懐かしい名前
Title:What Matters Most
Musician:BEN FOLDS
おそらく、アラフォー以上の世代にとっては、その名前を聞いて、おそらく「懐かしい!」と感じる方も少なくないでしょう。アメリカ出身のシンガーソングライターでマルチプレイヤーでもあるベン・フォールズによるオリジナルアルバム・・・というよりも、BEN FOLDS FIVEのボーカリストによるソロ作といった方がよいかもしれません。1995年にリリースされたアルバム「BEN FOLDS FIVE」が日本でも高い評判を呼びました。英語版のWikipediaではじめて知ったのですが、日本ではその次のアルバム「Whatever and Ever Amen」がオリコンでベスト10入りしているんですね。それだけ当時日本で、BEN FOLDS FIVEというバンドが売れていたのか、ということが記録からもわかるかと思います。
BEN FOLDSのソロ作としてもかなり久しぶりで、直近作は2015年にリリースした「So There」で、同作はニューヨークの室内楽団yMusicとのコラボ作。純然たるBEN FOLDSのソロオリジナルアルバムとしては、実に2008年の「Way to Normal」から約15年ぶりのリリースとなっています。その15年前のアルバムは私も聴いて、同サイトでも取り上げていたりするので、つぐづく自分が年をとったな・・・と感じてしまいます。
その15年前に聴いたソロ作といい、BEN FOLDS FIVE時代の作品といい、イメージとしてピアノで軽快に聴かせるパンキッシュなロックチューン。ただ、今回のソロ作、アルバムを聴き始めると、そんな期待とは少々違ったタイプの楽曲からスタートします。1曲目「But Wait,There's More」は前半はエレピ、後半はホーンセッションの加わったメロウなAOR風の楽曲。
その後、前半はピアノ曲が多いものの、メランコリックにしんみりと聴かせるような曲が目立ちます。微妙にエレピや打ち込みのサウンドなども入っているのですが、正直なところ、これならピアノ1本の方がよかったのでは?と思うほど。「Fragile」のチープなリズムトラックは、完全に蛇足だと思ってしまうのですが。
メロディーラインは美しいし、それなりにインパクトもあるものの、前半は若干消化不良気味なのは否めず。ただ、そんなイメージがグッと変わるのが後半戦で、「Windlow Gardens」はピアノを軸とした分厚いバンドサウンドにポップなメロディーが魅力的な作風がいかにもピアノポップ!といった印象。「Paddleboat Breakup」もダイナミックなピアノが持ち味のスケール感あるナンバーになっていますし、タイトルチューンの「What Matters Most」もミディアムチューンで聴かせる作品ながらも力強いピアノのサウンドとメロディーラインが持ち味の1曲。ラストのピアノとアコギで軽快に聴かせる「Moments」まで、心地よいポップな作品が並んでいます。
ただ、以前聴かせてくれたようなパンキッシュな作品はなく、そういう意味では「大人になった」とも感じさせる作品。ちょっと前半に関しては、メランコリックな作風が消化不良気味だったのですが、後半は、これぞピアノポップといった感じの軽快な楽曲が続いており、聴き終わった後は満足感も覚えたアルバムになっていました。ピアノポップ好きならそれなりに楽しめる作品でした。
評価:★★★★
BEN FOLDS 過去の作品
Way to Normal
ほかに聴いたアルバム
Shadow Kingdom/Bob Dylan
2021年7月に行われた配信限定ライブの模様を収録したボブ・ディランの最新アルバム。全編、アコースティックなサウンドで構成されており、60年代から80年代までの楽曲を中心に、よく知られた代表曲から知る人ぞ知る作品まで、現在の彼が、現在の解釈で歌い上げている作品。基本的にはブルージーに哀愁感たっぷりに聴かせる楽曲が多く、ただただ聴き入ってしまうようなライブ盤でした。
評価:★★★★
BOB DYLAN 過去の作品
Together Through Life
Tempest
Triplicate
Rough And Rowdy Ways
日本のシングル集
Tomorrow Never Comes/RANCID
アメリカのパンクロックバンドによる実に約6年ぶりとなるニューアルバム。分厚いパンキッシュなサウンドにメロディアスな歌が乗る、ある意味一本調子な感じも否めないものの、ただ、とにかくパンキッシュなサウンドが気持ちよく、全16曲入りながらもアルバム全体の長さが30分に満たないというテンポよい展開が楽しめる作品に。予想していたよりも楽しめた1枚でした。
評価:★★★★
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