そのジャケット写真の印象とは異なり・・・
Title:Fountain Baby
Musician:Amaarae
めっちゃセクシーなジャケット写真に目がいく本作は、アメリカはブロンクス出身のガーナ系アメリカ人の女性シンガーソングライターによる新作。2枚目となる本作は、各種メディアなどに高い評価を受けており、注目を集めています。
彼女に対する音楽の説明として、ポップ、R&Bとアフロビートの融合という書き方をされており、実際に彼女の楽曲の大きな特徴として、アフロビート直系のトライバルなサウンドがあります。イントロ曲に続く2曲目「Angels in Tibet」や続く「Co-Star」もトライバルなビートが特徴的ですし、「Big Steppa」もホーンセッションがアフロビートっぽさを強く感じさせる作品に。その後も「Counterfeit」や「Disguise」などといったトライバルなビートが特徴的な曲が目立ちます。
しかし、そんな彼女の曲のもうひとつの大きな特徴であり魅力でもあるのがそのボーカルでしょう。アフロビートというサウンドや、このジャケット写真のようなルックスから生じるイメージに反して、ウィスパーボイス気味の非常にキュートなボーカルが特徴的。前述の「Angels in Tibet」も「Co-Star」も、そのキュートなボーカルが故に、ともすれば、K-POP系の女性アイドルのポップ??とすら感じるほどのポピュラリティーとキュートさを併せ持った楽曲に仕上がっています。
その後も「Reckless&Sweet」も哀愁たっぷりのメロディーラインがポピュラリティーがあり、そのキュートなボーカルともマッチして魅力的な作品ですし、「Sociopathic Dance Queen」もタイトル通り、リズミカルなテンポのキュートなポップになっており、非常に魅力的なポップチューンに仕上げています。
一方では「Sex,Violence,Suicide」の最後にはパンキッシュなギターサウンドが突然入ってきたり、ラストの「Come Home To God」もギターサウンドが入ってきたりと、「ロック」な側面も。ここらへん、雑食的な音楽性もひとつの魅力でしょう。個人的には、ウィスパー気味なキュートなボーカルと、雑食的な音楽性も相まって、YUKIとかCharaあたりを彷彿とさせる部分も感じました。
ちなみに「Wasted Eyes」では、なぜか日本のギャルの会話がサンプリングされていたりして、この点もユーモラスさを感じます。海外からすると、言葉の意味はわからなくても、どこか不思議な印象を受けるのでしょうか?日本人にとってみては非常にインパクトのある曲だったりします。
そんな訳で、ジャケット写真の印象とは異なり、非常にキュートでポップで、いい意味で聴きやすさのある楽曲が魅力的。現時点では、アメリカ本国でもブレイク前のミュージシャンなのですが、今後は徐々に注目度も高まり、ブレイクしそうな予感もあります。今のうちにチェックしておきたいミュージシャンです。
評価:★★★★★
ほかに聴いたアルバム
Dr. John: The Montreux Years/Dr.John
世界最大級の規模であり、55年にも及ぶ長い歴史を持つ、モントルー・ジャズ・フェスティバル。本作は、そのフェスティバルで録音された音源を集めた「The Montreux Years」シリーズの最新版。2019年に亡くなったレジェンド、Dr.Johnの音源を集めた1枚。ピアノで軽快な演奏を聴かせてくれる、終始ご機嫌なパフォーマンス。ジャズ、ブルースや曲によってはブギウギ、ラテン、ファンクなどの曲調の作品もあり、彼の幅広い音楽性を感じさせる作品となっています。
評価:★★★★★
Dr.John 過去の作品
Locked Down
Ska-Dat-De-Dat:Spirit of Satch
Live In Sweden 1987(Johnny Winter with Dr.John)
Adderall/Slipknot
サプライズリリースとなった6曲入りのEP盤。とはいえ、基本的には表題曲のバージョン違いが並んでいるような構成。基本的にSlipknotらしいダークでヘヴィーな作風ながらも、メランコリックなメロディーラインやピアノの音色が美しく奏でられ、不気味さと美しさが同居したようなスタイルが魅力的な作品になっています。短い内容ながらもSlipknotの魅力を感じさせるEPでした。
評価:★★★★
slipknot 過去の作品
All Hope Is Gone
ANTENNAS to HELL
We Are Not Your Kind
The End,So Far
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2023年」カテゴリの記事
- マッドチェスタームーブメントの楽曲を網羅的に収録(2023.12.24)
- 全盛期oasisの充実ぶりを物語る名盤(2023.12.15)
- 荒々しさを感じる初期ライブ盤(2023.12.12)
- 新曲が加わり大幅にボリュームアップ!(2023.12.11)
- 本来の意味での・・・「エモい」アルバム(2023.12.03)
コメント