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2023年7月 8日 (土)

木下理樹の世界観がさく裂

Title:luminous
Musician:ART-SCHOOL

最近は、比較的不安定な活動が続いているART-SCHOOL。2014年に活動休止を発表したものの、2015年末には活動再開。かと思えば、2019年には木下理樹の体調不良により再び活動休止。ただ2022年に活動再開。そして実に約5年3ヶ月ぶりとなるオリジナルアルバムのリリースとなりました。

そんな久々となるオリジナルアルバムは、ART-SCHOOLらしさが存分に表れたアルバムになっていました。まずはそのサウンド。基本的にシューゲイザーやオルタナ系ロック直系のノイジーなギターロック。冒頭の「Moonrise Kingdom」から、まずホワイトノイズが埋め尽くすようなシューゲイザー色強いイントロが心地よいですし、続く「ブラックホール・ベイビー」や中盤の「I remember everything」も疾走感あるヘヴィーなバンドサウンドが印象的な作品になっています。

基本的にはノイジーなギターロックが続く作品になっているのですが、途中、モータウンビート風の軽快なギターポップの「2AM」や、ギターの戸高賢史がボーカルをつとめる「Heart of Gold」なども組み込まれており、ここらへんは楽曲としてバリエーションの広がりを感じさせます。

また、歌詞の世界もいつものように木下理樹のワールドが広がっており、こちらもART-SCHOOLらしさを感じる作品に。美しい清らかな「君」を愛する、汚れた「自分」を歌う、切なく美しいラブソングが胸をうちます。そんな二人を光に誘われる虫に例えば「Bug」や、ストレートに「I Adore You=君のことが愛しい」と歌う、タイトルそのまま「I Adore You」「End of the world」というタイトルで「I'm with you/何があっても/I'm with you/二人だけさ」と歌うのは、ちょっとベタな感じもするのですが・・・そのわかりやすさもまた、ひとつの魅力に感じます。ユニークなのは木下理樹だけではなく、今回、戸高賢史ボーカル曲では彼が歌詞を書いているのですが、彼が作詞を行った「Teardrops」でも似たような世界観の歌詞になっておる、アルバム全体で統一感のある内容になっています。

それなりにバリエーションはもたせつつも、アルバム全体は王道路線のオルタナ系のバンドサウンドが流れており、聴いていてすんなり楽しめる内容に。ノイジーで、ちょっとダウナーさもあるサウンドに、木下理樹の書くメランコリックなサウンドや、彼の気だるいボーカルもピッタリとマッチ。久々の新作ですが、ART-SCHOOLらしさがあふれた作品になっており、聴いていてとても心地よくなる作品でした。

これからはコンスタントに活動を続けていくのでしょうか。あらためてART-SCHOOLの魅力を感じ、その実力を実感できた傑作でした。

評価:★★★★★

ART-SCHOOL 過去の作品
Ghosts&Angels
ILLMATIC BABY

14 SOULS
Anesthesia
BABY ACID BABY
The Alchemist
YOU
Hello darkness,my dear friend
Cemetery Gates-B SIDES BEST-
In Colors
Just Kids.ep


ほかに聴いたアルバム

潮騒UNLIMITED/LIVE IN TOKYO 20221103/遊佐未森

昨年11月に東京大手町の三井ホールで開催されたライブの模様を収録したライブアルバム。直近のアルバム「潮騒」からの曲がメインなのですが、「暮れてゆく空は」のような懐かしいナンバーも加わっています。基本的にアコースティックなアレンジで、ファンタジックな空気感も漂うステージで、最近の曲も「暮れてゆく空は」のような昔の曲も違和感なくマッチしており、いい意味でも彼女の変わらなさも感じます。遊佐未森も一度くらい、ライブに行ってみたいな。

評価:★★★★

遊佐未森 過去の作品
銀河手帖
Do-Re-Mimo~the singles collection~
淡雪
VIOLETTA THE BEST OF 25 YEARS
せせらぎ
PEACHTREE
潮騒

サーフ ブンガク カマクラ(半カートン)/ASIAN KUNG-FU GENERATION

Akg_han

ASIAN KUNG-FU GENERATIONが2008年にリリースした、江ノ電の駅をモチーフとした楽曲を並べたコンセプト的なアルバム「サーフ ブンガク カマクラ」。7月5日に当初のバージョンでは収録されなかった江ノ電の駅を追加して、「完全版」としてリリースされる予定になっています。本作は、それに先立ち、配信限定のEP盤として、リリースされた作品。追加収録される5曲に、このEP盤のみに収録される、バンドCARAMELMANのカバー「湘南エレクトロ」を収録した6曲入りのアルバムとなっています。

基本的にはこのEP盤のみで収録されている「湘南エレクトロ」目当てで聴いたのですが、この曲は2分弱の短いインスト曲。まあ、ストリーミングとかで聴けるので、この曲のみチェックするのは悪くはないけど…といった程度の印象。残り5曲については基本的にはアジカンらしい分厚いバンドサウンドで装飾されたメロディアスなギターロック。目新しさはありませんが、アジカンらしさにある意味、安心して聴ける内容になっています。「完全版」の中でこの5曲がどのように聴こえるのかも楽しみですが…まあ、既にリリース済の「サーフ ブンガク カマクラ」のオリジナルと組み合わせて、既に「完全版」にすることは可能なんですけどね。

評価:★★★★

ASIAN KUNG-FU GENERATION 過去の作品
ワールドワールドワールド
未だ見ぬ明日に
サーフ ブンガク カマクラ
マジックディスク
BEST HIT AKG
ランドマーク
THE RECORDING at NHK CR-509 STUDIO
フィードバックファイル2
Wonder Future
ソルファ(2016)
BEST HIT AKG 2(2012~2018)
BEST HIT AKG Official Bootleg "HONE"
BEST HIT AKG Official Bootleg "IMO"

ホームタウン
プラネットフォークス

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