10年を経た今だからこそ
Title:Random Access Memories (10th Anniversary Edition)
Musician:Daft Punk
2000年にリリースされた「One More Time」が日本でもヒットを記録し、注目を集めたフランスのエレクトロミュージシャン、Daft Punk。2021年に惜しまれながら解散してしまった彼らですが、2013年にリリースされた彼らのラストアルバム「Random Access Memories」の10周年記念盤がこのたびリリースされました。
「〇周年記念盤」というのは特に最近数多くリリースされているのですが、そのほとんどが20周年、25周年、30周年あたり。10周年というのはさすがにちょっと早すぎないか?といった印象すら受けます。というか、このブログでも紹介済ですしね・・・と考えると、このブログも長くやってきたいなぁ・・・と感慨深くなりますが。
そんな訳で、その当時の感想はこちら。
概ねの印象はその当時と変わらないのですが・・・ただ、10年を経て感じた点が2つありました。まず1点は、高揚感を寸止めしているアルバムだなぁ、という点。リズミカルなエレクトロサウンドを用いつつも、高揚感を覚える直前でストップさせている印象があります。ただ、今から振り替えると、上の感想でも書いているのですが、当時はEDM全盛期。そのような中で、あえてEDMの方向性にシフトしないように、高揚感を抑えたんだな、と今だからこそ感じます。
もう1点は、当時は非常に新鮮味やある種の物珍しさを感じた80年代的なディスコサウンドが、今となっては「よくありがち」なサウンドになったという点。このアルバムではChicのギタリスト、ナイル・ロジャースが参加しているのですが、彼もこのアルバムを機に、シーンに復活。また、80年代ディスコチューンを取り入れた曲も、このアルバム以降、明確に増えています。現代的な視点では「よくありがち」に感じてしまうからこそ、逆に今振り返ると、非常に画期的なアルバムだったんだな、ということを再認識します。
今回の10周年記念盤ではDisc2として未発表音源がついてきます。ただ、全体的にデモトラック的な作品が多く、あまり多く期待するのは禁物かも。「The Writing of Fragments of Time」と題されたレコーディング風景を切り取ったトラックがあり、これは非常に興味深いのですが、残念ながら英語のため、話している内容はわかりません。
そんな訳で、ファン以外はボーナスディスク目当てにわざわざ購入する価値は低いかもしれませんが、ただアルバム自体の出来としては、文句なしの傑作。あらためてこのアルバムがラストになってしまったことを残念に感じます。またいつか復活してほしいなぁ。時代を経たからこそ、逆にその位置づけを見直すことが出来る作品でした。
評価:★★★★★
DAFT PUNK 過去の作品
TRON:Legacy
RANDOM ACCESS MEMORIES
ほかに聴いたアルバム
Maps/billy woods&Kenny Segal
ニューヨークのラッパー、billy woodsとロサンジェルスのプロデューサー、Kenny Segalとのコラボレーションアルバム。本作は「ポスト・パンデミック」のアルバムだそうで、「旅行記」とも表現される作品で、コロナ禍の規制解除後のツアーの中で制作されたアルバムだとか。楽曲的にはダークな雰囲気を醸しつつ、メランコリックさも感じられるトラックが目立つ作品。全44分という短さながらも17曲入りという内容のため、次々と展開していく構成が特徴的。まあ、聴いているだけだとどのあたりが「旅行記」なのか、とは思うのですが・・・。全体的にはテンポよい内容のため聴きやすさを感じさせる1枚でした。
評価:★★★★
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