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2023年6月 5日 (月)

ノスタルジックあふれる

Title:EVERYTHING HARMONY
Musician:The Lemon Twigs

ブライアン・ダダリオ、マイケル・ダダリオの2人組からなるアメリカのポップスデゥオ、The Lemon Twigs。2020年にリリースした前作「Songs for the General Public」も大きな話題となりました。その前作は、80年代を彷彿とさせる爽快なポップチューンの並ぶ作品。懐かしさを感じられるメロディスなメロディーラインも大きな魅力で、高い評価も納得の作品に仕上がっていました。

今回のアルバムも、前作同様、ノスタルジックあふれるメロディーラインが大きな魅力となっているのですが、今回のアルバムは前作以上にアコースティックテイストが強く、80年代ポップスというよりも、むしろさらに前の世代のフォークソングからの影響を感じる作品が並びます。冒頭を飾る「When Winter Comes Around」はアコギのアルペジオに2人のコーラスラインが美しい、ともすればサイモン&ガーファンクルを彷彿とさせるナンバー。続く「In My Head」はギターサウンドメインなのですが、こちらはビーチボーイズを思い起こすような爽やかなサウンドとメロディーが大きな特徴となっています。

「Any Time Of Day」も2人のコーラスラインを美しく聴かせる切なくメロディアスなナンバーで、こちらは80年代のAORを思い起こさせるような楽曲に。「I Don't Belong To Me」もメランコリックに聴かせるピアノバラードで、しんみり聴かせるボーカルも魅力的。「Every Day Is The Worst Day Of My Life」も皮肉たっぷりの歌詞とは逆説的に、アコギの調べが耳を惹く清涼感あるポップチューンとなっています。

全体的にはアコースティックなサウンドが主体のアルバムになっているのですが、一方では「What You Were Doing」「Ghost Run Free」のようなエレキギターとバンドサウンドを前に押し出したポップチューンも大きな魅力で、アルバムの中での大きなインパクトとして機能しています。ここらへんはTEENAGE FANCLUBやラーズあたりを彷彿とさせるポップチューンとなっています。

ノスタルジックあふれる美しいメロディーラインが大きな魅力である本作。上記にも、いろいろなミュージシャンたちを彷彿させる、という感想を書いたように、正直言うと、どこかで聴いたことあるような・・・という印象を受ける作品でもある、そういう点はひとつの弱点のようにも感じました。

ただ、その点を差し引いても、彼らが奏でる美しいサウンドとノスタルジックさあふれるメロディーラインは大きな魅力であることは間違いありません。過去の模倣的な部分は否めないのですが、その点を差し引いても十分な傑作と言えるアルバムだったと思います。メロディーはインパクトもあるし、十分売れそうなアルバムなのですが、現時点で残念ながら本作もビルボードのインディーチャートで6位にランクインされたのみ。ただ、最近、インディーバンドも一気に売れる傾向があるだけに、彼らも近いうちにブレイクするかも?広いリスナー層にお勧めできそうなポップスアルバムでした。

評価:★★★★★

The Lemon Twigs 過去の作品
Songs For The General Public

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