復帰後初アルバム!
Title:DEVOTION
Musician:TM NETWORK
TM NETWORKとしては前作「QUIT30」以来、実に約9年ぶりとなるニューアルバム。2018年には、小室哲哉の不倫騒動に端を発して「引退」を発表し、世間を驚かせましたが、結局2020年頃から活動を再開。その後、KEIKOとの離婚も成立し、KEIKOも最近では元気な姿を見せるようになり、彼女の高次脳機能障害と、それに伴う小室哲哉のストレスって、ウソだったんじゃん、となってしまったのですが、まあ、小室哲哉に人間性なんて求めません(笑)。彼は大きなお子ちゃまみたいなもんですから・・・。なんだかんだ言っても、宇都宮隆、小室哲哉、木根尚登の3人が並んでいる写真を見ると、やはり昔ながらのファンとしては胸がワクワクしてきます。
そんな久々となるTM NETWORKとしてのニューアルバムですが、まず純粋にファンとしてこのアルバムを楽しめるかというと、最後まで耳の離せない、非常に楽しめるアルバムであった点は間違いありません。ただ一方、このアルバムが純粋に「傑作」かと言われると、ちょっと意見を留保しなくてはいけなくなってしまいます。その大きな理由が、アルバムの前半、2曲目から6曲目までは、彼らの過去の代表曲が並んでいる点。ファンにとってはおなじみのキラーチューンが前半に並ぶからこそ、ファンにとっては聴いていて純粋に楽しめるという側面が否定できません。
一方、後半は新曲が並ぶのですが、こちらについても決して出来は悪くありません。特に今回のアルバム、リアレンジをほどこされた前半の曲を含めて、エレクトロアレンジについては、変なこだわりもなく、ある意味憑き物が取れたかのような、実に小室哲哉らしいアレンジの楽曲が並んでいます。特に後半の「Please Heal The World」は、昔のTMのアルバムにも入っていそうなインストナンバーになっていますし、「End Theme Of How Do You Crash It?」のピアノの音色など、実に小室哲哉らしくファンなら感涙の1曲とも言えるのではないでしょうか。
以前の小室哲哉は、下手に時代の先端を行くようなサウンドを模索し、結果として中途半端な作品を連発していた時期がありました。それが前作「QUIT30」で吹っ切れたかのように、小室哲哉らしい、いい意味でベタなサウンドを取り入れるようになったのですが、今回のアルバムもその方向性が続いた作品になっていました。
ただ惜しむらくは、後半についても「Please Heal The World」以降の3曲はインスト。ラストの「TIMEMACHINE」もキネバラの名曲で、スタジオ録音音源としてはこれが初収録ながらも、ライブ音源は既発表済。純粋に歌モノの新曲はタイトルチューンの「DEVOTION」と「How Crash?」「君の空を見ている」の3曲のみ。「君の空を見ている」はキネバラらしい名曲で、「DEVOTION」も実にTMらしい疾走感あふれるエレクトロロックチューンなのですが、インパクトという面では2曲目以降に続くTMの代表曲に比べると弱さを感じてしまいます。
小室哲哉含めTM NETWORKの状況としては決して悪くはない状況だとは思います。まあ、TM NETWORK復帰後初のリハビリがわりの1枚といった感じでしょうか。次回作こそ、久々のTM NETWORKとしての傑作アルバムが期待できそうな予感もします。メンバー全員還暦を超えた今ですが、TM NETWORKの活躍はまだまだ続きそうです。
評価:★★★★
TM NETWORK 過去の作品
SPEEDWAY
TM NETWORK THE SINGLES 1
TM NETWORK THE SINGLES 2
TM NETWORK ORIGINAL SINGLES 1984-1999
DRESS2
QUIT30
GET WILD SONG MAFIA
GET WILD 30th Anniversary Collection - avex Edition
Gift from Fanks T
Gift from Fanks M
LIVE HISTORIA T 〜TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015〜
LIVE HISTORIA M〜TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015〜
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