ヘヴィネス路線に回帰
Title:In Times New Roman...
Musician:Queens of the Stone Age
前作から約6年ぶりとなるアメリカのロックバンド、Queens of the Stone Ageの最新作。以前からロックリスナーの間では高い評価を受けていた彼らですが、前々作「...Like Clockwork」でバンド初となる全米1位を獲得。前作「Villiains」は全米チャートでは3位に留まったものの、全英チャートでは見事1位を獲得。確固たる人気を確保しています。
前作「Villains」は、エイミー・ワインハウスやアデルも手掛けたヒットメイカー、マーク・ロンソンをプロデューサーとして迎え、いい意味でポップ路線にシフト。結果としてQueens of the Stone Ageとも相性バッチリの傑作アルバムをリリースしてくれました。今回のアルバムはバンドによるセルフプロデュースの作品となっており、バンドとしての新たな一歩を踏み出した形でのアルバムとなっています。
まず今回のアルバムで聴いていて感じたのは、ロックを聴く気持ちよさを感じることの出来る作品だった、という点でした。ヘヴィーなギターリフを主軸とした作風の曲が多く、ロックの持つダイナミックさを体現化したような作品。序盤の「Obscenery」「Paper Machete」とヘヴィーなギターリフを前面に押し出した作品からまずはスタートしますし、その後も基本的にバンドサウンドのヘヴィネスさを前に押し出したような曲が並びます。
ここ「Era Vulgaris」以降の数作、比較的ポップな作風を前に押し出していた作品が続いていましたが、今回の作品は「Era Vulgaris」以前のヘヴィネス路線に戻ったような印象を受ける楽曲。メロディーライン的にもマイナーコード主体のメランコリックでちょっと不穏さを感じさせる作品となっており、いかにもハードロックといった印象を作品になっていました。
前作「Villains」は、マーク・ロンソンをプロデューサーとして迎えることにより、古き良きハードロック路線を今風の音楽にアップデートする作品になっていました。今回のアルバムに関しても、決して「古臭いハードロックに戻った」といった感じはありません。ただ、どちらかというと、今風の音楽にアップデートする、というよりも、よく言えば以前からのQueens of the Stone Ageらしさをより表に出した作品に。悪くいってしまうと、一歩、後退した…と言えなくもない作品になっています。
そういう意味では若干評価に迷う部分のある作品ではあるのですが、ただ、昔ながらの音楽だの今風の音楽だの言う以前に、やはりロックとしての心地よさを感じるアルバムで、聴いていてとても気持ちの良かった作品であることは間違いありません。ここらへんのロックバンドとしてのダイナミズムさはやはり彼らの大きな魅力。そんなQueens of the Stone Ageの魅力がしっかり出ていたアルバムなのは間違いないでしょう。彼ららしさを強く感じる新作でした。
評価:★★★★★
Queens Of The Stone Age 過去の作品
ERA VULGARIS
...Like Clockwork
Villains
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