ノスタルジーを感じながら
今回も先日見た、音楽関連の映画の紹介です。
今年はEPICレーベルの創立45周年。その節目の年を記念して、EPICレーベルで発表されたライブ・フィルムを、毎週木曜日の7時から一夜限定で上映するイベント「EPIC レコード創立45周年記念 毎木7ライヴ・フィルム・フェスティヴァル2023 -THE LIVE IS ALIVE!-」が開催されました。今回見たのは、そのうちの6回目。10月26日(木)に行われた「渡辺美里『misato born IV 愛と感動の超青春ライブ』」を見てきました。
私が見てきたのは、東京品川の「T・ジョイ PRINCE 品川」。122席の会場で、半数弱程度の人の入りといった感じでしたでしょうか。一夜限りとはいえ、平日の夜ということを考えると、そこそこの客の入りといった感じ。やはり彼女の最盛期は80年代後半から90年代前半でしたので、観客層はおそらくほとんどが50代以上。渡辺美里のライブへ行ってもいつもそうなのですが、40代後半の私の年代が、むしろ「若手」になってしまっています・・・。
今回のイベント、「映画」というよりも、過去に発売された映像作品を映画館という空間で大音量・高音質で楽しむというイベント。この日流されたのも、1990年にVHSでリリースされた同タイトルの映像作品をそのまま流しただけのイベントで、今回のイベントに合わせた特典映像があるわけでもありません。このVHSこそ持っていませんが、映像自体は一度は見たことある映像ばかりでした。
ちなみに特殊なイベントということで、映画だと恒例の予告編はなし。例の「映画泥棒」のCMもなく、いきなり本編からスタートしたのにはかなり違和感が・・・。
ちなみにこの「born IV」の映像は1989年7月26日の西武球場でのライブの模様と、11月に行われた東京ドームでのライブの模様を収録したもの。ファンにはおなじみの話なので、映像には一切説明もなかったのですが、この7月26日のライブ、豪雨と落雷に見舞われて、ライブが途中で中止になったファンには有名なライブ。その後、その埋め合わせ的に「史上最大の学園祭」と題して、東京ドームワンマンライブが行われたもの。時期的にはアルバム「Flower bed」リリース後のライブで、秋の東京ドームライブは、シングル「虹をみたかい」がチャート1位を獲得した直後のステージ。まさに彼女の全盛期のライブで、1986年から2005年まで毎年行われていた西武スタジアムでのライブですが、この年は唯一、2日間公演だったという点も、その当時の人気のほどがうかがえます。
そんな訳で、正直なところ、映像自体は特に目新しいものではありません。ただ、それを映画館という場所で、大音量・高音質で聴けるという点、非常に貴重な体験をすることが出来たひと時でした。彼女の曲については、ベスト盤リリースや「30周年記念盤」リリースのタイミングで聴いていたり、時々、今でも曲を聴いていたりしています。ただ、こういうイベントで、当時の映像、当時の歌声で集中しながら聴いていると、(この映像の頃はまだ、渡辺美里を聴きはじめる前なのですが)ふと自分がはじめて渡辺美里と出会って、はまって、そして何度も聴いた、中学生や高校生の頃を思い出してしまいました。聴いていて、その当時の事、渡辺美里に関する、友人や、その当時好きだった女の子の事も思い出してきてしまったりして、とても甘酸っぱい気持ちになりながら、渡辺美里の歌に耳を傾けていました。
また、そんなノスタルジックな気持ちから離れて、客観的な気持ちで彼女の歌を聴いていても、やはりあらためて、圧倒的な声量、歌の上手さを感じます。彼女はこの時、若干23歳。でも、その年齢を感じさないすごみを感じさせます。もっとも、この時点でかなり完成されすぎてしまっていて、その後、正直、ほとんど変化がない、という点も良くも悪くも気になってしまうのですが。
さらに会場の盛り上がりのすごさも、その当時の渡辺美里人気とその勢いを感じさせます。西武球場のライブが雨で中止になった時に「青春のバカヤロー」と叫ぶシーンがあって、率直な感想として少々痛いのですが(苦笑)、ただ、そのちょっと痛々しい発言がそのまま受け入れてしまうだけの勢いと盛り上がりが映像を通じて、30年以上たった今でも伝わってくるようでした。
渡辺美里全盛期の彼女の勢い、実力、そして魅力を感じさせてくれるイベント。全13曲1時間11分。決して長くはないものの、充実感のある内容になっていました。そして、私自身はちょっと中学生や高校生の頃に戻り、ノスタルジックな気持ちにひたった、そんな夜でした。
最近のコメント