人気バンドの仲間入り
Title:How Many Dreams?
Musician:DMA'S
オーストラリア・シドニー出身の3人組ギターロックバンド、DMA'S。デビュー作「Hills End」は日本でも大きな話題となりましたが、その理由というのがまんまoasisのフォロワーだったから。同じイギリス連邦の国とはいえ、イギリス本国から遠く離れたオセアニアの地で出てきたoasisそのまんまのバンドは、特にoasisファンも多い、日本の多くのギターロック好きを惹きつけました。
ただ、この手のバンドの常として、2枚目で注目度は大きくダウンし、いつの間にかフェイドアウト・・・というパターンがあります。実際、期待の新人!として日本のメディアで取り上げられつつも、消えていったバンドは数多あります。彼らも正直、2枚目で日本での取り上げられ方も大きくダウンしました。
しかし、イギリスではそういう状況ではなかったようで、なんと3枚目の前作「The Glow」では全英チャート4位とブレイク。さらに本作では最高位3位を記録するなど、人気面で大きな飛躍を遂げ、名実ともに人気バンドの仲間入りをしています。
そのブレイクの大きな要素として、やはり2枚目3枚目と、oasisフォロワーから脱して、徐々にDMA'Sとしての個性を確立してきた点が大きいでしょう。2枚目以降、特にポップス寄りにシフト。ある意味、売れ線路線とも言えなくもないのですが、インパクトあるポップなメロディーラインが彼らの大きな魅力となっています。
今回のアルバムではさらにその路線を突き進んでおり、1曲目のタイトルチューン「How Many Dreams?」では爽やかでリズミカルなエレクトロビートをバックにポップなメロで歌い上げていますし、続く「Olympia」もギターロック路線なのですが、主軸となっているのはあくまでもポップなメロディーラインとなっています。
その後もギターロックを軸としつつ、曲によっては打ち込みを入れたり、「Jai Alai」のようにピアノを取り入れてしんみり聴かせたりと、バリエーションあるポップソングを楽しませてくれます。ただ、良くも悪くも全体的には無難な売れ線ポップといった印象。インパクトもありますし、素直に楽しめるポップチューンなのは間違いないのですが、正直なところ、デビュー当初のようなブリットポップの承継者的な部分は今回のアルバムではさらに希薄に。この点は物足りなさも感じてしまいます。
あえて言えばラストの「De Carle」がグルーヴィーなサウンドを楽しませてくれる楽曲となっており、デビュー当初の彼らの作風が垣間見れるナンバーにはなっています。もちろん、今の路線でDMA'Sとしての個性を確立しているだけに、安易にデビュー当初の路線には戻ってほしくはないのですが・・・もうちょっとグルーヴィーなバンドサウンドも聴いてみたいな、そうも感じてしまった1枚でした。
評価:★★★★
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2023年」カテゴリの記事
- デビュー50周年のオールタイムベスト(2023.09.22)
- ネブワースの地に、再び(2023.09.18)
- バンドとしての「初期衝動」が復活した傑作(2023.09.17)
- メロウなトラックが心地よい(2023.09.16)
コメント