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2023年8月25日 (金)

20年目のスキマスイッチ

Title:POPMAN'S WORLD -Second-
Musician:スキマスイッチ

今年デビュー20周年を迎えたポップデゥオ、スキマスイッチ。本作は、そのアニバーサリーイヤーを記念してリリースされたベストアルバムとなります。もともと10年前の2013年にオールタイムベストとして「POPMAN'S WORLD〜All Time Best 2003-2013〜」をリリースしていますが、同作に続く形でのベスト盤。本作は3枚組のアルバムとなりますが、うち1枚は「BEST selection -2013~2023-」と題された、前作のベスト盤以降の曲を集めたベストアルバムに。一方、2枚目は大橋卓也セレクトによる「TKY selection」、3枚目は常田真太郎セレクトによる「SNT selection」となっており、2013年以前の曲についてはこの2枚でフォローされている形となります。

正直なところ、スキマスイッチの人気のピークというと、「ボクノート」や「ガラナ」がヒットした頃。ここ最近でももちろんそれなりのヒットは飛ばしていますし、「人気ミュージシャン」であることは間違いないのですが、率直なところ、一時期のピークと比べると人気は下降気味というイメージは否めません。彼らの代表曲としては、今となっても2枚目のシングル「奏」があげられますし、それを超える曲を出せているか、と言われると微妙な状況。実際、本作のDisc1でも「藍 ~僕たちの色彩~」「奏(かなで) re:produced by スキマスイッチ」「ボクノート ~for 20th Anniversary with Orchestra~」とリメイクが3曲も収録されており、初期の作品に頼っている状況になっている点は否めません。

とはいえ、それ以外の2013年以降の曲をこうやってベスト盤としてまとめて聴くと、楽曲の質という点では最近の曲も負けていないということを感じます。疾走感あって勢いも感じられるポップチューン「Ah Yeah!!」やスケール感あるポップス「LINE」、彼ららしい、ちょっと切なさを感じられるメロが魅力な「青春」など、最近のシングル曲も初期の作品と比べても、全く遜色ありませんし、ここ10年のベストセレクトを聴いても、あらためて変わらないスキマスイッチの魅力を感じさせてくれました。

また、このベスト盤で彼らの代表曲や、メンバーのセレクト曲を聴くと、スキマスイッチというミュージシャンはいい意味で起用なミュージシャンだな、ということを感じさせます。具体的には様々なミュージシャンの要素を上手く取り込んだような曲も多く、例えば「吠えろ!」はストリングスの使い方に、どこかイギリスのロックバンドoasisっぽさを感じますし、「ソングライアー」は巻き舌なボーカルにミスチル+サザン的な雰囲気を感じます。また「飲みに来ないか」のちょっとユーモラスな歌詞はKANちゃんぽさも感じます。

ジャンル的にもフォーク風の「東京」やダイナミックなロックチューン「ゲノム」、ファンキーな「アーセンの憂鬱」とバラエティー豊富。もっとも、様々なジャンルを取り入れつつ、一方で軸となるようなルーツのないような音楽性は、良くも悪くも実にJ-POP的とも言えるのですが、メロディーセンスの良さを感じさせるインパクトあるメロディーラインと合わせて、バラエティーの富んだ魅力的な楽曲を聴かせてくれます。

今回のベスト盤、特にメンバーそれぞれのセレクションには彼らの知られざる名曲も収録されており、そういう点でもスキマスイッチの魅力にあらためて気が付かさせてくれるベスト盤と言えるでしょう。前述の通り、特にここ最近は、以前ほどのヒットが見込めなくなったものの、それでも初期の作品と比べて彼らの楽曲の魅力はほとんど衰えていないということを、あらためて実感させられたベスト盤になっていました。3枚組というフルボリュームですが、ファンならずともチェックしておきたい魅力的なポップスアルバムでした。

評価:★★★★★

スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"

POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"
スキマスイッチ 10th Anniversary Arena Tour 2013“POPMAN'S WORLD"
スキマスイッチ 10th Anniversary“Symphonic Sound of SukimaSwitch"
スキマスイッチ
TOUR 2015 "SUKIMASWITCH" SPECIAL
POPMAN'S ANOTHER WORLD
スキマスイッチTOUR2016"POPMAN'S CARNIVAL"
re:Action
新空間アルゴリズム
スキマノハナタバ~Love Song Selection~
SUKIMASWITCH TOUR 2018"ALGOrhythm"
SUKIMASWITCH 15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA ~Reversible~
スキマスイッチ TOUR 2019-2020 POPMAN'S CARNIVAL vol.2
スキマノハナタバ ~Smile Song Selection〜
スキマスイッチ TOUR 2020-2021 Smoothie
Hot Milk
Bitter Coffee
スキマスイッチ TOUR 2022 "cafe au lait"


ほかに聴いたアルバム

BELL/TOMOVSKY

約1年半ぶりとなるTOMOVSKYのニューアルバム。前作「WE GO」はコロナ禍を直接的に反映された作品で、コロナ禍という非日常をトモフの独特の視点で描いたスタイルがピッタリとマッチした傑作に仕上がっていました。対して今回のアルバムに関してはコロナ禍の反映はなし。そのためかどうかはわかりませんが、「こんなユニークな視点があるんだ!」と感心するような、インパクトあるユニークな歌詞は今回のアルバムでは残念ながらほとんど出会えず、結果として悪いアルバムではないのですが、トモフのアルバムとしてはちょっと今一つなアルバムになっていました。ちょっと残念。次回作に期待といった感じです。

評価:★★★★

TOMOVSKY 過去の作品
幻想
秒針
いい星じゃんか!
終わらない映画
BEST3
SHAAA!!!
FUJIMI
SHINJUKU TIME 2018-1
SHINJUKU TIME 2018-2
LIFE RECORDER
WE GO

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