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2023年10月14日 (土)

Netflixの番組から生まれた6曲入りのEP盤

Title:LIGHTHOUSE
Musician:星野源

Lighthouse

配信シングルはコンスタントにリリースしているものの、アルバムのリリースとしては久々となる星野源の新作。今回は配信限定の6曲入りのEP盤で、もともとNetflixのトークバラエティー「LIGHTHOUSE〜悩める2⼈、6ヶ⽉の対話〜」に出演した彼が、同番組のエンディングとして書き下ろした曲を収録。全6回、オードリーの若林正恭と日常生活や悩みについて語り合った番組だそうで、楽曲もその対話に基づいて作成された曲になっているそうです。

そういう意味では企画盤的な様相の強い作品。そんな語り合いから誕生した曲ということもあり、全体的に歌詞も曲調も内省的なものとなっています。例えば「灯台」では目標にむけてもがく姿を描いていますし、「解答者」では現状にもがく姿を描いています。また、「Orange」ではラッパーとしてMC wakaが参加・・・って、これ、オードリーの若林正恭なんですね。彼がラッパとして(というか、ラッパーの物まね的な)気だるいラップを聴かせてくれているのですが、この曲の歌詞はおそらく彼の過去を描いた歌詞のように思われます。

メロディーラインについても内省的であるゆえにあまり派手さはありません。ただEPとしての前作「Same Thing」は星野源の「ミュージシャン」としての側面が強く出た、「恋」や「ドラえもん」のヒットで見せた、お茶の間向けの側面というよりも、もっとコアなファンに向けた楽曲が並んでいましたが、今回のEPについても同様。ミュージシャン星野源の「趣味性」を遺憾なく前面に出したアルバムに仕上がっていました。

例えば冒頭を飾る「灯台」はファルセットボーカルでしんみり聴かせるアコギ弾き語りの作品。派手さはないものの、しっかりと「歌」を聴かせる作品に。「解答者」もシンセの音を入れた、ちょっと80年代を彷彿とさせるフュージョン風のサウンドが特徴的。「仲間はずれ」ではダイナミックなロックサウンドを入れつつ、ラップ的なボーカルも入れてきていますし、さらにMC wakaが参加した「Orange」はまさにダウナーでトラップの要素を取り入れたHIP HOPな作品と、幅広く、また挑戦的な音楽性を感じさせます。

比較的ポップな星野源という側面を見せるのは続く「しかたなく踊る」くらいでしょうか。明るくテンポよいダンスチューンは、お茶の間の星野源のイメージに沿った作品になっています。かと思えばラストの「Mad Hope」ではLouis ColeとSam Gendelという超豪華なミュージシャンが参加。わずか35秒という短い曲なのですが、今風なエレクトロジャズの要素を取り入れた、これまた彼の趣味性を強く押し出した作品になっていました。

そういう訳で前作「Same Thing」同様、決してお茶の間での星野源のイメージのようなポップソングを聴かせてくれる訳ではないのですが、彼のミュージシャンとしての矜持を感じさせる、音楽性の高い作品が並んでいました。派手さはないのですが、星野源のミュージシャンとしての実力を感じさせる作品。長さとしてはわずか14分なのですが、非常に密度の濃い、彼の才能のつまったEP盤でした。

評価:★★★★★

星野源 過去の作品
ばかのうた
エピソード
Stranger
YELLOW DANCER
POP VIRUS
Same Thing


ほかに聴いたアルバム

The Moonlight Cats Radio Show Vol. 3/Shogo Hamada & The J.S.Inspirations

浜田省吾による洋楽カバーアルバム第3弾。「Please Mister Postman」「Twist And Shout」などといった、比較的知名度の高いオールディーズの楽曲をカバーした作品。基本的にカバーや歌い方を含めて、原曲に準拠したシンプルなカバーが多く、原曲への敬意も感じられるカバーアルバムに。浜田省吾らしさというのは薄いのですが、ただ逆に、この原曲に対する率直なリスペクトが、浜田省吾らしいと感じることも出来るかもしれません。

評価:★★★★

浜田省吾 過去の作品
the best of shogo hamada vol.3 The Last Weekend
Dream Catcher
Journey of a Songwriter~旅するソングライター
The Moonlight Cats Radio Show Vol.1(Shogo Hamada&The J.S.Inspirations)
The Moonlight Cats Radio Show Vol.2(Shogo Hamada&The J.S.Inspirations)
In the Fairlife

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