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2023年4月23日 (日)

理屈抜きのカッコよさ!

Title:ブラックレザー爆弾 LIVE AT WWWX
Musician:ギターウルフ

2022年3月11日に渋谷のWWWXで行われたギターウルフのライブを収録したライブアルバム。長らくバンドのドラムを担当していたドラムウルフことトオルが2021年12月に脱退を発表。ラストライブとなったこの日の模様を収録したライブアルバムとなっています。

まず今回のアルバム、ヘッドフォンから音が流れてきてすぐに感じたのは、まず何も言うことなく「カッコいい!!」ということでした。理屈抜き。ヘッドフォンから流れる大音量のバンドサウンドに文句なしに魅せられたアルバムになっていました。で、考えたことは一体何に、これだけのカッコよさを感じるのだろう?という点でした。

結成は1987年というから、もう結成後35年という歳月が経過したベテランバンド。CDデビューは1993年ですから、そこからも30年近い月日が経過しています。日本でのメジャーデビューを経て、日本での人気も高まり、おそらく私が彼らのアルバムをはじめて聴いたのは1999年の「ジェットジェネレーション」からだと思います。

そしてそこからも20年以上という月日を経過していますが、はっきりいえば、1999年の時点に彼らが奏でていた音とこのライブアルバムで奏でている音にほとんど違いがありません。あきらかに音がいいとは言い難いギターノイズを前面に出しつつ、テクニックよりもパッションを重視した疾走感あるバンドサウンド。間違いなく大いなるマンネリといった感じの音であるにも関わらず、このライブアルバムの音は、今でもむしろバンドとしての初期衝動すら感じられる緊張感があります。

あえて無理やりにこのライブアルバムで感じるギターウルフの魅力について言えば、迫力あるバンドサウンドにノイズ、そしてそんなサウンドに隠されたメロディーラインは意外とポップスさを感じる点ということも言えるかもしれません。またシンプルながらもどこかユーモアさを感じさせる(ある意味、勢いだけ重視した)歌詞も大きな魅力と言えるかもしれません。

ただ何より今回のライブアルバムで感じるのはメンバー3人のパフォーマンスが息の合ったものであり、バンドとしてのグルーヴ感を見事生み出している点が大きな魅力だったのではないでしょうか。特に彼らについては、2017年から2018年にかけてベーシストが相次いで脱退するなど、バンドとして不安定な時期が続いていました。しかし、そんな中リリースされた直近のオリジナルアルバム「LOVE&JETT」は、大いなるマンネリな内容でありながらも、ここ数作の彼らのアルバムの中ではもっとも魅力的で出来のいい傑作アルバムになっていました。

メンバーはセイジ、2018年から加入した新ベーシストGOTZ、そして今回脱退するドラムのトオルによるアルバムだったのですが、おそらくこの3人の相性がバッチリだったのではないでしょうか。今回のライブアルバムが文句なしにカッコよさを感じたのは、そんな3人の相性の良さがこのアルバムにも反映されていたから・・・そう強く感じました。

それだけにこの息の合った3人のパフォーマンスが、これで最後というのはあまりにも残念すぎます。ちょっとここ最近の相次ぐメンバーチェンジは気になってはいるのですが、残ったメンバーのあらたなパフォーマンスにも期待しつつ・・・。あらためてギターウルフのカッコよさを実感したアルバムでした。

評価:★★★★★

ギターウルフ 過去の作品
宇宙戦艦ラヴ
野獣バイブレーター
チラノザウスル四畳半
LOVE&JETT


ほかに聴いたアルバム

優游涵泳回遊録/フレデリック

フレデリックの5枚目となるミニアルバム。非常に難解な感じが並びますが、これで「ゆうゆうかんえいかいゆうろく」と読むそうです。いつものフレデリックらしいギターとシンセでリズミカルな楽曲が並ぶ点はおなじ。似たような曲というマイナスポイントはぬぐえませんが、今回のアルバムはそれ以上にダンサナブルで楽しい楽曲が並び、非常に楽しめる作品になっていました。フレデリックのアルバムの中では快心の1作かも。

評価:★★★★★

フレデリック 過去の作品
フレデリズム
TOGENKYO
フレデリズム2
ASOVIVA
ANSWER(フレデリック×須田景凪)
フレデリズム3

wheel of life/マカロニえんぴつ

ドラマ主題歌に起用された「リンジュー・ラヴ」を含む5曲入りのEP盤。同曲は、分厚いバンドサウンドを聴かせる、彼らにしてはロックなナンバーになっているのですが、その他の曲も力強いギターサウンドを聴かせる楽曲が並んでおり、ポップバンドである彼らにしてはちょっと珍しい、マカロニえんぴつとしてはロックな側面を押し出したアルバムになっています。ポップバンドだけではない彼らの側面を感じさせる作品でした。

評価:★★★★

マカロニえんぴつ 過去の作品
season
hope
愛を知らずに魔法は使えない
ハッピーエンドへの期待は

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