とても優しさを感じる歌声でした
Bob Dylan "ROUGH AND ROWDY WAYS" WORLD WIDE TOUR 2021-2024
会場 愛知県芸術劇場 日時 2023年4月18日(火)19:00~
ボブ・ディラン待望の来日ツアー!2016年にノーベル文学賞を受賞後、フジロックへの来日公演はあったものの、ライブツアーとしては2016年以来となるライブツアーに参加してきました。1990年代以降、比較的コンスタントに来日している彼ですが、既に御年81歳。2020年に今回のツアータイトルとなっているアルバム「ROUGH AND ROWDY WAYS」をリリースするなど、現役感バリバリの活動を続けているとはいえ、はるか東洋の彼方、日本まで、あと何回来日してくれるか・・・年齢から考えても、これが最後になっても何ら不思議でもありません。レジェンドクラスのライブが見れる機会があるのならば、できるだけ見ておきたい!!ということもあって、今回、意を決してボブ・ディランのライブに足を運んできました。
「意を決して」なんていう書き方をするのは、当初、足を延ばそうかかなり迷ったため。というのは大きな要因となるのがチケット代。なんとS席で26,000円(!)という高額のチケット代。確かに、外タレのライブは1万超えは当たり前…とはいえ、2万円台後半というのはかなりの高額。今の日本が「安く」なってしまったからなのかなぁ・・・なんて思いつつ迷っていたのですが、この機を逃すと、二度と見れないかもしれまい・・・と思い、まさに意を決してチケットを確保しました。
そして当日、会場へ向かうと、いきなり入口で携帯の電気を切る旨のアナウンスが。さらに電源を切った携帯を、スタッフからわたされた、鍵付きのポシェットみたいなものに入れられて、会場内では一切、携帯を触れない状況になっていました。かなりの物々しさにビックリ。外タレって、携帯には比較的寛容で、ライブ会場でも写真撮り放題というミュージシャンも多いだけに、逆に日本のミュージシャンよりも厳しいスタンスにはビックリしました。会場には開演10分くらい前に入ったのですが、普段ならスマホで時間つぶし出来るところを、開演まで手持無沙汰に。でも、スマホが普及する前のライブって、こういう風だったなぁ。
会場を見渡すと、2階席以上は空いており、1階席も後ろの方はちょっと寂しい状況。平日だから、ということもあるのでしょうが、ちょっと寂しい感じ。やはり値段が高すぎるのでしょうか。会場は50代あたりがメインといった感じで、40代の私もかなり若い部類になっていました。これはまあ、予想通りなのですが。
さて、今回のボブ・ディランのライブ、ライブでは必ず行う事前の予習はほぼゼロ。というのも、ボブ・ディランはライブの毎にアレンジを大きく変え、歌詞すらも変えて、全く違う曲になってしまうとか。正直、熱烈なファンでもない私にとっては、予習をしても結局よくわからないだけじゃないか、と思い、事前に彼のアルバムなどを聴かずにライブに望みました。もちろん、最新アルバムについては発売当初にチェックはしているのですが。それなので今回、彼が歌った曲についてはほとんどわかりません!(苦笑)
ライブは19時ちょっと過ぎにスタート。会場が暗くなり、メンバーがステージ上にあがってきます。ただ、ステージ上にも照明はあまり当たっておらず、ちょっとくらい状況のステージ。最初は御大のご尊顔もほとんど見れないような状況。そんなボブ・ディラン本人はグランドピアノの後ろに陣取り、ライブはスタートです。
ただ、正直、最初の方はボブ・ディラン本人はボソボソと歌う感じで、あまり聴きとれない・・・。やはりさすがの彼も81歳になると、声も厳しいのかな、と思いながら聴いていたのですが、本人のテンションも徐々に上がってきたのか、途中からは徐々に声も出るようになり、その歌声もしっかり聴くことが出来ました。基本的には椅子に座り、ピアノを弾きながらのステージだったのですが、時には席から立ち上がり歌うようなシーン。81歳とは思えない若々しさも感じました。
選曲の方は、最初は「Watching the River Flow」「Most Likely You Go Your Way and I'll Go Mine」と昔のナンバーからスタートしつつ、その後はツアータイトルにもなっているアルバム「ROUGH AND ROWDY WAYS」からの曲が中心のセットリストに。全体的には落ち着いて聴かせる、ブルージーな雰囲気の漂う曲がメインとなっていました。最後の方ではグレイトフルデッドの「Brokedown Palace」のカバーも披露していました。
基本的に予習ゼロで臨んだので、曲名については正直ほとんどわかりません。しかし、それでも最後までそのパフォーマンスからは目を離せませんでした。特に印象的だったのがボブ・ディランの歌声。しゃがれ気味の独特の声色で、決して声量もあるわけでもないボーカルなのですが、なぜか、その渋みのあるボーカルに気が付いたら惹きつけられていました。決して派手ではないのですが、優しさを感じるボーカルで、今回のライブでも知らず知らずにその声に惹きつけられて、最後までステージを楽しむことが出来ました。
ボブ・ディランといえば、曲や歌詞にスポットがあたることが多いのですが、この声も非常に魅力的だなぁ、ということを今回のライブでは強く感じました。全2時間弱のステージだったのですが、そのため、最後まで飽きることなく、そのステージを満喫することが出来ました。
ライブでは時折「Thank you」という言葉を発するほかはMCはなし。ラスト前にバンド紹介だけ行い、アンコールなしで会場を去っていきました。でも、その歌声に惹かれつつ、あのレジェンドを目の前で見れた!という感情もあり、非常に満足度の高いステージだったと思います。意を決してチケットを確保してよかった!そして80歳を過ぎても現役感バリバリの彼にはあらためて驚かされました。これだけ元気ならば、これが最後の日本ライブツアー・・・にはならなさそうですね!とても気持ちよく、会場を後にしました。
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