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2023年4月24日 (月)

アコースティックスタイルでのカネコアヤノ

Title:タオルケットは穏やかな ひとりでに
Musician:カネコアヤノ

今、もっとも注目を集めている女性シンガーソングライターのひとり、カネコアヤノ。ここ数作、年間ベストクラスの傑作をコンスタントにリリースし続けていますが、最近のアルバムでは、オリジナルアルバムリリースに続き、アルバムタイトルに「ひとりでに」と付けたアコースティックバージョンをリリースするのが通例となっています。今回紹介するのもそんなアルバムの1枚で、1月にリリースしたオリジナルアルバム「タオルケットは穏やかな」のアコースティックアレンジバージョンとなります。

もともとオリジナルアルバムの方でも、バンドサウンドに負けない力強いボーカルが印象的で、歌もしっかりとアルバムの前面に押し出している彼女ですが、それでもアコースティックアレンジのアルバムをリリースしてくるあたり、「裸」の状態になった歌だけの魅力もしっかりと伝えたいという彼女の主張のあらわれでしょう。逆に言えば、オリジナルアルバムではそれだけサウンドの部分も注目してほしい、と主張しているとも言えるのかもしれません。

実際、アコースティックアレンジとなっても、全く原曲の魅力は衰えていません。ともすれば原曲で持っていたイメージから大きく乖離したような曲もありません。それだけ彼女の曲は、原曲の段階で歌を伝えることが出来ていたと言えるかもしれませんし、オリジナルではサウンドが非常に大きな要素を占めていたように感じた曲でも、実は歌も大きな力を持っていたんだな、ということを再認識しました。

特に今回のアルバムで印象的だったのがアルバムラストを飾る「もしも」で、ゆらゆら帝国あたりを彷彿とさせるシンプルなサウンドが耳に残るナンバーなのですが、この曲をアコギで静かに聴かせる「ひとりでに」のバージョンも全く違和感なく聴けたのが意外に感じました。

評価:★★★★★

Title:よすが ひとりでに
Musician:カネコアヤノ

Yosugahitodeni

で、2021年にリリースしたアルバム「よすが」も「ひとりでに」バージョンがあったのですが、いままで聴き逃してきたため、今回あらためてチェックしました。

基本的な感想は「タオルケットは穏やかな ひとりでに」と同じなのですが、こちらでは、アコースティックアレンジにしてより印象の変わった曲もありました。ひとつは「手紙」。原曲ではサイケなアレンジでちょっと明るさも感じるのですが、アコースティックアレンジでは静かなアレンジで、曲の持つメランコリックさがより際立っていたように感じます。

「閃きは彼方」も印象的で、もともと原曲からしてカントリー風のアレンジでアコースティックテイストの作風。こちらもアコースティックアレンジになると、軽快で明るさを感じた原曲から一転、歌をしんみり聴かせるメランコリックな雰囲気の作品に変わっていました。

「よすが」の場合、本編ラストの「追憶」はもともとアコースティックなアレンジでしたので「ひとりでに」では未収録。ただ「タオルケットは穏やかな ひとりでに」と同様、こちらのアルバムもアコースティックアレンジにすることでカネコアヤノの歌の魅力がより強調される作品になっていました。

ある意味、一々オリジナルアルバムのアコースティックアレンジをリリースするあたり、労力がかかりますし、そこまでして「歌」を伝えたい、というのはカネコアヤノのミュージシャンとしての自己顕示欲の強さも感じます。ただ一方、時としてサウンドに隠れてしまいそうになる歌の魅力もしっかりと伝えたいという彼女の主張は、「ひとりでに」を聴くとよくわかるようにも思います。オリジナルアルバムとセットでチェックしておきたいアルバムなのは間違いないでしょう。

評価:★★★★★

カネコアヤノ 過去の作品
燦々
燦々 ひとりでに
よすが
タオルケットは穏やかな
カネコアヤノ 単独演奏会 2022 秋 - 9.26 関内ホール


ほかに聴いたアルバム

JUNK or GEM/東京スカパラダイスオーケストラ

スカパラの6曲入りのミニアルバム。「Free Free Free」ではゲストボーカルの幾田りらがトランペット、「紋白蝶」ではSaucy Dogの石原慎也がチューバ、「青い春のエチュード」では緑黄色社会の長屋晴子がトロンボーンで参加というユニークな試みがされています。ただ一方でゲストボーカル3人が参加しているため、全体的にはスカパラのポップな側面がより目立つ作品に。また、爽やかなホーンセッションで明るく聴かせるナンバーがメインとなっており、スカパラらしさも感じられるミニアルバムとなっていました。

評価:★★★★

東京スカパラダイスオーケストラ 過去の作品
Perfect Future
PARADISE BLUE
WILD SKA SYMPHONY
Goldfingers
HEROES
Sunny Side of the Street
on the remix
Walkin'
欲望
Diamond In Your Heart
SKA ME FOREVER
The Last
TOKYO SKA Plays Disney
The Last~Live~
TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA~Selecao Brasileira~
Paradise Has NO BORDER
GLORIOUS
2018 Tour「SKANKING JAPAN」"スカフェス in 城ホール" 2018.12.24
TOKYO SKA TREASURES ~ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ~
SKA=ALMIGHTY
S.O.S. [Share One Sorrow]

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