ジャケットに惑わされないで!
Title:All of This Will End
Musician:Indigo De Souza
まずはそのおどろおどろしいジャケットに目がいく本作。アメリカの、ブラジル系アメリカ人の女性シンガーソングライター、Indigo De Souzaのニューアルバム。前作「Any Shape You Take」も高い評価を得て、当サイトでも紹介し、個人的にも2021年の私的ベストアルバムの8位に入れるなど、気に入った作品になりました。
このジャケットからすると、メタル系か、あるいはサイケ系を想像するかもしれません。しかし、アルバムを聴き始めるとその予想は大きく外れます。まずアルバムをスタートさせると聴こえてくるのは女性のクリアな歌声。1曲目「Time Back」はちょっとおどろおどろしい部分もあるのですが、基本的にはシンプルなエレクトロポップとなっています。
その後も基本的にシンプルなポップソング、それも軽快なギターロックの楽曲が続きます。2曲目で先行シングル曲にもなっている「You Can Be Mean」も軽快で至ってポップなギターロック路線。 「Losing」なども切なさを感じるメロディーラインはインパクト十分。広いリスナー層にアピールできそうな印象的なフレーズを聴かせてくれますし、逆に「Wasting Your Time」などはヘヴィーでダイナミックなギターサウンドが魅力的。ただメロディーはこちらもポップでメロディアスで、こちらもロックリスナーのみならずポップスリスナーも楽しめそうな楽曲に仕上がっています。
その後も「Smog」のような軽快でリズミカルな打ち込みの楽曲を聴かせてくれたり、「The Water」のようなチープな打ち込みにギターを重ねる、ある意味、非常にインディーらしいポップを聴かせてくれたり、「Always」のような、途中でハードコアばりのシャウトを披露する楽曲があるかと思えば、最後を締めくくる「Yonger&Dumber」ではピアノやスチールギターで郷愁感たっぷりに聴かせるフォーキーな楽曲だったりとバラエティー豊富に展開していきます。
ただ、どの曲もポップでシンプルなメロディーラインが流れており、いい意味でポップで聴きやすい曲になっている点が大きな特徴。彼女の歌声も、決して際立った特徴があるタイプではないものの、しっかりと力強さを感じさせる歌声を聴かせてくれており、メロディーラインを際立たせる大きな要素となっています。
前作「Any Shape You Take」ではジャケットからある意味わざと誤解させるためか(?)、歌詞も妙におどろおどろしいワードが並んでいたりするのですが、本作に関してはそんなギミック的な要素はありません。あえて言えば、アルバムタイトルにもなっている「All of This Will End」くらいでしょうか?ただ、この曲も恋人との別れを歌った切ないナンバーで、もちろん歌詞からは変なおどろおどろしさは感じられません。
前作と同様、広いリスナー層にアピールできそうなメロディアスでポップな楽曲が並ぶ本作。これだけポップな曲が並ぶだけに、このおどろおどろしいジャケットは逆効果だと思うのですが・・・何か「意図」はあってのこととは思うのですが・・・。残念ながら現在、まだ本作はアメリカのアルバムセールスチャートで最高位66位とブレイクには至っていない状況ですが、この曲調ならもっともっと売れても不思議はない作品だと思います。ジャケットに惑わされないで、是非!
評価:★★★★★
Indigo de Souza 過去の作品
Any Shape You Take
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