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2023年10月28日 (土)

彼女の歌詞の魅力がより鮮明に

Title:Acoustic -Self Cover Album-
Musician:阿部真央

あまりにもそのままなタイトルのような気がするのですが・・・阿部真央の最新作は、タイトル通り、アコースティックアレンジによるセルフカバーアルバム。阿部真央が、ポニーキャニオンIRORI Recordsと提携し、プライベートレーベル「KAGAYAKI RECORDS」を設立。本作はその第1弾アルバムとなるそうです。

基本的に、内容としてはあべまのアコースティックアルバムとして、イメージ通りのものであり、良くも悪くも「そのまま」なアルバムです。選曲も「貴方の恋人になりたいのです」「boyfirend」「じゃあ、何故」「お前が求める私なんか全部壊してやる」「I wanna see you」・・・とベスト盤的なセレクト。最後に唯一、新曲「I've Got the Power」が収録されていますが、選曲としては非常にオーソドックスな選曲となっています。

アレンジにしても、アコースティックアルバムであるので当たり前なのですが、基本的にはシンプルなアレンジ。アコースティックギターやピアノをベースに、「MY BABY」や「お前が求める私なんか全部壊してやる」ではパーカッションを入れてバリエーションをもたせつつも、あくまでも歌を聴かせる構成になっていました。

ただ、今回のアコースティックアルバムの最大の魅力はなんといっても阿部真央の書く歌詞の魅力が最前面に押し出されているという点のように感じます。アコースティックアルバムであり、かつアレンジとして非常にシンプルだからゆえに、彼女の書く歌詞がよりクリアに響いてきたいるのですが、あらためて彼女の歌詞の魅力を強く感じるアルバムとなっていました。

確かにいままでのアルバムでも、阿部真央の書く歌詞は彼女の楽曲の中の大きな魅力であり、彼女の個性として位置づけられていました。それがアコースティックアレンジとなることによって、よりストレートにリスナーの耳に届くような楽曲に変化していたように感じます。彼女の歌詞の大きな特徴としては、切ない恋心を、時として情熱的に綴った歌詞。それも決して「乙女心」といった感じではなく、むしろ男女に共通するような、恋しい人を思う本質的な感情をストレートに歌っているため、男女どちらのリスナーも共感できるような内容になっています。

それをアコースティックアレンジとすることによって、本質的な部分をよりえぐられるような印象を受ける歌い方になっていたようにも感じます。例えば「じゃあ、何故」のオープニングは、原曲でもギターのアルペジオをバックに静かなアレンジになっているのですが、本作では、完全にアカペラ。オープニングの印象的な歌詞が、そのままダイレクトに伝わるようなアレンジになっており、強い印象を受けます。

もともと阿部真央についてその歌詞の魅力は認識していたものの、このアコースティックアルバムで、その歌詞の魅力について、より強く認識し、そして惹きつけられた、そんな作品になっていました。ある意味、アコースティックという特性をもっとも生かした魅力的なカバーアルバムと言えるかもしれません。阿部真央の魅力のわかる1枚でした。

評価:★★★★★

阿部真央 過去の作品
ポっぷ
シングルコレクション19-24
おっぱじめ
Babe.
YOU
阿部真央ベスト
まだいけます
MY INNER CHILD MUSEUM
Not Unusual

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