ユニゾンを生かしたメロウな作風
Title:Erotic Probiotic 2
Musician:Nourished By Time
アメリカはボルチモア出身で、現在はサウスロンドンでシンガーソングライターとして活動を行っているNourished By Time。本作は、これが「2」とついていますが列記としたデビューアルバムとなります。いかにも怪しげなお薬の瓶のラベルに書かれたアルバムタイトルに、サングラスをつけた黒人男性の姿・・・。ジャケットだけ見ると、HIP HOPのアルバムか?と思ってしまうのですが、アルバムを聴き始めると、その印象が全く異なることにすぐに気が付くでしょう。
冒頭を飾る「Quantum Suicide」はエレクトロサウンドのイントロからスタートするのですが、それに続いて聴こえてくるのはメロウな歌声。メロディアスな歌を歌う、ネオソウル風なナンバーに仕上がっており、その歌声にも聴き入ってしまう楽曲となっています。
楽曲は基本的にネオソウルやフィリーソウル、あるいはAOR風の作品が並ぶ、メロウなR&Bチューンが並びます。「Daddy」などは軽快なエレクトロのリズムが楽しいダンスチューンに仕上がっていますし、「Rain Water Promise」も軽快なリズムをバックに歌われるメロディーラインは至ってポップで耳なじみやすいもの。明るくもちょっと切なさも感じさせるフレーズが耳に残ります。
最後を締めくくる「Unbreak My Love」も分厚いエレクトロサウンドをバックに聴かせるメロウでネオソウル風の曲調が80年代を彷彿とさせる、ちょっと懐かしさも感じさせる作品に。ちょっとジャジーさを感じるエレピも作品を彩る大きな要素となっています。
またアルバムを通じて大きな魅力に感じたのは、作品の中でユニゾンを上手く使い込んでいた点でした。例えば1曲目「Quantum Suicide」もそうでしたし、「Soap Party」などでもそうでしたが、声を重ねることにより音を分厚くして楽曲の荘厳さやファンタジックさを演出している楽曲も目立ち、その点も同作の大きな魅力に感じました。
いかつい雰囲気のジャケットから反して、全体的にポップな内容にまとまっていて、いい意味で広いリスナー層が楽しめそうなソウルでポップなアルバムに仕上がっていました。80年代ソウル、R&B系が好きなら文句なしに気に入りそうな1枚です。
評価:★★★★★
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