期待のポストロックバンド
Title:Dogsbody
Musician:Model/Actriz
アメリカはニューヨーク・ブルックリンを拠点する4人組ロックバンド、Model/Actrizのデビューアルバム。エクスペリメンタルまたはポストロックにカテゴライズされるバンドのようです。デビュー作である本作の評判も非常に高いようで、今回、はじめてチェックしてみました。
そんな彼らの1曲目「Donkey Show」はまずは静かにスタート。ただバックには不気味でメタリックなサウンドが鳴り響いています。そして中盤から徐々にメタリックなサウンドが鳴り響きつつ、テンポのよいエクスペリメンタルのサウンドが徐々にその全貌をあらわしてくる・・・そんな楽曲に仕上がっています。
もっとも、この楽曲を含み、アルバム全体としてはメタリックなサウンドを前に出しつつも、しっかりとしたメロディーラインが流れており、比較的ポップで聴きやすい、そんな印象も同時に受けるアルバムとなっています。実際、続く「Mosquito」ではメタリックなノイズが切り刻まれるものの、疾走感あるリズムが楽曲にポピュラリティーを与えています。「Slate」も同様に打ち込みのリズミカルなビートに聴きやすいという印象を受けるのではないでしょうか。
その後も力強いバンドサウンドとエレクトロビートが印象的な「Amaranth」、リズミカルなビートから後半はノイジーなギターでダイナミックに構成される「Pure Mode」など、打ち込みのリズムを入れつつ、ヘヴィーなエクスペリメンタルのサウンドを導入している楽曲が並びます。ただ一方で、「Maria」や「Sleepless」など、そんなサウンドの中にメランコリックなメロディーラインの歌を取り入れている曲もあり、このバランス感覚が見事。メランコリックな歌と、ヘヴィーながらダークなサウンドが微妙にマッチしている点がアルバムをユニークなものとしています。
そんなアルバムの流れからしてもラストの「Sun In」は静かなサウンドをバックに、場面によってはフォーキーという印象すら受ける歌モノで締めくくっている点もまたユニーク。最後までユニークな構成のアルバムになっていました。
ポストロックバンドとして、今、注目されているバンドにblack midiがありましたが、彼らがプログレの方向にシフトしていることを考えると、彼らはエクスペリメンタルからむしろポップの方向にシフトしているとも考えられる1枚。どちらにしろ、これがデビューアルバムなだけに、これからどんな感じに作風をシフトしてくるのか楽しみな感じはします。間違いなく、今後に注目したいバンドでしょう。
評価:★★★★★
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