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2023年7月 4日 (火)

バラエティー富んだコミカルな作風がとても楽しい

Title:大滝詠一 NOVELTY SONG BOOK/NIAGARA ONDO BOOK
Musician:大滝詠一

2013年に65歳で急逝した大滝詠一。もうそれから10年近くがたつんですね・・・。その後もベスト盤やニューアルバム、様々な企画盤と大滝詠一関連のアルバムリリースが相次いでいます。晩年は、大滝詠一名義でのリリースはほとんどなかっただけに、むしろ逝去後の方が存在感が増している感すらするのですが・・・それだけ、日本のポップスシーンにおける彼の存在が大きかった、という訳なのでしょうね。

そんな中、非常にユニークかつ貴重な企画アルバムがリリースされました。全2枚組の本作は、大瀧詠一が手掛けた、いわゆるノベルティーソングを集めた企画盤。このうちDisc1は、「大滝詠一 NOVELTY SONG BOOK」と題されて、彼が様々なシンガーに提供したノベルティーソングを自ら歌った曲を集めたもの。一方、Disc2は「NIAGARA ONDO BOOK」と題され、そのノベルティーソングを収録したオムニバスアルバムですが、いずれも世に出たバージョンとは別バージョンを収録した、レア音源集となっています。

いずれも貴重な音源を収録したアルバムなのですが、おそらくファン的により注目したいのはDisc1の方でしょう。全編大滝詠一のボーカルにより未発表音源ばかり。そういう意味では純粋なオリジナルアルバムとも言えるような作品になっています。ただし、アルバムとして面白かった断然Disc2の方。正直なところ、大滝詠一によるボーカル曲については、貴重な音源であることは間違いないのですが、デモ音源やガイドボーカル曲なども多く、作品の完成度という観点から、大滝詠一逝去後の今だからこそリリースできたんだろうなぁ、という曲も少なくありません。また、やはりあくまでも提供するボーカルを想定して楽曲を作成しているため、大滝詠一のボーカルだと違和感を覚える曲も少なくありません。そういう意味でも、Disc1はどちらかというとファンズアイテム的な様相のある作品でした。

一方、Disc2の方は、コミカルでユニーク、さらにはバラエティー富んだ楽曲が次から次へと展開され、聴いていて素直にワクワクしてくるような、とても楽しいアルバムになっていました。

特に耳を惹くのは、かなり有名なカバー曲なのでご存じの方も多いとは思うのですが、金沢明子の「イエロー・サブマリン音頭 (特別変)」。ビートルズの「イエロー・サブマリン」を日本の音頭風にカバーした曲なのですが、イギリスのロックと、日本の音頭の中に共通して流れるリズムをピックアップして、非常に自然な音頭風カバーに仕上げてしまうあたりに、大滝詠一の慧眼ぶりを感じさせます。ただ、同じようなネタの「スリラー音頭〜ビートイット音頭」は完全に二番煎じといった感じでしたが・・・。

またボーカルという側面で耳を惹いたのはクレイジーキャッツの「実年行進曲」「新五万節」で、ギャグ的には時代を感じさせる部分はあるものの、キャラの立ったコミカルな歌い方は聴いていてもとても楽しく、大滝詠一以上に、クレイジーキャッツの実力を感じることの出来る楽曲になっていました。そこらへんは植木等ソロの「針切じいさんのロケン・ロール」も同様で、ここらへんはさすが・・・といった感じでしょう。

貴重な音源が収録された、ファン垂涎のアルバムですし、またバラエティー富んだ作風に大滝詠一の才能を感じさせるアルバム・・・なのですが、それ以上にコミカルな展開がとても楽しく、熱心なファンでなくても非常に楽しめる企画盤になっていました。ファンならずともお勧めのアルバム。終始、とても楽しめる作品です。

評価:★★★★★

大滝詠一 過去の作品
EACH TIME 30th Anniversary Edition
Best Always
NIAGARA MOON -40th Anniversary Edition-
DEBUT AGAIN
NIAGARA CONCERT '83
Happy Ending
A LONG VACATION 40th Anniversary Edition
大瀧詠一 乗合馬車 (Omnibus) 50th Anniversary Edition

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