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2023年4月30日 (日)

デビュー25周年目の新作

Title:今の二人をお互いが見てる
Musician:aiko

今年、デビュー25周年を迎えたaikoのニューアルバム。デビュー当初から知っているミュージシャンなだけに、それからもう25年も経つのか・・・とある種、感慨深く思ってしまいます。本作は、そんな彼女の約2年ぶりのニューアルバムとなります。

ここ最近では、ベテランミュージシャンとしてすっかり安定感の増した感のあるのですが、今回のアルバムもまさにそんな安定感を覚えるような作品になっていました。まず1曲目「荒れた唇は恋を失くす」からして、まさにaikoらしい楽曲。イントロのホーンセッションとピアノをあわせたインストからして実にaikoらしく、ファンとしても待ってましたといった感じのあるオープニングではないでしょうか。

続く「ねがう夜」も複雑に展開するメロディーラインが実にaikoらしさを感じる楽曲に。aiko節とも言える、爽やかなポップチューンながらもどこかブルージーさを感じる節回しは本作でも健在。さらに「あかときリロード」も切なさを感じるミディアムチューンのナンバーが実に彼女らしい作品となっています。

前作「どうしたって伝えられないから」では、インパクトのある楽曲が少な目だった感があるのですが、今回のアルバムに関しては配信シングル含めて実に6曲のシングル曲が収録されており、インパクトという面については前作に比べてグッと増した感はあります。ただ一方で、良くも悪くも、aikoらしいといった楽曲が並ぶ作品になっていたように感じます。

その後もシンセのサウンドを入れつつ、切ないメロと歌詞が彼女らしい「食べた愛」、ちょっとジャジーな雰囲気を醸し出しつつ、ストリングスとホーンで聴かせる「果てしない二人」、ピアノのリズムでテンポよく聴かせつつ、切ないメロが印象的な「アップルパイ」など、彼女らしさを感じる楽曲が続きます。

一方、歌詞については前作ほどは印象に残らなかった感も・・・。もちろん、恋愛感情を絶妙に描いた歌詞は相変わらず見事。あえていえば「食べた愛」「アップルパイ」「ぶどうじゅーす」など、食べ物的なネタが多かったような・・・??歌詞に関しても、いい意味で安定感のあるaikoらしい作品が並んでいました。

今回の作品に関しては、メロディーラインについても歌詞についても彼女らしさを感じる曲が並ぶ、ベテランシンガーらしい安定感のある作品になっていたと思います。安定の傑作でした。

評価:★★★★★

aiko 過去の作品
秘密
BABY
まとめI
まとめII

時のシルエット
May Dream
湿った夏の始まり
aikoの詩。
どうしたって伝えられないから


ほかに聴いたアルバム

ジャジャーン/CHAI

CHAIの新作は5曲入りのEP盤。今回のアルバムも全体的にエレクトロ色の強いダウナーな作品になっており、そういう意味では前作「WINK」の延長線上の作品になっています。ただラストの「夢のはなし」はバンドサウンドを押し出した作品になっており、やはりあらためて聴くと、この手のバンドサウンドを押し出した作品の出来が圧倒的に良い・・・。エレクトロ方向の新たな挑戦も悪くはないとは思うのですが、やはりCHAIの持ち味はロックバンドとしてのバンドサウンドだと思うんだよなぁ・・・。

評価:★★★★

CHAI 過去の作品
PINK
わがまマニア
PUNK
WINK
WINK TOGETHER

護得久栄昇大全Ⅱ/護得久栄昇

沖縄で活動している漫才師「ハンサム」の金城博之による持ちネタのキャラクター。沖縄民謡の師匠をデフォルトしたキャラクターだそうで、2017年にアルバム「護得久栄昇大全」をリリース。「本人以外すべて本物」をキャッチコピーとした本格的な沖縄民謡のアルバムになっており、高い評価を受けました。その後は、あまりその名前を聞かなくなっていたのですが、沖縄ではローカルタレントとして高い人気を誇っているのでしょうか、約5年3か月ぶりのニューアルバムがリリース。さらにはメジャーデビューを果たしました。

ただ、沖縄民謡の本格的なアルバムだった前作と比べて今回のアルバムはネタ的な要素も強く、沖縄民謡とは離れたポップソングも目立ちます。その結果、一度聴く分にはコント部分も含めて楽しめる反面、正直、2度3度聴きたいと思うようなアルバムではなくなってしまったようにも思います・・・。メジャーデビューの結果、悪い意味で広い層を狙ったようなアルバムになってしまったような・・・。最後にシークレットトラックに収録されている本格的な沖縄民謡の作品が一番出来がよいというのは残念な感じでした。

評価:★★★

護得久栄昇 過去の作品
護得久栄昇大全

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