ロックオペラ完結
Title:ATUM-actⅢ
Musician:The Smashing Pumpkins
以前にも第1弾、第2弾と紹介している、アメリカのオルタナティブロックバンド、The Smashing Pumpkinsの壮大なロックオペラプロジェクトの第3弾。決して尻つぼみみなることなく、4月に無事、全3枚組となるCDもリリースされ、プロジェクトは完結されました。第1弾、第2弾は以前も紹介しているので、今回は第3弾、actⅢの紹介です。
基本的に3部作の最終作となるので、楽曲としての方向性は以前と変わりありません。ストリングスで伸びやかに聴かせるオープニング的な「Sojourner」は優雅さと爽やかさを兼ね備えたような作品で、まずは気持ちの良いアルバムの幕開けとなります。続く「That Which Animates the Spirit」は出だしこそアコースティックなサウンドからスタートするのですが、楽曲が本格的にスタートするとメタリックなギターリフを主導に構成されたダイナミックなナンバー。そこに流れるメロディーラインは至ってメランコリックで、ある意味、スマパンらしい作品と言えるでしょう。
その後もメランコリックに聴かせる「Pacer」に、ヘヴィーなギターリフ主導のロックなナンバー「In Lieu of Failure」、スペーシーなシンセのサウンドに悲しげなメロディーラインが重なる「Fireflies」など、基本的にはいかにもスマパンらしいメランコリックなメロディーラインを主体としつつ、時にはしんみり聴かせ、時にはヘヴィーなバンドサウンドでロックに聴かせるナンバーが並んでいきます。
特にアルバムの中でもインパクトが強かったのが「Spellbinding」で疾走感あるノイジーなギターサウンドでオルタナロック色が強い楽曲。ポップなメロディーラインも耳を惹く楽曲となっており、ある意味、この壮大な3部作のロックオペラの最後を締めくくるにふさわしいロックチューンとなっていました。
シンセも積極的に取り入れている一方、比較的ダイナミックなロックチューンも目立ち、全体的にはバンドサウンド色も目立ち、スマパンらしいアルバムになっていたため、初期からのファンにとってもロック色の強さから、楽しめる作品になっていたのではないでしょうか。もっとも一方では、スマパンらしいアルバムになっていたとはいえ、新鮮味はなく、そういう意味ではこれだけ力を入れた3部作のロックオペラの割には、目新しさはなかったかな、という印象も受けました。
とはいえ、メランコリックなメロディーラインやサウンドはスマパンらしさがしっかりと出ており、そういう意味では十二分に楽しめたアルバムだったと思います。3部作を一気に聴くのは大変かもしれませんが、インパクトのあるメロの曲も多いため、意外とあっさりと楽しめてしまうかも。スマパンらしさがつまった重厚なロックオペラでした。
評価:★★★★
The Smashing Pumpkins 過去の作品
Teargarden by Kaleidyscope
OCEANIA(邦題 オセアニア~海洋の彼方)
Monuments to an Elegy
SHINY AND OH SO BRIGHT,VOL.1/LP:NO PAST.NO FUTURE.NO SUN.
CYR
ATUM-actⅠ
ATUM-actⅡ
ほかに聴いたアルバム
ー/Ed Sheeran
イギリスの国民的SSW、エド・シーランの最新アルバム。アルバムタイトルが「+」「×」「÷」「=」と来て、大方の予想通り、最新作のタイトルは「-」となりました。ちなみに読み方は「マイナス」ではなく、減算を意味する「Subtract」と読むそうです。エレクトロサウンド主体だった前作から一転、今回のアルバムはアコースティックなサウンド主体という方向性に。ここに彼らしいメランコリックなメロディーラインが加わり、目新しさこそないものの、壺をついたような楽曲で安心して聴けるアルバムになっていました。
評価:★★★★
Ed Sheeran 過去の作品
+
÷
No.6 Collaborations Project
=
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