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2023年8月

2023年8月31日 (木)

ヒプノシスマイク勢が並ぶ

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のチャートには上位にヒプノシスマイクのアルバムが並びました。

ただし、1位はK-POP勢。男性アイドルグループSEVENTEEN「SEVENTEEN JAPAN BEST ALBUM『ALWAYS YOURS』」。タイトル通り、日本盤のベストアルバム。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上51万1千枚で1位初登場。直近作はミニアルバム「FML」で、同作の初動55万1千枚(1位)よりダウンしています。

そして2位3位には声優によるラッププロジェクト、ヒプノシスマイクから、ヒプノシスマイク-Divison Rap Battle-「The Block Party -HOMIEs-」「The Block Party -HOODs-」がそれぞれランクイン。いずれも7曲入りのCDにドラマCDを加えた2枚組のEP盤。「HOMIEs」がCD販売数2位、ダウンロード数4位、「HOODs」がCD販売数3位、ダウンロード数5位。オリコンでは「HOMIEs」が初動売上19,551枚で2位、「HOODs」が19,412枚で3位と、わずか143枚の差で順位をわけました。

続いて4位以下の初登場盤ですが、まず5位に岡野昭仁「Walkin' with a song」がランクイン。CD販売数5位、ダウンロード数6位。ポルノグラフィティのボーカリストによるソロデビュー作。ヨルシカのn-bunaやEveといったボカロPが参加するなど、若手とのコラボも目立つ作品に。オリコンでは初動売上1万3千枚で4位初登場。

8位には、Kinki Kidsの堂本剛によるソロプロジェクト.ENDRECHERI.の配信限定アルバム「Super funk market」がランクイン。ダウンロード数で1位を獲得し、総合順位でもベスト10入りとなりました。

さらに今週は初登場組も2組。いずれも日本人女性によるK-POPアイドルグループ。まずTWICEの日本人メンバーによるユニット、MISAMOのデビューミニアルバム「Masterpiece」が先週の16位から6位にアップ。2週ぶりにベスト10返り咲きとなりました。また、NiziU「COCONUT」も先週の23位から9位にランクアップ。こちらも2週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。

最後にロングヒット盤。Mrs.GREEN APPLE「ANTENNA」が今週10位にランクイン。8週目のベスト10ヒットとなっています。Hot100ではベスト10から姿を消してしまったものの、ベスト20では「青と夏」「Magic」「ケセラセラ」の3曲がランクインしている彼ら。バンドの人気はまだまだ続きそうです。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2023年8月30日 (水)

LDH系の新人グループが並ぶ

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は上位にLDH初の新人グループ3組が並びました。

Yoasobiidle

とはいえ、今週も1位はYOASOBI「アイドル」。これで20週連続の1位獲得に。ストリーミング数、YouTube再生回数及びカラオケ歌唱回数は今週も1位獲得。ただダウンロード数は2位から3位と若干のダウンとなっています。

2位には女性アイドルグループ乃木坂46「おひとりさま天国」がCDリリースに合わせて先週の39位からランクアップし、初のベスト10入り。CD販売数は1位を獲得したものの、ダウンロード20位、ストリーミング数74位、ラジオオンエア数26位、YouTube再生回数35位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上56万6千枚で1位初登場。前作「人は夢を二度見る」の初動51万7千枚(1位)からアップしています。

そしてタイトルに記載したLDH系の新人グループが3位から5位に並んでいます。3位はWOLF HOWL HARMONY「Sweet Rain」、4位はTHE JET BOY BANGERZ「Jettin'」、5位はKID PHENOMENON「Wheelie」。どちらもLDH史上最大規模のオーディション「iCON Z」から登場したグループ。「Sweet Rain」はCD販売数5位、ダウンロード数32位、ストリーミング数84位、ラジオオンエア数1位、「Jettin'」はCD販売数3位、ダウンロード数83位、ラジオオンエア数4位、「Wheelie」はCD販売数4位、ダウンロード数77位、ラジオオンエア数3位。なにげにラジオオンエア数が勝敗をわける結果となっています。オリコンでは「Jettin'」が初動8万6千枚で3位、「Wheelie」が初動8万4千枚で4位、「Sweet Rain」が初動7万1千枚で5位という結果に。

続いてその他の初登場曲ですが、まずは6位に韓国の女性アイドルグループLE SSERAFIM「UNFORGIVEN」がランクイン。CD販売数2位ながらも他にダウンロード数が49位にランクインし、他のチャートは圏外だったため、総合順位はこの位置に。ちなみに本作、かのナイル・ロジャースがフューチャーされているほか、日本語版ではなんとAdoがボーカルで参加しています。あまりAdoのファン層とK-POPのファン層は重ならないような気もするのですが。オリコンでは初動売上14万8千枚で2位初登場。前作「FEARLESS」の22万2千枚(1位)からはダウンしています。

8位には男性アイドルグループIMP.「CRUSIN'」が初登場。ジャニーズ事務所を退社した滝沢秀明が設立した芸能事務所「TOBE」所属のアイドルグループで、もともとジャニーズ事務所でIMPACTorsとして活動していたグループのメンバーが全員ジャニーズ事務所を脱退。その後、TOBEへ移籍し、今回、この配信シングルでのデビューとなりました。ダウンロード数1位、ラジオオンエア数2位、YouTube再生回数5位。ジャニー喜多川の性加害問題が取りざたされる今、ジャニーズ脱退組は心情的に応援したくなるような反面、滝沢秀明といえば、ジャニー喜多川の後継者と言われ、もっとも親しい存在であり、かつ性加害の事実も知っていたのではないか、とジャニーズ事務所の元役員としてその責任を追及する声もある中でのデビューなだけに、どこかモヤモヤした気分は否めません。

今週の初登場組は以上。一方、ロングヒット組ですが、今週、キタニタツヤ「青のすみか」がついに8週目のベスト10ヒットを記録。ただ、上記LDHの新人グループにおされる形に、先週の2位から一気に7位にダウンしてしまいました。ただ、ダウンロード数は4位から5位にダウンしたものの、ストリーミング数2位、YouTube再生回数6位は先週から変わらず。来週以降の再度のランクアップも期待されます。

また、Vaundy「怪獣の花唄」も先週の6位から10位に一気にダウンしています。ただこちらもカラオケ歌唱回数2位は先週から変わらないものの、ストリーミング数は5位から4位にアップしています。これでベスト10ヒットは連続35週となります。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2023年8月29日 (火)

ジャンルレスな音楽性が魅力的

Title:The Age of Pleasure
Musician:Janelle Monae

デビュー作「The ArchAndroid」でいきなり高い評価を獲得。その後、アルバムをリリースする毎に、各種メディアの年間ベストに食い込むなど、高い評価を受けているアメリカのシンガー、ジャネール・モネイの約5年ぶり4枚目となるニューアルバム。R&Bをベースに、毎回バラエティー豊かな、ジャンルレスな音楽性が魅力的なミュージシャンですが、今回もまた、ジャンルレスな幅広い作風が特徴的なアルバムをリリースしてきました。

1曲目「Float」ではホーンセッションを入れつつ、トラップ的な要素も入れたHIP HOP風のチューン。軽快でリズミカルな「Phenomenal」「Haute」と続きます。続く「Oooh La La」では80年代にスーパーモデルや歌手として一世を風靡したグレイス・ジョーンズが参加。御年75歳の彼女は短いトークのみでの参加となっていますが、それでも存在感をしっかりと発揮しています。

その後も「Water Slide」ではレゲエの要素を取り入れてきたり、Seun Kuti&Egypt80の参加した「Know Better」ではホーンセッションをバックにトライバルなリズムとサウンドが印象に残ります。さらに「Only Have Eyes42」ではラテンのリズムを取り入れた、横ノリのメロウなサウンドを展開し、バラエティーに富んだサウンドを楽しませてくれます。

そんな訳で今回のアルバムもバラエティー豊富な、ジャンルレスな音楽性を楽しませてくれた本作。アルバム全体として32分という短さとなっており、そこに14曲が収録されるというテンポの良い展開に。楽曲の間のブランクもほぼなく、メドレー的にアルバム全体がつながっている内容となっており、アルバム全体を一体として楽しませれくれる構成も魅力的。ストリーミングサービスの普及で、アルバム全体として聴かせる機会が少なくなったからこその、ミュージシャンからの主張もあるのでしょうか。

ただ音楽の幅としては80年代ポップ的を軸としつつ幅広いポップチューンを聴かせてくれた前作と比べると、R&BやHIP HOPを主軸に据えた作品に仕上がっており、方向性については若干シフトした印象も受けます。特に前作や前々作は、ポップな作風でワクワクできるようなアルバムだったのに対して、今回のアルバムはそういうポップなワクワク感はなく、リズミカルな作品はダンサナブルで楽しめるものの、メロウなボーカルを聴かせるようなタイプの曲が並んでいたような印象も受けました。

そういう意味ではこのアルバムもこのアルバムで楽しめる傑作に仕上がっていたと思うのですが、ワクワクポップス感の強かった前作をイメージすると、ちょっと物足りなさも残ってしまったかな・・・という印象も受けるアルバムになっていたと思います。とはいえ、これはこれで新しい彼女の方向性と言われると十分な傑作アルバムであることは間違いありません。ジャネール・モネイの新たな魅力を感じせる作品でした。

評価:★★★★★

Janelle Monae 過去の作品
The Electric Lady
Dirty Computer


ほかに聴いたアルバム

Evenings At The Village Gate:John Coltrane with Eric Dolphy(邦題:ヴィレッジ・ゲイトの夜)/John Coltrane

モダンジャズの代表的なサックス奏者、ジョン・コルトレーンが1961年8月にニューヨークのジャズ・クラブ「ヴィレッジ・ゲイト」で行ったライブ音源。最近、ニューヨークの公共図書館で発見された、完全未発表な音源ということで大きな話題となっています。マルチ・リード奏者のエリック・ドルフィーを迎えての演奏で、ジョン・コルトレーンのフリーキーなサックスに、エリック・ドルフィーの爽やかでメロディアスなフルートやクラリネットの音色が絡むスタイルが非常に独特。音のバランスが若干悪い感じもするものの、十分、コルトレーンの魅力を感じさせるライブ音源に仕上がっていました。

評価:★★★★★

John Coltrane 過去の作品
The Final Tour: The Bootleg Series, Vol. 6(Miles Davis&John Coltrane)
Both Directions At Once:The Lost Album(ザ・ロスト・アルバム)
Blue World

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2023年8月28日 (月)

反戦歌から時代を考える

Title:URC銘曲集-1 戦争と平和

今回のコメントは純粋に楽曲のレビューというよりも社会的なコメントが多めです。苦手な方はスルーしていただければと思います。

日本初のインディーレーベルとして知られ、70年代のフォークソングシーンの中心的な存在として知られるURCレコード。「URC名盤復刻シリーズ」として6月より、復刻CDのリリースがスタートしています。URCのアルバムについては、以前からもたびたび復刻していたので、アルバム自体、入手困難という状況ではないのですが、2023年に発売権がソニーミュージックに移ったそうで、それを機に、ソニーミュージックからの復刻盤がリリースとなったそうです。

その復刻シリーズの中で、URCを知らない世代に向けての入門版コンピレーションもリリース。その第1弾となるのが、タイトル通り、戦争と平和をテーマとしたコンピレーションアルバムで、TBS「報道特集」の特任キャスターとしても知られる金平茂紀氏による監修となっています。

選曲については、URCの反戦歌としてよく知られている曲が並ぶ、ある意味、スタンダードなもの。岡林信康の「私たちが望むものは」からスタートし、中川五郎「腰まで泥まみれ」、高田渡「自衛隊に入ろう」、加川良「教訓Ⅰ」など、反戦歌について語られる時、必ず取り上げられそうな曲が並んでいます。ただ後半は、赤い鳥「竹田の子守唄」やザ・ディランⅡ「プカプカ」にように、ストレートな反戦歌からはちょっと外れたような選曲も目立つのですが。ちなみにこの手の反戦歌としてよく取り上げられる、五つの赤い風船の「血まみれの鳩」はなぜか選曲からは外されています。

さて、今回のコンピレーションを聴いてふと感じたのですが、この時代、私たちが思っている以上に「戦争」というものが身近だったのではないか、ということでした。

そもそもURCレコードが設立された1969年は第二次世界大戦が終戦した1945年から、まだ24年しか経っていません。「大人」世代の多くは戦争を経験しています。いまから24年前というと、1999年。音楽で言えば宇多田ヒカルの「First Love」が大ヒットを記録した年。それなりにちょっと前と感じるかもしれませんが、ある世代以上にとっては、「つい最近」と感じる方も少なくないのではないでしょうか。戦後70年以上が経過し、戦争経験者が身の回りからほとんどいなくなってしまった今と比べると、戦争に対する距離感も、かなり異なるのではないでしょうか。

それと同時に、戦争に巻き込まれるのではないか、という危機感も、今以上に強かったように感じます。当時は米ソ冷戦の真っただ中。わずか7年前に核戦争まで一歩手前だったキューバ危機も発生しています。日本もアメリカの同盟国として核戦争に巻き込まれるという危機感は強かったと思いますし、それは日本国だけではどうにもならないという点からもより、恐怖感を強く覚えていたのではないでしょうか。

考えれば今、確かに中国や北朝鮮の脅威を、特に右側陣営から散々に吹聴されていますが、その吹聴する本人たちも含めて、どこか「他人事」のように感じているのではないでしょうか。実際、中国や北朝鮮に対しては、どこか自衛隊が対応してくれるだろう、という他人事的な感覚は否めません。

そう考えると、やはり戦争という存在が身近で、かつ巻き込まれるかもしれないという恐怖感があったからこそ、今となっては少々お花畑的に感じるような反戦歌が歌われたのではないか、という印象も受けます。生意気だった学生の頃には、このころの曲と比較して「最近のヒット曲は社会派な曲が少なく、軟弱だ」なんて思ったこともあったのですが、今となって考えると、戦争という存在が遠くなったからこそ、反戦歌のような曲が少なくなったのでしょうし、それはそれで、実は幸せなことではないか、ということも感じたりします。

実際、日本人の私たちから取ってみれば、身近ではなくなったのかもしれませんが、ウクライナ情勢が典型例として、世界では今でも戦争が絶えません。今回のコンピレーションの大きな特徴として、高田渡の「自衛隊に入ろう」では、収録内容によってはよく「ピー」音で処理されている「悪い中国やソ連をやっつけましょう」という一文が、ソ連がロシアになったとはいえ、今でもそのまま使えてしまう点も、非常に残念に感じます。

お決まりな反戦歌なだけに、今から聴くと、少々お説教的に感じる方も少なくないかもしれません。一方、ストレートに反戦を訴えるよりも、コミカルにまとめている曲も多く、その点は当時からも、お説教的になるのを回避していたのかもしれません。ただ、ライブ音源などで収録されている笑いのポイントが、今となってはかなり謎な部分も多いのですが・・・。メッセージに共感しつつも、今一方、そんな反戦歌が歌われた時代の背景に思いが至った、そんなコンピレーションアルバムでした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Midnight Chocolate/SHERBETS

SHERBETSとしての結成25周年を記念した、約1年ぶりのオリジナルアルバム。メランコリックな、これぞベンジーといった作風は魅力的。少々大いなるマンネリ気味なのは否定できないのですが、一時期の乱発ぶりから考えると、作風としては落ち着いてきた感じがあります。ただ、そろそろガツンとギターサウンドを聴かせてくれるような作品も聴いてみたいなぁ・・・とは思わなくもないのですが・・・。

評価:★★★★

SHERBETS 過去の作品
MIRACLE
GOD
MAD DISCO
FREE
STRIPE PANTHER
きれいな血
CRASHED SEDAN DRIVE
The Very Best of SHERBETS「8色目の虹」
Same

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2023年8月27日 (日)

久々の新譜はAphex Twinの新たな一歩か?

Title:Blackbox Life Recorder 21f / In A Room7 F760
Musician:Aphex Twin

実に約6年ぶりとなるAphex Twinの新作は4曲入りのミニアルバム。久々の新作がわずか4曲14分程度のEPか・・・と思わなくもないのですが、ただそんなネガティブな感情を吹き飛ばすだけにふさわしい、充実した作品4曲が収録された作品に仕上がっていました。

まずこの4曲のEP盤を聴いた感想だと、Aphex Twinの作品に対してこのような表現をするのがふさわしいかどうか微妙なのですが、非常にポップで聴きやすい作品ということを感じました。Aphex Twinといえば、ドリルンベースと言われる強烈で変態性のあるビートが特徴的。かなり独特のサウンドな一方、複雑なビートは聴く人を選ぶ部分はありました。

それと比べると今回のEPに収録された4曲は四つ打ち・・・ではないもののテンポのよいビートで構成されている曲となっており、ドリルンビートの変態性あるリズムはあまり感じられません。一方で6年前にリリースされた前作「Collapse EP」も、ドリルンベース的なリズムがありつつ、メロディアスな方向性を感じた作品でしたが、今回の作品も同様に、どこかメロディアスな部分を感じさせます。そういった意味では、前作の延長戦上にある作品、と言えるのかもしれません。

まず1曲目のタイトルチューン「Blackbox Life Recorder 21f」は、まさにテンポよいエッジの効いたリズムが軽快に展開しつつ、全体的にメランコリックさを感じるメロディーを感じさせるインストチューン。コーラスのようなサンプリングが不気味さを醸し出しつつ、楽曲全体のメロディーラインを支えています。続く「zin2 test5」もリズムトラックに疾走感があり、こちらもポップな心地よさを感じるナンバー。軽快なリズムはファンク的な要素も感じさせる一方、バックに流れるシンセのサウンドがこちらも不気味さを感じさせ、独特の雰囲気を醸し出しています。

3曲目も同じタイトルチューンの「in a room7 F760」。こちらも疾走感ある軽快なビートが特徴的。カウベルをはじめ、全体的に軽快なビートが展開しつつ、こちらもエレクトロサウンドが不気味さを醸しつつ、メランコリックなメロディーを奏でています。そしてラストを飾るのが「Blackbox Life Recorder 22[Parallax Mix]」。軽快なビートが流れつつ、全体的にヘヴィーでダークなサウンドが楽曲を包み込むような楽曲に。こちらもしっかり流れるメランコリックなメロディーラインが魅力的になっています。

本作の宣伝文の売り文句にもなっているようですが、エッジの効いたサウンドは間違いなくAphex Twinのそれで、それだけ個性を感じさせます。そういう意味でサウンド的に目新しさを感じさせるものではない一方、テンポのよいビートにポップさを感じるメロディーラインを重ねたサウンドは、どこかいままでのAphex Twinとは異なる新しさも感じさせる作品になっていたと思います。6年前の前作もそうですが、ここ最近の作品は、以前のドリルンビートの路線に、ポップスさを加えようとして若干のチグハグさを感じていたのですが、今回の作品はAphex Twinらしさといい意味での聴きやすさがピッタリとはまった作品になっていたように感じました。冒頭にも書いた通り、わずか4曲ながらも充実した傑作になっていた本作。あらためてAphex Twinの実力に舌を巻いた作品でした。

評価:★★★★★

Aphex Twin 過去の作品
Syro
Computer Controlled Acoustic Instruments pt2 EP
orphaned deejay selek 2006-2008(AFX)
Cheetah EP
Collapse EP


ほかに聴いたアルバム

Speak Now(Taylor's Version)/Taylor Swift

テイラー・スウィフトが過去の作品を再録音して再発売する「Taylor's Version」シリーズの第3弾。2ndアルバム「Fearless」、4thアルバム「Red」と続き、今回は3rdアルバム「Speak Now」の再発となりました。当初はカントリーシンガーとしてデビューした彼女は、2014年の5枚目「1989」からカントリーに留まらず、ポップシンガーへの脱却を図るのですが、3枚目のこのアルバムは、カントリーな作品がメインながらも、その萌芽となるようなロック色が強い作品も収録されており、テイラーの可能性を垣間見れる作品になっています。そんな訳で、2枚目から4枚目が再録音され、「1989」からは比較的、最近のテイラーへの路線に近づくだけに、次は戻ってセルフタイトルのデビューアルバムの再録音となるのでしょうか?それともこの「Taylor's Verion」は5枚目以降のアルバムにも続くのでしょうか。次の一手も楽しみです。

評価:★★★★

TAYLOR SWIFT 過去の作品
FEARLESS
RED
1989
REPUTATION
Lover
folklore
evermore
Fearless (Taylor's Version)
RED(Taylor's Version)
Midnights

The Greater Wings/Julie Byrne

アメリカのシンガーソングライターによる3枚目のアルバム。アコースティックギターをベースに、ストリングスやピアノを入れてしんみり聴かせるフォーキーな作風が特徴的なのですが、「Summer Glass」のようにエレクトロサウンドを取り入れた曲があったり、「Hope's Return」のようなサイケなサウンドでダイナミックに聴かせる曲があったりと、バラエティーもあり、時折垣間見せる幻想的な作風も魅力的。アメリカよりもイギリスでのヒットが先行しているようですが、日本でも受け入れられそうな、幅広い層にお勧めできる1枚です。

評価:★★★★★

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2023年8月26日 (土)

再結成後の曲も多く収録したオールタイムベスト

Title:一瞬!
Musician:筋肉少女帯

メジャーデビュー35周年を記念してリリースされた筋肉少女帯のベストアルバム。比較的、ベスト盤を乱発している印象もある彼らですが、2016年にリリースした直近のベスト盤は再結成後の曲を集めたアルバムですし、2013年にリリースしたものはセルフカバー集ですし、純粋なオールタイムベストとしてはちょっと意外なことに、再結成後にリリースされた2007年のベストアルバム「大公式」以来となります。

80年代や90年代に活躍したバンドが再結成しても、ほとんどライブ中心の活動、もしくは散発的に時折、気が付いたかのように活動するバンドが多い中、筋少は再結成後もコンスタントに活動を続け、1、2年に1枚のペースでオリジナルアルバムのリリースも続けています。いままでリリースしている21枚のオリジナルアルバムのうち、9枚が再結成後の作品。ともすれば「周年記念」のベスト盤がリリースされる間に、オリジナルアルバムが1枚2枚程度しかリリースされていない、というケースも少なくない中、比較的、オールタイムベストのリリーススパンとしては妥当な感じがします。

ちなみに今回のベストアルバムに関しても、全32曲中、新曲が1曲のほか、13曲までが再結成後の曲となっており、活動全期間を通じて、概ね平均的に収録された選曲となっています。そこで気が付くのが、こうやって再結成後の比較的最近の作品を昔の作品と並べて聴いてみても、全く違和感がないという点。実際、再結成後のアルバムも傑作アルバムを多くリリースしていますし、デビューから35年を経過してもなお、楽曲のクオリティーを保ち続けるというのは驚きでもあります。

おそらく、これだけ楽曲のクオリティーを保ち続けているというのは、サウンド的にはハードロック系のサウンドで、様式化している部分がありつつ、一方で大槻ケンヂの書く歌詞が、独特の世界を確立しているため、一定程度以上のクオリティーのある曲をリリースし続けられるという点が大きいのでしょう。ちなみに今回、新曲として収録されている「50を過ぎたらバンドはアイドル」も、50歳を過ぎた自分たちの年齢と、同じ年の「普通の社会人の大人」とをシビアに比較して、バンドとしての現状をコミカルでシニカルに描いている、実に大槻ケンヂらしい世界観が繰り広げられています。

今回のベストアルバムは2枚組となっており、Disc1、2で明確な違いはないようで、また発売順ともなっていません。ただ、あえて言えばDisc1はハードロックやメタルで、そのバンドサウンドを聴かせるような曲が多く、Disc2は比較的メロディアスな曲調で、大槻ケンヂの歌詞の世界を前に押し出した作風の曲が多かったように感じました。筋少の魅力の2つの側面を、2枚のアルバムに分けた感じでしょうか。より筋肉少女帯の魅力を、より様々な側面から感じられるようなベスト盤になっていたように感じました。

2枚組というボリュームながらも、これでもかといほどのインパクトある作品も多く、あっという間に聴けてしまうベスト盤で、間違いなく、今の段階での筋少入門としては最適な作品と言えるでしょう。なにげに最近でもアルバムをリリースすればベスト20あたりにランクインしてくるなど、一定以上の人気を保ち続けている彼ら。いまからでもチェックしてほしいベスト盤です。

評価:★★★★★

筋肉少女帯 過去の作品
新人
大公式2
シーズン2
蔦からまるQの惑星
公式セルフカバー4半世紀
THE SHOW MUST GO ON
おまけのいちにち(闘いの日々)
再結成10周年パーフェストベスト+2
Future!
ザ・シサ
LOVE
君だけが憶えている映画


ほかに聴いたアルバム

LAST PARADISE/MONGOL800

Mongol_last

バンド結成25周年を迎えたMONGOL800が、実に7年ぶりにリリースしたニューアルバム。レゲエやスカ、カントリーの要素も入ったポップアルバムで、一方パンク的な要素は薄め。全体的にはポップな様相の強いアルバムになっており、郷愁感たっぷりのメロも魅力的な反面、「想うた 〜親を想う〜」のような、あまりにもベタな「親孝行ソング」は優等生的過ぎて面白さは感じませんし、全体的にはそんな漂白された、二昔くらい前の青春パンク路線を続けているのは、マイナス要素でした。

評価:★★★★

MONGOL800 過去の作品
愛彌々(MONGOL800×WANIMA)

オールタイムベスト/杉山清貴

杉山清貴&オメガトライブとしてデビュー。その後、ソロに移行後も80年代にはヒット曲を連発し、文字通り一世を風靡したシンガーソングライターによるオメガトライブ時代の曲を含むオールタイムベスト。「ふたりの夏物語 NEVER ENDING SUMMER」「最後のHoly Night」などのおなじみのヒット曲も多く、今で言うシティポップの先駆け的な評価もされているのですが、80年代から90年代にかけての曲を集めたDisc1は、後半になればなるほど、良くありがちな「歌謡曲」的な曲が増えてきてしまい、あまり面白さを感じませんでした。むしろ耳を惹いたのは、彼の人気がひと段落した後の曲を集めたDisc2の方で、彼の音楽的なルーツであるR&Bなどの要素をより強く感じさせる曲が並び、昔のようなインパクトには欠けるものの、曲としてはむしろ杉山清貴の良さが出ていたようにすら感じました。3枚組フルボリュームで、ちょっと時代を感じさせる部分もあるため若い世代にストレートにお勧めできる感じでもないのですが、杉山清貴という名前に懐かしさを感じた方はチェックしても損はないかも。

評価:★★★★

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2023年8月25日 (金)

20年目のスキマスイッチ

Title:POPMAN'S WORLD -Second-
Musician:スキマスイッチ

今年デビュー20周年を迎えたポップデゥオ、スキマスイッチ。本作は、そのアニバーサリーイヤーを記念してリリースされたベストアルバムとなります。もともと10年前の2013年にオールタイムベストとして「POPMAN'S WORLD〜All Time Best 2003-2013〜」をリリースしていますが、同作に続く形でのベスト盤。本作は3枚組のアルバムとなりますが、うち1枚は「BEST selection -2013~2023-」と題された、前作のベスト盤以降の曲を集めたベストアルバムに。一方、2枚目は大橋卓也セレクトによる「TKY selection」、3枚目は常田真太郎セレクトによる「SNT selection」となっており、2013年以前の曲についてはこの2枚でフォローされている形となります。

正直なところ、スキマスイッチの人気のピークというと、「ボクノート」や「ガラナ」がヒットした頃。ここ最近でももちろんそれなりのヒットは飛ばしていますし、「人気ミュージシャン」であることは間違いないのですが、率直なところ、一時期のピークと比べると人気は下降気味というイメージは否めません。彼らの代表曲としては、今となっても2枚目のシングル「奏」があげられますし、それを超える曲を出せているか、と言われると微妙な状況。実際、本作のDisc1でも「藍 ~僕たちの色彩~」「奏(かなで) re:produced by スキマスイッチ」「ボクノート ~for 20th Anniversary with Orchestra~」とリメイクが3曲も収録されており、初期の作品に頼っている状況になっている点は否めません。

とはいえ、それ以外の2013年以降の曲をこうやってベスト盤としてまとめて聴くと、楽曲の質という点では最近の曲も負けていないということを感じます。疾走感あって勢いも感じられるポップチューン「Ah Yeah!!」やスケール感あるポップス「LINE」、彼ららしい、ちょっと切なさを感じられるメロが魅力な「青春」など、最近のシングル曲も初期の作品と比べても、全く遜色ありませんし、ここ10年のベストセレクトを聴いても、あらためて変わらないスキマスイッチの魅力を感じさせてくれました。

また、このベスト盤で彼らの代表曲や、メンバーのセレクト曲を聴くと、スキマスイッチというミュージシャンはいい意味で起用なミュージシャンだな、ということを感じさせます。具体的には様々なミュージシャンの要素を上手く取り込んだような曲も多く、例えば「吠えろ!」はストリングスの使い方に、どこかイギリスのロックバンドoasisっぽさを感じますし、「ソングライアー」は巻き舌なボーカルにミスチル+サザン的な雰囲気を感じます。また「飲みに来ないか」のちょっとユーモラスな歌詞はKANちゃんぽさも感じます。

ジャンル的にもフォーク風の「東京」やダイナミックなロックチューン「ゲノム」、ファンキーな「アーセンの憂鬱」とバラエティー豊富。もっとも、様々なジャンルを取り入れつつ、一方で軸となるようなルーツのないような音楽性は、良くも悪くも実にJ-POP的とも言えるのですが、メロディーセンスの良さを感じさせるインパクトあるメロディーラインと合わせて、バラエティーの富んだ魅力的な楽曲を聴かせてくれます。

今回のベスト盤、特にメンバーそれぞれのセレクションには彼らの知られざる名曲も収録されており、そういう点でもスキマスイッチの魅力にあらためて気が付かさせてくれるベスト盤と言えるでしょう。前述の通り、特にここ最近は、以前ほどのヒットが見込めなくなったものの、それでも初期の作品と比べて彼らの楽曲の魅力はほとんど衰えていないということを、あらためて実感させられたベスト盤になっていました。3枚組というフルボリュームですが、ファンならずともチェックしておきたい魅力的なポップスアルバムでした。

評価:★★★★★

スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"

POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"
スキマスイッチ 10th Anniversary Arena Tour 2013“POPMAN'S WORLD"
スキマスイッチ 10th Anniversary“Symphonic Sound of SukimaSwitch"
スキマスイッチ
TOUR 2015 "SUKIMASWITCH" SPECIAL
POPMAN'S ANOTHER WORLD
スキマスイッチTOUR2016"POPMAN'S CARNIVAL"
re:Action
新空間アルゴリズム
スキマノハナタバ~Love Song Selection~
SUKIMASWITCH TOUR 2018"ALGOrhythm"
SUKIMASWITCH 15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA ~Reversible~
スキマスイッチ TOUR 2019-2020 POPMAN'S CARNIVAL vol.2
スキマノハナタバ ~Smile Song Selection〜
スキマスイッチ TOUR 2020-2021 Smoothie
Hot Milk
Bitter Coffee
スキマスイッチ TOUR 2022 "cafe au lait"


ほかに聴いたアルバム

BELL/TOMOVSKY

約1年半ぶりとなるTOMOVSKYのニューアルバム。前作「WE GO」はコロナ禍を直接的に反映された作品で、コロナ禍という非日常をトモフの独特の視点で描いたスタイルがピッタリとマッチした傑作に仕上がっていました。対して今回のアルバムに関してはコロナ禍の反映はなし。そのためかどうかはわかりませんが、「こんなユニークな視点があるんだ!」と感心するような、インパクトあるユニークな歌詞は今回のアルバムでは残念ながらほとんど出会えず、結果として悪いアルバムではないのですが、トモフのアルバムとしてはちょっと今一つなアルバムになっていました。ちょっと残念。次回作に期待といった感じです。

評価:★★★★

TOMOVSKY 過去の作品
幻想
秒針
いい星じゃんか!
終わらない映画
BEST3
SHAAA!!!
FUJIMI
SHINJUKU TIME 2018-1
SHINJUKU TIME 2018-2
LIFE RECORDER
WE GO

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2023年8月24日 (木)

ジャニーズ系とK-POP勢が並ぶチャート

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週もジャニーズ系とK-POP勢が上位に並ぶチャートとなっています。

そんな中、1位に初登場したのは、メンバーの脱退が相次ぎ、2人組となったジャニーズ系アイドルグループKing&Prince「ピース」。CD販売数で1位にランクインし、総合順位も1位に。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上34万1千枚で1位初登場。直近作はベストアルバム「Mr.5」で、同作の初動120万4千枚からは大きくダウン。また、オリジナルアルバムとしての前作「Made in」の初動48万6千枚からはダウンしており、メンバー脱退の影響はそれなりにあった模様です。

2位初登場はJ-HOPE「Jack In The Box」。昔あった携帯電話メーカーみたいな名前ですが、韓国のアイドルグループBTSのメンバーによるソロアルバム。もともと、昨年7月に配信限定でリリースされたものが、このたび「HOPE Edition」としてCDでもリリース。CD販売数2位、ダウンロード数5位で総合順位もベスト3入り。昨年の配信リリース時は最高位11位でしたので、初のベスト10入りとなりました。オリコンでは初動売上2万2千枚で2位初登場。本作がデビュー作となります。

3位は先週2位だった韓国の男性アイドルグループNCT DREAM「ISTJ」がワンランクダウンながらもベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場盤ですが、まず今、注目のグループがランクイン。それが5位初登場新しい学校のリーダーズ「マ人間」。Yahoo!のトップニュースにも取り上げられ、最近、急速に注目が高まっている女性4人組パフォーマンスグループの5曲入りEP盤。CD販売数7位、ダウンロード数1位。オリコンでは初動売上7千枚で7位初登場。CDリリースされたぜんさく「若気ガイタル」はベスト50にランクインしませんでしたので、一気に売上を伸ばしたことになります。

6位にはCHEN「ポラリス」が初登場。韓国の男性アイドルグループEXOのメンバーによる、日本盤としては1枚目となるミニアルバム。オリコンでは初動売上7千枚で6位初登場。韓国盤の前作「Last Scene」は発売日の都合上、2週目にして2千枚を売り上げて22位にランクインしていますので、前作の売上よりは上回っています。

8位にはMori Calliope「JIGOKU 6」が初登場でランクイン。森カリオペ名義で活動しているバーチャルYouTuber。オリコンでは初動売上3千枚で16位初登場。前作「SHINIGAMI NOTE」の初動7千枚(9位)からはダウンしています。

さて、残り初登場盤は2枚ですが、今週は珍しく洋楽がベスト10圏内に並んでいます。まず9位にはアメリカのシンガーソングライター、Taylor Swift「Speak Now(Taylor's Version)」がランクイン。本作はもともと2010年にリリースされた彼女の3枚目のアルバムで、「Taylor's Version」としてリリースされるリメイク版の第3弾となります。CD販売数8位。もともと7月に配信でリリースされていましたが、このたび、CDがリリース。配信オンリーの時は最高位28位に留まっていたのですが、CDリリースにより、初のベスト10入りとなりました。オリコンでは初動売上3千枚で11位初登場。直近作はオリジナルアルバム「Midnights」で同作の初動8千枚(7位)からはダウン。「Taylor's Version」の前作「Red(Taylor's Version)」(15位)からは横バイとなっています。

そして10位には、日本でも高い人気を誇るアメリカのロックバンドAEROSMITHのデビュー50周年を記念してリリースされたベストアルバム「Greatest Hits」が初登場。CD販売数11位、ダウンロード数28位。オリコンでは初動売上3千枚で15位初登場。直近のオリジナルアルバムは2012年の「MUSIC FROM ANOTHER DIMENTION!」で、同作の初動3万3千枚(6位)からは大きくダウン。ただ、10年以上前とはCDをめぐる状況も大きく変わっているので、単純比較は難しそう。オリジナルアルバムは、もう10年以上、リリースしていないんだ・・・そろそろ新作に期待したいところなのですが・・・。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2023年8月23日 (水)

19週連続1位

今週のHot100

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今週も1位を獲得しました。

Yoasobiidle

今週1位はYOASOBI「アイドル」。19週連続の1位獲得となります。ただ、ストリーミング数、YouTube再生回数及びカラオケ歌唱回数は1位をキープしましたが、ダウンロード数は2位と若干のダウンとなっています。

その「アイドル」に今後、どこまで肉薄、あるいは追い越せるのかが注目なのは今週も2位をキープしたキタニタツヤ「青のすみか」。こちらもダウンロード数2位、YouTube再生回数6位は先週と変わらず。ただし、ダウンロード数は3位から4位にダウンしています。

初登場最高位となるのが3位にランクインした亀梨和也「Cross」。最近、いろいろとごっちゃになってくるのですが、彼はまだKAT-TUNのメンバーで、なおかつジャニーズ事務所に在籍中です。CD販売数1位、ダウンロード数22位、ラジオオンエア数40位。オリコン週間シングルランキングでは、同作が初動売上9万8千枚で1位初登場。ソロではこれが2作目で、前作「Rain」の初動13万6千枚(1位)からはダウンしています。

続いて、4位以下の初登場曲ですが、まず5位にカラフルダイヤモンド「あまキュン」がランクイン。カラフルダイヤモンドはアイドルグループBOYS AND MENの弟分、BOYS AND MEN研究生の卒業生により結成されたアイドルグループで、本作がデビューシングルとなります。オリコンでは初動売上6万3千枚で2位に初登場しています。

7位には星野源「生命体」がランクイン。TBS「世界陸上・アジア大会」テーマソング。ダウンロード数及びラジオオンエア数で見事1位を獲得し、ベスト10入り。ただし、ストリーミング数は100位、YouTube再生回数は38位に留まっており、これ以上のヒットはちょっと厳しいか?

さらに10位にはMY FIRST STORY「I'm a mess」が先週の15位からランクアップし、初のベスト10入りを果たしています。MY FIRST STORYは5人組のロックバンドですが、ボーカルのHiroは、ONE OK ROCKのボーカルTakaの弟・・・ということは森進一・森昌子夫婦の三男になります。本作は、もともと2021年にリリースされたシングル「告白」のカップリング曲でしたが、そのメランコリックなメロディーラインからTikTokで話題を呼び、ここに来て、徐々にランクアップ。ついに初となるベスト10入りを果たしました。ダウンロード数5位、ストリーミング数8位、YouTube再生回数32位。今後のロングヒットも期待できそうです。

今週の初登場曲は以上。ロングヒット曲では、Vaundy「怪獣の花唄」は先週からワンランクダウンの6位。ただ、ダウンロード数5位、カラオケ歌唱回数2位は先週から変わらず、ダウンロード数が28位から21位、YouTube再生回数は18位から15位と若干のアップとなっています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2023年8月22日 (火)

「ベタ」なカッコよさ

Title:1STST
Musician:TESTSET

METAFIVEから派生した誕生したバンド、TESTSETの1stアルバムがついにリリースされました。TESTSETはもともとのきっかけは2021年のフジロック。この年、METAFIVEとしてフジロックの参加を予定していたものの、例の小山田圭吾騒動のため小山田圭吾がステージに出られなくなり、急遽、特別編成として砂原良徳とLEO今井のMETAFIVEのメンバー2人にGreat3の白根賢一、相対性理論の永井聖一が参加する形でのステージとなりました。この時の4人組の相性がよっぽどよかったのか、METAFIVE終了後もそのままバンドとして継続。あらたにTESTSETとして活動をスタートし、EP盤1枚のリリースを経て、このたび、フルアルバムのリリースに至りました。

そういう経緯により誕生したバンドなのですが、そのためサウンド的にはMETAFIVEを引き継いだ部分はあります。エレクトロサウンドのポップがベースになりつつもバンドサウンド色も強いという点はMETAFIVEと同様。ただ、METAFIVEに比べると、よりバンド色、ロック色が強くなったように感じます。また、全編にわたってファンクのリズムが強い作品となっている点がリズムの特徴なのですが、METAFIVEでもファンキーな曲があり、基本的にその要素を引き継いだバンドということなのでしょう。そういう意味でMETAFIVEの後継者バンドでありつつも、TESTSETとしての独自色もしっかりと出しているバンドとなっていました。

その上でTESTSETとしての大きな特徴としてあげられるのは、非常にベタさを感じるというという点でした。もともとLEO今井のボーカル自体、とても端正で、ベタなカッコよさのあるボーカルなのですが、TESTSETの楽曲自体もよく聴いたことのあるようなサウンドが展開されたり、ここに入れば気持ちいいだろうな、と感じるようなタイミングで期待したようなサウンドが流れてきたりと、ある種のベタさを強く感じる構成になっています。

例えば「Moneyman」でもドラムのリズムからして、80年代のポップソングの典型的な音だったりしますし、シンセのサウンドの入り方もある意味、非常にベタ。「Japanalog」も典型的な80年代エレクトロポップといった印象なのですが、途中に入る手拍子の音も非常にベタさを感じますし、「Over Yourself」もファンキーなロックチューンで、ロックバンドとしてTESTSETの側面がよく出ている曲なのですが、こちらもわかりやすさを感じさせるロックチューンとなっています。

ただし、このベタさなのですが、決してTESTSETにとってマイナスになっている訳ではありません。むしろ、ベタな楽曲を一流のミュージシャンたちが演奏することによって、とんでもなくカッコいい楽曲に昇華している点がTESTSETの最大の魅力となっています。ベタでありながらも非常に研ぎ澄まされ、必要な音が必要なだけ配されたサウンド構成はやはり砂原良徳の実力でしょうし、LEO今井のボーカルもリズム感があるゆえにJ-POPによくありがちなのっぺり感が全くありません。さらに白根賢一、永井聖一のギター、ドラムについてもファンキーなサウンドを奏でており、ロックバンドとしてのダイナミズムをしっかりと醸し出しています。

ベタさゆえに聴いていても全く違和感なく楽曲を楽しむことが出来ますし、一流のミュージシャンたちによって下支えされているため、ベタなJ-POPにありがちなのっぺりさもなく、エッジの効いたファンキーなリズムを奏でる最高にカッコいいロックバンドの音に仕上がっています。決して奇をてらったような曲を演らなくても、一流のプレイヤーの手にかかればこれだけカッコいい音に仕上がるんだ、ということを主張されているような、そんなカッコよさも感じました。

EP盤の「EP1」も傑作で、このまま行けば、オリジナルフルアルバムは年間ベストクラスの傑作に仕上がるだろうな、という予感はあったのですが、その予感がピッタリとマッチした、とんでもない傑作アルバムに仕上がっていました。METAFIVEは残念な形で終わってしまいましたが、このバンドは今後も続きそう。個人的には小山田圭吾が再度参加してくれればうれしいかも・・・とは思ったりもするのですが、このバンドのこれからに期待です。

評価:★★★★★

TESTSET 過去の作品
EP1 TSTST


ほかに聴いたアルバム

いま/原田郁子

クラムボンのボーカリスト、原田郁子による、実に15年ぶりとなるソロアルバム。基本的にはピアノを軸としたアルバムになっているのですが、フリーキーな雰囲気もある「up-light piano」やタイトル通り、オノマトペを並べて歌う「オ・ノ・マ・ト・ペ」など、比較的実験的な作品が目立つ内容に。おそらく子ども時代の家庭での録音をそのままつかったであろう「ミニミニコンサート」のような微笑ましい作品も。ポップで人なつっこいメロディーラインを聴かせてくれる曲もあるのですが、全体的にはちょっと聴く人を選ぶようなタイプのアルバムかもしれません。ある意味、ソロらしい作品と言えるのかもしれませんが。

評価:★★★★

原田郁子 過去の作品
ケモノと魔法
銀河
TO NA RI(原田郁子+高木正勝)
BAAN(原田郁子&ウィスット・ポンニミット)

Class of '88/大江千里

最近はニューヨークに在住し、ジャズピアニストとして活動を続ける大江千里のデビュー40周年記念アルバム。ポップ時代の曲のジャズリメイクと新曲から構成されています。彼のジャズピアニストとしての思いの深さはわかりますし、また、ポップミュージシャンとしてのキャリアを捨ててまでジャズピアニストとして活動する挑戦心は素晴らしいとは思いますが、ただ正直、彼のジャズ曲を聴くと、どんどん新しいスタイルが更新されていく最近のジャズシーンの中で、旧態依然的な彼のスタイルはジャズピアニストとしては平凡の一言に尽きてしまいます。中途半端に以前のヒット曲に頼るのならば、ジャズピアニストとの活動とは別に、たまにはポップミュージシャンとしての活動も行ってもいいのに、とは思ってしまいます。ジャズピアニストとしての彼に比べて、SSW大江千里は、少なくとも「平凡」の一言で終わってしまうような程度の実力ではないのですから。

評価:★★★

大江千里 過去の作品
GOLDEN☆BEST
Boys&Girls
Letter to N.Y.
Senri Oe Singles~First Decade~

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2023年8月21日 (月)

芸術は永く、人生は短し

本日は、最近読んだ音楽関連の書籍の感想です。今年3月、惜しまれつつこの世を去った音楽家、坂本龍一。今回紹介するのは、その彼の自伝2冊です。

まずこちらはもともと2009年に刊行されてた自伝「音楽は自由にする」。逝去に合わせてあらためて彼の業績を振り返るため、今年、文庫本で再発売されました。そしてもう1冊が、この自伝に続く形で記載された1冊「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」でした。

こちらは「新潮」にて2022年7月以降連載されていた自伝。印象的な署名は、もともとベルナルド・ベルトリッチ監督の映画「シュルタリング・スカイ」に登場した台詞だそうで、2020年のがん転移後の手術後に、坂本龍一がふとつぶやいた言葉から取られたそうです。

基本的にどちらの書籍も、坂本龍一の口述筆記という形で書かれた作品。話し言葉主体ということもあって、どちらの書籍も非常に軽快な文体で、読みやすい内容になっていました。坂本龍一という人物の熱心なファンでなくとも、ある程度興味がある方であれば、難なく楽しめる内容になっており、いい意味で気軽に坂本龍一の業績をたどれる内容になっていました。

全体的に非常に素直で、赤裸々な内容まで記載されているといった印象で、「音楽は自由にする」ではYMOの結成から解散、さらに再結成に至るまでの経緯がかなりストレートに書かれています。再結成の時はかなり3人とも険悪な雰囲気だったそうで東京ドームでのライブではほとんど目を合わせなかったとか。また「ぼくはあと何回~」でもがんの告知や転移、手術などの模様がそのまま描かれています。ただ、風の噂ではかなり奔放だったという、彼の女性関係についてはさすがに最低限のことしか書かれていませんでした。ただ、大貫妙子と一時期同棲していた、という、なかなか衝撃的な告白はありましたが(笑)。

そんな感じで、非常に軽快な文体でサラッと読めるのですが一方で読み応えもある作品。坂本龍一の業績をあらためて再認識できる自伝でしたし、読みやすい内容なだけに、私みたいなアルバムを一通りチェックするものの、熱心なファンではない・・・というリスナー層にとっては、あらためて坂本龍一の仕事の広さ、その業績の深さを感じさせる書籍になっていたと思います。

あと、読んでいて感じた点としては・・・基本的にアルバム毎に、そのアルバムをつくった経緯やアルバムのコンセプトもしっかりと説明されるのですが、どのアルバムに関しても、異なるコンセプトで仕上げていている点が非常に興味深く感じました。確かに彼のアルバムは、作品毎に方向性が異なる点は気付いていましたが、そういうコンセプトで仕上げるに至った経緯が詳しく説明されると、あらためて過去のアルバムも聴いてみたくなりました。

また、「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」では、悲愴的とも感じられる書名と異なり、文体的には決して悲愴な感じはありません。最終回に至っては、ともすれば余命いくばくない時期の記載でありながらも、そういった悲観的な表現は見受けられません。もちろん、死を前にした苦闘についてはあえて自伝に記載しなかった、ということなのでしょうが、本書の最後を締めくくる一言が「Ars longa,vita brevis.(芸術は永く、人生は短し)」。数多くの彼の作品が世に残っていくということから、自分の魂は決して消えることはない・・・という、ある種の自信があったのでしょうか。

そんな自らの作品を世に残すため、という訳ではないのですが、最後の最後まで、彼がたくさんの仕事を手掛けていたワーカホリックぶりを自伝からは感じられます。がん闘病中でも自伝を読む限りだと仕事は途切れることはありません。71年という彼の人生、長寿となった今の時代では決して長生きではなかったのですが、最後の最後まで非常に濃度の高い人生だったことを感じます。ちなみに後半期には現代芸術の作品にも関与しており、ここらへん音楽以外の活動にはあまりチェックしていなかったのですが、今さらながら、彼のからんだ現代芸術の展示会も行ってみたかったな、ということを感じてしまいました。

繰り返しになりますが、坂本龍一の業績とその濃度の高い人生をあらためて触れることが出来た自伝。彼の作品をいまさらながらチェックしてみたくなるようなそんな内容でした。あらためて71歳という早すぎる最期を残念に思うのですが、一方で、十分すぎるほど充実した仕事ぶりだったんだな、ということを感じさせる自伝でした。おそらくこれからも坂本龍一の作品は聴かれ続けるのでしょう。芸術は永く、人生は短し。まさに彼のことを象徴するような言葉だな、ということを感じました。

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2023年8月20日 (日)

強いメッセージが心に突き刺さる

Title:夜汽車を貫通するメロディヤ
Musician:中川敬

Yogisya

ソウルフラワーユニオンのボーカリスト、中川敬が、約6年ぶりにリリースする5枚目となるソロアルバム。基本的にこの5枚のソロアルバム、方向性としてほとんど変わりません。バンドである以上当たり前なのですが、バンドサウンドを押し出しているソウルフラワーユニオンの作品と比べて、アコースティックなサウンドのみでしっかりとその「歌」を聴かせる内容になっています。今回のアルバムも基本的には中川敬の奏でるアコギオンリーのフォーキーな作品が特徴的。ゲストとしては、管楽器奏者の金子鉄心がイリアン・パイプスで何曲か参加しているのと、ソウルフラワーの盟友でもある奥野真哉がやはりピアノで何曲か参加しているのみ。中川敬の「歌」を聴かせるシンプルなアルバムに仕上がっており、その点、まさに「ソロアルバム」らしいソロアルバムと言えるでしょう。

そんな「歌」を聴かせるアルバムである以上、ソウルフラワーユニオンの楽曲以上にメッセージ性の強い作品になっています。中川敬はSNSの発言やその行動などで政治的なメッセージを多く発信するミュージシャンなだけに、そんな彼の主張が反映されたメッセージになっているのですが、ただ一方で、歌詞自体については、具体的な政治的事象を取り上げた曲は基本的にありません。これは以前からのソロ作やソウルフラワーの作品でも特徴的だったのですが、彼の政治的な言動からすると意外な感もあります。ひょっとしたら具体的な事象を取り上げることにより、短期的に曲が消費されることを嫌っているのかもしれませんし、より広い層へにメッセージを届けるためかもしれません。ただ、具体的な事象よりも、その背景にある問題の本質を歌詞にしようとしているようにも感じます。

特に今回のアルバムに関しては、そんな物事の奥にある、問題の本質を描こうとするようなメッセージが多く収録されているように感じました。「いのちの落書きで壁を包囲しよう」は、世の中の大衆に対しての団結のメッセージのように感じますが、一方で決して安易に団結を煽ったメッセージになっていない点も印象的。「イチヌケタの声が聞こえる」は、大人に虐げられる子供たちのメッセージ。郷愁的な歌詞も印象的な作品となっています。

「実弾は銃身に装填された/でも 栄光は少年を知らない」と歌われる「栄光は少年を知らない」は、今なお繰り広げられる戦禍と、その中で犠牲になる子供たちを描いた歌。比較的、ストレートな表現があるのが「風待ちの港」

「ゴールポストが何度も 動かされて戸惑ってる
御用聞きが裏路地で ほくそ笑んで覗き見てる」
(「風待ちの港」より 作詞 中川敬)

という歌詞は、まさに冷笑的な意見を投げかけたり、政府にピッタリな「識者」を皮肉っており、その上で「行き先はお前の胸にある」と前向きなメッセージを提示しています。そしてラストを締めくくるのは、まさに本質的な、そしてもっともアルバムを通じて中川敬が届けたいメッセージでしょう。「生きる」。まさにそんな世の中でも、とにかく生きていくことを訴えかけるメッセージが感じられます。

いつも以上に抽象的な表現も多く感じたのですが、それだけに本質を突くようなメッセージが心に響いてくる、そんな傑作でした。もちろんメロディーラインの方も決して派手さはないものの、心に突き刺さるようなインパクトがあり、優しくも力強い中川敬の歌声も印象的。今回も年間ベストクラスの傑作アルバムに仕上がっていました。

評価:★★★★★

中川敬 過去の作品
街道筋の着地しないブルース
銀河のほとり、路上の花
にじむ残響、バザールの夢
豊穣なる闇のバラッド


ほかに聴いたアルバム

露骨/syudou

もともとボカロPとして活躍していた彼が、はじめて自ら歌唱してシンガーソングライターとしてリリースしたアルバム。syudouという名前は知らなくても、おそらく彼が書いた楽曲は多くの人が聴いたことがあって、かのAdoに提供して大ヒットを記録した「うっせぇわ」の作詞作曲を行ったのは彼だったりします。なので全体的にはその「うっせぇわ」の延長線上にあるようなインパクトの強い迫力のある曲がメイン。ただ、それだけに耳には残るのですが、全体的に似たようなタイプの曲が多く、正直、面白みがあまりありませんでした。もう一歩、楽曲のバリエーションが多いところなのですが。

評価:★★★

A Symphonic Celebration - Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki/久石 譲/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団

今年3月、ドイツのクラシックの名門レーベル、グラモフォンとの契約を発表した久石譲。その第1弾アルバムとしてリリースされたのが彼がスタジオジブリに提供した作品にクラシックアレンジを施した作品。ただ、ポップソングのクラシックアレンジというと、ただ重厚なストリングスを加えました、程度の大味な作品が多いのですが、残念ながら本作も単にジブリ作品をクラシック風にアレンジしました、といった作品となっています。まあ、ジブリ映画が好きな方には楽しめるかもしれませんが・・・といった感じ。ちょっと残念に感じた作品でした。

評価:★★★

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2023年8月19日 (土)

大衆音楽の知識量の圧巻

Title:中村とうようの「大衆音楽の真実」

音楽評論家の中村とうようが、生前に企画・編集を行ったオムニバスアルバムについて、彼の13回忌を機に復刻を行う再発企画の第2弾。前作は「ボサ・ノーヴァ」にスポットをあてた編集版「ボサ・ノーヴァ物語」がリリースされましたが、それに続く第2弾は、中村とうようの主軸ともいえる「大衆音楽」にスポットをあて、世界各地の大衆音楽をまとめた編集盤「大衆音楽の真実」。今回も3枚組というボリュームとなっています。

もともと、このオムニバスは、中村とうようが1986年に出版した書籍「大衆音楽の真実」の副読本的な立ち位置にあるアルバムで、基本的には、同書に収録された曲が並んでいます。この書籍「大衆音楽の真実」は、音楽評論家中村とうようの集大成とも言うべき1冊。世界各地の大衆音楽を網羅的に取り上げ、その成り立ちから、タイトル通り「大衆音楽」という存在の本質を探るという非常の意欲的な作品になっています。出版から35年以上も経過しているのですが、いまでも出版されており、容易に入手も可能。今回はCDを聴くにあたって、書籍の方も入手し、書籍に登場した都度、該当する曲も聴いてみるという、まさに「副読本」としてのスタイルを踏襲した聴き方をしてみました。

そんな訳で今回は同書の感想も兼ねているのですが、まず書籍の方の感想はと言えば、まさに圧巻の一言。まずポピュラー音楽の萌芽からスタートし、ブラジル、キューバ、さらには東南アジアとめぐり、シャンソンにジャズ、ソウルにロック、サンバ、サルサ、アフリカ音楽に最終的にはレゲエ、HIP HOPまで登場してきます。それぞれのジャンルに代表的なミュージシャンや楽曲もそれぞれ紹介され、作品の成り立ちや、それが大衆の支持を受けた要因なども分析。まさにその幅広さと知識量の多さには舌を巻きます。中村とうようの音楽評論家としてのすごみを感じさせる仕事ぶりといって間違いないでしょう。

同書の副読本的な役割を与えられた本書なだけに、こちらに収録されている曲もまさにバラバラ。まさに大衆音楽の多様性を感じさせる展開になっています。それこそ日本の阿呆陀羅経のような、大衆音楽の萌芽的な作品から、Disc1ではフラメンコ、カリプソ、インドの映画音楽にゴスペル、Disc2では中国の映画音楽からタンゴ、サンバ、アフリカのハイライフ、Disc3ではクロンチョン、ファド、ラグタイムなどなど。大衆音楽が持つ音楽性の幅広さとそして奥行きの深さを強く感じさせる構成となっています。

ただ一方、数多くの大衆音楽を並べて聴いてひとつ感じるのは、やはりその魅力として多くの割合を占めるのは、「歌」と「リズム」ではないか、という点でした。まず「歌」という点で言えば、例えばサンバの女王と呼ばれるカルメン・ミランダの歌う「サンバの帝王」では、その絶妙な感情に耳を奪われますし、スペインのラケル・メレによる「ベン・イ・ベン」なども、その歌声に一瞬で惹きつけられます。その感情こもった歌声に惹きつけられる曲が目立ったように感じます。

それと同時に魅力的だったのがやはり「リズム」。後のラップに通じるようなジャック・スニードの「ナンバーズ・マン」の軽快なリズムには心惹かれますし、ガーナのE・K・ニヤメによる「恋人を見つけた」のようなトライバルなリズムも非常に魅力的。やはりダイレクトに肉体の快感に結びつく、この「リズム」は、「大衆音楽」にとって重要な要素であることを実感しました。

ただ、ちょっと残念だったのは、もともと1986年にレコードでリリースされたものが1990年にCD化されて、今回、そのCDの復刻という形になるのですが、どうもCD化の過程で漏れた作品があり、書籍で紹介されている曲が収録されていないものがあった点。また、権利関係の問題か、もしくは(当時としては)容易に音源を入手可能であったという理由か、書籍の中でキーとなっているような曲が必ずしも収録されていない点も残念。また、CDのみで通して聴くと、構成としてはバラバラ。比較的、近いタイプの曲を並べて収録している感はあるのですが、大衆音楽成立の「流れ」のようなものになっていない点もちょっと残念に感じました。

そんな訳で、大衆音楽・・・というよりも、今日的にはワールドミュージックに興味がある方ならば、書籍、CDともにまずはチェックしておきたい作品。書籍の方は500ページにもわたる大ボリュームながらも、意外とあっさりと読めてしまうあたりも、そこはさすが中村とうようの文章力も感じさせます。大衆音楽の魅力に間違いなく触れることが出来る作品でした。

評価:★★★★★

・・・・・・・とまあ、本編の方では、非常に肯定的な記載にとどめているですが、実は私、中村とうようのその圧倒的な知識量には圧巻されている一方、そのポピュラー音楽に対する考え方にはかなり疑問を持っていますし、正直、彼のスタンス自体に全く共感できません。同書のネガティブな印象については、「続きを読む」以降で。

続きを読む "大衆音楽の知識量の圧巻"

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2023年8月18日 (金)

メッセージ性の強い、ソウルミュージックへのオマージュ作

Title:My Back Was a Bridge for You to Cross
Musician:ANOHNI and the Johnsons

以前はAntony and the Johnsons名義で活動を続け、その後はソロのANOHNI名義でアルバムをリリースしてきたAnohni Hegartyの実に約7年ぶりとなるニューアルバム。ANOHNI名義でリリースしていたアルバムはエレクトロサウンドを取り入れたアルバムとなっていました。それらのアルバムも傑作でいたが、ただシンプルに、美しい歌とストリングスベースのサウンドを聴かせてくれていたAntony and the Johnsonsに比べると、ちょっと物足りなさを感じていたもの事実でした。

そして久々にリリースされた今回のアルバム。名義はANOHNI and the Johnsonsとしてのリリースとなった本作。もともと、ソウルミュージックの愛好家だったアノーニが、ソウル・ミュージックへのオマージュとして制作されたのが本作。プロデューサーにエイミー・ワインハウスやダフィーとの仕事で知られるジミー・ホガースを起用し、ソウルミュージックへの愛情をストレートに表現したアルバムとなっています。

今回のアルバムリリースにあたって、アノーニは、ソウルミュージックの名盤中の名盤として知られるマーヴィン・ゲイの「What's Going On」を繰り返し聴いたそうで、アルバムの冒頭を飾る「It Must Change」は、まさに同作にインスパイアして書かれた曲。ファルセット気味で美しも力強いボーカルが印象的なソウルナンバーに仕上がっています。

その後もアノーニらしい、中性的な美しさと力強さを兼ね備えたボーカルで感情的に歌い上げるソウルナンバーが並びます。「Silver or Ice」も、まさに静かなギターをバックに感情的に歌い上げるボーカルが印象に残る楽曲。伸びやかな歌声で優しく歌い上げるバラードナンバー「Scapegoat」も魅力的。後半はノイジーなギターでダイナミックに展開されるサウンドも幻想的で美しく、印象に残ります。「Why Am I Alive Now?」もファルセットボイスで美しくメロウな歌、トライバルな要素も加わってグルーヴィーなサウンド、そして美しくメロウな音を奏でるストリングスと、ソウルチューンの傑作に仕上がっています。

そして今回のアルバム、そのソウルでメロウなサウンドや歌と並んで特徴的なのが、トランスジェンダーを公言しているアノーニの主張を強く感じさせる作品になっているという点でした。まずアルバムのジャケット写真に起用されているのがANOHNI and the Johnsonsの名前の由来となっているトランスジェンダーの活動家、マーシャ・P・ジョンソンの写真という点。1曲目の「It Must Change」のMVでも、同じくトランスジェンダーの活動家、マンロー・バーグドルフが登場し、まさに「変わらなくてはいけない」という現状を歌うメッセージ性の強い曲になっています。

また、「なぜ私は今生きているのか」と問いかける「Why Am I Alive Now?」から、ラストはまさにストレートに「あなたは自由でなくてはならない」と歌い上げる「You Be Free」で締めくくれらるなど、実にメッセージ性の強い作品に仕上がっている本作。シンプルでわかりやすいメッセージ性は、英語を母国語として用いていない私たちにもストレートに伝わってきますし、感情たっぷりの力強いボーカルを通じても、その主張を強く感じさせてくれます。

文句なく、今年を代表する傑作アルバムとして仕上がった本作。ソウルな作風もアノーニのボーカルにピッタリとマッチしていますし、そのストレートな主張と合わさって、私たちの心に強い印象を刻む1枚となっていました。久々のアルバムでしたが、アノーニの魅力を再認識すると共に、あらためてその歌声に聴き惚れる作品でした。

評価:★★★★★

ANTONY AND THE JOHNSONS/ANOHNI/ANOHNI and the Johnsons 過去の作品
The Crying Light
SWANLIGHT
CUT THE WORLD
Hopelessness
Paradise


ほかに聴いたアルバム

I've Got Me/Joanna Sternberg

アメリカのシンガーソングライターによる2枚目のアルバム。アコースティックなサウンドをベースに、フォークやブルースの要素を感じさせる歌をしっかりと聴かせてくれる楽曲。渋みのあるしゃがれ気味のボーカルもいい味になっている1枚。派手さはないものの、しんみりと染み入るような曲を聴かせてくれる傑作でした。

評価:★★★★★

Gasms/Smokey Robinson

ご存じザ・ミラクルズのメンバーとしてデビューし、その後もソロで活動。また作曲家としても多くのヒット曲を生み出したアメリカブラックミュージック界のレジェンド、スモーキー・ロビンソンのニューアルバム。さすがに目新しさはなく、良くも悪くも昔ながらといった感じではあるものの、齢83歳の今でも衰えることのないそのメロウなボーカルは健在。ちょっとしゃがれた声も逆に味となり、ピアノやギターをバックにしんみりと歌い上げるスタイルは実に魅力的。レジェンドらしい変わらぬその実力を感じさせる新作となっていました。

評価:★★★★

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2023年8月17日 (木)

今週もアイドル勢が上位を占める

今週のHot Albums

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今週もアイドル勢が上位を占めるチャートとなっています。

まず1位にはジャニーズ系NEWS「NEWS EXPO」がランクイン。CD販売数1位。2枚組のアルバムで、1枚目がオリジナル、2枚目がベスト盤となっています。オリジナルの方は「万博・博覧会」がテーマだそうで、要所要所にm-floの☆Taku Takahashiが参加しているあたり、m-floのアルバム「EXPO EXPO」を意識したのでしょうか。ただ、「EXPO EXPO」がリリースされた2001年(もう22年も前になるのか!)と、現在の状況では、同じ「EXPO」からイメージさせる状況がかなり変化したようにも感じられるのですが。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上14万9千枚で1位初登場。直近作はEP盤「音楽-2nd Movement-」で、同作の初動10万8千枚(1位)からアップ。またオリジナルアルバムの前作「音楽」の初動10万6千枚(1位)からもアップしています。

2位は韓国の男性アイドルグループNCT DREAM「ISTJ」が先週と同順位をキープ。3位には同じく韓国のアイドルグループTREASURE「Reboot」が2ランクダウンながらもベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場盤ですが、まず5位に韓国の男性アイドルグループ東方神起のメンバーU-KNOW(ユンホ)の「Reality Show」がランクイン。韓国盤でのミニアルバムで、ビルボードではダウンロード数のみ1位にランクイン。総合順位は4位となっています。一方、オリコンでは初動売上4千枚で12位にランクイン。直近作はYUNHO from 東方神起名義でリリースされた国内盤「君は先へ行く」で、同作の初動3万5千枚(1位)からは大きくダウン。同じくU-KNOW名義となる韓国盤の前作「Noir:2nd Mini Album」の初動6千枚(10位)からもダウンしています。

6位にはジャニーズ系アイドルグループKing&Princeの元メンバー、岩橋玄樹「I'm A Popstar」がランクイン。CD販売数5位、ダウンロード数45位。オリコンでは初動売上8千枚で7位初登場。前作「How To Love」の初動1万1千枚(4位)からダウンしています。

8位初登場はスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループDISH//「HAPPY」。5曲入りのEP盤。CD販売数6位、ダウンロード数20位。オリコンでは初動売上5千枚で8位初登場。直近作のオリジナルアルバム「TRIANGLE」の初動2万4千枚からダウン。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2023年8月16日 (水)

新たなロングヒット候補・・・

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

新たなロングヒット候補がじわりと順位を上げています。

Yoasobiidle

まず1位はYOASOBI「アイドル」が、これで18週連続の1位を獲得。ダウンロード数、ストリーミング数、YouTube再生回数及びカラオケ歌唱回数で1位を獲得しています。

「アイドル」の驚異的なロングヒットは、正直、一度メガヒットが出てくると、猫も杓子もヒット曲に追随して、いつまでも聴き続ける保守的な最近の日本のリスナー傾向による部分が大きいと思うのですが、また、「アイドル」以降、いまひとつ強烈なヒット曲が出てきていないという点も大きいと思います。その中で、次のロングヒット候補になりそうな曲が今週、2位にジワリと順位を上げています。それがキタニタツヤ「青のすみか」。テレビアニメ「呪術廻戦」主題歌というタイアップ効果もあり、ランクイン6週目にして初のベスト3入り。ダウンロード数3位、YouTube再生回数6位もさることながら、ストリーミング数はついに2位にランクアップ。次の1位の座を虎視眈々と狙える位置までランクアップしてきています。

3位はBTSのメンバーJung Kookのソロシングル「Seven(feat.Latto)」が先週と同順位をキープ。ストリーミング数は先週の2位から3位にダウン。YouTube再生回数は先週と変わらず3位、ダウンロード数は14位から17位にダウン。全体的には下落傾向ながらも根強いヒットを続けています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、初登場最高位は4位の関ジャニ∞「オオカミと彗星」。テレビ朝日系ドラマ「警部雄ダイマジン」主題歌。CD販売数1位、その他はランク圏外となっています。オリコン週間シングルランキングでは初動売上15万4千枚で1位初登場。前作「未完成」の初動20万7千枚(1位)からダウンしています。

初登場曲もう1曲は6位にめいちゃん「エンジョイ」がランクイン。ストリーミング数4位、その他はランク圏外。YouTuberによる配信限定シングルですが、作詞作曲はゆずの北川悠仁が担当しています。ちなみにLINE MUSICで再生キャンペーンを実施しており、再生回数に応じて握手会参加券などがもらえるという、以前のCDと全く同じスタイルのキャンペーンが実施されています。K-POPアイドルでも同じようなキャンペーンが実施されていましたが、結局、こういうランキングの水増し行為が多発してくると、また以前のようにランキングの真実性が疑われる結果になっていきそうです。早くビルボードチャートには何等かの対策を実施してほしいところですが・・・。手っ取り早くは、こういうキャンペーンの対象となっているLINE MUSICは集計の対象から外すべきでしょう。

続いてはロングヒット曲ですが、全体的に停滞気味。唯一、根強い人気を続けているのはVaundy「怪獣の花唄」で、ここにきて7位から5位にランクアップ。これで33週連続のベスト10ヒット。ただストリーミング数5位、カラオケ歌唱回数2位は先週から変わらず。ダウンロード数27位から28位、YouTube再生回数16位から18位と下落傾向は続いています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2023年8月15日 (火)

詩集にインスパイアされた新作

Title:I Inside the Old Year Dying
Musician:PJ Harvey

実に約7年ぶりとなるPJ Harveyのニューアルバム。昨年、彼女は詩集「Orlam」を出版。本作はその詩にインスパイアされた形で作成されたアルバムだそうです。前作「THE HOPE SIX DEMOLITION PROJECT」は社会派的な要素の強いアルバムになっていましたが、今回のアルバムは一転。本人が「安らぎの空間、慰め、癒し、今の時代にタイムリーだと感じる癒し」と語っているようで、どちらかというと素朴な内容を歌詞にした内容に。もともとの詩集でも使用されえいた、彼女が生まれ育った地方の方言が楽曲の中でも使用されているそうです。

そんな制作背景もある影響か、メロディーラインについては全体的にフォーキーな雰囲気を感じさせます。ファルセット気味の彼女のボーカルでゆっくり歌い上げるような作品がメインで、「Autumn Term」もファルセットボイスで美しいハーモニーを聴かせてくれますし、「Lwonesome Tonight」もアコギとドラムのシンプルなサウンドで、メランコリックに歌い上げるハイトーンボイスを聴かせる作品に。「Seem an I」のようなアカペラからスタートする楽曲もありますし、タイトルチューンである「I Inside the Old I Dying」もアコギをバックに哀愁たっぷりのメロディーで歌い上げる楽曲と、全体的に決して派手さはありませんが、ファルセットボイスを多様しながらも、暖かみを感じられるメロディーラインが大きな魅力となっています。

ただ、そんなメロディーと対比的にユニークなのが、アルバム全体としてサイケな味付けがされたサウンドでした。冒頭を飾る「Prayer at the Gate」からして、ファルセットボイスで美しく聴かせるボーカルのバックには、不気味でノイジーなサウンドが流れていますし、「A Child's Question,August」もフォーキーなメロディーラインと対比的なダークなサウンドが特徴的。「August」のような、不気味なサイケサウンドが全編に覆われたような作品もありました。

全体的に地味めな雰囲気のアルバムではあるのですが、このフォーキーなメロを歌うファルセットボイスの幻想的な雰囲気がサイケなサウンドと絶妙にマッチしており、独特なサウンドを作り上げています。また、最後を締めくくる「A Noiseless Noise」はパンキッシュな作品となっており、最後の最後にインパクトある楽曲で締めくくり。最後の締めにはピッタリの作品となっていました。

本作もイギリスのチャートでは5位を記録するなど、本国では高い人気を誇る彼女。ただ一方で、前作では社会派な歌詞、本作では、詩集にインスパイアされた作品と、正直、若干日本ではその魅力が伝わりにくい部分のあるミュージシャンですし、私自身も詩集を読んだ訳ではないため、その魅力を存分に味わった、とは言い難い状況です。ただ、それを差し引いても、メロディーやサウンドだけでも十分すぎるほど本作の魅力は味わえる作品かと思います。前作に続いて文句なしの傑作となった本作。独特のサウンドが実に魅力的な作品でした。

評価:★★★★★

PJ Harvey 過去の作品
Let England Shake
THE HOPE SIX DEMOLITION PROJECT


ほかに聴いたアルバム

流行歌集/Bob Dylan

今年実施されて、私も足を運んだボブ・ディランの来日公演を記念してリリースされた、来日記念のオールタイムベスト盤。内容的には日本独自規格ではなく、海外でもリリースされたボブ・ディランのオールタイムベスト「The Essential Bob Dylan」の2010年度版に、そのままパッケージを日本仕様に変更したもの。ここらへんは、「The Essential Bob Dylan」を既に持っている方には要注意なのですが、ただ、ボブ・ディランの代表曲を2枚組でほぼ網羅した本作は、まさにボブ・ディランの入門版としても最適な作品になっていました。

評価:★★★★★

BOB DYLAN 過去の作品
Together Through Life
Tempest
Triplicate
Rough And Rowdy Ways
日本のシングル集
Shadow Kingdom

Sun Arcs/Blue Lake

デンマークのマルチ・インストゥルメンタリスト、ジェイソン・ダンカンによるソロ・プロジェクト。アコースティックなサウンドをベースとしたインストサウンドを奏でています。爽やかでメロディアスな曲調の作品が多いのですが、ジャズのアプローチを取り入れつつも、全体的にエキゾチックな雰囲気を醸し出す、独特のサウンドが特徴的。清涼感あふれつつも、ちょっと癖のあるサウンドが印象的な作品でした。

評価:★★★★

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2023年8月14日 (月)

無事リリースされたオリジナルアルバム

Title:夢中夢-Dream In Dream-
Musician:Cornelius

もう、わざわざ言うまでもないかもしれませんが、Corneliusこと小山田圭吾の過去のいじめ発言に対するバッシング。個人的な見解は、以前紹介したMETAFIVEのCDレビュー及び小山田圭吾騒動に関する検証本のレビューで記載したのでここでは繰り返しませんが、特に彼の音楽は聴きたいけど、モヤモヤしたものを抱えている方は、上記サイトで紹介している検証本を一読することをお勧めします。個人的には彼に対する印象はかなり良いものにシフトして、なおかつ、彼に抱えていたモヤモヤした感情はなくなりました。

また、一時期は彼のミュージシャン生命が断たれるのではないか、というほどに酷かったバッシングでしたが、2022年あたりから徐々に活動が再開され、ライブツアーも開始。ピッタリ6年ぶりとなるニューアルバムも無事にリリースとなりました。このアルバムに関しても、普通にメディアは取り上げていますし、ネット上の反応も、バッシング的な様相は皆無。チャート上もベスト10入りするなど、あれだけバッシングしていた人はどこに?と思うような結果になっています。例の騒動ではじめて小山田圭吾を知ったような人は、Cornelius=小山田圭吾という認識がない可能性も高いのですが。

さて、無事にリリースされた今回のオリジナルアルバム。大きな特徴としてはポップな歌モノのアルバムに仕上がっていました。「POINT」「SENSUOUS」では空間を聴かせるようなシンプルなエレクトロチューンで新たな世界を切り開いたCornelius。一方、オリジナルアルバムとして前作となる「Mellow Wave」は歌モノのアルバムとシフトチェンジしましたが、今回のアルバムもその方向性が続いた内容となっていました。

1曲目の「変わる消える」からエレクトロアレンジの歌モノとなっており、無常観を綴った歌詞が印象的で、今回の騒動を反映したのか?とも思うのですが、こちら作詞は坂本慎太郎で、ある意味、彼らしい歌詞の世界観になっています。ローファイ気味なボーカルとテンポよいエレクトロサウンドが特徴的な「蜃気楼」や、郷愁感たっぷりのメロが心に残る「Drifts」などが並びます。

ポップなメロという点で耳に残るにはやはり中盤の「環境と心理」でしょう。METAFIVEの曲としてもともとはリリースされていた曲なのですが、軽快なエレクトロポップチューンとしてメロディアスな曲で、ポップなメロというアルバム全体の方向性を位置付けているような印象も受けます。そしてアルバムのラストを飾るのが「無常の世界」という、1曲目と呼応するようなタイトルのナンバー。こちらは小山田圭吾本人の作詞なのですが、いままでの彼の作品では珍しい、内省的な印象も受ける歌詞となっています。例の騒動を直接綴ったものではないものの、影響はあったことをインタビュー記事では認めており、アルバム全体としてもやはり例の騒動とは無関係ではない作品となっていました。

全体的にタイトなエレクトロサウンド主導なのは以前からですし、「Too Pure」のような「SENSUOUS」以前の音像を感じさせるような曲もあったりもしますが、一方、3曲収録されているインスト曲も、サウンドを聴かせるというよりはメロディアスな作風となっており、無機質さを感じさせた以前の作品とは異なり、エレクトロサウンドながらも温かみを感じさせる作品になっていたようにも感じます。

いままで音の世界を追求していた感のあるCorneliusですが、例の騒動を通じて、内面にむきあうこととなり、生み出されたアルバム、と言えるかもしれません。そういう意味では新たな境地に進みだした1枚と言えるかもしれません。もちろん内容的には今年を代表するレベルの傑作アルバムに仕上がっていましたし、彼の才能、そして魅力を再認識した1枚と言えるでしょう。

オリジナルアルバムのリリースやライブツアーの開始など、ミュージシャンとしての活動を無事再会した彼。個人的には思ったよりも通常モードに戻るのが早かったな、という点で安心しています。ただ一方、映画音楽もしくはネット配信系番組への楽曲提供はともかく、地上波や大きなイベントなどへの楽曲提供はかなり長い間、厳しいだろうな、とは感じてしまいます。彼の才能を思うと非常に残念なのですが・・・。

評価:★★★★★

cornelius 過去の作品
CM3
FANTASMA
「NHKデザインあ」
CM4
攻殻機動隊 新劇場版 O.S.T.music by Cornelius
Mellow Waves
デザインあ2
Ripple Waves
デザインあ3


ほかに聴いたアルバム

山崎×CM②/山崎まさよし

003

山崎まさよしのCMソングを集めた企画盤の第2弾。アコースティックなサウンドで暖かいポップソングを聴かせる作品。最近は人気面でも勢いが失速気味の彼ですが、こうやってCMソングに使われた楽曲をあらためて聴くと、やはり名曲が多いな、と再認識できる作品。ちなみに「斉藤さん」は、あの斉藤和義を題材とした楽曲だそうで、かつて「平成の3よし」と呼ばれた2人がそろい踏みするのに、ちょっと胸が熱くなります。

評価:★★★★★

山崎まさよし 過去の作品
COVER ALL-YO!
COVER ALL-HO!

IN MY HOUSE
HOBO'S MUSIC
Concert at SUNTORY HALL
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[STANDARDS]
The Road to YAMAZAKI~the BEST for beginners~[SOLO ACOUSTICS]

FLOWERS
HARVEST ~LIVE SEED FOLKS Special in 葛飾 2014~
ROSE PERIOD ~the BEST 2005-2015~
UNDER THE ROSE ~B-sides & Rarities 2005-2015~
FM802 LIVE CLASSICS

LIFE
山崎×映画
Quarter
ONE DAY
山崎×CM
STEREO 3

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2023年8月13日 (日)

スピッツの秘密ライブ

昨日の「ドキュメント サニーデイ・サービス」に続き、今日も最近見た、音楽関連の映画の紹介です。

実は、その「ドキュメント サニーデイ・サービス」と同じ日に見たのですが・・・こちらはスピッツの映画「劇場版 優しいスピッツ a secret session in Obihiro」です。

もともと2022年1月にWOWWOWで放送されたライヴ番組「優しいスピッツ a secret session in Obiriro」に、当日のドキュメント映像と、監督である松居大悟とスピッツのメンバーによるアフタートーク集が加わった特別版として編集され、映画として公開された作品となります。

Yasashiispitz

このライブのもともとのきっかけとしては、映画タイトルの元とまっている2019年のスピッツのヒット曲「優しいあの子」。この作品は、北海道・十勝地方を舞台としたNHK連続テレビ小説「なつぞら」の主題歌として起用されました。これをきっかけに、スピッツの帯広でのライブが予定されていたそうですが、コロナ禍により延期となってしまいます。

そのため、今回のオリジナルライブの舞台として選ばれたのが帯広。大正11年に建設され、現在は国指定の重要文化財となっている旧双葉幼稚園園舎にて、この映像のためだけのライブが行われました。舞台となったのは、その幼稚園で遊戯室として使用されていた八角形の小さなホール。そこにスピッツのメンバーが円形に集まり、ライブを行いました。

基本的にはこの映画、スピッツのライブ演奏を淡々と撮るようなスタイルが続きます。まずユニークだったのがその音の響き。音楽ホールではなく小さな遊戯室でのライブということでまわりの壁に音が反響していました。草野マサムネ本人も「昔やっていた学園祭のライブみたい。音楽について配慮していないホールで行うライブのような」と言っていましたが、まさにそんな雰囲気になっていました。

また、メンバーが向かい合ってのセッションということもあって、1曲1曲、メンバー同士の会話が入り、ちょっとまったりした雰囲気でライブは進みます。そういう意味では本格的なライブというよりは、リハーサルのセッションといった雰囲気のあるライブになっていました。「a secret session」というタイトルの通り、「秘密のライブ」を意識した感じの、ちょっと覗き見したような感じのあるカメラワークも目立つ構成となっていましたが、まさにそんなスピッツのライブリハーサルを覗き見しているような、そんな映像になっていました。

セットリストは「つぐみ」からスタートし、「冷たい頬」、そしてちょっと意外だったのがライブではかなり久しぶりに披露となった「ハヤテ」へと続きます。比較的全体的に懐かしいナンバーが目立つ感じもありました。中盤では大定番の「空も飛べるはず」や、今回のライブのきっかけとなった「優しいあの子」なども披露。さらに後半には、北海道に因んで、この曲は是非演りたかったという「雪風」も。最後はかなり初期のナンバー「名前をつけてやる」から、最後は「運命の人」で締めくくり。「優しいスピッツ」というタイトルの通り、比較的優しい、メロディアスに聴かせるタイプの曲が目立ったセットリストとなっていました。

映画自体は基本的にはライブ映像。前述のように隠し撮り的なスタイルを意識したショットもありつつも、基本的にはシンプルにメンバーの演奏を撮影するスタイルであり、途中、いきなり画像サイズを1対1にするような飛び道具もありつつも、比較的シンプルな映像で、十分スピッツのライブを楽しめる映画になっていたと思います。

映画化にあたっては、前述の通り、当日のドキュメンタル映像と監督とメンバーとのアフタートーク映像を入れています。ただ、この特典映像については正直、DVD化されたような時についてくる特典映像レベル。WOWWOWで見た映像を、あらためて映画館で見れる、というメリットはあるものの、WOWWOWで見た人にとっては、あらためて、この追加映像目当てに映画館に足を運ぶほどではなかったと思います。

もっとも個人的にはWOWWOWを見ていなかったのでこのライブ映像を見るのはこの映画がはじめて。もちろん、存分にスピッツのライブ映像を楽しむことが出来ました。あらためてやはりスピッツはいいバンドなぁ、と感じられたライブ映像。満足して映画館を後にすることが出来ました。

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2023年8月12日 (土)

サニーデイの魅力を存分に感じる

今回は最近見た、音楽関係の映画の紹介です。

映画「ドキュメント サニーデイ・サービス」。AV監督としても知られるカンパニー松尾監督による、タイトル通り、サニーデイ・サービスの歩みを追ったドキュメンタリー。もともとは2020年からスタートする予定だったサニーデイ・サービスのライブツアーのドキュメントを撮る予定だったそうですが、コロナ禍でライブツアーは延期となり、結果としてサニーデイの活動自体のドキュメンタリー映画となったそうです。

そのため映画は、まずコロナ禍直前、新メンバーの大工原幹雄の加入シーンからスタート。しかし、その後、コロナ禍が襲ってライブツアーは延期となり、コロナ禍の中で開店した曽我部恵一のカレー屋で、彼自ら厨房に立つという、なかなか衝撃的なシーンも映し出され、図らずも、コロナ禍の中での苦境も記録するドキュメントとなっています。

Sunnydaymovie1 その後、前半はサニーデイの歩みを追ったドキュメンタリーが続き、中盤以降後半は、おそらく当初の予定だったサニーデイ・サービスのライブツアーの模様を追ったドキュメンタリー映画という構成となっていました。前半については、サニーデイのメンバー、曽我部恵一と田中貴によるインタビューを中心に、サニーデイにゆかりのある関係者に対するインタビュー、さらには初期サニーデイの貴重なMVやライブ映像なども加えた映像となっています。

この前半の関係者に対するインタビューでは、個人的に懐かしい!と感じるミュージシャンが続々と登場してきます。NORTHERN BRIGHTの新井仁や、SUGIURAMNこと杉浦英治(なぜか劇中にSUGIURAMNという言葉は出てきませんでしたが・・・)、さらにホフディランの2人も登場し、サニーデイに関しての思い出を語っていました。

このドキュメンタリーでは初期サニーデイの音源も登場していたのですが、いかにも当時流行りだった「渋谷系」を模倣しただけといった感じの曲調で、劇中でもやついいちろうがコメントしていたように、当時、評価が悪かった理由は今でもわかります。ただ、こんな音源でも、劇中にも登場していたMIDIレコードのディレクター、渡邊文武は契約したんですよね・・・あの中から、あとにつながる曽我部恵一の才能を見出すというのは、驚きすら感じさせます。

さて、そんな関係者のインタビュー+当時の映像というスタイルはこの手のドキュメント映画でよくありがちな構成で進むのですが、このドキュメンタリーでとてもよいなと感じたのは、曽我部恵一の持つ、天才肌の職人気質な側面と、サニーデイ・サービスのバンドとしての側面をしっかりと捉えていた、という点だと思います。

サニーデイ・サービスといえば、とかく曽我部恵一のワンマンバンドと見られがちです。ただ、バンドとしてのドキュメントなので当たり前と言えば当たり前なのかもしれませんが、田中貴や丸山晴茂、さらには新メンバーである大工原幹雄にもしっかりとスポットがあてられており、特に最初のサニーデイのグルーヴ感は、あの3人だったからこそ奏でられた、ということも強調されています。田中貴のインタビューもドキュメンタリーの中心軸となっているのですが、プロのミュージシャンなのである意味当たり前なのですが、彼もまた、曽我部恵一とは別の側面で、いい意味で癖のある一本の筋の通ったミュージシャンなんだな、ということを感じさせます。

Sunnydaymovie2

さらにバンドとして印象的だったのが丸山晴茂追悼コンサートのシーン。ドラムレスで曽我部恵一と田中貴の2人のみでのステージだったのですが、2人のプレイに非常に鬼気迫るものがあり、この2人のプレイヤーとしての側面によりスポットのあたったステージングとなっていました。この映画の中でも非常に印象に残るシーンのひとつとなっていました。

そして、そんなバンドとしてのサニーデイと同時に描かれていたのが、曽我部恵一の天才肌の職人気質な側面。特に、ライブのリハーサルシーンにおいて、曽我部恵一が田中貴にかなり厳しい指示を飛ばすシーンも写されています。最初の活動休止直前は、バンドメンバーの仲も見るからに悪かったという表現もあり、曽我部恵一の頭の中で鳴っている音を、バンドが表現できないもどかしさがあった、という証言もありました。一方で、若いころは音源の音が絶対的な正解と思っていたが、今はバンドとして正解はいろいろあると考え方が変化した・・・という曽我部恵一本人の証言もあり、やはり年をとって、いい意味で考え方が変化したことをうかがわせます。だからこそ、新生サニーデイは順調に、既に再結成前により長いこと活動を続けているんでしょうね。

サニーデイ・サービスというバンドの持つ、様々な側面、魅力をしっかりとらえられていた、とてもよいドキュメンタリー映画だったと思います。2時間半という長丁場の映画だったのですが、途中、飽きることなく最後まで楽しむことが出来ましたし、見終わった後、あらためてサニーデイのアルバムを聴きたくなるドキュメンタリーでした。

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2023年8月11日 (金)

アジカンの進化も感じるリメイク版

Title:サーフ ブンガク カマクラ(完全版)
Musician:ASIAN KUNG-FU GENERATION

アジカンのニューアルバムは、2008年にリリースしたアルバム「サーフ ブンガク カマクラ」のリメイク版。もともと、各曲が江ノ島電鉄の駅名を冠したタイトルとなっているコンセプチャルな作品だったのですが、その時に用いられなかった駅を冠した曲も追加。江ノ電の全15駅が、駅順に並んだアルバムとなっています。今回の新曲5曲については、先日も紹介した「半カートン」版として配信限定でリリースされていたのですが、それらの曲も駅順に織り込まれています。

「半カートン」版は以前に聴いていますし、オリジナルの方も2008年に聴いて、ここでも紹介済。今から聴くと、分厚いバンドサウンドが文句なしにカッコいい、いかにもアジカンっぽい作品なのですが、当時はポップ寄りと評されており、ファンの間でも賛否両論だったようです。ただ、同時の感想を読むと、初期のアジカンについてはナンバガからの影響も顕著にあらわれるなど、どこか未熟な部分を感じた一方、このアルバムあたりでアジカンとしての個性をしっかり確立した、という印象を受けていたようです。

ちなみに今回のリメイク版リリースにあたり、既存の10曲についても再録して収録しています。久々に聴いても最初、さほど印象が変わらなかったのですが、ただ、オリジナル音源と聴き比べると、結構印象としては異なります。まずゴッチの歌い方が明らかに異なります。オリジナル音源だと、かなり軽い歌い方になっているのですが、完全版の方では落ち着いた歌い方になり、声ももっと低音に。これは単純に「年を取った」ということなのかもしれませんが、大人の歌い方といった印象も受けます。また、バンドサウンドについても、より重低音を聴かせるスタイルに進化。最初、テンポもちょっとゆっくりになったように感じたのですが、曲の長さはオリジナルとほとんど変わらないので、おそらくそれは気のせいでしょう・・・。

また、もともとの10曲と新曲5曲を比べても、微妙にアジカンの進化がわかる点も興味深いところ。オリジナル10曲については、ギターの音などにどこか90年代オルタナ系ギターロックバンドの色合いが濃く感じられ、ちょっと時代も感じる部分があるのですが、新曲に関しては、そういった印象はなく、完全に「アジカンの音」となっています。ただ、オリジナル10曲を含めて、分厚いバンドサウンドとメランコリックさを加味したポップなメロというスタイルは変わらず、再録していた影響もあり、アルバム全体としての統一感はしっかりと保たれていました。

また今回このアルバムを聴いて感じたのは、アルバムタイトルの意味。Wikipediaによると、WEEZERの「サーフ・ワックス・アメリカ」のもじりだそうですが、ある意味、体育会系的な「サーフ」と、文化系的な「ブンガク」を同列に並べている点がユニーク。湘南といえばサーフィンのメッカで、鎌倉といえば文学の印象も強い土地柄。その地域的な幅広さをあらわしているとも言えるのでしょうが、一方で、アジカンの楽曲の中に、体育会系的な分厚い力強いダイナミックなロックのサウンドと、文化系的な繊細なメロディーラインと歌詞の世界観が内包されています。元ネタのWEEZERも、同じようなタイプのバンドなのですが、この逆の方向性の単語を並べたアルバムタイトルには、鎌倉・湘南地域の特質をあらわしているのと同時に、ひょっとしたらアジカンの音楽性もあらわしているのかもしれません。

オリジナルから15年。その間のアジカンの進化も感じることが出来るリメイク版。またアジカンは一時期に比べると、人気面では若干落ち着いてきているのですが、15年前の曲と今の曲を並べたこのアルバムを聴いても、その実力・魅力は全く衰えていないことも感じさせます。オリジナルの収録曲も変化しているので、「オリジナル+半カートン版」で満足するのではなく(「半カートン」版の感想で、このようなことを書いてしまいましたが・・・)、こちらのアルバムも是非ともチェックしてほしいところ。あらためてアジカンの実力を感じさせる傑作でした。

評価:★★★★★

ASIAN KUNG-FU GENERATION 過去の作品
ワールドワールドワールド
未だ見ぬ明日に
サーフ ブンガク カマクラ
マジックディスク
BEST HIT AKG
ランドマーク
THE RECORDING at NHK CR-509 STUDIO
フィードバックファイル2
Wonder Future
ソルファ(2016)
BEST HIT AKG 2(2012~2018)
BEST HIT AKG Official Bootleg "HONE"
BEST HIT AKG Official Bootleg "IMO"

ホームタウン
プラネットフォークス
サーフ ブンガク カマクラ(半カートン)


ほかに聴いたアルバム

マリアンヌの教典/キノコホテル

2022年6月にボーカルのマリアンヌ東雲以外のメンバーが全員脱退。ソロユニットになってしまったキノコホテルのニューアルバム。マリアンヌ東雲、天才肌の職人気質で、やはり他のメンバーはやりにくかったということなのでしょうか。まあ、なんとなくわかるのですが・・・。ソロユニットになっても、基本的にはバンドサウンドを押し出した作品で、いままでのキノコホテルの楽曲と大きな違いはありません。哀愁感たっぷりのムーディーなメロも相変わらず。事実上のソロなので、もうちょっと挑戦してもよいような感じもするのですが、あくまでも今回はいままでのキノコホテルの延長といった感じなのでしょうか。

評価:★★★★

キノコホテル 過去の作品
マリアンヌの憂鬱
マリアンヌの休日
クラダ・シ・キノコ
マリアンヌの恍惚
マリアンヌの誘惑
キノコホテルの逆襲
マリアンヌの呪縛
マリアンヌの革命
プレイガール大魔境
マリアンヌの奥義
マリアンヌの密会

ANTENNA/Mrs.GREEN APPLE

本作にも収録されている「Magic」「ケセラセラ」が大ヒット中のMrs.GREEN APPLEのニューアルバム。ここに来て、バンドとしての人気が上昇してきている彼ら。Adoに提供した「私は最強」のセルフカバーも収録されています。全体的に祝祭色の強い明るいポップソングがメイン。基本的にはいつものMrs.GREEN APPLEなのですが、この誰でも楽しめるような明るいポップチューンが広く受け入れられはじめているということでしょうか。ヒゲダンのような人気バンドに成長していくのでしょうか。

評価:★★★★

Mrs.GREEN APPLE 過去の作品
TWELVE
Mrs.GREEN APPLE
はじめてのMrs.GREEN APPLE
ENSEMBLE
Attitude
5
Unity

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2023年8月10日 (木)

上位をK-POP勢が占めるチャート

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も上位はK-POP勢が占めるチャートとなりました。

まず1位には韓国の男性アイドルグループTREASURE「Reboot」が先週の29位からランクアップし、2週目にして1位獲得。CD販売数1位、ダウンロード数37位。CD販売数が加味された結果のようですが、オリコン週間アルバムランキングでも今週、7万9千枚を売り上げて1位獲得。ただし、輸入盤の発売日が7月28日となっており(集計対象期間は7月31日~8月6日)、ベスト50圏外だった先週の売上からランクアップしての1位獲得となったようです。直近作はミニアルバム「THE SECOND STEP:CHAPTER TWO」の国内盤が初動売上5万4千枚で2位を記録しており、その売上枚数からはアップした結果となっています。

2位も韓国の男性アイドルグループ。NCT DREAM「ISTJ」がランクイン。CD販売数2位、ダウンロード数89位。こちらも先々週にダウンロード数で5位を記録し、17位に初登場。先週はベスト100圏外までランクダウンしていたのですが、CD販売数が今週加わり、ベスト10初登場となっています。オリコンえも今週、3万1千枚を売り上げて3位にランクイン。ただ、オリコンでは先々週に初動売上2千枚で23位にランクインし、先週、9位にランクアップ。今週、3週目にしてのベスト3入りとなった模様です。ちなみに前作「Glitch Mode」は初動売上4万枚で3位に初登場。今週の売上枚数は前作の初動売上よりはダウンしていますが、初登場以来の3週の売上枚数を集計すると4万1千枚になるので、若干、アップという結果となっています。

3位はMISAMO「Masterpiece」が先週の1位から2ランクダウンながらも、ベスト3をキープしています。

さらに今週は4位に同じく韓国の男性アイドルグループSHINee「HARD」がランクイン。こちらは7月5日付チャートで3位にランクインしているので5週ぶりのベスト10返り咲きとなります。輸入盤の日本での売上が8月4日に開始されており、そちらの売上が加味された模様で、CD販売数で4位にランクイン。オリコンでも1万6千枚を売り上げて5位にランクインしています。

そんな訳で、今週は1位から4位にK-POP勢が並んだチャートとなっています。日本勢がようやく登場するのが5位から。5位に山下達郎「SPACY」、6位に同じく山下達郎の「Circus Town」が2枚揃ってランクイン。「SPACY」は1977年、「Circus Town」は1976年にリリースされた作品で、1976年から1982年にRCA/AIR YEARSからリリースされたアルバムをリマスタリングして、レコードとカセットでリリースする企画の第5弾第6弾となります。CD販売数ではそれぞれ5位、6位にランクイン。オリコンでは「SPACY」が初動売上1万4千枚で6位、「Circus Town」が1万2千枚で7位にランクイン。同シリーズの前作「MOONGLOW」「GO AHEAD!」の初動1万1千枚(3位、4位)からアップしています。

7位にはLiella!「Jump Into the New World」が初登場。アニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ!スーパースター!!」に登場する架空のアイドルグループによるミニアルバム。CD販売数7位、ダウンロード数5位。オリコンでは初動売上8千枚で9位初登場。前作「Second Sparkle」の初動2万枚(3位)よりダウンしています。

8位にはSKE48 TeamE「声出していこーぜ!!!」がランクイン。名古屋を拠点に活動するAKB48の姉妹グループの派生ユニット。CD販売数8位、ダウンロード数23位。オリコンでは初動売上7千枚で11位に初登場。前作「SKEフェスティバル」の初動5千枚(10位)からアップ。

最後10位には男性アイドルグループSAD originals「SADs.」が初登場。CD販売数9位。本作がデビューアルバム。オリコンでは初動売上8千枚で10位にランクインしています。

今週のHot100は以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2023年8月 9日 (水)

これで17連覇達成

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

連続1位記録を続けています。

Yoasobiidle

今週もYOASOBI「アイドル」が1位を獲得。ストリーミング数、YouTube再生回数、カラオケ歌唱回数の1位のほか、ダウンロード数も今週は2位から1位にアップ。ただし、先週12位にランクアップしたCD販売数は今週91位と、再び大きくダウンしています。ただし、これで17週連続1位を記録と驚異的なヒットが続いています。

2位にはTHE RAMPAGE「Summer Riot~熱帯夜~」がランクイン。LDH所属の男性ダンスグループによるニューシングル。CD販売数では1位、ラジオオンエア数で3位を獲得。一方、ダウンロード数は35位、ストリーミング数32位、YouTube再生回数73位に留まり、総合順位は2位となりました。オリコン週間シングルランキングでは初動売上22万8千枚で1位初登場。前作「16BOOSTERZ」の初動19万5千枚(2位)よりアップしています。

3位はBTSのメンバーJung Kookのソロシングル「Seven(feat.Latto)」がワンランクダウン。ストリーミング数は先週と変わらず2位をキープ。YouTube再生回数はワンランクダウンの3位。ダウンロード数は10位から14位にダウンしています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、5位に秋元康系、アイドルグループNGT48「あのさ、いや別に…」が初登場。CD販売数2位、その他はランク圏外となり、総合順位は5位となりました。オリコンでは初動売上5万2千枚で2位初登場。前作「渡り鳥たちに空は見えない」の初動4万3千枚(1位)からアップ。メンバー山口真帆への暴行事件で話題となったグループで、なんでこのグループが活動を平気に続けているのか、本当に不思議です。

初登場はあと1曲。10位に宇多田ヒカル「Gold~また逢う日まで~」がランクイン。映画「キングダム 運命の炎」主題歌の配信限定シングル。ラジオオンエア数で1位を獲得。ダウンロード数でも6位を記録していますが、一方、ストリーミング数では54位に留まり、総合順位はギリギリ10位となりました。

一方、ロングヒット曲では、まずVanudy「怪獣の花唄」が先週の9位から7位と再びランクアップ。ストリーミング数5位、カラオケ歌唱回数2位は先週から変わらず。ダウンロード数は24位から27位、YouTube再生回数も15位から16位と緩やかな下落傾向は続いています。これで32週連続のベスト10ヒットとなります。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2023年8月 8日 (火)

コラボ作を集めた久々のニューアルバム

Title:Open The Window
Musician:RHYMESTER

約6年ぶりとなるRHYMESTERのニューアルバム。各曲にゲストミュージシャンを招いた作品で、タイトルの意味も「ベテランだからこそ、今までやったこと無いことをやる=新しい窓を開けていく」という意味だそうです。

今回のアルバム、Amazonのレビューを見る限りではそこそこの好評価のようですが、発売直後では、Twitterで評判が悪く、ちょっとバズったアルバムになってしまいました。低評価の理由としては、久々のニューアルバムであるにも関わらず、既発表のシングル曲が多かった点、及びゲストの参加が多すぎたため、3人だけでの楽曲を聴きたかったという点があげられています。

実際、全11曲中、先行シングルは8曲にも及び、今回のアルバムでの純粋な新曲はたったの3曲。基本的に客演を迎えての楽曲が並ぶという点もあわせて、オリジナルアルバムというよりもむしろ、RHYMESTERの客演集を集めた「ベストバウト」シリーズに近いのでは?とすら思ってしまいます。久々のニューアルバムとしては物足りなさを感じてしまう、という低評価の理由にも納得感があります。

また加えて今回のアルバムに関して私が感じたのは、全体的にポップ過ぎるのではないか、という点でした。先行シングルを多く収録しているということが大きな要因とは思うのですが、良くも悪くも聴きやすい楽曲が並んでいます。結果としてHIP HOPが持っていた「ヤバさ」のような部分があまり感じられません。まあ、ラップがここまで市民権を得た今となって、いまさら「ヤバさ」どうこうというのはそれほど重要ではないかもしれませんが・・・悪い意味でちょっとポップ過ぎないかなぁ、ということは感じてしまいました。「2000なんちゃら宇宙の旅」とか、Eテレのキッズアニメの主題歌で、アニメに沿った内容なだけに、正直、アルバムに収録されるとは思わなかった・・・。

そういったマイナス点はありつつ、ただ、アルバムを聴き終わったトータルの印象としては、よく出来たアルバムという印象を受けました。その大きな理由としてはゲスト陣の参加がプラスに働いている点。アルバム全体としてバラエティー富んだ曲調が大きな特徴となっています。Nulbarichが参加してネオソウル風の「Open The Window」やジャジーな「初恋の悪魔 -Dance With The Devil-」。完全にクレイジーケンバンドの世界になっている「世界、西原商会の世界!」など、ゲスト陣の作風に沿った形での様々な作品が続いていきます。個人的には岡村ちゃんとのコラボ「マクガフィン」が秀逸。岡村ちゃんらしいファンキーな作品がカッコいいナンバーです。

ただ、ゲスト陣についてもちょっと気になる点はあって、正直なところ、ちょっと目新しさはありません。まあ、ジャンル問わず様々なミュージシャンとコラボを行っているRHYMESTERなので、いまさら「意外性のあるゲスト」はなかなかいないかもしれません。しかし、そんな中で注目したいコラボが「Forever Young」でのスチャダラパーとのコラボ。ご存じの通り、RHYMESTERとスチャダラパーといえば、共に、日本のHIP HOP界の黎明期を築いてきたユニット。方向性としては微妙に異なるユニットだっただけに、これがはじめてのコラボのようですが、その両者が手を組んで曲をリリースするということに胸が熱くなります。

全体的に気になるマイナス点も少なくなく、物足りない点があったのも否めないのですが、全体としてはRHYMESTERらしさもはっきりとあわられていたアルバムになっていましたし、何より最後まで楽しむことが出来た作品という意味でも十分「傑作」と言える作品になっていたかと思います。ただ、次回作は、もうちょっと短いスパンで、今後は3人だけでの新曲をもっと聴きたいな、とは感じてしまいましたが。

評価:★★★★★

RHYMESTER 過去の作品
マニフェスト
POP LIFE
フラッシュバック、夏。
ダーティーサイエンス
The R~The Best of RHYMESTER 2009-2014~
Bitter,Sweet&Beautiful
ダンサブル
ベストバウト2 RHYMESTER Featuring Works 2006-2018
MTV Unplugged:RHYMESTER

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2023年8月 7日 (月)

久々の最新アルバムを披露

blur The Ballad of Darren live at Eventim Apollo

会場 Eventim Apollo(オンライン) 日時 2023年7月26日(水)5:00~

今年、約8年ぶりとなるオリジナルアルバムがリリースされたblur。そのニューアルバム「The Ballad of Darren」リリースに合わせて、同曲全曲が披露されるライブが実施。それがオンラインで全世界配信、ということで頑張ってオンラインライブを見てきました。英語のサイトでがんばって決済まで行って・・・でも、正直、そんなに難しくはなかったのですが・・・。

会場はEventim Apolloというロンドンのホール。まさに満員の観客の中でのステージで、観客の期待もムンムンと伝わってきます。このライブをみた段階で、まだニューアルバムは未聴の状態。なのではじめて新曲をこのライブで聴く形となりました。メンバーが登場すると、デーモンとグレアムは襟付きのジャケットで登場し、ある意味、blurらしい都会的な雰囲気のいで立ちでのプレイになっていました。

デーモンはエレピに座って弾き語りながらの演奏。で、冒頭はおそらく1曲目「The Ballad」でこちらはタイトル通りのバラードナンバーで静かに聴かせつつ、続く(おそらくアルバム2曲目の)「St. Charles Square」は実にblurらしい、歪んだメロのギターポップチューンで、彼ららしい楽曲にうれしくなります。さらに(おそらく)「Barbaric」もメロディアスでポップなギターロックナンバーで、こちらも軽快なポップチューンに楽しくなってきます。

その後も次々と新曲が展開していきます。「Russian Strings」はピアノとギターで美しくも切なく聴かせる、メロディーセンスが光るナンバー。簡単なMCも入って、会場は爆笑するのですが、正直、当たり前ですが、何を言っているのかわかりませんでした・・・。そのまま「The Everglades (For Leonard)」と続いたのですが、こちらではステージに控えていたストリングス隊も登場し、美しい音色を聴かせてくれました。

ここでデーモンは椅子から立ち上がりギターを抱えてのステージに。軽いMCの後はギターを弾きつつ「The Narcissist」へ。こちらはメロディアスでポップなギターロック。グレアムやアレックス・ジェームスもコーラスに加わって爽やかな演奏を聴かせてくれます。続いての「Goodbye Albert」はデーモンはエレピの上に置かれたシンセを演奏しつつのステージ。こちらもblurらしいちょっとひねくれたメロの楽しいギターロックナンバーになっています。

再びデーモンがエレピを弾きながらの演奏となったのが「Far Away Island」で、こちらもblurらしさを感じさせる、ひねくれメロのミディアムチューン。続く「Avalon」では、アレックスがステージ上の黒いソファーでくつろぎながら(?)の演奏。そしてアルバムのラストナンバー「The Heights」ではデーモンがアコギを抱えてしんみり聴かせる演奏を聴かせてくれました。

これで本編が終了。メンバー全員が舞台上で挨拶をして去っていきます。ただ、その後も会場からの歓声はなりやまず、やがてメンバーが再登場。アンコールとなりました。アンコールでは、前作「The Magic Whip」から「Pyongyang」、そしてこれはかなり懐かしい「Clover Over Dover」へ!デーモンはマイク1本で、かなり哀愁感たっぷりに歌い上げていした。さらに「Mr.Briggs」「All Your Life」「Theme from an Imaginary Film」とさらに懐かしいナンバーが続きます。

そしてラストは懐かしい「The Universal」をストリングスバックにゆっくり歌い上げます。デーモンはハンドマイク片手に客席まで下りてくるパフォーマンス。ミディアムチューンでしんみり聴かせる曲ながらも会場を盛り上げて、ライブは幕を下ろしました。

ライブは結局、約1時間15分程度で終了。最新アルバムから全曲披露した上で、アンコールでは非常に懐かしいナンバーも披露してくれるなど、なかなか満足度の高いステージでした。blurも一度ライブを見てみたいのですが・・・今年、サマソニに来るんですよね、でも見れない・・・。それだけに配信ライブとはいえ、ライブを見れてよかった。非常に楽しめたパフォーマンスでした。

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2023年8月 6日 (日)

圧巻のライブ音源

Title:CITTA'93
Musician:裸のラリーズ

1960年代から90年代にかけて活動し、ギターのフィードバックノイズを前面に押し出したサイケな音楽性が話題となる一方、アンダーグラウンド中心の活動で、かつ、リリースされた音源も少なかったため、「伝説のバンド」として日本のみならず海外でも注目を集めていた裸のラリーズ。一説には、中心メンバーである水谷孝が、あえて音源のリリース数を減らして「伝説」を自己演出した部分がある点が指摘されているようですが、実際、2019年に水谷が逝去した後、裸のラリーズの音源のリリースが相次いでいます。昨年はこのサイトでも紹介しましたが、唯一の公式アルバムだった3枚のアルバムがリリース。そして今回リリースされたのは1993年2月17日に川崎のCLUB CITTAで行われたライブの模様を収録したライブアルバム。かつでメンバーとして参加していたこともあった久保田真琴がミキシングを手掛け、そのライブの模様が再現された作品となっています。

裸のラリーズについては、既にオリジナルアルバム3枚を聴いているのですが、今回のライブ盤についてはその内容からは大きな変化はありません。そもそも、その既発表のアルバムも基本的にはライブ盤ですしね。ライブは非常に狂暴なギターノイズからスタートし、これから来るステージの雰囲気を予感させるかのようにスタート。ライブ盤のうち1枚目については10分程度の長さの曲が6曲収録されていますが、裸のラリーズのサイケな側面だけではなく、意外とポップさを感じるフォークロックとしての側面も押し出したような内容になっています。例えば「記憶は遠い」は狂暴なギターノイズは後ろに下がり、メランコリックなメロを聴かせる歌モノのナンバーに。1枚目の最後を飾る「鳥の声」も、歪んだギターサウンドを奏でている一方、楽曲自体はメランコリックなフォークロックな側面を感じます。

もちろん、冒頭を飾る「夜、暗殺者の夜」「夜より深く」のようなフィードバックノイズで埋め尽くされるサイケな楽曲も多く、その音楽性に圧倒されるのは間違いありません。ただ、ちょっと気になったのは、前述の通り、60年代や70年代の楽曲そのままだった、という点。60年代や70年代を考えると、圧倒的な先駆性のあったラリーズのサウンドも、既に海外でSonic YouthやMy Bloody Valentineがあらわれている1993年という年を考えると、目新しさがちょっと薄くなってしまっている面は否めません。特にフォークロックな側面に関しては、60年代的な側面も強く、もし私が、1993年にリアルタイムでライブ会場で聴いたら、ちょっと「?」と感じてしまう部分もあったかもしれません。

ただ、とはいっても、これでもかというほど繰り広げられる狂気を秘めたフィードバックノイズの嵐は、ソニックユースやマイブラ登場後においても圧巻な存在であることは間違いないでしょう。特にそれを感じさせるのがDisc1の方。「Darkness Returns 2」は24分、「The Lst One_1993」は39分にも及ぶ長尺の曲なのですが、これでもかというほどのギターノイズの嵐に、ミニマル的なリズムが延々と続く内容で、このギターノイズの嵐の中、軽くトリップできるようなサウンドを繰り広げられています。Disc1では、90年代という時代に、70年代をそのままパッケージしたような部分に若干の疑問を抱いたのですが、Disc2の圧巻の演奏に関しては、脱帽の一言。裸のラリーズというバンドが、時代を超えた孤高の存在であることを証明した音源となっていました。

あらためて裸のラリーズというバンドのすさまじさを感じせてくれるライブアルバム。2枚組とはいえ、CDのみの内容で5,000円というお値段がちょっと高い感もあるのですが、その値段も十分元が取れる音源だったと思います。水谷孝逝去後に、音源の解放が続くラリーズですが、これからもまだまだ音源のリリースは続きそう。とても楽しみです!

評価:★★★★★

裸のラリーズ 過去の作品
67-’69 STUDIO et LIVE
MIZUTANI / Les Rallizes Dénudés
'77 LIVE


ほかに聴いたアルバム

LA PASSION/三柴理

元筋肉少女帯のピアニストで、現在は特撮のメンバーとして活動しているほか、様々なミュージシャンのサポートを手がけている三柴理。かなり独特で、ある種の変態性のあるピアノプレイが特徴的で、個人的に大好きなピアニストなのですが、本作はその彼のベスト盤となります。彼のベスト盤は2019年にリリースされたばかりで、ちょっとスパンが短すぎな感じがするのですが・・・。今回は筋少やTOTO、QUEENのカバーやクラシック曲も収録。全体的にメロディアスでクラシカルな曲が多く、個人的に好みな「変態性」のある曲は残念ながら少なかったような印象もあります。それでも美しいピアノの調べに惹かれる1枚でした。

評価:★★★★

三柴理 過去の作品
BEST of PIANISM

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2023年8月 5日 (土)

解散ライブの映像をフル収録

1999年から2002年という実質わずか3年の活動だったにも関わらず、多くの音楽ファンを魅了し、多くのロックバンドにも影響を与えた「伝説のバンド」NUMBER GIRL。そのバンドが2019年に再結成を果たして大きな話題となりました。先日、そのNUMBER GIRLのラストライブの模様を収録したライブアルバムを紹介しましたが、ライブアルバムと同時にリリースされたBlu-rayも購入したので、今回はその感想です。

Blu-rayは2枚組。本編の方は、先日のライブアルバムと同様、2022年12月11日に、横浜にあるぴあアリーナMMで行われたラストライブの模様を完全収録したもの。ライブアルバムの方もほぼ完全収録だったのですが、ライブアルバムの方で若干カットされていたMCや曲間の部分も収録されています。

まず映像を見てちょっとビックリしたのは、会場が広い!人が多い!!前回の活動の時は、ラストライブでもZeppクラス。ワンマンライブで一番大きいキャパでも日比谷野音クラスだっただけに、広い会場にギッシリと入った人の多さにはビックリしました。解散から20年という月日を経て、むしろ注目度があがったというのも驚いてしまいます。

また、映像作品でクローズアップで見ると、みんな老けた大人になったなぁ、ということを感じます。向井秀徳自体はもともとあのルックスなので、あまり変わらない・・・と思って昔の写真を見ると、むしろ昔は若かったなぁ、と感じてしまいますが。以前の活動していたころから、もう20年近くの月日が経つのか、あっという間だったな、と自分も感慨深くなってしまいますが、逆に自分のこの20年間に起きた出来事を考えると、確かにそれだけの月日は過ごしてきたんだよなぁ、とナンバガの活動に自分を照らし合わせてしまいました。

演奏自体は、ライブ音源と同様なので、あらためてコメントすることはあまりありませんが、ただ、バンドの演奏する映像を見ると、そのテクニックのすごさ、バンドとしての一体感をあらためて強く印象付けられます。やはりNUMBER GIRLは唯一無二のすごいバンドだったということを再認識しました。

そしてもう1枚のBlu-rayの方は「ライジングでのNUMBER GIRL」と「NUMBER GIRL 再結成ドキュメント映像」が収録。「ライジングでのNUMBER GIRL」は再結成の目的だった「RISING SUN ROCK FESTIVAL」の2022年での映像を収めたもの。オフショット映像も含まれており、(意外と)和気あいあいとしたメンバーの姿も垣間見れます。オフショット映像を見ると、このメンバー4人が並んでいる姿に胸が熱くなってきます。ただ「RISING SUN」でのライブ映像は一部のピックアップだったのも残念。こちらもフルでのライブ映像を見たかったなぁ。

もう1つの再結成ドキュメントは、再結成直後のミーティングの模様から、その後のライブツアーやコロナ禍になって無観客となったライブの映像、ライジングやラストライブの模様や日テレの「スッキリ!」に出演した時の映像もおさめられており、再結成後、再度の解散までの映像が駆け足的にではありますが、収録されています。こちらは貴重な記録映像といった感じですが、正直、わずか30分強の内容だとちょっと物足りなかったかも。もうちょっと長い時間、見たかったかも、と感じてしまいました。

とはいえ、Disc2の特典映像も加えて、NUMBER GIRLの魅力をドップリと感じられた映像作品。ライブアルバムと共に、全ロックファン必見の作品だと思います。これを最後に再度解散してしまった彼らですが、なんとなくまた10年後くらいに再々結成しそうな感じもしますし、ライブ音源や映像を多くリリースしている彼らなので、ライブツアーの音源や映像もまたリリースしそうな予感も。そちらの方も期待したいところです!

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2023年8月 4日 (金)

2023年上半期 邦楽ベスト5

火曜日に引き続き、今回は邦楽の上半期ベスト5です。

5位 タオルケットは穏やかな/カネコアヤノ

聴いた当時の感想は、こちら

アルバムをリリースする毎に安定した傑作アルバムを聴かせてくれる女性シンガーソングライターの新作。ギターサウンドやバンドサウンドを前面に押し出したサウンドと、対照的なフォーキーなメロディーライン、さらにそれに負けない力強い彼女のボーカルが印象的で、ロックで、時としてサイケな色合いの強いサウンドをバックにしながらもしっかりと「歌」を届けてくれる1枚となっていました。

4位 映帶する煙/君島大空

聴いた当時の感想は、こちら

こちらは今、注目の男性シンガーソングライターによる1枚。ヘヴィーなギターサウンドを用いた曲があったり、アコースティックな楽曲があったり、さらにはエレクトロサウンドを取り入れたり、様々なサウンドをサンプリングした曲があったりと、実に自由度の高い作風。さらにハイトーンボイスで静かに聴かせる彼のボーカルも印象に残る作品に。毎回、傑作をリリースし続けてきた彼ですが、現時点での集大成とも言える作品に仕上がっていました。

3位 12/坂本龍一

聴いた当時の感想は、こちら

以前から癌による闘病生活を続けている中、今年3月、惜しまれつつこの世を去った坂本龍一の、最後となったオリジナルアルバム。本作は彼の闘病生活の中で日記を描くように作成された作品で、それぞれ作成した日付が曲名となっています。ピアノの音色をひとつひとつ紡いで作り上げたアンビエントな作品で、メロディアスな作品がありつつも、あくまでも「音」の美しさを追求したような作品となっており、最後の最後まで音楽家としての意欲が失われていなかったことを感じさせます。あらためて惜しい天才を亡くしたことを感じさせる作品でした。

2位 e o /cero

聴いた当時の感想は、こちら

おそらく、「2023年を代表するアルバム」として今後も聴き継がれそうな予感のする傑作アルバム。もともとアルバム毎に高い評価を更新してきた彼らが、2023年にあらたに生み出した、バンドとしてさらなる高みに到達したアルバム。前半はサウンドと歌声が融合した、最小限に絞ったサウンドが広い空間を作り出しているような作品に、一方後半は歌を前に出してきたメロディアスな楽曲が続き、アルバムの幅を作り上げています。文句なしに今年を代表する傑作です。

1位 RABBIT STAR★/水曜日のカンパネラ

聴いた当時の感想は、こちら

ceroの新作に大絶賛を与えつつ、2023年上半期に文句なしに一番はまったアルバムは本作。水カンで上半期1位となるのは2017年の「SUPERMAN」以来なのですが、詩羽にボーカルがチェンジして2年弱。すっかり水カンのボーカル=詩羽となったことを実感させられますし、なによりも楽曲の楽しさという意味ではコムアイ時代の曲に勝るとも劣らない名曲揃いで、6曲入りのアルバムなのですが最後まで耳を離す瞬間のない充実作に仕上がっていました。詩羽のボーカルとしての実力もさることながら、ケンモチヒデフミの衰えない才能にも驚愕させられる、文句なしの傑作アルバムでした。

ほかのベスト盤候補は・・・

あのち/GEZAN with Million Wish Collective
今の二人をお互いが見てる/aiko
イノセント/スガシカオ

率直に言うと、邦楽について数的にはちょっと不作気味だったように感じます。ただ、上位5枚については、おそらくどの年でも上位に食い込んでくるような傑作が並んでいたと思います。あらためて5枚を並べると

1位 RABBIT STAR★/水曜日のカンパネラ
2位 e o/cero
3位 12/坂本龍一
4位 映帶する煙/君島大空
5位 タオルケットは穏やかな/カネコアヤノ

下期はさらなる傑作の登場を願いつつ・・・

2007年 年間1 
2008年 年間1  上半期
2009年 年間1  上半期
2010年 年間1  上半期
2011年 年間1  上半期
2012年 年間1  上半期
2013年 年間1  上半期
2014年 年間1  上半期
2015年 年間1  上半期
2016年 年間1  上半期
2017年 年間1  上半期
2018年 年間1  上半期
2019年 年間1  上半期
2020年 年間1  
上半期
2021年 年間1  上半期
2022年 年間1  上半期

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2023年8月 3日 (木)

K-POP勢が上位にランクイン

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

上位にはK-POPのアイドル勢が並んでいます。

1位初登場はMISAMO「Masterpiece」がランクイン。韓国の女性アイドルグループTWICEのうち、日本人メンバー3人によるユニットのデビューミニアルバム。CD販売数1位、ダウンロード数4位。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上15万4千枚で1位初登場。

2位はこちらも韓国の男性アイドルグループSEVENTEEN「FML」が先週の35位からランクアップし、10週ぶりのベスト10返り咲きとなっています。CD販売数が34位から2位に大きくランクアップ。オリコンでも今週、10万5千枚を売り上げてベスト10返り咲きを果たしています。ただ、今週、いきなりCDの売上が大きくランクアップした理由が不明・・・いろいろと調べたのですが、いまひとつわかりませんでした・・・。

3位には女性シンガーAimer「Open α Door」が初登場でランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数1位。「残響散歌」がアニメ「鬼滅の刃」主題歌となり大ヒットを記録しましたが、同曲も収録されているフルアルバムとしては約2年3ヶ月ぶりの作品となります。オリコンでは初動売上1万9千枚で3位初登場。直近作はミニアルバム「Deep down」で同作の初動1万7千枚(3位)より若干のアップ。フルオリジナルアルバムとしての前作「Walpurgis」の初動1万3千枚(4位)よりもアップ。ただし、その前作「Sun Dance」「Penny Rain」は初動3万7千枚、3万6千枚(2作同時リリース)でしたので、そこと比べると、「鬼畜の刃」効果は限定的だった模様です。

続いて4位以下の初登場盤ですが、韓国の男性アイドルグループEXO「EXIST」が先週の11位からランクアップし、ベスト10入り。CD販売数3位。オリコンでも今週1万5千枚を売り上げて、ランクイン3週目にして5位にランクアップし、ベスト10に初登場。先々週に初動売上2千枚を売り上げた後、徐々に売上枚数を上げてランクインしています。なお、直近作「Don't Fight the Feeling」は初動5万枚(9位)でしたので、初動売上はこちらよりはダウン。ただ、累積枚数は上回っています。

5位には和楽器バンド「I vs I」がランクイン。和楽器と洋楽器をハイブリッドさせたロックバンドによるニューアルバム。CD販売数5位、ダウンロード数3位。オリコンでは初動売上1万4千枚で6位初登場。直近作はボーカロイド楽曲のカバーアルバム「ボカロ三昧2」で、同作の初動売上2万枚(4位)からダウン。オリジナルアルバムとしての前作「TOKYO SINGING」の初動2万枚(5位)からもダウンしています。

7位には大間々昴「機動戦士ガンダム 水星の魔女 Original Soundtrack」が初登場。アニメ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」のサントラ盤。CD販売数8位、ダウンロード数11位。オリコンでは初動売上6千枚で15位初登場。

最後、10位初登場斉藤和義「ROCK'N ROLL Recording Session at Victor Studio 301」。斉藤和義が自らセレクトした12曲を、スタジオ一発録りレコーディングを行ったデビュー30周年記念アルバム。CD販売数11位、ダウンロード数40位。オリコンでは初動売上6千枚で12位初登場。直近のオリジナルアルバム「PINEAPPLE」の初動9千枚(6位)よりダウン。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2023年8月 2日 (水)

ジブリ映画主題歌がジワリとランクアップ

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

これで16週連続の1位獲得となりました。

Yoasobiidle

1位はYOASOBI「アイドル」が獲得。ストリーミング数、YouTube再生回数、カラオケ歌唱回数で1位。ダウンロード数は2位を獲得。また今週、CD販売数が84位から12位に大幅にアップしていますが、これはアナログ盤のリリースがあった影響のようです。

そして2位には先週3位だった米津玄師「地球儀」がジワリとランクアップ。ダウンロード数は先週と変わらず1位。ストリーミング数は11位から14位とダウンしたものの、YouTube再生回数が6位に初登場。また、今週、CDリリースがあった影響でCD販売数が3位にランクインし、ランクアップの大きな要因となっています。オリコン週間シングルランキングでは初動売上7万枚で1位初登場。前作「KICK BACK」の初動30万枚(1位)から大きくダウン。シングルは写真集付きで、1曲のみ収録で2,000円超えはさすがに一部のファンしか買わなかった模様です。映画は大ヒット中ですが、ストリーミング数は伸び悩んでおり、ロングヒットは難しいか?

3位は先週まで2位だったBTSのメンバーJung Kookのソロシングル「Seven(feat.Latto)」がワンランクダウン。ダウンロード数が2位から10位にダウンしたものの、ストリーミング数及びYouTube再生回数は2位をキープしています。

続いて4位以下の初登場曲ですが、今週はCDランキングで上位にランクインした曲が初登場で並んでいます。まずは秋元康系女性アイドルグループ日向坂46「Am I ready?」が4位にランクイン。CD販売数1位、ダウンロード数28位。オリコンでは初動売上44万8千枚で1位初登場。前作「One choice」の初動47万3千枚(1位)からダウンしています。

ハロプロ系女性アイドルグループOCHA NORMA「ちょっと情緒不安定?・・・夏」が6位に初登場。CD販売数で2位、ダウンロード数27位。オリコンでは初動売上7万7千枚で2位初登場。前作「運命 CHACHACHACHA~N」の初動7万4千枚(2位)から若干のアップとなっています。

CDランキング上位組はもう1曲。7位にLIL LEAGUE from EXILE TRIBE「Higher」がランクイン。LDH所属の男性ダンスグループですが、バリバリのガテン系が多かったいままでのグループと比べて、明らかにアイドルのカテゴリーを目指したようなグループになっています。オリコンでは初動売上5万4千枚で4位初登場。前作「Hunter」の初動8万2千枚(1位)からはダウン。

ロングヒット曲ではVaundy「怪獣の花唄」が先週からワンランクダウンながらも9位をキープ。ストリーミング数5位、カラオケ歌唱回数2位は先週から変わらず。一方、ダウンロード数は20位から24位と再びダウン。YouTube再生回数も13位から15位と、全体的には緩やかな下落傾向は続いています。ただ、これでベスト10ヒットは連続30週となりました。

一方今週はMrs.GREEN APPLE「ケセラセラ」が14位にダウンし、通算ベスト10ヒットは12週でストップ。ただし、今週も「Magic」から6位から2ランクダウンとはいえ8位に、「青と夏」もワンランクダウンながらも10位とベスト10をキープしており、今週も2曲同時ランクインを記録しています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2023年8月 1日 (火)

2023年上半期 洋楽ベスト5

灼熱の日が続いていますが、今年も半分以上が経過。早くも恒例、上半期私的ベストアルバムの紹介です。

5位 Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd/Lana Del Rey

聴いた当時の感想は、こちら

最近、積極的なアルバムリリースが続き、なおかつどの作品も傑作揃いというLana Del Rey。本作も前作からわずか約1年半というインターバルで届けられたニューアルバム。全体的にシンプルで、あくまでも彼女の美しい歌を聴かせようとするスタイルのアルバムに仕上がっているのですが、シンプルな内容ながらも最後まで全くダレることなく一気に聴くことが出来るあたりに、彼女の実力を感じさせます。安定の傑作です。

4位 After the Magic/Parannoul

聴いた当時の感想は、こちら

最近は日本のみならず世界で高い人気を誇るK-POP勢ですが、本作はそんなアイドルポップから一線を画する韓国発の宅録系ミュージシャンのアルバム。シューゲイザーにダイレクトに影響を受けた作品で、終始、ギターのホワイトノイズで埋め尽くされたサウンドに、バックでキュートなメロディーラインが鳴り響くという、シューゲイザー好きならたまらない楽曲が繰り広げられています。ちなみに同作のキャッチコピーは「このアルバムは、あなたが期待するものではなく、私がいつも望んでいたものです」と、いかにもオタク志向の発想は、世界共通なんですね。

3位 the record/boygenius

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それぞれがソロミュージシャンとしても活動しているPhoebe Bridgers, Julien Baker, Lucy Dacusから結成されたスーパーグループ。3人とも、それぞれ個性が異なるミュージシャンで、オルタナ系ギターロックからフォーキーでアコースティックな作品まで、3人の個性がそのまま反映された内容が非常にユニーク。それぞれの個性をしっかりと際立たせつつ、アルバム全体としてなぜか統一感も覚えるのが不思議。本作はビルボードチャートでも上位にランクインし、人気の面でもブレイクした作品になっていますが、その人気のほども納得の傑作でした。

2位 10,000 gecs/100 gecs

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100 gecsはアメリカのハイパーポップデゥオ。様々なポップチューンがつまった非常に楽しいアルバムで、ベタな表現をすれば「おもちゃ箱をひっくり返した」ようなアルバム。エレクトロやハードコア、HIP HOPやスカなどを1枚のアルバムにまとめて、まさしく何でもありな1枚。アルバムの長さも10曲27分という短い内容で、あっという間に曲が展開していくスリリングな作品に仕上がっています。コミカルな作風も楽しく、なによりも純粋に音楽の楽しさを感じさせてくれる傑作でした。

1位 Raw Saw God/Wednesday

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昨年、上期洋楽ベストで1位を獲得したのはMJ Lendermanの「Boat Songs」でした。そして、その彼が所属するバンドがWednesday。今年は、そのWednesdayのニューアルバムが1位です!MJ Lendermanの「Boas Songs」同様、シューゲイザーや、80年代インディーロックの影響を色濃く受けたサウンドに、一方では暖かいカントリーの作風を融合し、独特のサウンドを作り上げています。時にはダイナミックに、時には懐かしさも感じさせる曲調が特徴的。文句なしに上半期に一番はまった傑作アルバムでした。

そんな訳で上半期ベスト5を並べると

1位 Raw Saw God/Wednesday
2位 10,000 gecs/100 gecs
3位 the record/boygenius
4位 After the Magic/Parannoul
5位 Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd/Lana Del Rey

ほかのベスト盤候補を並べると・・・

Ever Loser/IGGY POP
This Stupid World/Yo La Tengo
Desire,I Want to Turn Into You/Caroline Polachek
Dogsbody/Model/Actriz
First Two Page of Frankenstein/The National
Multitudes/Feist
But Here We Are/Foo Fighters

今年も結構、傑作の多い上半期になったと思います。特に5位のLana Del ReyとYo La Tengo「This Stupid World」は、最後までどちらを5位にするか迷った、まさに同率5位とも言える内容の傑作。下期も、このペースで数多くの傑作アルバムに出会いたいです!

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