35年の時を超えて
Title:Sweet Love Songs+
Musician:加藤いづみ
1991年にデビュー。90年代のガールズポップムーブメントのミュージシャンの一人として人気を博した加藤いづみ。現在でも活動を続けている彼女ですが、1993年にリリースされた彼女の最大のヒット作「Sweet Love Songs」が、リリース35周年を記念してリマスターされたのが本作。リアルタイムでも聴いていた本作ですが、懐かしさもあり久々に聴いてみました。
35年も前のアルバムになるのですが、今回久々に聴いてみて感じたのは、今聴いても、全く違和感がなく聴けるアルバムだった、という点でした。エバーグリーンな作品と言えばその通りで、清涼感ありキュートさを感じる彼女のボーカルは今聴いてもやはり大きな魅力。彼女の楽曲のプロデュースも手掛けてた高橋研の書く、シンプルながらも暖かみのあるメロディーも非常に魅力的。「エバーグリーン」という表現もピッタリくるポップアルバムになっています。
ただ、それ以上にこのアルバムが時代を超えて魅力を感じるのは、アコースティック主体のサウンドメイキングに依るところが大きいようにも感じます。得てして、メロディーライン以上にサウンドというのは時代を感じてしまいます。本作でも典型的なのが2曲目の「星空のジェットプレイン」と3曲目の「おちょこの傘につかまって」で、「おちょこの傘」という表現自体も時代を感じてしまうのですが、途中に入るフュージョン風のサックスが完全に90年代風。聴いていて時代を感じてしまいます。
一方、このアルバムで主体になるピアノやアコースティックギターのサウンドは時代を超えて変化がありません。本作にも収録されており、彼女の代表曲とも言える「好きになって、よかった」はアコギを爪弾きつつ、ストリングスが入る音色は、90年代特有のサウンドではなく、2020年代の今となっても変わることがありません。それだけにサウンドは時代を超えても違和感なく、35年経った今でも、時代を考えずに聴くことが出来ると思います。
他にもラテン風なリズムを入れつつ、キュートなガールズポップな「シャンプー」やラテンパーカッションとギターで、エキゾチックでちょっと不思議な歌詞も魅力的な「オットーの動物園」、加藤いづみ本人が作曲を手掛けた爽快なポップチューン「みんなパレードのせい」、エキゾチックな雰囲気をスケール感をもって聴かせる「If-2つの想い-」などバリエーションを持たせつつ、アコースティック主体のサウンドと彼女の清涼感あるキュートな歌声を軸に、最後までシンプルなポップソングを聴かせてくれる魅力的なアルバムになっています。
ラストは、彼女の代表曲「好きになって、よかった 2023」として、再録音版を収録。30年以上経ても色あせない歌声を聴かせてくれています。原曲に比べると、ストリングスのサウンドをより強調して、スケール感を出した構成になっており、個人的にはシンプルだった原曲の方がよかったかも、とは思うのですが・・・それでも新録は新録で魅力的な曲に仕上がっていました。
今でも変わらない加藤いづみの魅力をあらためて認識したアルバム。リアルタイムでも聴いていた作品なだけに、懐かしさも感じつつ、そのような思い出補正がなくても十分お勧めできる傑作だと思います。是非、今の世代の方にも聴いてほしい作品です。
評価:★★★★★
加藤いづみ 過去の作品
MUSIC
ほかに聴いたアルバム
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評価:★★★★★
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ARE YOU READY?
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歌うたい25 SINGLES BEST 2008~2017
Kazuyoshi Saito LIVE TOUR 2018 Toys Blood Music Live at 山梨コラニー文化ホール2018.06.02
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PINEAPPLE
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世界/クレイジーケンバンド
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評価:★★★★
クレイジーケンバンド 過去の作品
ZERO
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