U2の名曲が新たなアレンジで
Title:Songs Of Surrender
Musician:U2
おそらく現在、最も「大物」であり「スケール感」のあるロックバンドといえばU2の名前を挙げる人が多いのではないでしょうか。社会派的な活動が目立つのもご存じの通りで、最近では昨年5月に戦争状態にあるウクライナのキーウを電撃訪問。地下鉄の駅でライブを行ったことも記憶に新しいのではないでしょうか。
そんな彼らの新作となるのが今回リリースされた4枚組となる本作。かなりボリューミーなアルバムとなっている本作ですが、全40曲、全編、既発曲をアコースティックにリアレンジし、あらたに録音した作品となります。約6年ぶりのアルバムが、全曲既発表曲の新録というのはちょっと残念な印象もあるのですが、ボノへのインタビューではコロナ禍の中での空いた時間により、以前から温めていたアイディアを実現化させたそうで、そういう意味でも本作もコロナ禍における副産物と言えるのかもしれません。
今回のアルバムでは、耳なじみのある彼らの代表曲もアコースティックにアレンジされています。その結果、曲によって原曲を大きくアレンジを変えた曲もあれば、むしろ原曲をそのままアコースティックアレンジとしただけという曲もあり、その点は曲による差も感じました。特に大きく変わったのが彼らの代表曲「I Still Haven't Found What I'm Looking For」で、スケール感もって歌い上げる原曲とは異なり、アコギを爪弾きながら聴かせるブルージーなアレンジになっており、原曲とは異なる、素直なメロディーラインの良さを再認識できるアレンジに仕上がっています。
同じく彼らの代表曲である「Sunday Bloody Sunday」もアコギを爪弾きながらも、感情たっぷりに哀しげに聴かせる曲になっており、こちらも原曲の持つメランコリックなイメージをより強調したようなアレンジとなっており、原曲のもともともっていた魅力を強く感じさせる曲になっていました。
逆に「Vertigo」などはスケール感のある楽曲ながらもアコースティックアレンジに落とし込んだ際、そのスケール感を無理やり表現しようとしていた感もあり、かなり違和感を覚える作品に。「Beautiful Day」や「With Or Without You」は原曲の持つスケール感をアコースティックアレンジに上手く落とし込めた感はあるのですが、若干、アコースティックアレンジとする必然性を低く感じてしまいました。
そして今回のアルバムのひとつの目玉となるのが「Walk On」のリメイク「Walk On (Ukraine)」でしょう。タイトル通り、ウクライナへのメッセージソング。もともとロシアのウクライナへの侵攻の2ヶ月後の昨年4月に、Global Citizenが立ち上げた支援企画「Stand Up For Ukraine」に参加した際に発表された曲。タイトルも大幅に変更されており、まさに現在の世界情勢にマッチさせた曲になっています。
このように曲によってアコースティックアレンジにマッチした良リメイクもあれば、原曲とあまり変わらない、あるいは原曲の方がよかったので?というアレンジもあり、40曲というフルボリュームにするよりも、もうちょっと絞ってもよかったのでは?とも思う面もあります。ただ、それを差し引いても、全40曲2時間40分以上にも及ぶ本作は意外とダレることなく、一気に最後まで聴き切ることの出来る内容になっていました。それは何といってもU2の持つ曲の強度、メロディーラインの良さに起因しているのでしょう。やはりあらめて感じるのはU2の曲自体の良さ。特に最近の作品に関しては、無駄にスケール感に頼りがちでは?と思ってしまう部分も否定できないU2の曲ですが、やはりバンドとしてのスケール感を剥がしても、しっかり曲として魅力を持っているんだな、ということを実感しました。そういう意味でも非常に意義のあったリメイクアルバムと言えるのではないでしょうか。
あらためてU2の魅力と実力を実感できたアルバム。ただ、次は純粋なオリジナルアルバムを聴きたいかな。期待しつつ、新作を待っています!
評価:★★★★★
U2 過去の作品
No Line on the Horizon
Songs of Innocence
Songs Of Experience
The Virtual Road – U2 Go Home: Live From Slane Castle Ireland EP
Live At Red Rocks: Under A Blood Red Sky EP
The Virtual Road – PopMart Live From Mexico City EP
The Virtual Road – iNNOCENCE + eXPERIENCE Live In Paris EP
| 固定リンク
「アルバムレビュー(洋楽)2023年」カテゴリの記事
- マッドチェスタームーブメントの楽曲を網羅的に収録(2023.12.24)
- 全盛期oasisの充実ぶりを物語る名盤(2023.12.15)
- 荒々しさを感じる初期ライブ盤(2023.12.12)
- 新曲が加わり大幅にボリュームアップ!(2023.12.11)
- 本来の意味での・・・「エモい」アルバム(2023.12.03)


コメント