くすんだ味わいあるボーカルが大きな魅力
Title:falling or flying
Musician:Jorja Smith
イギリスの女性シンガーソングライター、(日本人にとってはちょっと読みにくい名前ですが)ジョルジャ・スミスのニューアルバム。本作が2枚目となるアルバムですが、2019年のブリッド・アワーズでは「British Female Solo Artist」を獲得しているほか、同じくグラミー賞ではベストニューアーティストにノミネートされるなど、高い評価を受けています。
楽曲的にはメロウなソウルチューンを聴かせてくれる彼女。トライバルなリズムに不気味な雰囲気を醸し出している「Try Me」からスタート。男性ラッパーJ Husとのコラボで哀愁たっぷりの歌声を聴かせてくれる「Feelings」や、メランコリックに歌い上げるタイトルチューンの「Falling or Flying」、ギターサウンドで哀愁感たっぷりにスモーキーに歌い上げる「Lately」など、ムーディーで雰囲気たっぷりのメランコリックなソウルチューンが大きな魅力となっています。
ただ一方では「GO GO GO」のような、むしろギターロック寄りのポップチューンがあったりと、全体的に雑食性も感じさせるのが、イギリスのソウルシーンらしさを感じさせますし、彼女の幅広い音楽性も感じさせます。そんな中でもインパクトがあるのが先行シングルにもなっている「Little Things」で、軽快でリズミカルなパーカッションのリズムも耳を惹く、UKガラージなナンバー。思いっきりクラブ寄りに振り切ったナンバーになっており、アルバムの中でも大きなインパクトとなっています。
また、そんなバラエティー富んだ音楽性の中で、アルバム全体をまとめあげているのが彼女のボーカルでしょう。くすんだ感じで味のある、ちょっと大人なビターな雰囲気のあるそのボーカルは、ムーディーな彼女の曲にもピッタリとマッチ。アルバム全体をジョルジャ・スミスの色に染め上げている大きな要素となっています。この彼女のボーカルの魅力も、本作の大きな要素となっている点も間違いないでしょう。
ちなみに2018年のサマーソニックに既に来日済ということですが、日本でも今後、さらに注目が集まりそう。メランコリックなメロディーラインはいい意味でインパクトもあり、日本人にとっても聴きやすさを感じる点も大きな魅力でした。まだまだこれからの活躍が期待できそうなシンガーソングライター。その魅力的な歌声に強くひかれた1枚でした。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Again/Oneohtrix Point Never
ニューヨークで活動をするミュージシャン、ダニエル・ロパティンのソロプロジェクトによる約3年ぶりとなるアルバム。エレクトロサウンドを中心に、時にはストリングスやホーンも取り入れたバラエティーある音像で、サイケでアバンギャルドな音の世界を作り出している実験性も高い音楽が魅力的。ただ、楽曲自体にはどこか人なつっこいポップな要素も強く、意外と聴きやすいという印象も受けます。前作同様、実験性も高い音楽だったのですが、一方では前作に比べるといい意味での取っつきやすさを感じる作品に仕上がっていました。
評価:★★★★★
Oneohtrix Point Never 過去の作品
Age of
Magic Oneohtrix Point Never
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2023年」カテゴリの記事
- マッドチェスタームーブメントの楽曲を網羅的に収録(2023.12.24)
- 全盛期oasisの充実ぶりを物語る名盤(2023.12.15)
- 荒々しさを感じる初期ライブ盤(2023.12.12)
- 新曲が加わり大幅にボリュームアップ!(2023.12.11)
- 本来の意味での・・・「エモい」アルバム(2023.12.03)
コメント