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2023年10月 1日 (日)

エレクトロを取り入れ、新たな方向性に挑戦

Title:家の外 e.p.
Musician:OGRE YOU ASSHOLE

途中、ライブアルバムのリリースはあったものの、新作としては2019年の「新しい人」以来、実に約4年ぶりとなるOGRE YOU ASSHOLEの新作。全4曲入り25分のEP盤になるのですが、3月にライブ会場で先行リリースされ、6月にサブスクでの先行配信、さらには9月にCDリリースという流れでのリリースとなりました。

さてそんなOGREの新作は、4曲入りという事実上のシングルとも言えそうなEP盤なのですが、そんなたった4曲の内容ながらも、これからの新たなOGREの一歩を感じさせる挑戦的な作品になっていました。その大きな変化となった点がエレクトロサウンドの導入。いずれの4曲もエレクトロサウンドを取り入れつつ、OGREの新たな方向性を模索したような内容となっていました。

1曲目「待ち時間」はエレクトロサウンドを取り入れたリズミカルなインストチューン。四つ打ちのドラムのリズムを取り入れた、テクノのテイストも感じさせる、いままでのOGREとは一風変わった方向性が特徴的。その1曲目をイントロのようにして、そのままシームレスに入る2曲目のタイトルチューン「家の外」は、同じくエレクトロサウンドをミニマル的に聴かせつつ、シンプルな音の構成と淡々としたメロと無機質風な不気味さを感じさせる楽曲がOGREらしい作品。いわばいままでの彼らの王道とも言える曲にエレクトロの要素を追加したらどうなるのか、そういう実験を感じさせる曲になっています。

3曲目の「ただ立ってる」はエレクトロサウンドを主軸にしつつ、様々な音をサンプリングさせた、幻想的でかつサイケな作品。そしてラストの「長い間」はタイトル通りに11分にも及ぶ長尺の曲。こちらはエレクトロサウンドを入れつつもバンドサウンドを主軸にした曲で、力強いドラムのリズムにダイナミックさを感じさせる曲調に。ただ、全体を流れるミニマルテイストのリズムが独特のトリップ感を与えています。

このようにたった4曲入りのEPながらも、4曲とも異なる方向性で、エレクトロサウンドを用いつつ、新たなOGREの挑戦を感じさせる作品になっていました。そういう意味でもEP盤とはいえ、非常に重要性の高い作品とも言えるでしょうし、また、この挑戦心は実にOGREらしいとも言える作品になっていました。あらためて彼らの実力を感じさせてくれる傑作アルバム。次のフルアルバムも非常に楽しみです。

評価:★★★★★

OGRE YOU ASSHOLE 過去の作品
しらないあいずしらせる子
フォグランプ
浮かれている人
homely
100年後
confidential
ペーパークラフト
WORKSHOP
ハンドルを放つ前に
新しい人
workshop 2
workshop 3

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