TOWA TEI 3作。ちょっと遅くなったものも含みます。
今回は、先日、2枚同時にアルバムをリリースしたTOWA TEIの新作の紹介です。
Title:TOUCH
Musician:TOWA TEI
まず全12曲入りのアルバム「TOUCH」。全編軽快なエレクトロのインストアルバムなのですが、全曲、バラエティー富んだ作風で様々なサウンドを取り入れた、TOWA TEIの広い音楽的嗜好を感じさせる作品でした。「EAR CANDY」ではファンキーなリズムにキュートな女性ボーカルの入ったキュートなポップチューン。「HAND HABBIT」ではトランペットが哀愁感あるフレーズを奏でながらも、どこか和風なサウンドが魅力的。「SEA CHANGE」は、タイトル通り、海の中にいるかのようなドリーミーなサウンドが特徴的ですし、「SNOW SLOW」では軽快なピコピコサウンドが楽しい楽曲に。「AKASAKA」も様々なサウンドをサンプリングして、どこかユーモラスなポップに仕上がっています。
ちなみにゲスト陣もなかなか豪華で、「HOLD ON!」でタイトルを叫んでいるのはかの細野晴臣。「EAR CANDY」でキュートなボーカルを聴かせてくれるのはクラムボンの原田郁子。さらに本作唯一の歌モノとなっている「RADIO(DJ)」でボーカルを取っているのは、今年、残念ながら鬼籍に入ってしまった高橋幸宏。豪華なゲスト陣が参加している点も大きな魅力でした。
全体的にどこかユーモラスで、ちょっとひねくれて、でもとてもポップで楽しいラウンジ風のインストアルバムに仕上がっていた本作。実にTOWA TEIらしいアルバムと言える作品だったと思います。聴いていて、素直に楽しくなる、そんな1枚でした。
評価:★★★★★
Title:ZOUNDTRACKS
Musician:TOWA TEI
そして本作は、その「TOUCH」と同時リリースとなったもう1枚のアルバム。こちらも「TOUCH」同様、TOWA TEIの幅広い音楽性が楽しめるアルバムに。ちょっとスペーシーな「MUSE」からスタートし、「FRESH!」は様々な音をサンプリングした楽しくコミカルな曲に。不気味でちょっとトライバルな要素のある「2BAD」は、どこかゲームソング風。「OPEN」の後半ではチップチューン的なサウンドも取り入れています。
ただ「TOUCH」と大きく異なる点は、「TOUCH」が多彩なゲストが参加したのに対して、本作ではすべてテイ・トウワ一人の手によってつくられたという点。彼一人のみによって作成されるという点も、これはこれで非常に挑戦的、と言えるかもしれません。
また、「ZOUNDTRACKS」というタイトルの通り、アルバム全体として、どこか映画やゲームのサントラ盤のような、そんな楽曲が目立ったような感じがします。しっかりとしたフレーズを持ったポップな歌を聴かせるというよりも、ワンアイディアを具体化した作品に仕上がっている、そんな印象でしょうか。テイ・トウワ一人の手によるものだからこそ、その点はより「挑戦的」になった作風だったのではないでしょうか。
そのため、ポピュラリティーという点では「TOUCH」よりも薄かったかもしれませんが、それはそれとしてTOWA TEIらしさがしっかりと発揮されたアルバムだったと思います。こちらも聴いていて素直に楽しくなる1枚でした。
評価:★★★★
で、実はもう1枚、2021年にリリースしたアルバムが聴き漏れていたので、いまさらながら聴いてみたのですが・・・
Title:LP
Musician:TOWA TEI
今年リリースされた「TOUCH」は、基本的にこの2021年にリリースされた「LP」の続編的な扱いだそうで、確かに方向性としてはこの2枚、とても近いアルバムだったと思います。どちらも様々な音楽や様々な音を取り込んでポップにまとめあげていますし、また、豪華なゲスト陣の参加も特徴となっています。
こちらもラテンのリズムを取り入れた「BIRTHDAY」からスタートし、キュートでメロウな女性ボーカルが特徴的な「FABULOUS」。音数を減らしてダイナミックに聴かせる「EMEZ」に、哀愁感あるトランペットを加えてドリーミーにまとめあげている「NOMADOLOGIE」とバラエティー富んだエレクトロチューンを楽しめます。
ゲスト陣も「BIRTHDAY」では細野晴臣、「CONSUMER ELECTRONICS」では高橋幸宏と、こちらも「TOUCH」と同様にYMOの2人が参加。その特徴的な歌声を聴かせてくれています。全体的には「TOUCH」と同様、どこかコミカルさも感じる軽快なエレクトロチューンがメインの作品。そして「TOUCH」と同じく、聴いていて素直に楽しくなるような1枚でした。
評価:★★★★★
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