞれが好き勝手にいろいろなジャンルの音楽に手をつけている作風となっています。レトロなアメリカンポップのタイトルチューン「クロスロード」からスタートし、オールドスタイルのロックンロールチューン「米米夢」に、スカパンク風の「オカゲサマ」、最後を締めくくるのは、全員でコーラスに参加して、メンバー全員の仲の良さも感じさせる「100年ぶる~す」で締めくくり。最後まで自由度の高い楽しいポップスが詰め込まれた作品となっています。

ただ、彼ら、さらにすごいのが、メンバーそれぞれ好き勝手に音楽を楽しんだアルバムでありながらも、彼らなりの「挑戦」を行っている点。今回、このアルバムリリースに先駆けて、過去のUNICORNの楽曲のオマージュ曲を、AIボーカルによって歌わせるEP盤を配信限定でリリースしています。

Title:ええ愛のメモリ
Musician:UNICORN

Eeai

「Maybe Blue」のオマージュ「ネイビーオレンジ」からスタートし、「WAO!」そのままの「OAW!」まで、どこかで聴いたことあるような曲が並んでいます。それがAIによって歌われている訳ですが、「かつての若い頃」をイメージしたボーカルスタイルとなっており、その点でも、「昔聴いたことあるような、ないような・・・」といった不思議な感覚を受けるユニークなアルバムになっていました。

ある意味、このAIによる技術にしても、賛否があって、抵抗感を覚えるようなミュージシャンもいる中、むしろ積極的に活用し、かつ、大上段に構えるでもなく、その技術を楽しむようなスタイルは、いかにも彼ららしさを感じます。ちなみに、AIではなく、「今のボーカル」によって歌われたバージョンはアルバム「クロスロード」に収録。両者の聴き比べも楽しいでしょう。ちなみに、奥田民生が一番違いがあったように感じます。粋がっていて、いかにも「ロック」然としてかつてのスタイルと、渋みのある脱力スタイルの今のボーカルはかなり雰囲気が異なりました。

年を取ってもなお、今の技術を抵抗感なく受け入れ、全力で楽しむスタイルと、一方で年齢を経たからこそ感じる「余裕」さを併せ持った、UNICORNの魅力あふれるアルバム。前作「ツイス島&シャウ島」はロックンロールという一本の軸があり、統一感のあるアルバムでしたが、今回は自由度が増しただけにアルバム全体はバラバラといった印象はありますが、それはそれで彼ららしい大きな魅力になっていました。さすがの「貫禄」すら感じさせる傑作アルバム。彼らにしか出来ない1枚だと言えるでしょう。

評価:どちらも★★★★★

ユニコーン 過去の作品
シャンブル
I LOVE UNICORN~FAN BEST
URMX
Z
ZII
Quarter Century Single Best
Quarter Century Live Best

イーガジャケジョロ
ゅ13-14
半世紀No.5
D3P.LIVE CD
UC100V
UC100W
ツイス島&シャウ島

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