サイケでバリエーションあるサウンドが魅力的
Title:Girl with Fish
Musician:feeble little horse
本作がフルアルバムとしては2作目となるアメリカのインディーロックバンドによる最新作。前作「HayDay」も注目を集めたようですが、2作目となる本作も各種メディア等で高い評価を受け、徐々に注目を集めてきています。
特徴としてはノイジーなギターサウンドをベースとしたバンドサウンドをバックにキュートな女性ボーカルがポップなメロを歌うというスタイル。正直なところ、最近、この手のインディーロックバンドは結構見かけるかも・・・という印象もあります。そんな中で彼女たちの特徴としては、このタイプのバンドによくありそうなシューゲイザー直系というよりも、サイケからの影響を強く感じる点(シューゲイザーもサイケの一種じゃん、という突っ込みは置いておいて)。特に冒頭の3曲「Freak」「Tin Man」「Steamroller」は、かなり歪んだサイケなギターを前面に押し出しており、ガレージロックからの影響も感じる激しいサウンドが特徴的。強烈なノイズをまずは強いインパクトとして感じます。
ここから中盤は比較的、ノイジーなギターは後ろに下がって、ポップなメロが目立つ曲となり、よりメロのポピュラリティーを感じさせる作品に。「Healing」などはまさに、サイケ的なサウンドが垣間見れるものの、ポップなメロが印象に残る作品になっています。また、サイケやガレージロックからの影響を感じさせるといっても、中盤の「Sweet」のように、シューゲイザーからの影響も感じさせる曲も見受けられます。
後半は「Station」など、アコースティックサウンドも入ってメランコリックに聴かせる曲も見受けられるなどバリエーションも感じさせる点がユニークなところ。ラストを締めくくる「Heavy Water」は、まさにそんな静かなギターでメランコリックに聴かせる部分と、ノイジーなギターを前に押し出した部分が交互に展開しており、バンドとしての音楽性のバリエーションを集約したような構成がユニークになっています。
全11曲入りという構成ながらも、アルバム全体でも26分という短さも特徴的で、聴いていてあっという間に聴き切れてしまう勢いの良さもひとつの魅力と言えるでしょう。彼女たちみたいなノイジーポップを聴かせるインディーロックバンドは最近多いのですが、その中でもバリエーションのあるサイケな要素を押し出しており、バンドとしての個性も感じさせます。まだまだ人気的にはこれからのバンドといったイメージですが、徐々に注目を集めていきそう。今後に期待のバンドです。
評価:★★★★★
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