いかにも「アフリカ」的な
Title:Work Hard
Musician:King Ayisoba
今回紹介するのは、キング・アイソバというガーナ北部はボロガタンガ出身のミュージシャン。ガーナのハイライフという音楽とヒップホップを融合させたヒップライフというジャンルで話題となったミュージシャン。前々作「Wicked Leaders」が「ミュージックマガジン誌」の2014年ワールドミュージックアルバムの年間1位に選ばれるなど高い評価を得ました。実は2017年にはアルバム「1000 Can Die」をリリースしていたのですが、それは聴き逃してしまっており、今回、2作ぶりに彼のアルバムをチェックしてみました。
その話題となった「Wicked Leaders」は「未来の民俗音楽」などという言い方をされるように、アフリカの民俗音楽的な要素をかなり強く感じるアルバムになっていました。そして今回のアルバムは、ある意味、その「Wicked Leaders」以上に民俗音楽的な意識の強い作品になっていたように思います。
そもそも1曲目を飾る「Good Things God Knows」もいきなり歌詞で「Africa Music!」と身も蓋もないような叫びを入れた、コールアンドレスポンスとトライバルなパーカッションを入れた、「いかにも」な作品になっていますし、2曲目の「Bossi Labome」も、伸びやかで哀愁感たっぷりのボーカルとコーラスのコールアンドレスポンスでトライバルな雰囲気を否応なく高めています。
彼のしゃがれ声のボーカルも楽曲のトライバルな雰囲気に間違いなく一役を買っています。なによりも「People Talk Too Much」の冒頭の叫び声などが印象的。「Tribe」でも力強いシャウトを聴かせてくれています。(そしてこの曲でも「Africa!」と叫んでいます)
日本人にとって、ちょっとユニークに感じるのが「Namba Sonne」ではないでしょうか。笛が軽快に鳴り響くリズミカルなナンバーなのですが、この笛の音色とリズムが完全に日本の祭囃子。遠いアフリカのガーナと日本が、なんだかの形で結びついた・・・というよりも偶然の一致だとは思うのですが、やはり心躍るようなリズムと笛の音色は万国共通なのでしょうか?
後半には打ち込みのリズムでリズミカルに聴かせる「Abome」や、同じく打ち込みのリズムにホーンセッションも入った「Kokoko Enter」のような、西洋的な部分を感じる曲も聴かせつつ、ただ最後までいい意味で典型的に「アフリカ」的なトライバルな要素を残し、最後まで聴かせてくれます。
彼の奏でる「トライバル」な要素は、ある種のベタさも感じるのですが、迫力あるリズムやそのシャウトにより、そんなベタさも含めて最後まで楽しめる作品だったと思います。ワールドミュージック、特にアフリカ音楽が好きならば間違いなく気に入りそうなアルバムです。
評価:★★★★★
King Ayisoba 過去の作品
Wicked Leaders
ほかに聴いたアルバム
Girl In The Half Pearl/Liv.e
LAを拠点に活躍し、HIP HOPやジャズ、ソウルなどを融合した音楽が特徴的なシンガーの2枚目となるアルバム。全面的にエレクトロビートを導入。爽やかでリズミカルなビートを奏でつつ、フュージョンやジャズ、ドリームポップやR&Bなどの要素を取り入れた音楽性が大きな魅力。さらにこのアルバム、40分の長さに17曲が収録されており、この様々な音楽性を持った曲が次々と展開していくような構成になっており、その展開の速さに最後まで耳の離せないアルバムになっていました。
評価:★★★★★
Optical Delusion/Orbital
イギリスのテクノユニットOrbitalの約5年ぶりとなるニューアルバム。基本的には心地よいエレクトロビートを聴かせてくれる作品で、良くも悪くも典型的なテクノのアルバム。目新しさはないものの、Orbitalに期待するサウンドについてしっかりと壺をおさえてくれるようなアルバムになっており、いい意味で安心して楽しめる作品でした。
評価:★★★★
Orbital 過去の作品
Wonky
onster Exist
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