ネブワースの地に、再び
Title:Knebworth 22
Musician:Liam Gallagher
ご存じ90年代に一世を風靡したロックバンド、oasisのフロントマンであり、ソロとなった現在でも絶大な人気を誇るボーカリスト、リアム・ギャラガー。その彼が2022年6月3日、4日に行った、イギリスはネブワース・ワークで行ったライブの模様を収録したライブアルバムが本作。計17万枚にもおよぶチケットが即日ソールドアウトとなり、その人気のほどを強く印象付けたライブとなりました。
ネブラースという場所は、oasisにとっては非常に意味のある場所となります。1996年にoasisは、ネブワースで25万人という驚異的な人数を動員してライブを実施。oasisの最も売れたアルバム「モーニング・グローリー」と、その次のアルバム「Be Here Now」の間の行われた、まさにoasis全盛期に行われたライブイベントは、今でも「伝説」として語り継がれています。その場所で、リアム・ギャラガーがソロとしてライブを行うということは、非常に意味のあることだったのでしょう。特にoasis解散後、決してリアムの活動も決して順調ではなく、その後に結成されたバンド、Beady Eyeは成功したとはいえず、ソロでの成功に至るまでは決して平坦な道のりではありませんでした。
そんな今回のネブワースでのライブでひとつ特徴的だったのは、このライブにも収録されている通り、「Rock'n'Roll Star」が歌われたことでしょう。oasisの代表的なナンバーである本作なのですが、1996年のoasisでのネブワースライブでは歌われませんでした。1996年のネブワースで、なぜあえてoasisがこの曲をセットリストに加えなかったのか、その理由はわかりません。ただ、この曲はoasisの1stアルバムの1曲目に収録されている曲。ある意味、まだデビュー間もないバンドが、「自分はロックンロールスターだ」と高らかに宣言した曲であり、人気絶頂の中で、あえて歌わないことでバンドとしての「余裕」をあらわしていたのかもしれません。
一方で、今回のネブワースライブでリアムが「Rock'n'Roll Star」を歌うということは、oasis解散後、紆余曲折を経ながらも、ソロとして再びネブワースの地に立てたことによる強い自信を反映させた選曲のようにも感じました。なによりも、やはり彼の、ふてぶてしさを感じつつも力強い歌声は魅力的。リアム・ギャラガーのボーカリストとしての魅力を、このライブアルバムでは存分に味わうことが出来ました。
ただ、リアム・ギャラガーがボーカリストとして文句なしのロックンロールスターだということを実感しつつも、やはりどうしてもライブの中で一番盛り上がっているのはoasis時代の曲という事実も気になってしまいました。実際、リアムのソロ曲も多く歌われていますし、それらの曲も魅力的なのは間違いないでしょう。しかしライブアルバムでも最後は「Cigarettes&Alcohol」以降、ラストの「Champagne Supernova」までoasisの曲が並んでおり、会場もかなりの盛り上がりを見せています。ソロライブでありながらも、oasisの曲を占める割合が多いのは、リアム自身、「元oasisのボーカリスト」であることを求められているのを自覚しているのでしょうし、また、そんな世間の期待を受け入れたからこそ、ソロでの成功があったようにも思います。
しかし、そうすると、やはりoasisのファンとしてはoasisの再結成、ということを期待してしまうのですが・・・。実際、リアムの言動を見ると、かなりお兄ちゃんを気にしている発言が多く、表面的な言葉とは裏腹に、本当はお兄ちゃんのことが大好きで仕方がないんだろうなぁ、とは思ってしまうのですが(笑)。
そんなことを考えつつも、もっとも純粋にリアムのライブアルバムということを考えると、oasisの曲もふんだんに披露されていますし、素直に楽しめるライブアルバムだったと思います。まあ、確かに、これだけ魅力的な曲が並べば、盛り上がるだろうなぁ、ということを強く感じます。お兄ちゃんのソロライブは一度見ているのですが、次はリアムのソロライブも見てみたいな、そう強く感じたライブアルバムでした。
評価:★★★★★
Liam Gallagher 過去の作品
AS YOU WERE
Why Me?Why not.
Acoustic Sessions
MTV Unplugged(Live At Hull City Hall)
Down by the River Thames
C'MON YOU KNOW
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