前作に続くエレクトロ作ながらも、出来はより進化
Title:CHAI
Musician:CHAI
フルアルバムとしての前作「WINK」で、インディーレーベル、サブポップと契約。「世界」を視野として活動を開始した4人組ガールズバンド、CHAI。本作は、そんな彼女たちの、途中ミニアルバムを挟みつつ、約2年ぶりとなるフルアルバムとなります。
もともとデビュー以来、ニューウェーヴのテイストも強いタイトなバンドサウンドを押し出したロックチューンが魅力的だった彼女たち。ただ、世界進出を意図した前作「WINK」ではエレクトロサウンドを取り入れたサウンドを前面に押し出し、またR&Bテイストを取り入れて、良くも悪くも今風のサウンドを取り入れたアルバムに仕上がっていました。個人的には率直なところあまり彼女たちらしさを感じない作品であり、ちょっと残念な作品、という印象を受けました。
その後リリースされたミニアルバム「ジャジャーン」もエレクトロサウンドを押し出した作品となっており、今回の作品に関しても正直なところ不安を感じながらアルバムを聴いていたのですが・・・今回のアルバムも残念ながら基本的には前作と同様、エレクトロサウンド路線を押し出した作品に仕上がっていました。
ただ、とはいえ楽曲の出来としては前作「WINK」よりもグッと進化して良くなっていた印象を受けます。ダウナーな「MATCHA」からスタートし、軽快なエレクトロファンクチューン「PARA PARA」や「GAME」はテンポよいリズムが軽快で心地よさを感じる楽曲に。終盤のエレクトロチューン「Like,I Need」もメランコリックなメロディーラインでのリズミカルなサウンドが気持ちよいポップスに仕上がっていました。サウンド的にも、流行のサウンドをただ模倣していた感があった前作から、グッとタイトさを増したエレクトロファンクなリズムは、CHAIとしてのサウンドを模索していた印象を受けます。
さらに今回のアルバム、中盤「We The Female!」「Neo Kawaii,K?」では、以前の彼女たちらしいバンドサウンドが前面に押し出されたロックチューンに。力強くエッジの効いたバンドサウンドはやはり文句なしにカッコよく、ロックバンドとしての彼女たちの実力を感じさせる楽曲に仕上がっています。エレクトロチューンは彼女たちなりの新たな一歩を志したのかもしれませんが、やはりCHAIの魅力を感じるのはこういう楽曲だな・・・ということを再認識した楽曲になっていました。
全体的にはエレクトロという方向性も含めてアルバムの出来としては前作よりも明らかに良くなったアルバムだと感じます。特にエレクトロサウンドの出来としては前作よりもグッと良くなったように感じます。ただそれでも、CHAIとしての魅力がしっかりと確立されているのは間違いなくバンドサウンドを取り入れたロックチューンだと感じますし、そのようなロックナンバーと比べるとエレクトロチューンに関しては、凡作とまではいかないもののもう一歩と感じてしまいました。
そういうこともあり、前作と同様、傑作というには今一歩物足りなさも感じてしまうアルバム。ただ、出来としては良くなっているのは間違いないので、次回作にはさらに期待したいところ。個人的にはやはりバンドサウンドを前に押し出したロックな楽曲を聴きたい、とは思うのですが・・・。
評価:★★★★
CHAI 過去の作品
PINK
わがまマニア
PUNK
WINK
WINK TOGETHER
ジャジャーン
ほかに聴いたアルバム
Undercurrent/細野晴臣
細野晴臣が、映画「アンダーカレント」に提供した劇伴曲を再構成したアルバム。エレクトロサウンドやピアノのサウンドを取り入れつつも、全体的にはメタリックなテイストが強いアンビエント作品に。非常に挑戦的にも言える内容で、現在、御年76歳という年齢ながらも、全く衰えることのない音楽的意欲も感じさせるアルバムになっていました。劇伴曲というと、ワンアイディアのみの短い作品が多いのですが、こちらはそれを再構成ということで、1曲1曲が映画を見ていない人も聴くことを前提とした曲となっているので、映画のサントラ的な要素よりも、純粋に細野晴臣の新作としても聴ける1枚となっています。
評価:★★★★★
細野晴臣 過去の作品
細野晴臣アーカイヴスvol.1
HoSoNoVa
Heavenly Music
Vu Ja De
HOCHONO HOUSE
HOSONO HARUOMI Compiled by HOSHINO GEN
HOSONO HARUOMI Compiled by OYAMADA KEIGO
あめりか/Hosono Haruomi Live in US 2019
Music for Film 2020-2021
HC 2023 episode 2 -GHOST TRACK E.P-/GLAY
今年2月にリリースしたシングル「HC 2023 episode 1 -THE GHOST/ 限界突破-」の続編となる作品。前編はシングル曲でしたが、続編は全7曲入りのEP盤としてのリリースとなりました。全体的にはいつも以上に軽快なポップが目立つ作品となっているほか「THE GHOST(80KIDZ Remix)」ではタイトルからもわかる通り、ギターサウンドに打ち込みを取り入れた楽曲に。直近のオリジナルアルバム「FREEDOM ONLY」は、ポップに振り切った彼らを聴くことが出来ましたが、本作もその方向性を維持した、ポップなGLAYを楽しめるEPとなっていました。
評価:★★★★
GLAY 過去の作品
GLAY
JUSTICE
GUILTY
MUSIC LIFE
SUMMERDELICS
NO DEMOCRACY
REVIEWII~BEST OF GLAY~
REVIEW 2.5 〜BEST OF GLAY〜
FREEDOM ONLY
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