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2023年9月 8日 (金)

ホワイトノイズとキュートなメロがたまらないライブ盤

Title:Sunset 666 (live At Hollywood Palladium)
Musician:The Jesus and Mary Chain

80年代から90年代にかけて活躍し、90年代以降の多くのオルタナティブバンドに影響を与えたロックバンド、The Jesus and Mary Chain。1999年に解散したのですが、2007年に再結成。その後、アルバムを1枚リリースしています。その後の活動は、この手の再結成組にありがちな、気が付いた時に活動する、程度の散発的なものに留まっているようですが、そんな中、新たなライブアルバムがリリースされました。本作は2018年に行った全米ツアーのうち、ロサンゼルスのハリウッド・パラディアムで行ったもの。Nine Inch Nailsのライブのスペシャルゲストという扱いだったようですが、全6公演のうち12月11日と15日の公演から収録された公演から、全17曲が収録されています。

選曲についてはほぼベスト盤のようなセレクトになっており、衝撃なデビュー作として話題となった「Psychocandy」から、再結成後唯一のアルバム「Damage and Joy」からの曲まで収録されており、ジザメリの活動を網羅的に楽しめるアルバムともなっています。個人的にジザメリは大好きなバンドの一つなので、代表曲が多く収録されている今回のアルバムは、まさに個人的にも壺にはまった選曲になっていました。

ライブ盤は彼らの代表曲とも言える「Just Like Honey」からスタートするのですが、最初のいかにもジザメリらしい(そして80年代っぽい)ドラムのリズムが鳴り始め、そしてノイジーなしかし甘いギターの音色が流れだした時からワクワクするしかありません。まさに1曲目から彼らの楽曲の魅力にグッと引き寄せられます。

3曲目に収録されている「Black and Blues」ではベル・アンド・セバスチャンの元メンバー、イザベル・キャンベルがゲストボーカルとして参加。ギターノイズの中に清涼感を与えるような彼女のボーカルも魅力的。分厚いギターノイズの中に甘く流れるメロディーラインも魅力的な作品となっています。

その後も分厚いギターサウンドにメランコリックなメロディーラインが楽曲タイトル通り甘く響く「Some Candy Talking」に、Pixesのカバーでもおなじみの、軽快でメロディアスなギターポップ「Head On」、ヘヴィーなギターノイズをダイナミックに聴かせる「Cracking Up」に、ノイジーなギターサウンドをパンキッシュに聴かせる「I Hate Rock'N'Roll」と続いていきます。

さらに9分にも及ぶ「Reverence」ではグルーヴィーなサウンドをこれでもかというほど聴かせてきますし、終盤も「Half Way To Crazy」など、ジザメリらしいキュートなメロディーラインとノイジーなギターサウンドを組み合わせた曲が次々と繰り広げられていきます。全17曲1時間強。最後までキュートなメロディーラインと、そのメロをコーティングするようなギターのホワイトノイズが続く、ドリーミーなライブアルバムでした。

基本的には往年のジザメリのイメージそのままのライブアルバムなので、ファンにとってはたまらない内容になっているでしょう。ただ、今回のライブアルバムを聴いて感じたのは、ジザメリの大きな魅力というのは、やはりキュートなメロディーラインなんだな、ということでした。ホワイトノイズで埋め尽くされたギターサウンドは今でも大きな魅力なのは間違いありません。ただ、このホワイトノイズは、90年代以降、多くのフォロワーがあらわれて、今となっては決して珍しいものではありません。ただ一方、メロディーラインの魅力については40年近くを経過した今でも健在。今回のライブアルバムで、そのことをあらためて強く感じました。

しかし、このホワイトノイズとキュートなメロの嵐、ライブ会場で体感したら気持ちよかっただろうなぁ、と感じます。ライブ活動は断続的とはいえ続けているみたいなので、一度ライブも見てみたいなぁ。ジザメリファンにはたまらないライブアルバムでした。

評価:★★★★★

The Jesus and Mary Chain 過去の作品
Damage&Joy

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