今回もいつものGorillaz
Title:Cracker Island
Musician:Gorillaz
ご存じ、blurのデーモン・アルバーンと、ヴィジュアル面を手掛けるジェイミー・ヒューレットの共同プロジェクトであり、ヴァーチャルバンドであるGorillaz。既に結成から25年を経過して、「バンド」としてすっかり定着した彼ら。今年はサマソニへのblurの出演が決定するなど、デーモンはblurとしての活動を再開させるようですが、Gorillazについても、いまだに積極的な活動を進めているようで、約3年ぶりにニューアルバムがリリースされました。売上的にも全英チャートで1位を獲得したほか、アメリカビルボードチャートでも3位を獲得するなど、ここに来て、まったく衰えを見せていません。「バンド」としてすっかり定着したといっていいでしょう。
基本的にそんなGorillazのニューアルバムは、方向性としてはいままでの彼らのアルバムと同じ。様々なミュージシャンとのコラボを行いつつ、デーモンの興味がある音楽をどんどんと繰り広げていくスタイルになっています。まず冒頭はいきなりタイトルチューン「Cracker Island」からスタート。こちらはここでも何度も取り上げているベーシストのThundarcatとのコラボ。軽快なエレクトロチューンとなっているのですが、楽曲の中に加えられたAOR的な要素がThundercatらしい感じ。彼がプレイするファンキーなベースサウンドも非常にカッコいい楽曲となっています。
続く「Oil」ではフリートウッド・マックのメンバーでもある女性シンガー、スティーヴィー・ニックスとコラボ。こちらはテンポよくメロディアスなエレクトロポップスに仕上がっていますし、Adeleye Omotayoとのコラボ「Silent Running」ではメランコリックに聴かせるナンバーに。こちらもニューウェーヴ風のエレクトロアレンジが印象的な楽曲となっています。
中盤「New Gold」ではTame Impalaとコラボ。こちらは音楽性をコラボ先に寄せたような、軽快なエレクトロダンスチューンに仕上がっていますし、Bad Bunnyとコラボした「Tormenta」も、こちらもコラボ先に寄せるような軽快なラテン風のポップチューンに。Bad Bunnyのメロウでリズミカルなラップも印象的な楽曲となっています。
そしてラストを締めくくる「Possession island」は、BECKとのコラボ。ピアノも入って実に美しいメロディーラインを聴かせてくれるドリーミーな楽曲。アコースティックな様相を保ちつつ、後半にホーンも入ってくるなど、何気に幾重にも重ねられたサウンドが印象的な作品に仕上がっています。
そんな様々なミュージシャンとコラボしつつ、そのコラボ先のミュージシャンの音楽性も取り込んで、自由度も高くバラエティーに富んだ本作。もちろん一方ではデーモン本人のメロディーセンスもしっかりと光っており、「Skinny Ape」のようなメロディアスでポップな作品も顔を覗かせますし、ポップなメロディーラインを聴かせてくれるからこそ、バラエティー富んだ作品に統一感もあり、また小難しさを感じることなく最後までポップなアルバムとして楽しめる作品になっていました。
全体的にはいつものGorillazのアルバムといった印象で、決して目新しさはある訳ではありません。ただ一方で、デーモンの実力がしっかり反映された作品になっており、リスナーとして十分な満足感を得られる傑作だったと思います。blurとしての活動もさることながらGorillazでもこれだけの傑作を聴かせてくれるとは、あらためて彼の実力を実感できた1枚でした。
評価:★★★★★
GORILLAZ 過去の作品
D-Sides
Plastic Beach
THE FALL
The Singles Collection 2001-2011
Humanz
The Now Now
Song Machine: Season One – Strange Timez
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