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2023年6月

2023年6月30日 (金)

懐かしい名前

Title:What Matters Most
Musician:BEN FOLDS

おそらく、アラフォー以上の世代にとっては、その名前を聞いて、おそらく「懐かしい!」と感じる方も少なくないでしょう。アメリカ出身のシンガーソングライターでマルチプレイヤーでもあるベン・フォールズによるオリジナルアルバム・・・というよりも、BEN FOLDS FIVEのボーカリストによるソロ作といった方がよいかもしれません。1995年にリリースされたアルバム「BEN FOLDS FIVE」が日本でも高い評判を呼びました。英語版のWikipediaではじめて知ったのですが、日本ではその次のアルバム「Whatever and Ever Amen」がオリコンでベスト10入りしているんですね。それだけ当時日本で、BEN FOLDS FIVEというバンドが売れていたのか、ということが記録からもわかるかと思います。

BEN FOLDSのソロ作としてもかなり久しぶりで、直近作は2015年にリリースした「So There」で、同作はニューヨークの室内楽団yMusicとのコラボ作。純然たるBEN FOLDSのソロオリジナルアルバムとしては、実に2008年の「Way to Normal」から約15年ぶりのリリースとなっています。その15年前のアルバムは私も聴いて、同サイトでも取り上げていたりするので、つぐづく自分が年をとったな・・・と感じてしまいます。

その15年前に聴いたソロ作といい、BEN FOLDS FIVE時代の作品といい、イメージとしてピアノで軽快に聴かせるパンキッシュなロックチューン。ただ、今回のソロ作、アルバムを聴き始めると、そんな期待とは少々違ったタイプの楽曲からスタートします。1曲目「But Wait,There's More」は前半はエレピ、後半はホーンセッションの加わったメロウなAOR風の楽曲。

その後、前半はピアノ曲が多いものの、メランコリックにしんみりと聴かせるような曲が目立ちます。微妙にエレピや打ち込みのサウンドなども入っているのですが、正直なところ、これならピアノ1本の方がよかったのでは?と思うほど。「Fragile」のチープなリズムトラックは、完全に蛇足だと思ってしまうのですが。

メロディーラインは美しいし、それなりにインパクトもあるものの、前半は若干消化不良気味なのは否めず。ただ、そんなイメージがグッと変わるのが後半戦で、「Windlow Gardens」はピアノを軸とした分厚いバンドサウンドにポップなメロディーが魅力的な作風がいかにもピアノポップ!といった印象。「Paddleboat Breakup」もダイナミックなピアノが持ち味のスケール感あるナンバーになっていますし、タイトルチューンの「What Matters Most」もミディアムチューンで聴かせる作品ながらも力強いピアノのサウンドとメロディーラインが持ち味の1曲。ラストのピアノとアコギで軽快に聴かせる「Moments」まで、心地よいポップな作品が並んでいます。

ただ、以前聴かせてくれたようなパンキッシュな作品はなく、そういう意味では「大人になった」とも感じさせる作品。ちょっと前半に関しては、メランコリックな作風が消化不良気味だったのですが、後半は、これぞピアノポップといった感じの軽快な楽曲が続いており、聴き終わった後は満足感も覚えたアルバムになっていました。ピアノポップ好きならそれなりに楽しめる作品でした。

評価:★★★★

BEN FOLDS 過去の作品
Way to Normal


ほかに聴いたアルバム

Shadow Kingdom/Bob Dylan

2021年7月に行われた配信限定ライブの模様を収録したボブ・ディランの最新アルバム。全編、アコースティックなサウンドで構成されており、60年代から80年代までの楽曲を中心に、よく知られた代表曲から知る人ぞ知る作品まで、現在の彼が、現在の解釈で歌い上げている作品。基本的にはブルージーに哀愁感たっぷりに聴かせる楽曲が多く、ただただ聴き入ってしまうようなライブ盤でした。

評価:★★★★

BOB DYLAN 過去の作品
Together Through Life
Tempest
Triplicate
Rough And Rowdy Ways
日本のシングル集

Tomorrow Never Comes/RANCID

アメリカのパンクロックバンドによる実に約6年ぶりとなるニューアルバム。分厚いパンキッシュなサウンドにメロディアスな歌が乗る、ある意味一本調子な感じも否めないものの、ただ、とにかくパンキッシュなサウンドが気持ちよく、全16曲入りながらもアルバム全体の長さが30分に満たないというテンポよい展開が楽しめる作品に。予想していたよりも楽しめた1枚でした。

評価:★★★★

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2023年6月29日 (木)

今週もアイドル系がズラリ

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週もまた、ベスト10にはアイドル系の初登場盤がズラリと並んでいます。完全にアイドルグッズのランキング的になってしまっていて、かなりうんざいするのですが。

まず1位は韓国の男性アイドルグループATEEZの韓国盤ミニアルバム「THE WORLD EP.2 : OUTLAW」が獲得。CD販売数1位、ダウンロード数64位。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上6万8千枚で1位初登場。前作は日本盤のミニアルバム「THE WORLD EP.PARADIGM」で、同作の初動売上6万3千枚(1位)よりアップしています。

2位には先週1位にランクインした男性アイドルグループ&TEAM「First Howling:WE」がワンランクダウンながらもベスト3をキープしています。

3位初登場はKiSS KiSS「FiRST ALBUM」がランクイン。BiSHなどが所属するWACKからデビューした女性アイドルグループ。CD販売数3位。オリコンでは初動売上9千枚で4位初登場です。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にIDOLiSH7 / TRIGGER / Re:vale / ?OO?「劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit Compilation Album "BEYOND THE PERiOD"」がランクイン。女性向けアイドル育成ゲーム「アイドリッシュセブン」から派生した映画「劇場版アイドリッシュセブン LIVE 4bit BEYOND THE PERiOD」で使用された楽曲を集めたアルバムになっています。

7位には女性アイドルグループPassCode「GROUNDSWELL ep.」が初登場。CD販売数7位、ダウンロード数13位。4曲入りのEP盤で事実上のシングルといった感じ。オリコンでは初動売上5千枚で8位初登場。同じくEP盤だった直近作「REVERBERATE ep.」(18位)からは横バイ。

そしてようやく非アイドル系の初登場盤が8位初登場のHIP HOPユニット、RHYMESTERによる「Open The Window」。CD販売数は10位でしたが、ダウンロード数で1位を獲得し、総合順位はこの位置に。HIP HOP系は全体的にネット系の売上が強いような印象があります。オリコンでは初動売上3千枚で13位初登場。オリジナルアルバムとしては前作の「ダンサブル」の初動7千枚(12位)からはダウン。

9位にはツユ「アンダーメンタリティー」がランクイン。CD販売数8位、ダウンロード数24位。ボカロPなどで活躍していたぷすを中心とする3人組ユニット。オリコンでは初動売上3千枚で12位初登場。前作「貴方を不幸に誘いますね」の初動5千枚(10位)からはダウンしています。

最後10位には綺香のオリジナルアルバム「Funtale」がランクイン。CD販売数は12位でしたが、ダウンロード数は6位にランクインし、総合順位でベスト10入り。オリコンでは初動売上3千枚で15位初登場。前作「LOVE CYCLE」の初動4千枚(14位)から若干のダウンとなっています。

また今週はベスト10返り咲きも。韓国の男性アイドルグループBTSのメンバー、Agust Dのソロアルバム「D-DAY」が先週の17位から5位にランクアップ。8週ぶりのベスト10返り咲きに。特にCD販売数が15位から5位にランクアップしています。おそらく6月初旬に、Agust Dのジャパンツアーを記念してのプレゼント企画のイベントを実施しており、その際にアルバムの予約が必要となるため、その影響ではないかと思われます。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2023年6月28日 (水)

これで11週連続

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週で11週連続の1位となりました。

Yoasobiidle

今週も1位はYOASOBI「アイドル」が獲得。これで11週連続の1位となります。ダウンロード数、ストリーミング数、YouTube再生回数、カラオケ歌唱回数で今週も1位を獲得しているほか、今週はCDもリリース。CD販売数も2位にランクインしています。また、そのためオリコン週間シングルランキングでも今週、初動売上4万9千枚で2位に初登場。CDシングルとしての前作「祝福」の初動2万3千枚(3位)よりアップしています。Hot100でのヒットと比べると、CD販売数の低さが異様にすら感じますが、それだけもう、「CD」というアイテムの、ヒットシーンにおける地位が下がった、ということなのでしょうね。そう考えると、そろそろ当サイトでオリコンを紹介する意味も考えてしまいますが・・・。

2位にはKing&Prince「なにもの」が初登場。CD販売数は本作が1位。ほか、ラジオオンエア数34位、YouTube再生回数4位。オリコンでは初動売上54万3千枚で1位初登場。ただ、前作「Life goes on」が初動103万2千枚(1位)でしたので、大きくダウン。前作は5人体制でのラストシングルという影響もあったのですが、やはりメンバー3人脱退という影響は大きかったようです。

3位初登場はMrs.GREEN APPLE「Magic」が先週の11位からランクアップ。ダウンロード数8位、ストリーミング数9位、ラジオオンエア数1位、YouTube再生回数13位。チャート構成比のうち、半数以上をラジオオンエア数が占めているという、ちょっと珍しいケースでのベスト3入りとなっています。コカ・コーラCMソングで、爽やかでメロディアスな曲調がラジオにもマッチした感じでしょうか。さらにMrs.GREEN APPLEは「ケセラセラ」が今週、先週からワンランクアップしており9位にランクイン。9週連続のベスト10ヒットとなっており、また2曲同時ランクインを記録しています。彼らはベスト20以内に、他には「青と夏」が11位、「ダンスホール」が14位にランクインしており、ここに来て、人気があがってきている印象も。さらなるランクイン&ロングヒットとなるのでしょうか。

続いて4位以下ですが、今週初登場は1曲のみ。10位に欅坂46「Start over!」がランクイン。6月28日発売のCDからの先行配信で、ストリーミング数8位、ダウンロード数16位、YouTube再生回数67位で総合順位でベスト10入りとなっています。

さて、続いてはロングヒット曲ですが、まずMAN WITH A MISSION×milet「絆ノ奇跡」。今週は3位からワンランクダウンの4位。ダウンロード数は3位、ストリーミング数も5位をキープしましたが、CD販売数は12位から14位、YouTube再生回数も2位から3位と若干のダウンとなっています。これで11週連続のベスト10ヒットとなりました。

スピッツ「美しい鰭」も4位から5位にワンランクダウン。ストリーミング数は8週連続の2位をキープしていますが、ダウンロード数は13位から15位、YouTube再生回数も23位から28位と下落傾向となっています。ただ、こちらも11週連続のベスト10ヒットとなっています。

Vaundy「怪獣の花唄」も5位から6位にワンランクダウン。ただ、こちらもストリーミング数は8週連続の3位、カラオケ歌唱回数も5週連続の2位をキープ。またYouTube再生回数は10位から8位、ダウンロード数も21位から19位と若干のアップとなっています。これで25週連続のベスト10ヒットとなっています。

さらにOfficial髭男dism「TATOO」は先週から変わらず7位をキープ。「Subtitle」はワンランクアップの8位となり、今週はこの2曲が並ぶ結果となっています。「TATOO」はストリーミング数が5週連続4位をキープしているほか、YouTube再生回数も15位から9位にアップ。「Subtitle」もストリーミング数が3週連続6位となっています。これで「TATOO」は10週連続、「Subtitle」は通算36週目のベスト10ヒットとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2023年6月27日 (火)

「記憶の図書館」からあふれだした音楽

Title:記憶の図書館
Musician:坂本真綾

途中、デゥエットアルバムやベストアルバムのリリースがあったものの、純然たるオリジナルアルバムとしては、実に約3年半ぶり、かなり久々となる坂本真綾のニューアルバム。今回のアルバムは前作に引き続きの「コンセプトアルバム」だそうで、公式サイトでは

—全世界の人々の記憶を管理する記憶の保管庫、「記憶の図書館」。そこで“廃棄された記憶”を回収する少年が、ほんの出来心から持ち主の窓辺に返す幾つかの記憶の箱。それを開けた瞬間、溢れ出たのはどんな音楽だった?—

という紹介がされています。

さて、そんな「あふれ出た記憶」というコンセプトの下で歌われる12曲の作品なのですが、大きな特徴となっているのが12曲それぞれにミュージシャンが参加し、様々な作風の曲を提供しているという点でした。

例えば「タイムトラベラー」ではROUND TABLEの北川勝利が参加し、ギターサウンド主体の伸びやかなポップソングを聴かせてくれていますし、ロックバンドtricotが作曲編曲はもちろん、演奏でも参加している「一度きりでいい」はタイトなバンドサウンドのロックチューンに。さらにエレクトロサウンドを入れてAOR風の「鏡の中で」では、なんと作詞を坂本慎太郎が担当。作曲・編曲も冨田恵一による作品になっていますし、ラストを締めくくる「薫」はくるり岸田繁作曲によるナンバーで、暖かくメロディアスな作風は、いかにも岸田繁らしさを感じます。

その他にも90年代のガールズポップを彷彿とさせるような「Anything you wanna be」はchilldspotというバンドの比喩根が作曲を担当。ストリングスがエキゾチックさを醸し出しているメランコリックな「空中庭園」では作詞作曲編曲すべて堂島孝平が手掛けています。

また、作詞を岩里祐穂、作曲は古閑翔平が手掛ける「体温」や作曲を姉田ウ夢ヤと堀下さゆりが手掛けた「まだ遠くにいる」はマイナーコード主体の良くも悪くもいかにもアニソンといったナンバーもあったり、さらにceroの荒内佑が手掛けた「ないものねだり」はストリングスでファンタジックに彩られたポップチューンもあったりと、様々なミュージシャンが参加しているだけに実にバラエティー豊富な構成に仕上がっていました。

それだけバラエティー富んだ内容だと、アルバム全体としてチグハグした内容になりそうなのですが、そこは坂本真綾。もともとここ最近の彼女の楽曲は、様々なミュージシャンを起用したバラエティー富んだ作風が特徴的でしたが、本作も彼女の清涼感あふれる歌声が流れてくるだけでアルバム全体に統一感が加わる構成になっていました。

そういう意味では、坂本真綾というボーカルを生かすために、様々なミュージシャンが自由に彼女を「調理した」アルバムともいえる本作。また、それだけ自由に調理できるというのは、やはり彼女のボーカルが非常に魅力的だからこそ、なのでしょう。そんな彼女の歌声に聴き惚れつつ、バラエティー富んだ展開を楽しめる作品でした。

評価:★★★★★

坂本真綾 過去の作品
かぜよみ
everywhere
You can't catch me
Driving in the silence
シングルコレクション+ ミツバチ
シンガーソングライター
FOLLOW ME UP
今日だけの音楽
シングルコレクション+アチコチ
Duets

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2023年6月26日 (月)

ホーキンスを悼む

Title:But Here We Are
Musician:Foo Fighters

昨年3月、Foo Fightersについて非常にショッキングなニュースが飛び込んできました。ドラムスのテイラー・ホーキンスが50歳という若さで急逝。南米ツアー中の出来事だったらしく、あまりに突然の訃報となってしまいました。そして、そんなショッキングな出来事を経てリリースされた新作。タイトルが「But Here We Are」=「しかし、私たちはここにいます」というタイトルからして、ホーキンスの訃報を経てのバンドのスタンスを感じさせますが、ジャケット写真が白色という点もホーキンスの死を乗り越えて、あらたな一歩を踏み出すというバンドの意思を感じさせます。また、デイヴ・グロールが2022年に亡くした母親についても歌っているそうです。

そんな前提でのアルバムながらも、作品自体は決して「暗い」といった印象を受けるものではありません。むしろ、アルバム全体として一種の爽やかさを感じさせる内容になっており、まずアルバムは先行シングルともなっている「Rescued」からスタート。シャウト気味のボーカルが力強い疾走感あふれるギターロックとなっており、爽快さを感じさせる楽曲。続く「Under You」も同じく軽快でメロディアスなギターロックチューンに仕上げています。

途中「Hearing Voices」「The Glass」などといったメランコリックな曲を挟みつつ、タイトルチューンとなっている「But Here We Are」もパワフルながらも爽快さを感じさせるダイナミックなナンバーに仕上げており、アルバム全体としては決して悲壮感を覚えるような作風にはなっていません。

そんな中、楽曲の中で耳を惹くのが、まず「Show Me How」。女性ボーカルとのデゥオとなっているメロディアスなナンバーなのですが、このデゥオの相手はデイヴ・グロールの娘、ヴァイオレット・グロールだそうで、この親子デゥオもアルバムの中の聴きどころの一つとなっています。

また後半のハイライトとも言うべきがラスト前の「The Teacher」でしょう。全10曲にも及ぶ同曲は、最初は疾走感あるギターロックからスタートするのですが、中盤、分厚いノイジーなサウンドをバックにメロディアスに聴かせつつ、後半はメランコリックにゆっくり聴かせる展開と、同じ曲の中でも雰囲気が変わっていくというユニークな構成。さらに歌詞でも

You showed me how to breathe,never showed me how to say goodbye
(君は僕に息の仕方を教えてくれた。けれどもサヨナラの言い方は教えてくれなかった)

と、アルバムのテーマとなる、亡くなったホーキンスや母親に捧げる歌詞になっており、胸をうちます。

そんな曲を聴かせつつ、ただアルバム全体としては疾走感ある爽快なギターロックに仕上げている本作。決して難しいことはなく、いい意味でポップで聴きやすい、非常に魅力的な作品に仕上がっていました。ギターロックの王道を行くような作品で、聴いていてロックを聴いたという満足感を覚える作品でした。今年から、ドラムスに新メンバー、ジョシュ・フリーズを迎えて、あらたなメンバーでの一歩を踏み出したFoo Fighters。ホーキンスを悼みつつ、次の一歩に注目していきたいところです。

評価:★★★★★

FOO FIGHTERS 過去の作品
ECHOES,SILENCE,PATIENCE&GRACE
GREATEST HITS
WASTING LIGHT
Saint Cecilia EP
SONIC HIGHWAYS

Concrete and Glod
02050525
00959525
Medicine at Midnight
Hail Satin(The Dee Gees/Foo Fighters)


ほかに聴いたアルバム

Everyone's Crushed/Water From Your Eyes

Everyone

イギリスはブルックリンを拠点に活動する2人組デゥオ、Water From Your Eyes。アンチポップを標ぼうする彼女たちの作品はエレクトロやサイケ、ノイズなどの要素を取り入れたアバンギャルドな作風が魅力的。ただ一方で、どこかメロディアスな歌が入ってきていたりして、意外とポップに感じられる側面もあったりします。独特なサウンドについつい耳を惹かれてしまう、そんなアルバムでした。

評価:★★★★★

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2023年6月25日 (日)

ベタがゆえに魅力的

Title:Heat Wave
Musician:Superfly

レコード会社の移籍もあり、約3年4か月ぶりと、ちょっと久々となるSuperflyのニューアルバム。率直に言うと、彼女の前作「0」については、いささか期待はずれのアルバムでした。ショートカットの彼女の横顔を写した、オーガニックな感じのジャケット写真も特徴的ですが、楽曲についてもそのジャケットのイメージを引き継いだ感じの、ポップな感じの作風。Superflyらしいロック直系のヘヴィーで、ある種のベタさを感じる楽曲は、前作から感じられません。前作はほぼ全曲、越智志帆が作曲を手掛けていただけに、今後はこういう方向性に進むのか・・・という不安も感じてしまいました。

ただ、うってかわって今回のアルバムはまずジャケットからある意味ベタ。燃え盛る炎を前に、夕日(朝日?)をバックにという、そのパワーを感じさせるようなジャケットになっており、オーガニックさを感じる前作から一転。お、これは・・・という期待半分、不安半分で聴き始めたのですが、結果としては、以前のSuperflyらしい、ロック直系のパワフルな、ある意味「ベタ」なアルバムに仕上がっていました。

そもそも1曲目のタイトルチューン「Heat Wave」のイントロから、非常に力強い呼びかけ声からスタート。パワフルな楽曲となっていますし、「Love&Peace Again!」もストリングスやホーンセッションも入ってスケール感のある楽曲に仕上がっています。そしてアルバムの中でもいかにもSuperflyらしいのが「ダイナマイト」で、ホーンセッションがパワフルで疾走感もあるこの曲は、まさに力強い歌声で聴かせてくれる「タマシイレボリューション」を彷彿とさせるような出来栄えとなっています。おそらく、ファンならばテンションが最高潮にあがるナンバーとなっているでしょう。

サウンド全体としてはストリングスやホーンセッションをふんだんに取り込んでスケール感を出しており、初期のようなルーツ志向なサウンドは残念ながらあまり感じられません。「Mr.Cooper」あたりはギターサウンドを押し出したロックチューンになっていますが、タイプ的には90年代のオルタナ系ギターロックといった感じで、初期のSuperflyの作風からすると、全体的に軽く感じてしまう点は、賛否はわかれそうな感じはします。

ただ全体的には最初に書いた通り、ある種のベタなサウンドが、パワフルな越智志帆のボーカルにもマッチしており、いい意味で実にSuperflyらしいアルバムに仕上がっていたと思います。間違いなく聴いていてどんどんとテンションが上がっていくような、そんな傑作に仕上がっていました。

評価:★★★★★

そして、ちょっと遅ればせながらになったのですが、昨年末にSuperflyが配信限定でライブベストをリリースしていましたのでチェックしてみました。

Title:15th Anniversary Live Best
Musician:Superfly

Livebest

いままでアルバムやシングルの特典としてライブCDをリリースしたことはあったのですが、単独の作品としては、初となるライブアルバム。「ライブベスト」と題されているように、2008年から2019年にかけての様々なライブ音源からピックアップしているライブ盤で、彼女の代表曲が網羅されており、ベスト盤的にも楽しめる作品となっています。

またライブベストということですが、これがライブのセットリストだとしたら思いっきり盛り上がるだろうなぁ・・・という構成になっていました。最初は「愛をこめて花束を」からスタートし、まずは場をあたため、「Beautiful」で盛り上がった後、キラーチューンとも言える「タマシイレボリューション」へと展開・・・ライブのセットリストがこの並び順なら、ゾクゾクと来ちゃうだろうなぁ、と感じさせる流れとなっています。

中盤から後半にかけても「Bi-Li-Li Emotion」「Alright!!」で盛り上がりつつ、ラストは「ハロー・ハロー」でしんみり歌い上げて終了。存分にSuperflyの魅力を感じることの出来る構成となっていました。

サウンドは基本的にバンドサウンドを軸としつつも、ストリングスやらピアノやらを入れて、全体的にはスケール感を出すような構成。スタジアムライブが似合いそう・・・というと、ロックとしては必ずしも誉め言葉ではないのかもしれませんが、ただ、サウンドにしろ越智志帆のボーカルにしろ、それだけの迫力を感じさせる仕上がりとなっていました。

Superflyはまだ一度もライブを見たことはないのですが、このライブベストを聴くと、一度くらい行きたいなぁ、と感じる内容になっていました。文句なしに盛り上がりそうですね。Superflyのライブの魅力を存分に感じさせてくれる作品でした。

評価:★★★★★

Superfly 過去の作品
Superfly
Box Emotions
Wildflower&Cover Songs:Complete Best 'TRACK3'
Mind Travel
Force
Superfly BEST
WHITE
黒い雫 & Coupling Songs:`Side B`
Superfly 10th Anniversary Greatest Hits “LOVE, PEACE&FIRE”
0

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2023年6月24日 (土)

偉大なる音楽家の遺作

Title:サウンドトラック「怪物」
Musician:坂本龍一

今年3月、長らくの闘病生活の末、71歳でこの世を去った音楽家、坂本龍一。以前から癌での闘病中というニュースは伝えられていただけに、覚悟は出来ていたとはいうものの、大きな衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか。特に今年はじめに、同じYMOのメンバーであった高橋幸宏もこの世を去っており、YMOメンバーの相次ぐ逝去は非常に残念に感じるとともに、2人とも、70歳を超えており、平均寿命よりは短いとはいえ、「早世」と言える年齢ではないことから、日本のポピュラーミュージックシーンを築き上げてきた多くのミュージシャンたちが、そのような年齢を迎えているという事実を、あらためて思い知らされました。

そんな坂本龍一は最後の最後まで音楽家としての活動を続けており、闘病生活の中でもピアノやシンセサイザーで日々のメモのように曲を作り上げてきており、今年1月には生前最後のアルバムとなってしまった「12」をリリース。ヒットを記録しています。さらに是枝裕和監督と脚本家・坂元裕二により制作されて、6月に公開予定の映画「怪物」では音楽を担当。そのサントラ盤も映画公開に先立ち、このたびリリースされました。

ただ、さすがに映画の音楽全体を、1から作り上げる体力は残されていなかったようで、基本的には過去の作品を使用したようですが、このうち2曲については新曲を書きおろし、提供したそうで、音楽を担当する以上はしっかりと新曲も作り上げるという、音楽家としての矜持を感じることが出来ます。

その2曲が「Monster 1」「Monster 2」。ピアノにシンセを重ねたシンプルな曲調ながらも美しい作品になっています。このうち「Monster 1」の方はピアノの音も少なめでシンプル。幻想的な雰囲気を醸し出しつつ、清涼感がありながらどこか幻想的な雰囲気が魅力的な作品。「Monster 2」の方はしっかりとピアノでメロディーが奏でられている作品で、(おそらく)教授本人の息遣いもそのまま収録されており、ある意味、生命感を覚える作品になっています。ある意味、その時に思いついたアイディアをそのまま音にしたような「12」の作品よりも、しっかりと音楽として完成された作品になっており、ここに至って、これほどの作品を作り上げてくるという事実に驚かされます。

その他の曲は既発表曲が並びますが、うち2曲は最新アルバム「12」からのナンバーで、そういう意味では全7曲中4曲までも、最晩年の坂本龍一の楽曲で占めることになります。また、残りの曲については「hwit」「hibari」は2009年にリリースされたアルバム「アウト・オブ・ノイズ」に収録された作品。最後の「Aqua」は1998年の「BTTB」収録の作品となるのですが、基本的には「12」の楽曲や今回の新曲2曲にマッチした、音数を絞ってメロディー以上にシンプルな「音」と「空間」を聴かせようとするピアノ曲が並びます。最後に坂本龍一がたどり着いた音楽の世界をあらわした曲が並ぶアルバムとなっていました。

そういう意味では、本作は坂本龍一の最晩年期のベストアルバムという見方も出来るかもしれません。特に、いままで坂本龍一というとYMOだったり、戦メリの主題歌だったり、そういう印象しかない人が、じゃあ坂本龍一が最後にどのような音を奏でていたのか、ということを知りたい場合には、全7曲36分強という短さもあって、もっともお勧めしやすい作品になっていたと思います。映画のサントラ盤ですが、ワンアイディアで数秒で終わるような劇判曲もありませんし、列記とした坂本龍一のアルバムとして聴ける作品になっていました。

また、特に「Moster 1」「Monster 2」は彼の遺作ともなってしまった作品になりますし、方向性的にはアルバム「12」の延長線上にあるような作品でもありますので、「12」を聴いたファンにとっても、まずは聴くべき作品なのは間違いありません。最後にあらためて、この偉大なる音楽家に対して、ご冥福をお祈り申し上げます。たくさんの素晴らしい音楽をありがとうございました!

評価:★★★★★

坂本龍一 過去の作品
out of noise
UTAU(大貫妙子&坂本龍一)
flumina(fennesz+sakamoto)
playing the piano usa 2010/korea 2011-ustream viewers selection-
THREE
Playing The Orchestra 2013
Year Book 2005-2014
The Best of 'Playing the Orchestra 2014'
Year Book 1971-1979
async
Year Book 1980-1984

ASYNC-REMODELS
Year Book 1985-1989
「天命の城」オリジナル・サウンドトラック
BTTB-20th Anniversary Edition-
BLACK MIRROR : SMITHEREENS ORIGINAL SOUND TRACK
Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 12122020
12

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2023年6月23日 (金)

もっと売れてもいいバンドだと思うのですが。

Title:HAKKOH
Musician:SAKANAMON

メディアなどではあまり高い評価を受けておらず、売上も芳しくないけど、個人的にはもっと評価されてもいいと思っているミュージシャンは何組かいます。Fishmansやサカナクションと並べて「魚系」なんて呼ばれ方もしているとか、していないとか。かつてはメジャーデビューしていたものの、現在ではインディーズに場所を移して活動を続ける彼ら。そのため、以前にも増して情報が入ってこなくなってしまいました・・・。そんな中、先日、人気アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」に登場する結束バンドの新曲「光の中へ」が、SAKANAMONの藤森元生が出がけていることから、久しぶりにSAKANAMONについて検索をかけたら・・・いつの間にかアルバムをリリースしているじゃありませんか!そんな訳で、遅ればせながら最新アルバム「HAKKOH」をチェックしてみました。

全体的には軽快なオルタナ系ギターロックを聴かせてくれる彼ら。本作もイントロ的なオープニングナンバー「発光」を挟んで2曲目「MAD BALLER」はストリングスで音を増しつつ、疾走感あるギターロックを聴かせてくれる作品。続く「JUNK IN MY HEAD」はリズミカルなギターロックながらもメランコリックなメロも印象に残る作品になっています。まあ、ただここらへんは、良くありがちなインディー系ギターロックバンド、といったイメージでしょうか。

ただ、このアルバムでSAKANAMONの真骨頂とも言えるのがリーガルリリーのたかはしほのかをゲストに迎えた「1988」からの展開でしょう。この曲はポストロック的な作品にまとめあげており、序盤の作風とはグッと雰囲気が異なります。かと思えば続く「ディスタンス」はアコギでフォーキーに聴かせる楽曲となり、また雰囲気は一転。郷愁感あふれる歌詞も印象的で、SAKANAMONの違う魅力も感じさせる作品になっています。

さらにユニークなのは、その次にNHK「みんなのうた」でおなじみの童謡「南の島のハメハメハ大王」が入っている点。最初、「え?あの曲?まさか・・・」と思っていたのですが、その「まさか」でした。ちなみに本作は昨年8月から9月にかけて行われたみんなのうた61年目の企画「名曲カバー」の第1弾だそうで、みんなのうたのカバー曲は、平井堅の「大きな古時計」以来だそうです。残念ながら「大きな古時計」のようにヒットはしませんでしたが・・・。しかし、思ったよりも自然なギターロックにまとめあげており、原曲の持つコミカルさもSAKANAMONのサウンドにマッチ。彼ららしいカバーに仕上がっていました。

歌詞でユニークといえば、「裏鬼門の羊」で、何の話かと思えば、「桃太郎」でお供についている動物が、犬、猿、鳥であるのは、裏鬼門にあたる動物であるから、という「説」に基づいた話で、本来は裏鬼門のはずの羊が仲間に加わっていないのはなぜか?という話から派生した歌詞。多分、昔、日本に羊がほとんどいなかったからだとは思うのですが、なかなか目のつけどころがユニークな歌詞となっています。

そんな感じで歌詞の面でもサウンドの面でも非常にユニークな彼ら。それだけに、メジャーからインディーに活動が移り、知る人ぞ知る的な感じになってしまったのは大変残念なのですが、間違いなく彼らのバンドとしての実力を感じさせるアルバムになっています。ただ、全体的な出来としては、いままでのSAKANAMONの作品の中では一歩劣ってしまったかな、という感じもするのも事実。メロディーラインのインパクトは薄いですし、社会の中で孤独に生きるような人たちにスポットをあてた歌詞が特徴的だったのですが、その傾向も弱くなってしまっていました。ここらへんのインパクトの弱さがいまひとつブレイクしきれなかった理由のような気もしてしまうのですが。それを差し引いても、もっともっと高く評価されてよいバンドだと思います。これからの活躍に期待したいところです。

評価:★★★★

SAKANAMON 過去の作品
ARIKANASHIKA
あくたもくた
HOT ATE
OTSUMAMIX

・・・


ほかに聴いたアルバム

Bee and The Whales/Galileo Galilei

2010年にメジャーデビュー。メジャーデビューアルバムの表題曲「ハマナスの花」が話題となり(というかレコード会社などからの露骨なプッシュが目立っていた印象も強いのですが)、一躍人気バンドとなった彼ら。ただ2016年に活動を終了してしまいました。ただ、昨年10月に活動再開を発表。そしてリリースされたのがオリジナルアルバムとして約7年4か月ぶりとなる本作です。

Galileo Galileiといえば、アルバム毎に作風を変えてきた点が大きな特徴的。ただ一方、その結果、全体として中途半端に終わってしまったという印象も受けています。そして久々リリースされたアルバムは、エレクトロサウンドとバンドサウンドを融合させて分厚いサウンドを聴かせる、少々ポストロックの方向性も感じさせる作風に。2作目「PORTAL」に近い感じでしょうか。ただAORの要素も強く感じる点は、「Sea and The Darkness」で見せた要素も感じさせます。

全体的にはサウンドの方向性とポップなメロディーラインを程よく融合させており、バランスの良い作品になった印象。よく言えばポップにまとまっている感じですし、まあ、無難な感じとも言えなくもないのですが・・・。今後はバンドとしてコンスタントに活動を続けるのでしょうか。今後はまたアルバム毎に様々な方向性に走りそうな感じもするのですが。

評価:★★★★

Galileo Galilei 過去の作品
パレード
PORTAL
Baby,It's Cold Outside
ALARMS
SEE MORE GLASS
Sea and The Darkness
車輪の軸

果てしないこと/古内東子

2023年にデビュー30周年を迎えた古内東子。昨年はピアニストとの共演アルバム「体温、鼓動」、そしてアルバム「魔法の手」のデラックスエディションリリースと続きましたが、本作はその第3弾となるオリジナルアルバムとなります。ただ、30周年の記念アルバムとはいえ、スタイル的にはいつもの彼女と変わりません。基本的にピアノをベースにメランコリックに聴かせる失恋の歌というスタイル。ある意味、大いなるマンネリといった感じなのですが、卒なくリスナーの壺は抑えられており、いい意味で安心して聴ける作品になっています。ただ、そういう記念すべきオリジナルアルバムなのですが、曲数がたった8曲というのはちょっと寂しく感じる部分も。まあ、厳選した、ということなのでしょうが。

評価:★★★★

古内東子 過去の作品
IN LOVE AGAIN
The Singles Sony Music Years 1993~2002
Purple

透明
夢の続き
and then...~20th anniversary BEST~
Toko Furuuchi with 10 legends
After The Rain
誰より好きなのに~25th anniversary BEST~
体温、鼓動
魔法の手 Deluxe Edition

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2023年6月22日 (木)

男性アイドルグループが上位に並ぶ

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

最近、主戦場をすっかりシングルからアルバムに変えたアイドルグループですが、今週もベスト3に男性アイドルグループが並んでいます。

まず1位には&TEAM「First Howling:WE」がランクイン。韓国の芸能事務所HYBEの傘下であるHYBE LABELS JAPANからデビューした日本人6人、台湾人1人、韓国人1人、ドイツ系日本人1人によるアイドルグループ。これが2作目のEP盤となります。CD販売数及びダウンロード数で共に1位獲得。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上15万3千枚で1位初登場。1枚目のEP「First Howling:ME」の初動15万枚(1位)から若干のアップとなっています。

2位もスターダストプロモーション所属の男性アイドルグループM!LKのニューアルバム「Jewel」が獲得。CD販売数2位、ダウンロード数78位。オリコンでは初動売上4万5千枚で2位初登場。前作「HOME MADE CHU!?」の初動4千枚(14位)から大きくアップしています。

3位にはジャニーズ系男性アイドルグループ20th Century「二十世紀FOR THE PEOPLE」が初登場。V6のメンバーのうち、年長者3名が結成したユニット。2021年にV6が解散したのですが、20th Centuryは活動を継続しているのですね。アルバムとしては2004年のベストアルバム「Replay~Best of 20th Century~」以来、オリジナルアルバムとしては実に1998年の「!-attention-」以来、実に約25年ぶり(!)というアイドルグループとしてはあるまじきスパンでのリリースとなっています。CD販売数3位、ダウンロード数9位。オリコンでは初動売上4万枚で3位初登場。その直近作のベスト盤の初動売上(3位)も、1998年のオリジナル前作の初動売上(7位)もいずれも4万枚で、ほぼ横バイ。ある意味、25年経ってもファンに変化がない(?)という驚異的な結果となっています。

続いて4位以下の初登場盤です。まずは4位。TM NETWORK「DEVOTION」が初登場。ご存じ、小室哲哉、宇都宮隆、木根尚登の3人による80年代に一世を風靡したユニット。1994年に一度プロジェクトを終了するものの、1997年に活動再開。ただ、その後は活動しているんだか、していないんだかわからないような散発的な活動が続き、ご存じのように小室哲哉の引退騒動もあり、オリジナルアルバムとしては2014年の「QUIT30」以来、久々のリリースとなりました。小室哲哉については活動再開に批判も多いのですが、でもやはりファンとしてはこの3人が並ぶと、胸が熱くなってしまいます・・・。CD販売数4位、ダウンロード数2位。オリコンでは初動売上2万枚で5位初登場。直近作はライブアルバム「LIVE HISTORIA T ~TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015~」「LIVE HISTORIA M ~TM NETWORK Live Sound Collection 1984-2015~」で、同作はいずれも初動5千枚(それぞれ13位、14位)でしたので、そちらよりは大幅アップ。オリジナルアルバムとしての前作「QUIT30」の初動1万9千枚(8位)より若干ですが、アップしています。

5位には韓国の男性アイドルグループTHE BOYZ「Delicious」がランクイン。CD販売数5位。オリコンでは初動売上3万6千枚で4位初登場。直近作は韓国盤のミニアルバム「Be Awake:8th Mini Album」で同作の初動3千枚(18位)からは大幅アップ。国内盤の前作「SHE'S THE BOSS」の初動3万5千枚(3位)からは微増。

7位初登場も韓国の男性アイドル。TAEYOUNG「SHALALA」。韓国の男性アイドルグループNCTのメンバーによるソロデビューミニアルバム。CD販売数7位。オリコンでは発売日の関係で、ランクイン2週目にして1万枚を売り上げて10位にランクインしています。

8位には3人組ボーカルグループTHE BEAT GARDEN「Bell」が初登場。CD販売数8位、ダウンロード数19位。オリコンでは初動売上1万枚で9位初登場。前作「余光」(6位)から初動売上はほぼ横バイ。

最後、10位にはさだまさし「なつかしい未来」がランクイン。デビュー50周年を記念してリリースされたオリジナルアルバム。CD販売数10位、ダウンロード数36位。オリコンでは初動売上1万1千枚で8位初登場。前作「孤悲」から初動売上はこちらも横バイ(4位)となっています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2023年6月21日 (水)

ついにV10

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ついにV10達成です。

Yoasobiidle

今週も、YOASOBI「アイドル」がついに10週連続での1位獲得となりました。ストリーミング数、YouTube再生回数、ダウンロード数及びカラオケ歌唱回数は今週も1位。ラジオオンエア数も4位から3位にアップし、ヒットを続けています。

2位初登場はジャニーズ系男性アイドルグループSixTONES「こっから」。CD販売数及びラジオオンエア数1位、YouTube再生回数3位。日テレ系ドラマ「だが、情熱はある」主題歌。オリコン週間シングルランキングでは、同作が初動49万4千枚で1位初登場。前作「ABARERO」の初動42万9千枚(1位)からアップしています。

3位はMAN WITH A MISSION×milet「絆ノ奇跡」がワンランクダウンながらもベスト3をキープ。ストリーミング数5位、YouTube再生回数2位は先週から変わらず。ダウンロード数も4位から3位にアップ。CD販売数は11位から12位にダウンしていますが、これで10週連続のベスト10ヒット&3週連続のベスト3ヒットとなりました。「鬼滅の刃」主題歌としては当初、勢いのなかった同曲ですが、ようやく、以前の主題歌と同様、ロングヒットの仲間入りが出来そうです。

続いて4位以下の初登場曲ですが、唯一の初登場曲が6位初登場のハロプロ系女性アイドルグループ、アンジュルム「アイノケダモノ」。CD販売数2位、ダウンロード数11位、ラジオオンエア数45位。オリコンでは初動売上4万4千枚で2位初登場。前作「悔しいわ」の初動4万7千枚からダウンしています。

そして今週はベスト10返り咲きが1曲。それがOfficial髭男dism「Subtitle」で、今週11位から9位にランクアップ。2週ぶりにベスト10に返り咲きました。これで通算35週目のベスト10ヒットに。さらに「TABOO」も先週から変わらず7位をキープし、こちらも9週連続のベスト10ヒットに。またヒゲダンは2曲同時ランクインとなっています。

さて、続いては例のごとくのロングヒット曲ですが、まずはスピッツ「美しい鰭」。今週も先週から変わらず4位をキープ。ストリーミング数は7週連続の2位をキープ。ただし、CD販売数は60位から86位、ダウンロード数は11位から13位、YouTube再生回数も17位から23位と下落傾向が続いています。これで10週連続のベスト10入り。

Vaundy「怪獣の花唄」はこちらも5位をキープ。ストリーミング数は7週連続の3位、カラオケ歌唱回数も4週連続の2位。YouTube再生回数も先週と変わらず10位を維持。これで24週連続のベスト10ヒットとなりました。

さらに今週、Mrs.GREEN APPLE「ケセラセラ」が8週目のベスト10ヒットを達成しています。テレビ朝日系ドラマ「日曜の夜ぐらいは…」主題歌の同曲は5月3日付チャートで10位に初登場。翌々週に4位までアップしたものの、その後は徐々にダウンしてきました。ただ、ここに来て3週連続10位と粘り強さを見せて、ロングヒットを記録しています。主にストリーミング数で7位を記録。来週以降もヒットが続くのかは微妙ですが、その人気の強さを感じさせる結果となっています。

今週のHot100は以上。明日はアルバムチャート!

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2023年6月20日 (火)

沖縄音楽の奥深さを感じる力作

Title:沖縄の音楽 記憶と記録 コンプリートCD BOX

沖縄本土復帰50周年を記念し、プロデューサーの立川直樹と、島唄研究家の小浜司により選曲・監修が行われた、沖縄の音楽史を今日の観点でまとめあげた5枚組のコンピレーションアルバム。全92曲という沖縄の音楽が収録されており、沖縄音楽を俯瞰できる決定版とも言うべきボックス盤となっています。

ただ、発売元が「よしもとミュージック」。あの吉本興業の系列のレコード会社。まあ、正直なところ、あまり沖縄音楽のようなワールドミュージックに造詣の深いレコード会社とは思えず、どうなんだろうなぁ・・・と思っていたのですが、ただ実際に聴くと、その充実ぶりに驚かされました。

とにかく沖縄の音楽について片っ端から収録。おそらく、沖縄の音楽といわれて一般的に最も知名度があると思われる喜納昌吉&チャンプルーズ「ハイサイおじさん」はもちろん収録。そのほか、知名定男やりんけんバンド、ネーネーズといった本土でも知名度の高いミュージシャンはもちろんのこと、OKIとのユニットで本サイトでも紹介したことのある大城美佐子やソウルフラワーとのコラボでも知られる登川誠仁などなど、沖縄音楽を代表するミュージシャンたちがズラリと名前をそろえています。

また、「記録」という意味でも、貴重な音源も収録。大正5年にSPレコードで録音された富原盛勇「今帰仁宮古ノ子」や、琉球民謡の祖とも呼ばれ、沖縄音楽を取り上げた最初のインディーレーベル、マルフクレコードの設立者としても知られる普久原朝喜の音源も、「懐かしき故郷」(普久原京子との共演)や「ナークニー~ハンタ原」(普久原鉄子との共演)を聴くことが出来ます。

さらにこのボックス盤の素晴らしいところは、収録されている楽曲が沖縄民謡に留まらない点。日出克「ミルクムナリ」やコンディション・グリーン「Confusion」、紫「DOUBLE DEALING WOMAN」は完全にロックですし、与世山澄子「サマータイム」、安富祖貴子「WORK SONG」はジャズ。佐渡山豊の「ドゥーチュイムニー」はフォークソング。ただ1番は沖縄方言で歌われており、非常に強いインパクトがあります。

また、沖縄民謡と言ってもバラエティー豊富。三線で哀愁感たっぷり聴かせる曲があるかと思えば、太鼓も入って軽快なダンスミュージックにもなったり、曲によってはロック風、ポップス寄りなど多種多様。照屋林助の「職業口説」のような、コミカルなトークが入った、ノベルティー色の強い曲もあります(ただ、沖縄方言全開のため、何を言っているのか全くわかりません・・・)。

若干残念だったのは、THE BOOMの「島唄」をはじめ、KiroroやCocco、MONGOL800など、沖縄の色合いを強く感じるJ-POP系のミュージシャンの曲は未収録だった点。権利の関係か、それともコンセプトから若干はずれてしまうからか・・・宮沢和史なんて、今、よしもとミュージック所属なのだから、THE BOOMの曲はむしろ収録しやすいようにも思うのですが・・・。

そのバラエティー豊富な楽曲の連続で、沖縄音楽の幅広さと奥深さを知ることが出来る作品。沖縄民謡の魅力にもあらためて触れることが出来、いままで以上に、一気に沖縄の音楽に興味を抱いた魅力的なボックス盤となっていました。次から次へと魅力的な曲が繰り広げられるだけに、思わずうなってしまう充実した内容に。沖縄の音楽のすばらしさに圧巻された作品でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

AIRPORT/藤原さくら

オリジナルアルバムとしては約2年7ヶ月ぶりとなる藤原さくらのニューアルバム。藤原さくらというと、ロックやフォーク、ブルースなどの影響が強いミュージシャンでしたが、今回の作品は特に前半に関しては、R&BやHIP HOP、ネオソウルの影響を強く感じる作品となっており、あらたな方向性を感じさせます。一方、後半は彼女らしさを感じるフォーク系の曲に。ただ、全体的にエレクトロサウンドがメインだった前半と、オーガニックなサウンドがメインとなる後半がチグハグといった印象が。新たな挑戦とみることも出来るのですが、「Soup」以降、人気が下降線をたどる彼女に、少しでも売れそうな方向性をやらせようとする上からの意図とも解釈できたり、できなかったり・・・。

評価:★★★★

藤原さくら 過去の作品
PLAY
green
red
SUPERMARKET

世界が違って見える日/中島みゆき

オリジナルアルバムとしての前作「CONTRALTO」が2020年1月というコロナ直前でのリリースでしたので、コロナ禍後は初となる中島みゆきのオリジナルアルバム・・・のタイトルがこれなので、コロナに絡んで、と思ったのですが、内容的にはいつものみゆき節といった感じ。「乱世」「体温」あたりにコロナを読み取れないことはない、といった程度で、ある意味、ぶれない世界観をしっかりと聴かせてくれます。中島みゆきといえば、2020年のツアーを最後に、コンサートツアーからの引退を表明していますが、アルバムはこの通りコンスタントにリリースしていくようで、うれしい限り。ちなみに「体温」では音楽活動からの引退を表明している吉田拓郎がギター・コーラスで参加。こういう形での活動は続けるんですね。いや、もちろん元気な姿を見れるのはうれしい限りなので、むしろ積極的に活動を続けてほしいのですが。

評価:★★★★

中島みゆき 過去の作品
DRAMA!
真夜中の動物園
荒野より
常夜灯
十二単~Singles4~
問題集
組曲(Suite)

中島みゆき・21世紀ベストセレクション『前途』
中島みゆきConcert「一会」(いちえ)2015~2016-LIVE SELECTION-

相聞
中島みゆき ライブ リクエスト -歌旅・縁会・一会-
CONTRALTO
ここにいるよ
中島みゆき 2020 ラスト・ツアー「結果オーライ」

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2023年6月19日 (月)

大ヒット中「美しい鰭」も収録の新作

Title:ひみつスタジオ
Musician:スピッツ

最新シングル「美しい鰭」がヒット中のスピッツによる、純粋なオリジナルアルバムとしては「見っけ」以来3年7ヶ月ぶりとなるニューアルバム。ただ「美しい鰭」は映画「名探偵コナン 黒鉄の魚影」主題歌に起用されたことによるヒットのようで、残念ながら最新アルバムのセールスはそこまでは伸びていないようです。正直、「美しい鰭」もスピッツの作品の中でずば抜けた感もないのですが・・・。

そんなスピッツの最新作は、ちょっとユーモラスなタイトルがまずはスピッツっぽい感じ。このタイトル、「ひみつスタジオ」が登場するのはアルバムの最終曲「めぐりめぐって」の中。

「秘密のスタジオで じっくり作ったお楽しみ
予想通りにいかないけど それでもっとワクワク」
(「めぐりめぐって」より 作詞 草野正宗)

セルフプロデュースでは本作はメンバーやファンのことを歌った曲だそうで、その中で登場する「秘密のスタジオ」とは、彼らのレコーディングスタジオのことでしょう。スピッツらしい暖かく楽しい歌詞が魅力的な曲。ただ、そう考えると、アルバムの冒頭「i-O(修理のうた)」もまさに「愛をくれた君と 同じ荒野を歩いていくよ」という歌詞が、ファンと彼らのことを歌った歌詞とも解釈でき、アルバムを通じてのバンドとファンの絆を感じさせる内容になっているように感じました。

アルバム全体としては、彼ららしいシンプルながらも温かみのあるギターロックがメインとなっている作品。正直言って、目新しさはありませんが、一方ではそんな中でユーモラスな試みも見受けられます。まずは「オバメのロックバンド」。タイトルからしてユニークなのですが、彼らの曲としてははじめて、メンバー全員が代わる代わるにボーカルを取っているという作品。ちなみに歌詞は、歌っているメンバーそれぞれの特徴を描写したそうで、まさに自分たちのことを歌った楽曲になっており、「めぐりめぐって」や「i-O(修理のうた)」にもつながるような楽曲となっています。

さらに「未来未来」では、ポップスに民謡風の歌いまわしを融合させて話題となっているシンガーソングライターの朝倉さやが参加。民謡由来のこぶしの効いた歌いまわしを聴かせる楽曲となっており、基本的にはシンプルがギターロックなのですが、ちょっとエキゾチックな感じがユニークな作品となっています。

そんなユニークな試みを行いつつも、「跳べ」「紫の夜を越えて」など、ギターロックで聴かせつつも、ちょっと切なさも感じらせるメロディーラインが胸に響く、スピッツらしい作品も魅力的。前にも書いた通り、目新しさはない、といえばないのですが、一方ではファンがスピッツに求める壺もしっかりと抑えた作品にもなっています。それもエバーグリーン的な魅力はいまだに健在。彼らほどのベテランが、いまだにこの水準のポップスソングをコンスタントにリリースしてくるという点では驚きすら感じられます。

「美しい鰭」のヒットは、映画自体がコナン映画の中でもヒットしているという要因もあるのでしょうが、このエバーグリーン的な楽曲の魅力が、昔からのファンのみならず、若年層のファンにもヒットした、ということなのでしょう。そんな、いい意味で変わらないスピッツの魅力を感じたアルバムでした。

評価:★★★★★

スピッツ 過去の作品
さざなみCD
とげまる
おるたな
小さな生き物
醒めない
CYCLE HIT 2006-2017 Spitz Complete Single Collection
見っけ
花鳥風月+


ほかに聴いたアルバム

Ghost Pop/須田景凪

ボカロP出身のシンガーソングライターによる最新作。以前から良くも悪くも「ボカロP出身」らしいメランコリックなメロディーライン一本やりな部分が気になっていました。今回のアルバムに関しても、全体的にメランコリックなメロを前に出した作品が多いものの、打ち込みやピアノ、ギターロックなどの要素を上手く取り込みつつ、メロディーラインの強度は以前よりも増した印象が。前作では光る要素もあるので大化けしてほしい、という期待をしていたのですが、今回のアルバムではその片鱗が見えたかも??

評価:★★★★

須田景凪 過去の作品
porte
Billow
ANSWER(フレデリック×須田景凪)

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2023年6月18日 (日)

バンドとしてさらなる高みへ

Title:e o
Musician:cero

途中、メンバー各々のソロアルバムのリリースを挟みつつ、バンドとしては約5年ぶりとなるニューアルバム。ちょっと奇妙なアルバムタイトルですが、バンド名の「cero」から「c」と「r」のみ抜いたタイトルだそうです。そういう意味では、ジャケットで書かれた通り、本来は「e」の前も半角スペースというのが正式タイトルなのか?

毎回、アルバム毎に高い評価を受け、傑作をリリースし続ける彼らですが、今回のアルバムは彼らがさらなる高みに手をかけた1枚と言っていいかもしれません。前作「POLY LIFE MULTI SOUL」は、ジャズやHIP HOPベースに多様な音楽性を取り込んだ作品でしたが、今回の作品ではその様々な音楽性を自らの中で希釈し、いい意味でジャンルレスとも言える作風を作り上げています。

1曲目「Epigraph エピグラフ」はファルセットボーカルでネオソウル、あるいはAORの要素を感じさせる作品なのですが、続く「Nemesis」はシンプルなピアノのトラックで、HIP HOP的な要素も強い作風が特徴的。「Tableaux タブローズ」はファルセット気味のボーカルとエレクトロサウンド、リズムトラックとピアノが美しく絡み合い、独特の音楽性を作り上げています。

前半は、サウンドと歌声が融合したような作風の曲が並んでおり、最小限に絞ったようなシンプルなエレクトロサウンドも特徴的。「Fuha フハ」などもまさに、エレクトロサウンドながらも空間を聴かせるような作風が魅力的で、前作では最初、「歌の力が弱いかも」という印象を受けたのですが、今回のアルバムに関してはそんな感触を抱く隙をあたえないほど、聴かせるサウンドを繰り広げています。

さらに後半はそんな歌やメロディーラインがもっと前に出てきた作品が並び、アルバムの幅を広げています。「Fdf エフ・ディー・エフ」などがまさに特徴的で、リズミカルでファンキーなダンスチューンで、そのリズムやメロディーラインにインパクトのあるポップな作品に。「Sleepra スリプラ」も哀愁感あふれる歌が大きな魅力に。最後を締めくくる「Angelus Novus アンゲルス・ノーヴス」もピアノをバックにメランコリックな歌をしっかりと聴かせる歌モノのポップに仕上げていました。

前半の空間を聴かせるようなエレクトロサウンドは、ある種、Corneliusあたりに匹敵するような作風とも言え、バンドとしてワンランク、レベルが上がったようにも感じられます。今回のアルバムは各種メディアでも絶賛されているように、既に高い評価を受けているのですが、その理由も納得の傑作で、今年を代表する1枚とも言っていいのではないでしょうか。さらなる進化を続ける彼らのスタイルには驚愕させられます。まず音楽リスナーなら聴いておくべき作品です。

評価:★★★★★

cero 過去の作品
My Lost City
Obscure Ride
POLY LIFE MULTI SOUL

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2023年6月17日 (土)

自分自身や周りとの関係を見つめなおして

Title:Multitudes
Musician:Feist

カナダの女性シンガーソングライター、ファイストの実に約6年ぶりとなるニューアルバム。2019年に娘が誕生し、そして父親を亡くした彼女(ただ、Wikipediaでは"the birth of Feist's adopted daughter"(adopted daughter=養女)と書かれています。養女をもらい受けたという意味でしょうか?)。そんな人生における大きなイベントを経験した彼女が、自分自身や周りの人たちとの関係性に向かい合った中で誕生したアルバムが本作だそうです。

・・・となると、基本的には原点に返るような作品、というのが王道の方向性になるのでしょうか。もっとも、彼女のアルバムを聴くのがこれで3作目。デビュー当初から追いかけていた訳ではないので、彼女の「原点」がどこにあるのか、率直に言えば詳しくは存じ上げない訳ですが、ただ、いままでの作品に比べて、よりシンプルでアコースティックなアレンジの作品が目立ったアルバムになっていたように感じます。

1曲目の「In Lightning」こそ、力強くトライバルなビートとコーラスラインを多様した作品で、ちょっとビョークを彷彿とさせるものなのですが、続く「Forever Before」は静かなアコースティックギターをバックにフォーキーでメランコリックに歌い上げるナンバー。「Love Who We Are Meant To」はアコギのアルペジオで美しく聴かせる楽曲となっていますし、その後もアコースティックなサウンドでフォーキーな作品が並びます。

この方向性は最後まで続き、終盤も「Martyr Moves」「Calling All the Gods」「Song for Sad Friends」とアコースティックなサウンドでしんみり聴かせるフォーキーなナンバーで締めくくられます。こう書くと、終始一貫してフォーキーな作品を聴かせる静かなアルバムという印象を受けるでしょうし、それも本作のひとつの見方でしょう。ただ、ユニークなのは、1曲目もそうなのですが、ここに幻想的なサウンドが加わるところが実にユニークさを感じます。

典型的なのがアコースティックな作品が並ぶ前半から、アルバムのちょうど中盤に並んでいる「I Took All of My Rings Off」。序盤こそアコースティックなサウンドでスタートするのですが、中盤以降、分厚いシンセやエレクトロのサウンドなどが加わり、サイケな様相が加わるドリームポップに仕上げられています。

後半の「Borrow Trouble」も分厚いオーケストラアレンジを加えてスケール感のある楽曲に仕上げた作品。こちらもドラムのリズムも加わり非常に力強いダイナミックな作品に仕上げられており、全体的にフォーキーな作風の中で大きなインパクトとなっています。

そんな作品が並びつつも、全体としてはアコースティックで暖かいサウンドをバックにメロディアスに聴かせる歌モノがメイン。前作も素晴らしい作品でしたが、今回も間違いなく傑作と言える作品に仕上げてきています。フォーキーで暖かいポップソングが好みなら、間違いなく楽しめる作品です。

評価:★★★★★

Feist 過去の作品
Metals
Pleasure


ほかに聴いたアルバム

i've seen a way/Mandy,Indiana

イギリスはマンチェスターを拠点に活動する4人組エクスペリメンタルバンドによるデビューアルバム。メタリックなサウンドで、こもったような女性ボーカルを聴かせつつ、終始、不穏な雰囲気でアルバムは続きます。ただ、メランコリックなメロディーラインに、リズミカルでテンポ良いリズム感もあり、実験的な作風とは裏腹に、比較的、ポップで聴きやすいという印象も受ける1枚。ちょっとリスナーを選ぶかもしれませんが、今後は日本でも聴く機会が増えてきそうです。

評価:★★★★★

Amatssou/Tinariwen

サハラ砂漠西部を拠点とするベルベル人系遊牧民、トゥアレグ族のメンバーにより結成され、現地マリの音楽性を取り入れつつも、ブルースに通じるスタイルの音楽を聴かせることから「砂漠のブルース」と呼ばれる彼ら。過去にはグラミー賞も受賞するなど、欧米を含む世界中で高い評価を受けています。そんな彼らの約4年ぶりとなるニューアルバム。アフリカらしいコールアンドレスポンスの要素を前面に入れつつ、「砂漠のブルース」らしいメランコリックなサウンドをゆっくりと聴かせてくれます。全体的に静かでゆっくりと曲を聴かせてくれるような印象も。今回も非常に魅力的な作品ではあるのですが、一方で、良くも悪くもいつも通りといった印象も。

評価:★★★★

TINARIWEN 過去の作品
IMIDIWAN:COMPANIONS
TASSILI
EMMAAR
Live in Paris(不屈の魂~ライヴ・イン・パリ)
ELWAN
Amadjar

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2023年6月16日 (金)

スモーキーなボーカルにバリエーションあるトラックが魅力的

Title:PRIVATE
Musician:iri

このアルバムがはじめて聴いた彼女のアルバムとなる女性シンガーソングライターiriの最新アルバム。ビルボードチャート及びオリコンチャートでベスト10入りを記録。「名前は聞いたことがあるけど」くらいの認識だったのですが、このヒットを機に、はじめて彼女のアルバムを聴いてみました。

彼女みたいな、ローマ字一言のニックネームを用いている女性シンガーソングライターって、ある種の流行なのか結構多いので、正直、あまり期待せずに聴いてみました。個人的にはどちらかというとmiletとかAimerみたいなイメージでチェックしてみたのですが、ジャケット写真のキュートなルックスからもちょっと予想していたのとは違うボーカルスタイル及びサウンドに、ちょっと驚いてしまいました。

まず彼女のボーカルが印象的なのですが、低音を聴かせる渋みのあるスモーキーなボーカルが特徴的。J-POPの王道を行くようなハイトーンなボーカルとは大きく異なります。またサウンドも全体的にメロウなR&B系やジャズの要素をベースにHIP HOPの影響を強く受けているのも特徴的。1曲目「Season」もいきなりラップからスタートしており、そのスモーキーなボーカルと合わせてメロウな作風に仕上がっています。

個人的に、J-POP王道ではなく、ひと昔前ならおそらくヒットは出来なかったであろう女性SSWがブレイクする、という事例で、楽曲のタイプこそ全く異なりますが、カネコアヤノを思い出しました。おそらく、単純に音楽市場全体が縮小し、一部の音楽リスナーに支持されるタイプのミュージシャンも相対的にチャート上位に食い込んでくるようになった・・・ということかもしれませんが、ただ、彼女たちみたいなタイプのSSWがブレイクしてくるあたり、日本の音楽シーンの将来が決して暗いものではないことも感じさせます。

ただ、彼女とカネコアヤノの違いでいえば、iriはR&B/HIP HOP系、カネコアヤノはロック系という違いもあるのですが、編曲も自分自身が主導的に手掛けるカネコアヤノと異なり、楽曲毎に様々なトラックメイカーを用いるのも大きな特徴。その結果、楽曲にバラエティーが生じており、「Roll」では水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミが参加。リズミカルなベースミュージックになっていますし、groovemen Spotがトラックプロデュースを手掛ける「friends」では軽快なハウスミュージック風に。edblとKazuki Isogaiが共同プロデュースを手掛ける「Go back」はメロウなR&Bチューンに仕上がっています。

全体的にダウナーな作風になっているため、インパクトという面で薄い感があるのが若干のマイナスポイントですが、その点を加味しても、今後の活動にも注目してきたい実力派SSWの傑作に仕上がっていたと思います。ちなみになにげにデビューから既に8年が経過している中堅ミュージシャンで、アルバムとしてもこれが6枚目。気づくのが遅いよ・・・と言われれば否めないのですが・・・今後のさらなる活躍に注目していきたいところです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

pink blue/緑黄色社会

初の日本武道館ワンマン、さらには昨年末の紅白出演を経てグッと知名度をあげた緑黄色社会のニューアルバム。ストリングスなどを入れて分厚さを増したサウンドや、ジャズやAORまで手を伸ばしたようなジャンルレスな作風は、良くも悪くもいかにもJ-POP的。また、ジャンルレスな部分も含めて、いい意味で聴きやすくポップにまとめたメロディーラインは、90年代あたりのガールズポップを彷彿とさせます。全体的に売れた結果、スケール感を追い求めたのか、バンド感は薄くなってしまった印象も受けます。よく出来たポップスアルバムといった感じもする一方で、全体的にまとまりすぎている感もあり、せっかくメンバー全員が作曲を手掛けられるバンドなだけに、もっとぶっちゃけてしまっていいような印象もあるのですが。

評価:★★★★

緑黄色社会 過去の作品
SINGALONG
Actor

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小山田圭吾にモヤモヤを抱えたままの人こそ読むべき1冊

今日は最近読んだ音楽関連の書籍の感想を・・・といっても、厳密には「音楽関連」とはちょっと異なるかもしれません。

2021年に行われた東京オリンピック・パラリンピックの開幕式にCorneliusこと小山田圭吾が参加するというニュースに端を発し、彼が過去に自らが行ったとする「いじめ」発言が発掘され、大炎上を起こした騒動。現在でも記憶に新しい騒動ですが、今回紹介するのは、その一件をあらためて検討して総括した、批評家・片岡大右による「小山田圭吾の『いじめ』はいかにしてつくられたのか 現代の災い『インフォデミック』を考える」。この事件については、ネットを越えて一般メディアを含めて大きく報道されたため、おそらくお茶の間レベルにまで知れ渡ってしまっています。ただ一方で、彼が実際に「いじめ」を行ったかどうか、という検証を一切行われず、一方的に彼をバッシングした記事が、ネット記事のみならず、大手メディアまでもが一緒となって煽り立てました。

個人的にはその炎上騒動についてのコメントは彼が所属するバンド、METAFIVEのCDレビューの際に記載しました。そして、今回、その騒動を取り上げた本書を読んで、あらためて小山田圭吾の「いじめ」発言を巡る背景につれて知ることが出来たのですが・・・その結果、私自身が「いじめ」発言について大きく印象が変わりました。

まず本書については、彼の「いじめ」発言をめぐる背景や、その発言がネット上で炎上し、さらには大手メディアに取り上げられ、東京五輪の仕事から降りることを強いられるのみならず、彼の音楽活動自体がストップしてしまう経緯まで、非常に丁寧に分析・検討されています。彼のいじめ発言の元となったのは「ロッキンオン・ジャパン(以下「ROJ」)」の1994年1月号の記事、さらには1995年の8月に発売された「クイック・ジャパン(以下「QJ」)」の「いじめ紀行」として題された記事でした。

「QJ」は「ROJ」の記事があったからこそ、彼がピックアップされたということは間違いないのですが、以前は私は、露悪的な悪ふざけから、小山田圭吾は「QJ」の企画に乗っかかってしまったという印象がありました。しかし本書を読むと、事はそう単純ではなく、「ROJ」の発言を、その直後から彼自身が後悔しており、その弁明として、あえて「いじめ紀行」のインタビューを受けた、という経緯がわかります。

確かに「いじめ紀行」の本文を丁寧に読むと、悪ふざけのレベルはあったものの、彼の行動は決して「犯罪」と糾弾されるレベルではありません。同書で登場する、知的障害を持っていた「沢田君」との話は、「ROJ」のインタビューの前に「月刊カドカワ」で行われたインタビューでも登場しているそうで、その記事を合わせて同書では検討されており、両者の間は友情的な関係はありこそすれ、「いじめっ子」「いじめられっ子」の関係ではなかった点が裏付けられています。

さらに彼の発言の背景として、この炎上騒動直後に、一部で90年代サブカルシーンの「鬼畜系」との関係を指摘する声がありましたが本書では、それを否定しています。むしろ「ROJ」での発言の背景は、当時はまだ「ロック=不良=カッコいい」的な概念があり、当時は「流行のオシャレ系」とみなされていたフリッパーズ・ギターの小山田圭吾を売り出すために、あえてこのような「いじめ発言」を引き出して「人格プロデュース」を行った、という点を指摘しています。

昔から、この手の「人格プロデュース」は「ROJ」の常とう手段であり、ライター側の一方的なイメージをミュージシャンに押し付ける部分は、「ROJ」が一部では熱烈に支持されるひとつの要因である一方で、ミュージシャン含めて一部では「ROJ」が大きく忌避される最大の要因でありました。まさにその「ROJ」の大きな問題点である「人格プロデュース」に小山田圭吾が絡み取られてしまった結果である、という点を本書は指摘しています。

そう考えると、私のこの炎上騒動に関する印象は、本書を読んだ結果、大きく変わりました。まず1点目に「20代後半にもなって自分の行った『いじめ』をメディアで語る行為は、やはり大きな問題だと思」うと書きました。確かに問題だとは思うのですが、とはいえ、彼が行った失言は「ROJ」でうっかり語ってしまった1件であり、その後に彼もその発言を後悔していたようです。さらに、「ROJ」で語られたいじめ行為の内容は嘘であることが他の資料からも裏付けられており、「QJ」で語られた行為は、到底、彼が主導の「いじめ」と呼べる行為ではありません。そう考えると、30年近く前の単純な失言を、ここに来て煽り立てるという行為自体を非常に疑問に感じてしまいます。

また、以前の認識では、大きな問題は「いじめ紀行」という問題のある企画を立ち上げた「QJ」側にあるように思っていました。しかし、本書で描かれた経緯を読み解くと、むしろ大きな問題は「人格プロデュース」を行った「ROJ」にあるように感じます。この件について、インタビュアーであった山崎洋一郎は簡単なコメントしか反応していません。しかし、この結果引き起こされた炎上騒動は、こんな簡単な(それも何ら具体性もない)コメントで終わらせられるものではありませんし、小山田圭吾自身に対して謝罪すべき案件だと思います。もっと言えば、ロッキング・オン社の社長である渋谷陽一も、何らかのコメントを発するべきではないでしょうか。今回の騒動に関する「ROJ」の責任は、それだけ重いように感じました。

丁寧な分析により小山田圭吾の炎上騒動に対する背景の認識を行うことが出来た本書。ただ一方でちょっと残念な部分もあります。まず本書は小山田圭吾騒動に端を発して「いじめ」についても言及しています。その中で、学校内の問題として時として単純に「いじめ」という概念に収縮してしまう問題点について指摘しています。ただ、確かにその指摘には納得感はあるものの、学校問題を取り上げているにしては取り扱いはあまりにも短く、実例も少なく、少々説得力の欠如を感じられます。

また、サブタイトルに「『インフォデミック』を考える」としています。確かに第5章においてインフォデミック、さらにはその前提としてのエコーチェンバー現象についても取り上げています。ただこの点についてもこの炎上騒動以外に具体的な言及はなく、こちらもネット上のインフォデミック自体については切り込みの浅さを感じます。「インフォデミック」については、小山田騒動の問題点の核とも言えるだけに、他の実例と比較の上に、もっと深い考察をしてほしかったな、とは思いました。

ある程度、内容的には小山田圭吾について同情的な読者層を前提としているため、今回の騒動ではじめて彼を知り、かつ悪印象を抱いたままでいる、おそらく「その他大勢」的な人たちに対して今回の新書本のメッセージが届かないのは仕方ないとはいえ残念に感じます。ただ、Corneliusの音楽が好きだけど、今回の騒動で小山田圭吾についてはモヤモヤを抱えている、という方には是非とも読んでほしい1冊だと言えるでしょう。

幸いなことにここ最近では、彼の音楽活動は以前のペースを取り戻し、今年はサマソニをはじめ各種夏フェスへの参加も予定されているほか、6月には待望のニューアルバムのリリースもアナウンスされました。フェス参加やアルバムリリースが発表されたタイミングでたびたびTwitterでのトレンドに上がるのですが、概ね反応も好意的。CorneliusでGoogle検索をかけても小山田圭吾で検索しても、あれほどの罵倒された記事はどこへ行ってしまったのか、といった感じですし、特に小山田圭吾で検索をかけると、同書著者による記事をはじめ、ファン有志の検証サイトが上位にあがっており、もし炎上騒動の後に彼について興味を持ったとしても、正しい情報にであるようになっています。所詮、あの騒動で小山田圭吾を罵倒していた人たちは、最初から彼の音楽を聴くような人ではなかったんだな、ということを実感しました。

私自身、同書を読む前は、小山田圭吾について同情的でありつつも自業自得の面は否めないという印象もあったのですが、この本を読んで、同情的な印象が強まり、自業自得という印象はさらに薄まりました。個人的には6月のアルバムも(以前と変わらず)買う予定ですし、ライブもまた足を運びたいところ。若干かかえていた彼に対するモヤモヤが、キレイに切れ去ってくれて、素直に応援できるようになった、そんな1冊でした。

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2023年6月15日 (木)

今週はジャニーズ系が1位獲得

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週の1位はジャニーズ系が獲得です。

今週1位はジャニーズ系男性アイドルグループSexy Zone「ChapterⅡ」が獲得。CD販売数1位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上15万枚で1位初登場。前作「ザ・ハイライト」の初動14万1千枚(1位)からアップしています。

2位はずっと真夜中でいいのに。「沈香学」がランクイン。YOASOBI、ヨルシカと並ぶネット発の「夜」系3大ミュージシャンです(本当?)。CD販売数は3位でしたが、ダウンロード数で1位を獲得し、総合順位は2位獲得となりました。オリコンでは初動売上3万1千枚で4位初登場。直近作はミニアルバム「伸び仕草懲りて暇乞い」で、同作の初動2万3千枚(1位)からはダウン。オリジナルアルバムとしての前作「ぐされ」の初動4万4千枚(2位)からはダウンしています。

3位は先週1位を獲得した、韓国の女性アイドルグループIVE「WAVE」が2ランクダウンながらもベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず5位に山下達郎「RIDE ON TIME」がランクイン。CD販売数5位。1976年から1982年にRCA/AIR YEARSからリリースされたアルバムをリマスタリングして、レコードとカセットでリリースする企画の第2弾。本作は1980年にリリースされた、山下達郎の代表作でもあり、また日本ポップス史上に残る名盤としても知られる作品。オリコンでも初動売上1万7千枚で5位に初登場。同じリマスタリングシリーズの前作「FOR YOU」の初動2万枚(4位)からはダウンしています。

6位にはWOOYOUNG(From 2PM)「Off the record」が初登場。韓国の男性アイドルグループ2PMのメンバーによるソロ作であり3枚目のミニアルバムとなります。CD販売数6位、ダウンロード数8位。オリコンでは初動売上1万枚で7位初登場。前作「まだ僕は…」の初動2万7千枚(2位)からはダウンしています。

7位初登場は韓国の女性アイドルグループfromis_9「Unlock My World」。CD販売数7位、ダウンロード数21位。いままで5枚のミニアルバムをリリースしていましたが、フルアルバムとしては本作が初となります。オリコンでは初動売上9千枚で8位初登場。直近のミニアルバム「from our Memento Box」はフライング販売の都合か、オリコンでは2週目に9千枚を売り上げて6位にランクインしていますので、販売枚数的にはほぼ横バイという結果になっています。

初登場最後は9位に、日本でも高い人気を誇るアメリカのハードロックバンドExtreme「Six」がランクインしています。CD販売数9位、ダウンロード数2位。1980年代から90年代にかけて活躍したものの1996年にヌーノ・ベッテンコートの脱退に伴い自然消滅。その後、散発的に再結成をした後に2008年に正式に再始動し、アルバムもリリースし、ライブ活動は継続的に行っていたものの、アルバムとしては2008年以来、実に15年ぶりの新作となりました。オリコンでは初動売上5千枚で12位初登場。その前作「Saudades de Rock」はフライング販売の都合か、2週目にして1万1千枚を売り上げて13位にランクインしていますので、さすがストリーミングの普及によりCDの販売枚数は減少しています。

また今週、ベスト10圏外からの返り咲きとして藤井風「HELP EVER HURT NEVER」が先週のランク圏外から一気にランクアップし、8位にランクイン。昨年1月12日付チャート以来のベスト10返り咲きとなっています。CD販売数8位、ダウンロード数22位。オリコンでも7千枚を売り上げて9位にランクインしています。これで通算12週目のベスト10ヒットに。おそらくテレビ朝日系バラエティー「関ジャム 完全燃SHOW」出演の影響とは思うのですが・・・。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2023年6月14日 (水)

9週連続&「鬼滅」人気続くか?

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週も1位獲得です。

Yoasobiidle

今週も、YOASOBI「アイドル」が1位獲得。これで9週連続となりました。ストリーミング数、YouTube再生回数、ダウンロード数及びカラオケ歌唱回数は今週も1位。ラジオオンエア数だけ3位から4位に微減となっています。

そして2位には、先週、CD販売数が加わり順位を伸ばしたMAN WITH A MISSION×milet「絆ノ奇跡」が今週も2位をキープ。今週、CD販売数こそ11位にダウンしましたが、ストリーミング数は7位から5位、YouTube再生回数は9位から2位と大幅アップ。これで9週連続のベスト10ヒット&2週連続のベスト3ヒットとなりました。「鬼滅の刃」主題歌としては、いまひとつ勢いのなかったこの曲ですが、CD販売を起爆剤に、一気に人気を増してきました。

3位はジャニーズ系アイドルグループジャニーズWEST「しあわせの花」がランクイン。CD販売数は1位でしたが、ラジオオンエア数22位、その他はランク圏外となっており、総合順位は3位に。テレビ東京系ドラマ「ゲキカラドウ2」主題歌。サンボマスターの山口隆作詞作曲による楽曲。オリコン週間シングルランキングでは初動売上21万6千枚で1位初登場。前作「星の雨」の初動29万2千枚(1位)からダウンしています。

続いて4位以下の初登場曲です。まずはおなじみ韓国の人気アイドルグループBTS「Take Two」が6位初登場。配信限定シングルでダウンロード数で2位にランクイン。ただし、その他はストリーミング数61位、ラジオオンエア数62位となっており、総合順位はこの位置に留まっています。

8位には韓国の男性アイドルグループStray Kids「S-Class」が先週の39位からランクアップし、2週目にしてベスト10入り。先週ランクインしたアルバム「★★★★★」の表題曲で、今週ストリーミング数が53位から7位と大幅アップ。YouTube再生回数も4位にランクインし、総合順位でベスト10入りです。

9位にはあいみょん「愛の花」が先週の32位からランクアップし、初のベスト10入り。NHK連続テレビ小説「らんまん」主題歌。もともと先行配信で4月12日付チャートにて13位にランクインしていたのですが、そこからのベスト10入りはならず。このたび、CDがリリースされ、CD販売数が6位にランクイン。それに合わせて、ダウンロード数も12位から9位、ラジオオンエア数が16位から2位と大幅にアップし、ベスト10入りを果たしました。オリコンでは初動売上1万3千枚で7位初登場。前作「初恋が泣いている」の初動8千枚(8位)よりアップしています。

続いてロングヒット曲。まずはスピッツ「美しい鰭」は先週と変わらず4位をキープ。ストリーミング数は6週連続の2位。ダウンロード数は9位から11位、CD販売数も59位から60位と下落傾向ですが、YouTube再生回数は18位から17位と若干のアップ。これで9週連続のベスト10ヒットとなりました。

Vaundy「怪獣の花唄」は先週の6位から5位にワンランクアップ。ストリーミング数3位、カラオケ歌唱回数2位は先週から変わらず。YouTube再生回数は14位から10位にアップし、今年1月25日付チャート以来のベスト10入りとなっています。これで総合順位は23週連続のベスト10ヒットとなります。

そして今週、Official髭男dismの「Subtitle」がついに11位にダウン。ベスト10ヒットは34週連続でストップとなりました。一方、「TABOO」は今週8位から7位にアップ。これでベスト10ヒットを連続8週に伸ばしており、「Subtitle」に代わり、ロングヒットとなっています。特にストリーミング数が3週連続の4位。ダウンロード数も7位を記録しており、ロングヒットはまだ伸びそうです。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2023年6月13日 (火)

10年を経た今だからこそ

Title:Random Access Memories (10th Anniversary Edition)
Musician:Daft Punk

2000年にリリースされた「One More Time」が日本でもヒットを記録し、注目を集めたフランスのエレクトロミュージシャン、Daft Punk。2021年に惜しまれながら解散してしまった彼らですが、2013年にリリースされた彼らのラストアルバム「Random Access Memories」の10周年記念盤がこのたびリリースされました。

「〇周年記念盤」というのは特に最近数多くリリースされているのですが、そのほとんどが20周年、25周年、30周年あたり。10周年というのはさすがにちょっと早すぎないか?といった印象すら受けます。というか、このブログでも紹介済ですしね・・・と考えると、このブログも長くやってきたいなぁ・・・と感慨深くなりますが。

そんな訳で、その当時の感想はこちら。

概ねの印象はその当時と変わらないのですが・・・ただ、10年を経て感じた点が2つありました。まず1点は、高揚感を寸止めしているアルバムだなぁ、という点。リズミカルなエレクトロサウンドを用いつつも、高揚感を覚える直前でストップさせている印象があります。ただ、今から振り替えると、上の感想でも書いているのですが、当時はEDM全盛期。そのような中で、あえてEDMの方向性にシフトしないように、高揚感を抑えたんだな、と今だからこそ感じます。

もう1点は、当時は非常に新鮮味やある種の物珍しさを感じた80年代的なディスコサウンドが、今となっては「よくありがち」なサウンドになったという点。このアルバムではChicのギタリスト、ナイル・ロジャースが参加しているのですが、彼もこのアルバムを機に、シーンに復活。また、80年代ディスコチューンを取り入れた曲も、このアルバム以降、明確に増えています。現代的な視点では「よくありがち」に感じてしまうからこそ、逆に今振り返ると、非常に画期的なアルバムだったんだな、ということを再認識します。

今回の10周年記念盤ではDisc2として未発表音源がついてきます。ただ、全体的にデモトラック的な作品が多く、あまり多く期待するのは禁物かも。「The Writing of Fragments of Time」と題されたレコーディング風景を切り取ったトラックがあり、これは非常に興味深いのですが、残念ながら英語のため、話している内容はわかりません。

そんな訳で、ファン以外はボーナスディスク目当てにわざわざ購入する価値は低いかもしれませんが、ただアルバム自体の出来としては、文句なしの傑作。あらためてこのアルバムがラストになってしまったことを残念に感じます。またいつか復活してほしいなぁ。時代を経たからこそ、逆にその位置づけを見直すことが出来る作品でした。

評価:★★★★★

DAFT PUNK 過去の作品
TRON:Legacy
RANDOM ACCESS MEMORIES


ほかに聴いたアルバム

Maps/billy woods&Kenny Segal

Maps

ニューヨークのラッパー、billy woodsとロサンジェルスのプロデューサー、Kenny Segalとのコラボレーションアルバム。本作は「ポスト・パンデミック」のアルバムだそうで、「旅行記」とも表現される作品で、コロナ禍の規制解除後のツアーの中で制作されたアルバムだとか。楽曲的にはダークな雰囲気を醸しつつ、メランコリックさも感じられるトラックが目立つ作品。全44分という短さながらも17曲入りという内容のため、次々と展開していく構成が特徴的。まあ、聴いているだけだとどのあたりが「旅行記」なのか、とは思うのですが・・・。全体的にはテンポよい内容のため聴きやすさを感じさせる1枚でした。

評価:★★★★

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2023年6月12日 (月)

「紆余曲折」の末の1枚

Title:紆余曲折集
Musician:チャラン・ポ・ランタン

チャラン・ポ・ランタン約2年7か月ぶりのニューアルバム。前作「こもりうた」リリース後、彼女たちが所属していたソニー・ミュージックアーティスツとの契約が切れ、また、メジャーレーベルのavexとの契約も終了。姉の小春が社長、妹のももが副社長として就任した音楽事務所ゲシュタルト商会を設立。インディーレーベルの円盤ゲシュタルトからシングルをリリースし、そしてこのたび、独立後、初となるアルバムリリースとなりました。

そんな彼女たちの独立後初となるアルバムタイトルは「紆余曲折集」。いやぁ、本当に紆余曲折あったよな・・・というイメージがあります。もともと、インディーシーンで徐々に話題となる中、アメリカの音楽イベント「サウス・バイ・サウスウエスト」に出演し話題に。そして、avexからメジャーデビュー後は、ももがドラマ出演したり、SKE48の松井玲奈とのコラボ「シャボン」がオリコンベスト10ヒットを記録したり、さらには話題となったドラマ「逃げるは恥だが役には立つ」のオープニングテーマに「進め、たまに逃げても」が起用されたり・・・と率直に言えば、事務所にもレコード会社にもかなり推されたミュージシャンだったよな、と思います。

でも結局、ブレイク寸前な状況が長く続いてしまってついにメジャーレーベルの契約切れ。そして独立して事務所及びレーベル設立・・・正直、楽曲にはインパクト十分だし、華のあるミュージシャンだし、なんで売れなかったのかなぁ、とは思うのですが、ひょっとしたら彼女たちの音楽スタイルが、「大道芸とかでよくあるよね」みたいな感じで、変な偏見の下で見られちゃったのかなぁ。そんな彼女たちのいままでの活動から考えると、「紆余曲折集」というアルバムタイトルは、まさに彼女たちの「今」の状況にピッタリとマッチしているように感じます。

そんなニューアルバムですが、独立した後のアルバムということもあって、いままでのアルバムよりも自由度が増した感じのする作品に仕上がっています。特にユニークだったのが、現在の彼女たちの状況をユーモラスに反映させた曲が含まれている点。「クソリプ・カリプソ」というタイトルからしてユニークなこの曲は、おそらくTwitterなどのリプライで実際に返された罵倒をそのまま取り入れ、カリプソ風にまとめた曲。さらに「輸入コンテナディスパッチ」では、独立後、輸入業務を手掛けた際の苦労(所属事務所ではアコーディオンの販売もしているそうです・・・)をそのまま綴った歌詞になっています。

ほかにも恋人との別れを業務的な会話で淡々と描く、ユーモラスながら悲しい「リバイバル上映」や、前向きな歌詞が魅力的な明るくポップな「無限大」など、アコーディオンを用いつつ、シャンソンやバルカン音楽、ジンタなどの民俗音楽の要素を取り込みポップでまとめあげるチャラン・ポ・ランタンのスタイルはもちろん本作でも健在。メロディーのインパクトは本作でも十分ですし、本当に何で売れなかったんだろう・・・と今更ながらに感じてしまいます。

もちろん、まだまだこれから彼女たちが大ブレイクする可能性は十分すぎるほどある訳で・・・これだけのアルバムをリリースできるのならば、そんな日が来るのもさほど遠くないのかもしれません。いままで紆余曲折のあった彼女たちですが、これからの活躍からも目が離せなさそうです。

評価:★★★★★

チャラン・ポ・ランタン 過去の作品
テアトル・テアトル
女の46分
女たちの残像
借り物協奏
トリトメモナシ
ミラージュ・コラージュ
過去レクション
ドロン・ド・ロンド
いい過去どり
こもりうた


ほかに聴いたアルバム

OUR BEST PLACE/少年ナイフ

約3年ぶりとなる少年ナイフのニューアルバム。前作「Sweet Candy Power」は比較的バラエティーに富んだ作風が特徴的だったのですが、今回のアルバムは少年ナイフの王道を行くようなポップパンクの曲が並ぶアルバムに。タイトルの「OUR BEST PLACE」というのは、やはり彼女たちにとって、この立ち位置がベストということになるのでしょうか。彼女たちらしいロックでポップなナンバーが並ぶ作品でした。

評価:★★★★

少年ナイフ 過去の作品
スーパーグループ
フリータイム
大阪ラモーンズ
Pop Tune
アドベンチャーでぶっとばせ!
ALIVE! in Osaka
Sweet Candy Power

25 -A Tribute To Dragon Ash-

タイトルそのままなのですが・・・デビュー25周年を迎えたDragon Ashへ送るトリビュートアルバム。13組のミュージシャンが参加しているのですが、デビューミニアルバム「The day dragged on」から最新アルバム「MAJESTIC」まで、1枚のアルバム毎に1曲ごとカバーする内容に。そしてラストにはDragon Ash自ら新曲「VOX」を披露しています。ただ、その13組のミュージシャン、ほとんどがヘヴィーロック系のミュージシャンで、正直なところ、意外性がほとんどなかったのは残念。確かに各々、Dragon Ashへの敬意を感じさせる丁寧なカバーとなっているのですが、その分、面白みや新鮮味は少なかった感があります。また、一時期、Dragon Ashがあれだけはまって、様々なミュージシャンとコラボしていたHIP HOP系からの参加が元RIP SLYMEのPESのみというのもなんとも・・・。とはいえ、卒のないカバーなだけに、Dragon Ashのファンや参加ミュージシャンのファンなら十分楽しめるアルバムにはなっていたかと思います。

評価:★★★★

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2023年6月11日 (日)

ボーカリスト渡辺美里の本領発揮

Title:Face to Face~うたの木~
Musician:渡辺美里

2002年に最初のカバーアルバム「Café mocha 〜うたの木〜」以降、コンスタントにカバーアルバムをリリースし続ける渡辺美里。悪い意味でいかにもベテランボーカリストがよく進んでいく道を歩んで行っている感じがしてしまいます。正直なところ、いままでのカバーアルバムも、確かに「歌の上手さ」は感じられるものの、無難なカバーが多い感じがして、あまり傑作と言えるアルバムに出会えたイメージはありません。

今回のアルバムは「Face to Face」と題され、その名前の通り、顔と顔を突き合わせて録音した内容・・・要するに、デュエットソングを収録したカバーアルバム。世良公則や泉谷しげるといったベテラン勢からNONA REEVESの西寺郷太や怒髪天の増子直純といった中堅ミュージシャン、さらには山口智充や小堺一機といったミュージシャンではないお笑い勢も参加していたり、そしておなじみの大江千里も参加しています。

そんな今回のカバーアルバムだったのですが、いままでの彼女のカバーアルバムの中でもダントツに良かった作品に仕上がっていたように感じ餡巣。なによりもカバーした曲と渡辺美里のボーカルの相性が抜群に良かったように感じます。今回のアルバムは基本的にはオールディーズや歌謡曲がメイン。ジャズのスタンダードナンバー「It Don't Mean A Thing」「L-O-V-E」や、「東京ブギウギ」「ウナ・セラ・ディ東京」のような懐かしの日本のポップス、歌謡曲がメイン。かまやつひろしの「バン・バン・バン」みたいなロック系の曲もありますが、基本的には、いわゆるJ-POPの範疇に入るのは本人もデゥオで参加している大江千里の「manby tomorrow」くらいでした。

一方、渡辺美里のボーカルスタイルというと、良くも悪くも声量のあるボーカルで押し切るような、ある意味パワーヒッタータイプ。ただこのスタイルが、オールディーズや歌謡曲といった曲に非常にマッチしていました。前作であるカバーアルバムだった「うたの木 彼の好きな歌」でも同じような歌謡曲系のカバーは名カバーが多かったですが、今回はそんな彼女のボーカルにマッチした曲が並んでいたアルバムに仕上がっていました。

加えて、彼女のボーカルが、ここ最近に比べて上手くなっていたように感じます。正直、ここ最近の彼女のボーカルは、その声量だけに頼った感のある、平坦なボーカルが目立っていたように思うのですが、このアルバムに関しては、彼女の全盛期のころのボーカルスタイルが戻ったかのような、力強さと感情を兼ね備えたボーカルになっていました。先日リリースされたストリート・スライダーズのトリビュートでもそのボーカリストとしての実力を感じたのですが、このアルバムでも同じく、その実力を感じさせる、ボーカリスト渡辺美里の本領発揮と言えるアルバムになっていたように感じます。

ただ、その渡辺美里のボーカルの力が強すぎて、デゥオ相手が目立たなくなってしまった曲が多かった点が、唯一の弱点といった感じでしょうか。あえて言えば、増子直純や泉谷しげるなどは、渡辺美里とは異なる声色の持ち主といった感じで目立っていた感じでしょうか。また唯一、デゥオが良い効果を発揮していたのは西寺郷太をデゥオ相手に迎えた「ハリウッド・スキャンダル」で、彼の、力を抜いたボーカルが、渡辺美里とは真逆であり、それが曲にも非常にマッチしていたように感じます。

そんな訳で、彼女のいままでのカバーアルバムの中では文句なしの最高傑作だった本作。選曲を含めて、彼女のボーカルの魅力が最高潮に発揮されたアルバムだったと思います。ボーカリスト渡辺美里の実力と魅力を再認識した作品でした。

評価:★★★★★

渡辺美里 過去の作品
Dear My Songs
Song is Beautiful
Serendipity
My Favorite Songs~うたの木シネマ~
美里うたGolden BEST
Live Love Life 2013 at 日比谷野音~美里祭り 春のハッピーアワー~

オーディナリー・ライフ
eyes-30th Anniversary Edition-
Lovin'you -30th Anniversary Edition-
ribbon-30th Anniversary Edition-
ID
harvest
tokyo-30th Anniversary Edition-
うたの木 彼が好きな歌


ほかに聴いたアルバム

スキマスイッチ TOUR 2022 "cafe au lait"/スキマスイッチ

スキマスイッチの毎回恒例のライブアルバム。今回は2022年に行われたライブツアー「cafe au lait」の模様を収録したアルバム。コロナ禍からライブも復活しつつあるものの、まだ声出しNGで、完全に元の状況には戻っていないステージ・・・とはいえ、ライブ会場の雰囲気は以前と変わらず。最新アルバム「Hot Milk」「Bitter Coffee」からの曲を中心に、ポップな曲を楽しめるライブアルバムになっています。ちなみに2枚目の後半はMC集も収録。こちらも軽快なトークを楽しむことが出来る内容となっていました。

評価:★★★★

スキマスイッチ 過去の作品
ARENA TOUR'07 "W-ARENA"
ナユタとフカシギ
TOUR2010 "LAGRANGIAN POINT"
musium
DOUBLES BEST
TOUR 2012 "musium"

POP MAN'S WORLD~All Time Best 2003-2013~
スキマスイッチ TOUR 2012-2013"DOUBLES ALL JAPAN"
スキマスイッチ 10th Anniversary Arena Tour 2013“POPMAN'S WORLD"
スキマスイッチ 10th Anniversary“Symphonic Sound of SukimaSwitch"
スキマスイッチ
TOUR 2015 "SUKIMASWITCH" SPECIAL
POPMAN'S ANOTHER WORLD
スキマスイッチTOUR2016"POPMAN'S CARNIVAL"
re:Action
新空間アルゴリズム
スキマノハナタバ~Love Song Selection~
SUKIMASWITCH TOUR 2018"ALGOrhythm"
SUKIMASWITCH 15th Anniversary Special at YOKOHAMA ARENA ~Reversible~
スキマスイッチ TOUR 2019-2020 POPMAN'S CARNIVAL vol.2
スキマノハナタバ ~Smile Song Selection〜
スキマスイッチ TOUR 2020-2021 Smoothie
Hot Milk
Bitter Coffee

Naked/ちゃんみな

フィメールラッパーちゃんみなのニューアルバム。ジャンル的にはHIP HOPで、間違いなくトラックはHIP HOPのそれなのですが、全体的に歌モノが多い内容になっており、メランコリックなメロに耳が行く内容に。ただ、アルバムの中で大きなインパクトとなっているのが「RED」で、韓国出身の彼女が日本で経験した差別をストレートにつづった歌詞がかなりの衝撃的な内容になっています。以前より社会派な主張を歌詞に描いてきた彼女ですが、そんな中でも特に強い主張を感じる曲になっていました。

評価:★★★★

ちゃんみな 過去の作品
CHOCOLATE
Never Grow Up
note-book -Me.-
note-book -u.-
ハレンチ

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2023年6月10日 (土)

ユニゾンを生かしたメロウな作風

Title:Erotic Probiotic 2
Musician:Nourished By Time

Erotic2

アメリカはボルチモア出身で、現在はサウスロンドンでシンガーソングライターとして活動を行っているNourished By Time。本作は、これが「2」とついていますが列記としたデビューアルバムとなります。いかにも怪しげなお薬の瓶のラベルに書かれたアルバムタイトルに、サングラスをつけた黒人男性の姿・・・。ジャケットだけ見ると、HIP HOPのアルバムか?と思ってしまうのですが、アルバムを聴き始めると、その印象が全く異なることにすぐに気が付くでしょう。

冒頭を飾る「Quantum Suicide」はエレクトロサウンドのイントロからスタートするのですが、それに続いて聴こえてくるのはメロウな歌声。メロディアスな歌を歌う、ネオソウル風なナンバーに仕上がっており、その歌声にも聴き入ってしまう楽曲となっています。

楽曲は基本的にネオソウルやフィリーソウル、あるいはAOR風の作品が並ぶ、メロウなR&Bチューンが並びます。「Daddy」などは軽快なエレクトロのリズムが楽しいダンスチューンに仕上がっていますし、「Rain Water Promise」も軽快なリズムをバックに歌われるメロディーラインは至ってポップで耳なじみやすいもの。明るくもちょっと切なさも感じさせるフレーズが耳に残ります。

最後を締めくくる「Unbreak My Love」も分厚いエレクトロサウンドをバックに聴かせるメロウでネオソウル風の曲調が80年代を彷彿とさせる、ちょっと懐かしさも感じさせる作品に。ちょっとジャジーさを感じるエレピも作品を彩る大きな要素となっています。

またアルバムを通じて大きな魅力に感じたのは、作品の中でユニゾンを上手く使い込んでいた点でした。例えば1曲目「Quantum Suicide」もそうでしたし、「Soap Party」などでもそうでしたが、声を重ねることにより音を分厚くして楽曲の荘厳さやファンタジックさを演出している楽曲も目立ち、その点も同作の大きな魅力に感じました。

いかつい雰囲気のジャケットから反して、全体的にポップな内容にまとまっていて、いい意味で広いリスナー層が楽しめそうなソウルでポップなアルバムに仕上がっていました。80年代ソウル、R&B系が好きなら文句なしに気に入りそうな1枚です。

評価:★★★★★

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2023年6月 9日 (金)

tha BOSS「個人」がより強くあらわれたソロ作

Title:IN THE NAME OF HIPHOP Ⅱ
Musician:tha BOSS

札幌を拠点に活動を続け、多くのHIP HOPリスナーの支持を集めるユニット、THA BLUE HERB。そのMCといえばご存じ、BOSS THE MCですが、彼がtha BOSS名義でソロアルバムをリリースしました。もともと「IN THE NAME OF HIPHOP」というタイトルでソロアルバムをリリースしたのが2015年。そこから、実に約8年ぶりとなるソロアルバム第2弾となります。ま、とはいえTHA BLUE HERBも2019年にリリースしたアルバム「THA BLUE HERB」の前が、2012年の「TOTAL」までさかのぼる訳で、ソロとしてもユニットとしても非常に寡作という点では共通するのです・・・。。

そんなソロアルバムの大きな特徴は、様々なトラックメイカーを用いて、かつ様々なゲストMCを迎えている点。トラックメイカーではDJ WATARAIやSOUL SCREAMのMr.BEATS a.k.a. DJ CELORYなどが参加。THA BLUE HERBといえば、トラックメイカーのO.N.O.の作り出す、エレクトロで非常にタイトなトラックが特徴的なのですが、そんなTHA BLUE HERBのトラックとは異なった雰囲気になっているのが特徴的。全体的にメランコリックで、ジャジーだったりAOR的なトラックが目立つのですが、個性的なO.N.O.のトラックと比べると、あえて言えばHIP HOPの「王道的」とも言えるトラックが多く、そこにtha BOSSのMCが載るのが逆に新鮮味を感じました。

さらにゲストMCとしてSHINGO★西成やYOU THE ROCK★、ZORNという実力派が並んでいるのですが、やはり目を惹くのはMummy-Dが参加している点。THA BLUE HERBとRHYMESTERといえばかつてBEEFを繰り広げていたいました。その後、和解して今に至っているのですが、それでもやはりtha BOSSのソロにMummy-Dが参加するというのは、ちょっとしたニュースでしょう。

とはいえ、ここにtha BOSSの、いつもの特徴的なポエトリーリーディングのように、語るようなラップが載っかかると、しっかり「あ、いつものtha BOSSだ」と完全に彼のアルバムになってしまう点が非常にユニークな部分でしょう。それだけ彼のラップに強い個性があるのは言うまでもありませんが、それだけにTHA BLUE HERBが好きな人にとっては、間違いなくこのソロアルバムも気に入る内容になっていると思います。

ただ、社会派な歌詞が目立ったり、物語性のある歌詞が特徴的だったTHA BLUE HERBに比べると、tha BOSSのアルバムは、彼の自叙伝的な内容や、もしくはHIP HOPや音楽に対する決意を感じさせる曲が目立つ、ある意味、内省的なアルバムに仕上がっていました。冒頭を飾る「HOLD ON」はまさに自己紹介的なリリックとなっていますし、「サウイフモノニワタシハナリタイ」も自叙伝的なリリックが特徴的。「MUSIC IS THE ANSWER」はまさに音楽への思いを語ったリリックで、忌野清志郎から遠藤ミチロウ、OKIのようなミュージシャン、DISC UNIONやCISCO、タワレコのようなレコード・CD屋、さらにはフジロックにライジングのようなフェスまでが登場してきます。

そしてそんな本作を締めくくる「YEARNING」は、まさに内省的な内容からHIP HOPに対する決意を語ったトラックが耳に残る内容。

「無いなら創る 居ないならなる 自分がなる バーチャルなんかじゃなく」
(「YEARNING」より 作詞 tha BOSS)

という、力強いリリックが強く印象に残ります。

そんな訳で、やはりtha BOSSらしさを強く感じられる1枚。tha BOSSらしさはもちろんTHA BLUE HERBとしてのアルバムでも感じられるのですが、よりtha BOSSの「個人」としての側面が強くあわられた作品になっていたと思います。もちろん言うまでもなく文句なしの傑作。HIP HOPリスナーのみならず音楽ファンならチェックしておきたい1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Soar/浜田麻里

ここ最近、再び人気が上昇しつつある浜田麻里の、ベスト盤を挟んでオリジナルアルバムとしては約4年8ヶ月ぶりとなるニューアルバム。女性に年の話をするのは失礼ながらも昨年、還暦を迎えられた今となっても全く衰えをみせないその声量には驚かされます。ただ楽曲的には良くも悪くもいつものスタイルといった感じ。伸びやかな彼女のボーカルは魅力的ですが、目新しさはありません。まあ、ここまでくると、無理にスタイルを変えない方がよいのでしょうが。

評価:★★★★

浜田麻里 過去の作品
Gracia
Light For The Ages -35th Anniversary Best~Fan's Selection-

Yours/The BONEZ

RIZEのJESSEを中心に、Pay money To my painのT$UYO$HI、ZAX、TEARS OF THE REBELのKOKIによる4人組バンド、The BONEZのニューアルバム。基本的にヘヴィーなラウドロック路線はRIZEとかぶる部分もあるのですが、全体的にはより爽快で明るい雰囲気にまとまっている印象があります。Jesseの大麻所持での逮捕後、いつの間にか活動を再開していたのですが、今後はRIZEよりこちらが活動のメインになるのでしょうか?

評価:★★★★

The BONEZ 過去の作品
WOKE

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2023年6月 8日 (木)

人気アニメ映画のサントラが上位にランクイン

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は昨年から今年にかけて話題になったアニメ映画のサントラが見事上位にランクインです。

まず1位を獲得したのは、韓国の女性アイドルグループIVEの日本盤でのデビューアルバム「WAVE」。CD販売数1位、ダウンロード数7位で総合順位で1位獲得となりました。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上9万2千枚で1位初登場。韓国盤でのデビュー作「IVE-VOL.1 I've IVE」の初動1万1千枚(5位)からアップしています。

そして2位にランクインしてきたのが、冒頭で書いた人気アニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」のサントラ盤「THE FIRST SLAM DUNK オリジナルサウンドトラック」がランクインです。CD販売数2位、ダウンロード数3位。オリコンでは初動売上3万1千枚で2位初登場。

3位は先週2位のSnow Man「i DO ME」がワンランクダウンながらもベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場盤ですが、まず4位に林和希「I」がランクイン。LDH所属のHIP HOPグループ、DOBERMAN INFINITYのメンバー、KAZUKIによるソロデビュー作。CD販売数4位、ダウンロード数5位。オリコンでは初動売上1万5千枚で4位に初登場しています。直近のDOBERMAN INFINITYのアルバム「LOST+FOUND」は初動3千枚(19位)でしたので、そこからのソロデビュー作としては大健闘でしょう。

6位には韓国の男性アイドルグループStray Kids「★★★★★(5-STAR)」がランクイン。6月2日にリリースされた韓国盤の3rdアルバム。ダウンロード数が1位にランクイン。CD販売数は集計対象外なのか、発売日の関係なのか不明ですが、ランク圏外となっており、総合順位でベスト10入りを記録しています。

7位初登場はシンガーとしても定評の高い人気女性声優坂本真綾「記憶の図書館」がランクイン。CD販売数及びダウンロード数いずれも6位。途中、コンセプトアルバムやベスト盤のリリースはあったものの、純粋なオリジナルアルバムとしては実に3年7ヶ月ぶりと久々のリリースとなりました。オリコンでは初動売上7千枚で7位初登場。直近作はデゥエット作を集めたコンセプトアルバム「Duets」で、同作の初動6千枚(14位)からは若干のアップ。オリジナルアルバムとしては前作「今日だけの音楽」の初動1万枚(11位)からはダウンしています。

9位にはPoppin'Party「青春 To Be Continued」が初登場。メディアミックス作品「BanG_Dream!」から誕生した架空のガールズバンドグループ。CD販売数9位、ダウンロード数30位。オリコンでは5千枚で9位初登場。直近作はミニアルバム「Live Beyound!!」で、同作の初動6千枚(10位)からは若干のダウン。ただオリジナルアルバムとしての前作「Breakthrough!」の初動2万1千枚(3位)からは大きくダウンしています。

最後10位には「劇団『ドラマティカ』ACT2 Phantom and Invisible Resonance Sound Collection」がランクイン。アイドル育成ゲーム「あんさんぶるスターズ!」に登場する架空の演劇サークルから出発し、舞台化された作品に使用された曲を集めたサントラ盤。CD販売数8位、ダウンロード数はランク圏外で総合順位ではベスト10入り。オリコンでは初動売上4千枚で11位初登場となっています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2023年6月 7日 (水)

8週連続&「鬼滅」返り咲き

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

ついに8週連続の1位獲得です。

Yoasobiidle

YOASOBI「アイドル」が8週連続の1位を獲得。先週と同様、ストリーミング数、YouTube再生回数、ダウンロード数及びカラオケ歌唱回数で1位を獲得しています。ちなみに今週、Billboardの「Global Excl.U.S.」で首位を獲得したというニュースが流れました。ただ、このチャートはグローバルチャートのうち、アメリカを除いたチャートで、Billboardでも内容を閲覧するには会員登録をしなければならないような、一般向けではないチャートです。正直、このことを持って、リンク先のコメントにある「メディアミックスの戦略が世界的に通用した」という見方はかなり懐疑的で、日本のメディアにありがちな「自分たちの物語に沿った海外での『成功』は、どんなマニアックなチャートでも針小棒大に伝えて煽り立てるが、自分たちの物語に沿わない海外での成功は、ほとんど無視」という報道方針の一環のように感じます。

さて、続く2位にランクインしてきたのがMAN WITH A MISSION×milet「絆ノ奇跡」。今週、CDでのリリースがランキングに加わり、先週の7位からランクアップ。CD販売数が4位となり、8週目にして最高位更新及び初のベスト3ヒットとなりました。いままでテーマ曲がすべてヒットを飛ばしてたアニメ「鬼畜の刃」の新シリーズ「刀鍛冶の里編」テーマ曲。先週まで徐々にランキングを落としていましたので、ロングヒットは難しいかと思いきや、CDリリースで一気にベスト3入りとなりました。オリコン週間シングルランキングでは初動売上4万2千枚で4位初登場。MAN WITH A MISSION名義では前作「Merry-Go-Round」の初動1万8千枚(2位)からアップ。miletの前作「Always You」の初動6千枚(9位)からも大きくアップしています。ただ、各種チャートではダウンロード数こそ今週5位から3位にアップしたものの、ストリーミング数は7位、YouTube再生回数も10位からはアップしたものの9位に留まっており、いままでの「鬼滅の刃」関連の曲と比べると、勢いの弱さは感じます。CDリリースでさらなるロングヒットとなるか、それとも最後の起爆剤でここからは一気にダウンしてしまうのか・・・来週以降の動向が気にかかるところです。

3位は韓国の女性アイドルグループTWICE「Hare Hare」が先週の69位からランクアップし、CDリリースに合わせてベスト10入りとなりました。CD販売数2位、ダウンロード数21位、ストリーミング数41位、ラジオオンエア数46位。オリコンでは初動売上13万5千枚で1位初登場。前作「Doughnut」の初動6万2千枚(3位)からアップしています。

続いて4位以下の初登場曲です。まず4位にHey!Say!JUMP「DEAR MY LOVER」がランクイン。CD販売数1位、ラジオオンエア数5位、YouTube再生回数3位。TBS系ドラマ「王様に捧ぐ薬指」主題歌。オリコンでは初動売上24万2千枚で1位初登場。前作「a r e a」の初動22万9千枚よりアップしています。

7位にはBALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE「Ding Ding Dong」が初登場。LDH所属の男性ダンスグループ。CD販売数3位、ダウンロード数98位、ラジオオンエア数10位。オリコンでは初動売上4万8千枚で3位初登場。前作「ラストダンスにBYE BYE」の初動1万枚(6位)からアップしています。

さて一方ロングヒット曲では、まずスピッツ「美しい鰭」。今週3位から4位にダウンしてしまいましたが、今週で8週目のベスト10ヒットとなりました。特にストリーミング数ではYOASOBIに続く2位を5週連続でキープ。まだまだロングヒットは続きそうです。

Vaundy「怪獣の花唄」も今週、4位から6位にダウンしたもののベスト10入りを22週連続に伸ばしています。ストリーミング数3位、YouTube再生回数11位、カラオケ歌唱回数2位は先週から変わらず。ダウンロード数は12位から14位にダウン。ロングヒットはまだ続きそうです。

一方、土俵際でしぶとくヒットを続けているのがOfficial髭男dism「Subtitle」。今週は8位から9位にダウン。ストリーミング数は5位をキープ。YouTube再生回数も16位から13位にアップ。これで34週連続のベスト10ヒットとなっています。ちなみに「TATOO」も今週8位につけており、今週も2曲同時ランクインを記録しています。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2023年6月 6日 (火)

ジャケットに惑わされないで!

Title:All of This Will End
Musician:Indigo De Souza

まずはそのおどろおどろしいジャケットに目がいく本作。アメリカの、ブラジル系アメリカ人の女性シンガーソングライター、Indigo De Souzaのニューアルバム。前作「Any Shape You Take」も高い評価を得て、当サイトでも紹介し、個人的にも2021年の私的ベストアルバムの8位に入れるなど、気に入った作品になりました。

このジャケットからすると、メタル系か、あるいはサイケ系を想像するかもしれません。しかし、アルバムを聴き始めるとその予想は大きく外れます。まずアルバムをスタートさせると聴こえてくるのは女性のクリアな歌声。1曲目「Time Back」はちょっとおどろおどろしい部分もあるのですが、基本的にはシンプルなエレクトロポップとなっています。

その後も基本的にシンプルなポップソング、それも軽快なギターロックの楽曲が続きます。2曲目で先行シングル曲にもなっている「You Can Be Mean」も軽快で至ってポップなギターロック路線。 「Losing」なども切なさを感じるメロディーラインはインパクト十分。広いリスナー層にアピールできそうな印象的なフレーズを聴かせてくれますし、逆に「Wasting Your Time」などはヘヴィーでダイナミックなギターサウンドが魅力的。ただメロディーはこちらもポップでメロディアスで、こちらもロックリスナーのみならずポップスリスナーも楽しめそうな楽曲に仕上がっています。

その後も「Smog」のような軽快でリズミカルな打ち込みの楽曲を聴かせてくれたり、「The Water」のようなチープな打ち込みにギターを重ねる、ある意味、非常にインディーらしいポップを聴かせてくれたり、「Always」のような、途中でハードコアばりのシャウトを披露する楽曲があるかと思えば、最後を締めくくる「Yonger&Dumber」ではピアノやスチールギターで郷愁感たっぷりに聴かせるフォーキーな楽曲だったりとバラエティー豊富に展開していきます。

ただ、どの曲もポップでシンプルなメロディーラインが流れており、いい意味でポップで聴きやすい曲になっている点が大きな特徴。彼女の歌声も、決して際立った特徴があるタイプではないものの、しっかりと力強さを感じさせる歌声を聴かせてくれており、メロディーラインを際立たせる大きな要素となっています。

前作「Any Shape You Take」ではジャケットからある意味わざと誤解させるためか(?)、歌詞も妙におどろおどろしいワードが並んでいたりするのですが、本作に関してはそんなギミック的な要素はありません。あえて言えば、アルバムタイトルにもなっている「All of This Will End」くらいでしょうか?ただ、この曲も恋人との別れを歌った切ないナンバーで、もちろん歌詞からは変なおどろおどろしさは感じられません。

前作と同様、広いリスナー層にアピールできそうなメロディアスでポップな楽曲が並ぶ本作。これだけポップな曲が並ぶだけに、このおどろおどろしいジャケットは逆効果だと思うのですが・・・何か「意図」はあってのこととは思うのですが・・・。残念ながら現在、まだ本作はアメリカのアルバムセールスチャートで最高位66位とブレイクには至っていない状況ですが、この曲調ならもっともっと売れても不思議はない作品だと思います。ジャケットに惑わされないで、是非!

評価:★★★★★

Indigo de Souza 過去の作品
Any Shape You Take

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2023年6月 5日 (月)

ノスタルジックあふれる

Title:EVERYTHING HARMONY
Musician:The Lemon Twigs

ブライアン・ダダリオ、マイケル・ダダリオの2人組からなるアメリカのポップスデゥオ、The Lemon Twigs。2020年にリリースした前作「Songs for the General Public」も大きな話題となりました。その前作は、80年代を彷彿とさせる爽快なポップチューンの並ぶ作品。懐かしさを感じられるメロディスなメロディーラインも大きな魅力で、高い評価も納得の作品に仕上がっていました。

今回のアルバムも、前作同様、ノスタルジックあふれるメロディーラインが大きな魅力となっているのですが、今回のアルバムは前作以上にアコースティックテイストが強く、80年代ポップスというよりも、むしろさらに前の世代のフォークソングからの影響を感じる作品が並びます。冒頭を飾る「When Winter Comes Around」はアコギのアルペジオに2人のコーラスラインが美しい、ともすればサイモン&ガーファンクルを彷彿とさせるナンバー。続く「In My Head」はギターサウンドメインなのですが、こちらはビーチボーイズを思い起こすような爽やかなサウンドとメロディーが大きな特徴となっています。

「Any Time Of Day」も2人のコーラスラインを美しく聴かせる切なくメロディアスなナンバーで、こちらは80年代のAORを思い起こさせるような楽曲に。「I Don't Belong To Me」もメランコリックに聴かせるピアノバラードで、しんみり聴かせるボーカルも魅力的。「Every Day Is The Worst Day Of My Life」も皮肉たっぷりの歌詞とは逆説的に、アコギの調べが耳を惹く清涼感あるポップチューンとなっています。

全体的にはアコースティックなサウンドが主体のアルバムになっているのですが、一方では「What You Were Doing」「Ghost Run Free」のようなエレキギターとバンドサウンドを前に押し出したポップチューンも大きな魅力で、アルバムの中での大きなインパクトとして機能しています。ここらへんはTEENAGE FANCLUBやラーズあたりを彷彿とさせるポップチューンとなっています。

ノスタルジックあふれる美しいメロディーラインが大きな魅力である本作。上記にも、いろいろなミュージシャンたちを彷彿させる、という感想を書いたように、正直言うと、どこかで聴いたことあるような・・・という印象を受ける作品でもある、そういう点はひとつの弱点のようにも感じました。

ただ、その点を差し引いても、彼らが奏でる美しいサウンドとノスタルジックさあふれるメロディーラインは大きな魅力であることは間違いありません。過去の模倣的な部分は否めないのですが、その点を差し引いても十分な傑作と言えるアルバムだったと思います。メロディーはインパクトもあるし、十分売れそうなアルバムなのですが、現時点で残念ながら本作もビルボードのインディーチャートで6位にランクインされたのみ。ただ、最近、インディーバンドも一気に売れる傾向があるだけに、彼らも近いうちにブレイクするかも?広いリスナー層にお勧めできそうなポップスアルバムでした。

評価:★★★★★

The Lemon Twigs 過去の作品
Songs For The General Public

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2023年6月 4日 (日)

ロックオペラ完結

Title:ATUM-actⅢ
Musician:The Smashing Pumpkins

以前にも第1弾、第2弾と紹介している、アメリカのオルタナティブロックバンド、The Smashing Pumpkinsの壮大なロックオペラプロジェクトの第3弾。決して尻つぼみみなることなく、4月に無事、全3枚組となるCDもリリースされ、プロジェクトは完結されました。第1弾、第2弾は以前も紹介しているので、今回は第3弾、actⅢの紹介です。

基本的に3部作の最終作となるので、楽曲としての方向性は以前と変わりありません。ストリングスで伸びやかに聴かせるオープニング的な「Sojourner」は優雅さと爽やかさを兼ね備えたような作品で、まずは気持ちの良いアルバムの幕開けとなります。続く「That Which Animates the Spirit」は出だしこそアコースティックなサウンドからスタートするのですが、楽曲が本格的にスタートするとメタリックなギターリフを主導に構成されたダイナミックなナンバー。そこに流れるメロディーラインは至ってメランコリックで、ある意味、スマパンらしい作品と言えるでしょう。

その後もメランコリックに聴かせる「Pacer」に、ヘヴィーなギターリフ主導のロックなナンバー「In Lieu of Failure」、スペーシーなシンセのサウンドに悲しげなメロディーラインが重なる「Fireflies」など、基本的にはいかにもスマパンらしいメランコリックなメロディーラインを主体としつつ、時にはしんみり聴かせ、時にはヘヴィーなバンドサウンドでロックに聴かせるナンバーが並んでいきます。

特にアルバムの中でもインパクトが強かったのが「Spellbinding」で疾走感あるノイジーなギターサウンドでオルタナロック色が強い楽曲。ポップなメロディーラインも耳を惹く楽曲となっており、ある意味、この壮大な3部作のロックオペラの最後を締めくくるにふさわしいロックチューンとなっていました。

シンセも積極的に取り入れている一方、比較的ダイナミックなロックチューンも目立ち、全体的にはバンドサウンド色も目立ち、スマパンらしいアルバムになっていたため、初期からのファンにとってもロック色の強さから、楽しめる作品になっていたのではないでしょうか。もっとも一方では、スマパンらしいアルバムになっていたとはいえ、新鮮味はなく、そういう意味ではこれだけ力を入れた3部作のロックオペラの割には、目新しさはなかったかな、という印象も受けました。

とはいえ、メランコリックなメロディーラインやサウンドはスマパンらしさがしっかりと出ており、そういう意味では十二分に楽しめたアルバムだったと思います。3部作を一気に聴くのは大変かもしれませんが、インパクトのあるメロの曲も多いため、意外とあっさりと楽しめてしまうかも。スマパンらしさがつまった重厚なロックオペラでした。

評価:★★★★

The Smashing Pumpkins 過去の作品
Teargarden by Kaleidyscope
OCEANIA
(邦題 オセアニア~海洋の彼方)
Monuments to an Elegy
SHINY AND OH SO BRIGHT,VOL.1/LP:NO PAST.NO FUTURE.NO SUN.
CYR
ATUM-actⅠ
ATUM-actⅡ


ほかに聴いたアルバム

ー/Ed Sheeran

イギリスの国民的SSW、エド・シーランの最新アルバム。アルバムタイトルが「+」「×」「÷」「=」と来て、大方の予想通り、最新作のタイトルは「-」となりました。ちなみに読み方は「マイナス」ではなく、減算を意味する「Subtract」と読むそうです。エレクトロサウンド主体だった前作から一転、今回のアルバムはアコースティックなサウンド主体という方向性に。ここに彼らしいメランコリックなメロディーラインが加わり、目新しさこそないものの、壺をついたような楽曲で安心して聴けるアルバムになっていました。

評価:★★★★

Ed Sheeran 過去の作品
+
÷
No.6 Collaborations Project

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2023年6月 3日 (土)

詩羽ボーカルとしてのスタイルを確立

Title:RABBIT STAR★
Musician:水曜日のカンパネラ

ボーカルがコムアイから詩羽に変わって2枚目となるEP盤。言うまでもなくボーカルというのはユニットにとっての「顔」であり、もっと言えば水曜日のカンパネラではコムアイ以外のメンバーはほとんど表に出てきていなかっただけに、ともすればファン以外にとっては水曜日のカンパネラ=コムアイ、的な立ち位置だっただけに、このメンバーチェンジというのはかなり大きな驚きを持って迎えれられました。

ところが!予想外に詩羽のボーカルが楽曲にマッチ。現時点において詩羽のボーカルで発表された楽曲はEP2枚分14曲しかないにも関わらず、既に水曜日のカンパネラのボーカルは詩羽以外に考えられないくらいにすらなっています。特にコムアイ時代の末期においては、少々大いなるマンネリ気味になっており、人気面でもやや停滞していた感がったのですが、ボーカルの入れ替えによって再びユニットとして活性化。「エジソン」のヒットもあって、新たなファン層も流入してきています。

今回のEP盤も全6曲入りながらも、全曲シングルカットできそうなくらいのキラーチューン揃い。EPの前作「ネオン」も傑作アルバムでしたが、今回のEPも、現在の彼女たちの勢いを感じさせる傑作に仕上がっていました。

とはいえ、基本的な楽曲の方向性は、コムアイ時代から大きく変化した訳ではありません。軽快でポップなエレクトロチューンに、少々シニカルな視点を入れつつ、ユニークにまとめた歌詞が大きな魅力。今回のEPでも、例えば「金剛力士像」は運慶・快慶の歴史上の登場人物をネタとした曲ですし、「赤ずきん」「ティンカーベル」は「桃太郎」から続く童話ネタ。「シャドウ」はコムアイ時代の代表曲「シャクシャイン」に並ぶような、自動車道の名前をラップ的に連呼する楽曲になっています。

サウンド的にはエレクトロという共通項がありつつ、ピアノも入って爽快にまとめた「金剛力士像」に力強いビートが特徴的な「シャドウ」に、「鍋奉行」ではアニメのエンディングらしい、ユーモラスな歌詞が特徴的ですが、サウンドは高速ビートで攻撃性のあるサウンドが特徴的。ラストの「ティンカーベル」もディープハウスで陶酔感のあるサウンドになっているなど、6曲ながらもバラエティーある展開が楽しめます。

一方で、やはりコムアイと詩羽は似ている部分もありつつ、ボーカリストとして異なる特徴を持っており、類似点で過去の水曜日のカンパネラとの一貫性を保ちつつ、詩羽ならではの特徴で、新たな方向性を感じさせる曲も聴かせてくれます。その最たるものが「赤ずきん」。この2人のボーカリストは、どちらも比較的必要以上に感情をこめない淡々とした部分がありつつ、コムアイはどこかほんわかした雰囲気を持っていたのに対して、詩羽はちょっとドスの利いたボーカルも聴かせられる点が特徴的。この「赤ずきん」ではそんな詩羽のスタイルを生かしたドスを利かせたボーカルを歌詞にも上手く当てはめており、詩羽ボーカルの水曜日のカンパネラらしい楽曲に仕上がっていました。

あらためて言うけど、本当に水曜日のカンパネラは詩羽ボーカル以外考えられない、というほどにわずか2枚のEPでモードチェンジしてしまった、という事実にはまさに驚かされます。また、大きなるマンネリ気味だったからこそボーカルを変えてスタイルを一新し、あらたに勢いを盛り返したという点も驚くべき事実です。本作も文句なしに本年度のベスト盤候補にあがるほどの大傑作。まだEPしかリリースしていないのですが、来るべくフルアルバムも実に楽しみになってきます。これからも彼女たちの活動から目を離せなさそうです!

評価:★★★★★

水曜日のカンパネラ 過去の作品
私を鬼ヶ島へ連れてって
ジパング
UMA
SUPERMAN
ガラパゴス
猫は抱くもの(オリジナル・サウンドトラック)
YAKUSHIMA TREASURE(水曜日のカンパネラ&オオルタイチ)
ネオン


ほかに聴いたアルバム

BLUE BLUR/SIRUP

Blueblur

SIRUPの6曲入りのEPは「ポジティブな絶望」をテーマとした作品。「ポジティブな絶望」って何??といった感じなのですが、ここ最近の彼の活動の中で浮かび上がってきた感情だそうで、知名度も上がってくる中、彼の周りで様々な出来事が起こったのでしょうか?とはいえ作品全体は軽快なエレクトロビートで非常にポップで聴きやすい作品になっています。一方、メロディーラインは哀愁感漂うものとなっており、ここらへんが「絶望」っていった感じなのでしょうか??いい意味で聴きやすさを感じる作品になっていました。

評価:★★★★

SIRUP 過去の作品
FEEL GOOD
cure

MOONAGE/中田裕二

約1年半ぶりとなる中田裕二のニューアルバム。ベスト盤リリース後、初のオリジナルとなった前作「LITTLE CHANGES」ではタイトルとは裏腹に、さらに彼の世界観を深化させるような作品になっていましたが、今回の作品もその方向性が続きます。これでもかというほど哀愁感たっぷりのメロディーラインで聴かせる彼のスタイルは、ある意味、完全に完成されたスタイル。大いなるマンネリといった感も否めないのですが、ただ日本人の琴線に触れそうなメロディーラインを楽しめるアルバムになっています。

評価:★★★★

中田裕二 過去の作品
ecole de romantisme
SONG COMPOSITE
BACK TO MELLOW
LIBERTY
thickness
NOBODY KNOWS
Sanctuary
DOUBLE STANDARD
PORTAS
TWILIGHT WANDERERS -BEST OF YUJI NAKADA 2011-2020 -
LITTLE CHANGES

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2023年6月 2日 (金)

まだまだ魅力的な5枚目

Title:Kemekem
Musician:UKANDANZ

今回紹介するUKANDANZは、フランス人ギタリストのダミアン・クルュゼルのバンドに、エチオピア人のボーカリスト、アスナケ・ゲブレイエスが加わり、エチオピアの音楽を取り込んだことで話題となったバンド。2012年にリリースされたデビューアルバム「Yetchalal」は日本でも話題となり、国内盤もリリース。ただ、デビュー時で話題になっても、その後継続的に取り上げられないケースが多いのが日本の音楽シーンの悲しい性。とはいえ、UKANDANZは、それなりに好評だったのか、2ndアルバム、3rdアルバムも国内盤がリリースされています。

ただ、残念ながら国内盤のリリースもここまで。メディアでもほとんど取り上げられなくなった影響で、私も3枚目のアルバムまで追いかけていたのですが、昨年リリースされたらしい、4枚目のアルバムについてはノーチェックでした。というわけで、1枚飛ばして彼らの5枚目となるニューアルバム。久しぶりに彼らのアルバムをチェックしてみました。

もともとバンド名の「UKANDANZ」という名前、英語の「You can dance」に由来するように、デビューアルバムは非常にダンサナブルな作品に仕上がっていました。それに対して2作目は、プログレッシブロックの影響を感じさせる、「音を聴かせる」という路線にシフト。さらに3作目は再びダンスの方向性に回帰と、アルバム毎に方向性を変えるものの、逆に言えば、それだけ様々な音楽性を内在したバンドと言えるかもしれません。

そんな中、今回のアルバムはダンスという原点よりも、より「音を聴かせる」スタイルに再びシフトしているように感じます。1曲目「Ajebeshe lideresh new」はエチオピア音楽らしい、こぶしを利かせた歌が大きな魅力である一方、ホーンセッションも入って分厚く聴かせるサウンドは、ダンサナブルというよりもグルーヴ感を聴かせるサウンドになっています。続く「Alegntaye」も力強いボーカルのバックに聴かせるのは、ノイジーにゆっくり聴かせるダイナミックなバンドサウンドなのですが、こちらもプログレッシブロックの色合いは強く感じます。

中盤のタイトルチューン「Kemekem」も哀愁感ただようエチオピア音楽らしいメロディーラインにダイナミックなバンドサウンドが魅力的。基本的に、このプログレ的でダイナミックなバンドサウンドをバックに、哀愁感のあるメロディーを、こぶしを利かせたボーカルで歌い上げるというスタイルの曲が並びます。グルーヴ感のあるバンドサウンドに圧倒されつつ、メランコリックなメロディーラインにどこか懐かしさも感じる・・・そんなエチオピア音楽と西洋のロックが融合された音楽性は今回も健在でした。

ちなみに唯一、バンド名らしい踊れるナンバーが中盤の「Endihe new fiker」。ホーンセッションも軽快で楽しく、ダンサナブルなリズムが耳を惹きます。これはライブで盛り上がりそう。以前、「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」でのステージを見た事があるのですが、彼ら、また来日してくれないかなぁ。

そんな訳で、1枚スルーしてしまったのですが、UKANDANZの魅力はまだまだ健在ということがわかった1枚。今回はダンサナブルというよりはバンドとしての迫力ある演奏が魅力的な作品になっていました。哀愁感あるメロディーラインには意外と人なつっこさもありますし、ワールドミュージック好きのみならず、ロックリスナーにもおすすめのアルバムです。

評価:★★★★★

UKANDANZ 過去の作品
Yetchalal
AWO
Yeketelale


ほかに聴いたアルバム

AS PALAVRAS, VOL. 1 & 2/Rubel

Rubel

ブラジルのシンガーソングライター、フーベルによる、約5年ぶりとなるアルバム。アコースティックなサウンド主体で聴かせるブラジル音楽で、メロディーラインもメロウに聴かせる内容。ただ、意外とインパクトあってヒットチャートも狙えそうなポップであか抜けた側面を持った楽曲が特徴的で、そういう意味では幅広いリスナー層にアピールできそうな作品に仕上がっていました。

評価:★★★★

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2023年6月 1日 (木)

今週もアイドル系が目立つ

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週もアイドル系が目立つチャートとなっています。

まず1位は韓国の男性アイドルグループENHYPEN「DARK BLOOD」が獲得。CD販売数及びダウンロード数で共に1位を獲得。韓国盤の4枚目となるミニアルバム。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上16万3千枚で1位初登場。直近の日本盤オリジナルアルバム「定め」の初動23万2千枚(1位)からダウン。韓国盤のミニアルバムの前作「MANIFESTO:DAY1」は、販売の都合上、2週目に12万2千枚を売り上げて1位を獲得していますが、その売上よりはアップしています。

2位は先週1位だったSnow Man「i DO ME」がワンランクダウンながらもベスト3をキープしています。

3位は韓国の女性アイドルグループaespa「My World」がCDリリースの影響で先週の70位から大きくランクアップし、2週ぶりにベスト10返り咲き。ダウンロード数は24位から31位にダウンしているもののCD販売数が3位を獲得し、総合順位でベスト3入りとなりました。もともと5月8日にリリースされており、先々週のオリコンでランクインしていました。輸入盤ということで当初ランクインしていなかったのですが、今週のチャートではCD販売数がランクイン。おそらくワーナーミュージックストアでの限定特典付き販売分が加味された影響と思われます。オリコンでも先週の12位から3位にランクアップし、ベスト10返り咲きとなっています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にGirls2「Countdown」がランクイン。CD販売数4位。テレビ東京系ドラマのガールズ×戦士シリーズのメンバーで構成されたアイドルグループ。毎回、事実上のシングルをEP盤としてアルバムにランクインさせてくるのですが、本作も3曲+同曲のインスト3曲の6曲入りという事実上のシングル。オリコンでは初動売上2万3千枚で5位初登場。前作「Love Genic/Bye-Bye-Bye」の初動1万5千枚(6位)からアップしています。

6位には「うたの☆プリンスさまっ♪ SHINING BIRTHDAY SONG CD」が初登場。CD販売数6位。女性向け恋愛ゲーム「うたの☆プリンスさまっ♪」より、登場キャラの誕生日に配信していた「SHINING BIRTHDAY SONG」シリーズをまとめたアルバム。オリコンでは初動売上2万3千枚で6位に初登場しています。

7位には初登場組では唯一のロック系。Superfly「Heat Wave」が初登場。CD販売数8位、ダウンロード数4位。オリコンでは初動売上1万4千枚で7位初登場。前作「0」の初動4万1千枚(3位)より大きくダウンしてしまっています。

8位初登場はSUPER JUNIOR-YESUNG「君という桜の花びらが僕の心に舞い降りた。」。韓国の男性アイドルグループSUPER JUNIORのメンバー、イェソンによる日本盤のソロアルバム。オリコンでは初動売上1万1千枚で9位初登場。日本盤の前作「STORY」の初動1万枚(7位)から微増。

最後10位にはavex所属の5人組男性アイドルグループDa-iCE「SCENE」がランクイン。CD販売数9位、ダウンロード数5位。オリコンでは初動売上1万枚で10位初登場。前作「SiX」の初動1万5千枚(4位)からダウンしています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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