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2023年5月13日 (土)

狂気を秘めたダンスパフォーマンスが注目を集めるグループ

Title:一時帰国
Musician:新しい学校のリーダーズ

Gakkou

最近、急速に注目を集めている4人組グループ、新しい学校のリーダーズ。セーラー服姿の女性4人組ということで、よくありがちなアイドルグループ・・・かと思いきや、少々狂気を帯びたようなキレッキレの前衛的なダンスパフォーマンスが注目を集めているダンスグループだそうで(ただ、一応、「アイドルグループ」というカテゴライズにも入っているようですが)、私もYouTubeで彼女たちのパフォーマンス動画を視聴し、一気にその魅力にはまりました。

公式YouTubeチャンネルでPVも配信されていますが、どちらかというとライブ動画の方が彼女たちがどんなグループか、わかるようなに思います。

本作は、そんな彼女たちの配信限定でのEP盤。メインの曲となっている「オトナブルー」はビルボードチャートでもベスト10入り。本作も同じくビルボードのアルバムチャートでベスト10入りするなど、一気にブレイクを果たしました。みんな同じタイミングで注目しちゃうんですね・・・。その「オトナブルー」はセクシャルな側面を前面に押し出した歌謡曲路線の曲。ちょっと時代を感じるようなセクシー歌謡曲が、前衛的な彼女たちのパフォーマンスともマッチして、インパクト満載の曲に仕上がっています。

ただ、とはいえ正直なところ、アルバム自体にはさほど期待していませんでした。どちらかというとダンスパフォーマンスが彼女たちのセールスポイントで、楽曲自体は悪くはないけど無難な売れ線ではないか、と思っていました。実際、本作の1曲目「じゃないんだよ」はマイナーコード主体の、ボカロ系によくありがちな楽曲といった感じでしたし(実際に作曲はボカロPのjon-YAKITORY)、続く「青春を切り裂く波動」はよくありがちな売れ線のギターロック路線だし、冒頭2曲は、いかにも「売れる」ことを狙ってきた平凡なJ-POPという印象を強く受けました。

しかしユニークだったのが中盤から後半にかけてで、3曲目「Giri Giri」はエレクトロサウンドの強いビートがインパクトのあるダンスチューンで、歌謡曲的なメロと上手く組み合わせた作風。「Suki Lie」も、今風のトラップ風のリズムと、こちらも歌謡曲的な怪しげなメランコリックなメロがうまく融合しています。

後半の「乙女の美学」「踊る本能001」も、こちらもメランコリックな歌謡曲なメロにインパクトを持たせつつ、ちょっとアバンギャルドさとジャズの要素も感じるバンドサウンドもユニーク。こちら、かつて東京事変のメンバーだったH ZETT M作曲によるナンバーなのですが、さすがといった印象です。

彼女たちが直接作曲に参加している訳ではないのですが、それでもこれだけ充実した曲がそろうというあたりに、グループとして、今、もっとも良い状態であることを感じさせます。正直、どちらかというと曲だけを楽しむというよりもパフォーマンスを楽しみたいグループなだけに、一度ライブも見てみたい!ただ、これだけ一気に売れると、チケットが取りにくくなりそうだなぁ。おそらく今後も、まだまだ人気は伸びそう。今、もっとも要注目のグループです。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Paint Like a Child/秦基博

秦基博の新作のアルバムタイトルは、ピカソの名言「It took me four years to paint like Raphael, but a lifetime to paint like a child.(ラファイルのように描くには4年かかったが、子供のように描くには一生涯かかった)」から取られたものだそうです。老境に至ってようやく、子供のように、邪心なく絵を描くことが出来た、ということなのでしょうか。さすがに秦基博がこの境地に至るには若すぎるのでしょうが、ただ、全体的には必要以上に「売れ線」を狙うことなく、彼の自然体がそのままあらわれたような作品になっています。派手さや新鮮さはありませんが、秦基博らしい暖かさを感じる作品になっていました。あと何年か経つと、彼も「Sing Like a Child」の境地に至るのでしょうか?

評価:★★★★

秦基博 過去の作品
コントラスト
ALRIGHT
BEST OF GREEN MIND '09
Documentary
Signed POP
ひとみみぼれ
evergreen
青の光景
All Time Best ハタモトヒロ
コペルニクス
evergreen2
BEST OF GREEN MIND 2021

パレードが続くなら/YUKI

ソロデビュー20周年を迎えたYUKIが、20周年イヤーのラストでリリースするオリジナルアルバム。鐘も鳴り響き、明るい雰囲気のスタートを醸し出すタイトルチューンから、爽快なギターサウンドで疾走感もって明るく聴かせる「タイムカプセル」に、パンキッシュな「My Vision」と、バラエティーはありつつ、どこかつかみどころのない自由さはYUKIらしい感じ。ジャケット写真も明るい雰囲気ですが、全体的に祝祭色も強く明るい印象のアルバムに仕上がっています。アルバムタイトルはやはり20年を超えた今後の活動を踏まえてのことなのでしょうか。彼女が奏でる明るいパレードは、まだまだこれからも続きそうです。

評価:★★★★

YUKI 過去の作品
five-star
うれしくって抱きあうよ
megaphonic
POWERS OF TEN
BETWEEN THE TEN
FLY
まばたき
YUKI RENTAL SELECTION
すてきな15才
forme
echo(Chara+YUKI)
Terminal
YUKI 20th Anniversary The Singles Collection 2002-2022「Tears of JOY」
YUKI 20th Anniversary Coupling + Remix Collection 2002-2022「Ode to JOY」

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