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2023年9月12日 (火)

懐かしいバンドがいつの間にか復活!

Title:what a wonderful world
Musician:wilberry

このバンドの名前を聴いてかなり懐かしく感じました。1999年にミニアルバム「in my soul of souls」でデビューしたギターロックバンド、wilberry。時はoasisの全盛期。この時代のブリット・ポップや、あるいはその前のマッドチェスターの影響を受けたバンドが多くデビューしていました。まんまoasisと言われて賛否両論だったWINOというバンドもあったなぁ、と思い出しつつ、wilberryもその流れで出てきたバンド。非常に洋楽テイストも強いバンドだっただけに注目を集めた一方、特に1999年代近辺というと、くるり、スーパーカー、NUMBER GIRL、pre-school、Dragon Ash、TRICERATOPS、GRAPEVINE…などといったギターロックバンドの多くが全盛期を迎えていた頃。正直なところ、wilberryはそんなバンドブームとも言える時代の中に埋もれてしまい、結局、ミニアルバム4枚、フルアルバムを1枚リリースし、解散してしまいました。

そんなwilberryがなんとニューアルバムをリリースしていることに気が付いて驚いてしまいました。調べてみると、2017年に再結成。アルバム1枚をリリースし、その後はライブ会場のみでのリリースで数枚アルバムをリリースした後、このニューアルバムのリリースに至ったようです。メンバーはボーカルのジョウミチヲのみオリジナルメンバーで、ギターは元椿屋四重奏の安高拓郎、ベースには元THE NEATBEATSの"ROYAL"SEIZAN MIURA、ドラムスにはCURIOのBRITAINというメンバーになっているようです。

1曲目「shake my head」は、シタールを取り入れたエキゾチックなサウンドで、まさにマッドチェスターの影響をストレートに受けたような曲。「lockdown blues」は軽快なピアノの音色も入った、ストーンズを彷彿させるようなロックチューン。前半は、そんなwilberryらしい、グルーヴィーなギターロックチューンが並びます。

ただユニークなのは後半で、「havana」ではラテン風のリズムが入ってきますし、さらに「coppelia」ではボッサ風と、南米やラテンの要素が加わります。さらにラスト「dancer in the dark」では打ち込みの入ったダンスチューンになっているなど、全体的にバリエーションの富んだ作品になっています。

基本的にイギリスの、それも90年代あたりのギターロックからの影響は健在で、個人的にも素直に楽しめる部分はあるアルバムになっていました。それだけに、最初はワクワクしながら聴いていたのですが・・・ただ、正直なところ途中から、ちょっとそのワクワクは醒めてしまいました。

というのも大きな理由は2つあって、まず1つ目が、確かにイギリスギターロックの影響をストレートに受けつつ、ラテンやダンスチューンなどバラエティー富んだ要素を入れているものの、wilberryとしての個性が薄いという点。もう1点が、メロディーラインにいまひとつインパクトが薄いという点。かといって、圧倒的なバンドのグルーヴ感を聴かせる感じでもありません。もちろん、サウンドもメロもそれなりに魅力的にではあるものの、それだけを売りにするにはちょっと物足りなさが残ってしまい、全体的に中途半端という印象は否めませんでした。

そもそも1999年のデビュー時も、大絶賛というよりもそれなりに評価されつつも、大絶賛とまではいかない…という印象だったのですが、確かにくるりやスパカなど、数多くの実力派バンドの中に埋もれてしまったのは、さもありなん、と今回のアルバムを聴いても感じてしまいました。

とはいえ、ブリッドポップやマッドチェスターが好きならば、かなり壺にはまりサウンドなのは間違いないかと思います。そういう意味では、この手のサウンドが好きならチェックしてみても損はないアルバムだと思います。今後はコンスタントに活動を続けるのでしょうか。もう一皮むければ、かなりおもしろくなるとは思うのですが。

評価:★★★★


ほかに聴いたアルバム

冨田ラボ/冨田恵一 WORKS BEST 2 ~beautiful songs to remember~/冨田ラボ

プロデューサーとして数多くのミュージシャンの楽曲を手掛ける冨田ラボこと冨田恵一。本作は、そんな彼が、冨田ラボ、もしくは本名の冨田恵一名義で手掛けたプロデュースワークを収録したベストアルバムです。ちょっとジャズのテイストを加えたエレクトロサウンドが特徴的なのですが、楽曲によっては生楽器メインのアレンジもあったりして、裏方に徹しつつも、どこか冨田ラボの色を残した仕事ぶりがユニーク。本作に収録されているミュージシャンも椎名林檎、スガシカオ、矢野顕子から、薬師丸ひろ子や森口博子といったメンバーまでバラエティーがあり、なにげに幅広い彼の仕事ぶりがわかる作品となっていました。

評価:★★★★★

冨田ラボ 過去の作品
Shipahead
Joyus
SUPERFINE
M-P-C “Mentality, Physicality, Computer"
7+

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