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2023年10月 2日 (月)

統一感のある2作目

Title:GUTS
Musician:Olivia Rodrigo

現在、女優として活躍しているのみならず、ミュージシャンとしても前作「SOUR」が高い評価を得て、シンガーソングライターとしても一躍注目を集めたOlivia Rodorigo。その前作から約1年8ヶ月、早くも新作がリリースとなりました。

前作「SOUR」はバラエティー富んだ音楽性のポップアルバムで、聴いていて素直に楽しくなる内容が最後まで飽きさせない傑作に仕上がっていました。一方、今回のアルバムは全体的にギターロック寄りのアルバムとなっていました。冒頭を飾る「all-american bitch」も、最初はギターアルバムでしんみり聴かせつつ、中盤以降は分厚いギターサウンドが顔を覗かせるパンキッシュな作風に。続く「bad idea right?」も分厚いギターサウンドが前面に押し出されつつ、ラップのパートとキュートなメロのパートが交互に展開されるポップなナンバー。「vampire」も、最初はピアノで静かに聴かせつつ、後半はギターサウンドにストリングスが加わりスケール感を醸し出しているギターロックのナンバーに仕上がっています。

その後もラップとキュートでポップなメロが交互に展開するミクスチャーポップとも言うべき「get him back!」や疾走感あるギターロックナンバーの「love is embarrasing」、ちょっと切ないメロが印象に残るギターロック「pretty isn't pretty」など、分厚いバンドサウンドを聴かせつつ、ポップなメロが印象的なギターロック寄りの楽曲が目立ちます。全体的にはオルタナ系以降のポップなギターロックといった感じで、イメージとしては初期のアヴィリル・ラヴィーンにも近い感じ。ポップなメロはインパクトも十分で、日本人にも、特に彼女と同年代(20代前半)や中高生にも高い人気となりそうな印象を受ける、聴いていてワクワクするいい意味での「わかりやすさ」も感じます。

一方、そんなギターロック路線の合間でには「logical」「the grudge」、さらにラストを締めくくる「teenage dream」など静かなピアノをバックにゆっくりと歌い上げる曲も目立ち、清涼感があり力強いその歌声には、ボーカリストとしての彼女の実力も感じさせます。

前作「SOUR」は、バラエティー富んだポップなアルバムであった一方、多様な音楽性によって、全体的には統一感が欠ける点が若干の弱点となっていました。今回のアルバムに関しては、ピアノで聴かせる楽曲でバラエティーを持たせつつギターロックを主軸にすることによって全体的に統一感のあるアルバムに仕上がっていました。前作のバラバラな作風も、それはそれでその猥雑な感じがポップの勢いを感じ、ひとつの魅力にはなっていましたが、アルバム全体としての出来としては本作の方がよく出来ているように感じます。評価の高かった1作目に勝るとも劣らない傑作を続けてリリースしてきた彼女。まだ二十歳ということで、末恐ろしい感じもします。普段、洋楽をあまり聴かない方も含めて、幅広い層にお勧めできるアルバムです。

評価:★★★★★

Olivia Rodorigo 過去の作品
SOUR

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