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2023年4月

2023年4月30日 (日)

デビュー25周年目の新作

Title:今の二人をお互いが見てる
Musician:aiko

今年、デビュー25周年を迎えたaikoのニューアルバム。デビュー当初から知っているミュージシャンなだけに、それからもう25年も経つのか・・・とある種、感慨深く思ってしまいます。本作は、そんな彼女の約2年ぶりのニューアルバムとなります。

ここ最近では、ベテランミュージシャンとしてすっかり安定感の増した感のあるのですが、今回のアルバムもまさにそんな安定感を覚えるような作品になっていました。まず1曲目「荒れた唇は恋を失くす」からして、まさにaikoらしい楽曲。イントロのホーンセッションとピアノをあわせたインストからして実にaikoらしく、ファンとしても待ってましたといった感じのあるオープニングではないでしょうか。

続く「ねがう夜」も複雑に展開するメロディーラインが実にaikoらしさを感じる楽曲に。aiko節とも言える、爽やかなポップチューンながらもどこかブルージーさを感じる節回しは本作でも健在。さらに「あかときリロード」も切なさを感じるミディアムチューンのナンバーが実に彼女らしい作品となっています。

前作「どうしたって伝えられないから」では、インパクトのある楽曲が少な目だった感があるのですが、今回のアルバムに関しては配信シングル含めて実に6曲のシングル曲が収録されており、インパクトという面については前作に比べてグッと増した感はあります。ただ一方で、良くも悪くも、aikoらしいといった楽曲が並ぶ作品になっていたように感じます。

その後もシンセのサウンドを入れつつ、切ないメロと歌詞が彼女らしい「食べた愛」、ちょっとジャジーな雰囲気を醸し出しつつ、ストリングスとホーンで聴かせる「果てしない二人」、ピアノのリズムでテンポよく聴かせつつ、切ないメロが印象的な「アップルパイ」など、彼女らしさを感じる楽曲が続きます。

一方、歌詞については前作ほどは印象に残らなかった感も・・・。もちろん、恋愛感情を絶妙に描いた歌詞は相変わらず見事。あえていえば「食べた愛」「アップルパイ」「ぶどうじゅーす」など、食べ物的なネタが多かったような・・・??歌詞に関しても、いい意味で安定感のあるaikoらしい作品が並んでいました。

今回の作品に関しては、メロディーラインについても歌詞についても彼女らしさを感じる曲が並ぶ、ベテランシンガーらしい安定感のある作品になっていたと思います。安定の傑作でした。

評価:★★★★★

aiko 過去の作品
秘密
BABY
まとめI
まとめII

時のシルエット
May Dream
湿った夏の始まり
aikoの詩。
どうしたって伝えられないから


ほかに聴いたアルバム

ジャジャーン/CHAI

CHAIの新作は5曲入りのEP盤。今回のアルバムも全体的にエレクトロ色の強いダウナーな作品になっており、そういう意味では前作「WINK」の延長線上の作品になっています。ただラストの「夢のはなし」はバンドサウンドを押し出した作品になっており、やはりあらためて聴くと、この手のバンドサウンドを押し出した作品の出来が圧倒的に良い・・・。エレクトロ方向の新たな挑戦も悪くはないとは思うのですが、やはりCHAIの持ち味はロックバンドとしてのバンドサウンドだと思うんだよなぁ・・・。

評価:★★★★

CHAI 過去の作品
PINK
わがまマニア
PUNK
WINK
WINK TOGETHER

護得久栄昇大全Ⅱ/護得久栄昇

沖縄で活動している漫才師「ハンサム」の金城博之による持ちネタのキャラクター。沖縄民謡の師匠をデフォルトしたキャラクターだそうで、2017年にアルバム「護得久栄昇大全」をリリース。「本人以外すべて本物」をキャッチコピーとした本格的な沖縄民謡のアルバムになっており、高い評価を受けました。その後は、あまりその名前を聞かなくなっていたのですが、沖縄ではローカルタレントとして高い人気を誇っているのでしょうか、約5年3か月ぶりのニューアルバムがリリース。さらにはメジャーデビューを果たしました。

ただ、沖縄民謡の本格的なアルバムだった前作と比べて今回のアルバムはネタ的な要素も強く、沖縄民謡とは離れたポップソングも目立ちます。その結果、一度聴く分にはコント部分も含めて楽しめる反面、正直、2度3度聴きたいと思うようなアルバムではなくなってしまったようにも思います・・・。メジャーデビューの結果、悪い意味で広い層を狙ったようなアルバムになってしまったような・・・。最後にシークレットトラックに収録されている本格的な沖縄民謡の作品が一番出来がよいというのは残念な感じでした。

評価:★★★

護得久栄昇 過去の作品
護得久栄昇大全

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2023年4月29日 (土)

シンプルで美しい歌を聴かせる傑作

Title:Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd
Musician:Lana Del Rey

2010年のデビュー以来、比較的積極的なアルバムリリースの続くLana Del Rey。特に前作「Blue Banisters」は前々作「Chemtrails over the Country Club」からわずか7か月というスパンでリリースし、ファンを驚かせました。今回のアルバムも、そんな前作から約1年半という間隔でリリースされた、彼女9枚目のアルバム。前々作と前作の間ほどの短さではないものの、比較的早いペースでのリリースとなっています。

そんな彼女のニューアルバムは、全体的にアコースティックサウンドをベースとしたシンプルな歌をしっかりと聴かせるアルバムになっています。いままでの彼女のアルバムといえば、古き良き時代のアメリカの音楽を取り入れた、レトロ感あふれるポップソング、というイメージがありました。今回のアルバムに関しても、確かにそういう部分はあります。タイトル曲の「Did you know that there's a tunnel under Ocean Blvd」は、まさにそんな古き良きアメリカを彷彿させるような楽曲ですし、また後半の「Margaret」なども、そんなノスタルジックな雰囲気あふれる哀愁感たっぷりの楽曲になっています。

ただ今回のアルバムに関しては、そんなレトロというイメージ以上に純粋に「歌」で勝負する、そんなアルバムになっていたようにも思います。今回のアルバム、「The Grants」は最初、アカペラからのスタートとなるのですが、まさにこのオープニングこそ、「歌」で勝負しようとする彼女の決意のあらわれのようにも感じました。

そんな今回のアルバムのひとつのハイライトは、2曲のインターリュードに囲まれた「Candy Necklace」で、Jon Batisteをフューチャーしたこの曲は、ピアノと静かなストリングスのみで構成されたシンプルなアレンジの曲なのですが、感情たっぷりに歌いあげる彼女のボーカルとそしてメロディーラインが非常に美しい作品になっています。

この曲をスタートとして、シンプルなピアノアレンジの曲が並びます。インターリュードを挟んで次に聴かせる「Kintsugi」は(これ、日本語の金継ぎからきているんでしょうか?)こちらもピアノとアコギのみで聴かせるバラードナンバーなのですが、息継ぎまで聴こえるような彼女のボーカルが実に美しいポップアルバムに仕上がっています。またクラシカルなピアノをバックに伸びやかなボーカルを聴かせる「Paris,Texas」も狂おしいほど美しいポップチューン。続く「Grandfather please stand on the shoulders of my father while he's deep-sea fishing」も、こちらはストリングスとピアノに加えてノイジーなギターサウンドで味付けされているのですが、ファルセット気味の彼女の歌声の美しさに酔いしれるのは間違いなしの作品となっています。

さらにFather John Mistyをフューチャーした「Let The Light In」もアコギとピアノのシンプルなサウンドをバックに、優しく歌い上げる彼女と、Father John Mistyのボーカルが印象的なメロディアスでポップなナンバー。こちらは特に温かみのあるメロディーラインの良さが光る楽曲になっています。

このように、全体的にはシンプルなサウンドで歌を聴かせる曲が多く、楽曲のバリエーションも前作と比べると少なめ。そういう意味では統一感もある作品に仕上がっていました。もちろん、サウンドの面でもバリエーションを利かせた曲もあり、代表的なのは、序盤のハイライトのひとつ「A&W」。最初はピアノとアコギでシンプルに聴かせるナンバーですが、後半はトラップ的なエレクトロサウンドにラップも加わり、ダークに展開。最後はヘヴィーなノイズも登場するという、全体的に静かなアルバムの中では異色のナンバーになっており、なおかつ大きなインパクトにもなっています。

またラスト前の「Peppers」はラッパーのTommy Genesisを迎え、こちらもHIP HOPの要素を取り入れた作品に。ラストを締めくくる「Taco Truck x VB」もヘヴィーなエレクトロサウンドが登場するなど、締めくくりはどこかダウナーで不気味な雰囲気を残しつつ締めくくります。ある意味、この締めくくりもなかなか耳に残る展開になっており、ユニークさを感じました。

そんなユニークな展開を入れつつも、全体的には彼女の曲やボーカルの美しさ、優しさを強く感じるアルバムに仕上がっていました。ある意味、これだけシンプルな曲でここまで聴かせることが出来る点、彼女の実力のすごさを感じます。今年を代表する傑作に仕上がっている点は間違いないでしょう。その歌声に魅了されたアルバムでした。

評価:★★★★★

Lana Del Rey 過去の作品
Born To Die
Ultraviolence
Norman Fucking Rockwell!
Chemtrails Over The Country Club
Blue Banisters

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2023年4月28日 (金)

ボブ・ディラン入門

先日、ボブ・ディランのライブレポートを載せました。その中で、ライブに先立っての予習はしてきませんでした、と書いたのですが、厳密に言うと、事前にちょっとだけボブ・ディランの予習はしてきました。それが今回紹介する音楽関連の書籍。2月に発売された、音楽評論家、北中正和によるボブ・ディランの評伝、タイトルそのまま「ボブ・ディラン」です。

北中氏は、以前、同じく新潮新書で「ビートルズ」というタイトルそのままの評伝本を執筆していますので、基本的にはそれに続く形での新刊。ボブ・ディランの来日公演が発表された直後、今年の2月に発売されています。おそらく、来日公演を前提に、事前に準備してあり、来日公演の発表に合わせて発売されたのでしょう。

音楽系の出版社ではなく、新潮社の、それも手軽に手に取れる新書本での販売ということもあって、ターゲットは基本的に熱心な音楽ファンではなく、もうちょっとライトなリスナー層でしょうか。トータル3万円近い金額を払って、来日公演に足を運ぶような熱心なファンをターゲットにしているのかは微妙なのですが・・・もうちょっとライトなリスナー層にボブ・ディランのことを知ってもらい、あわよくば来日公演にも足を運んでもらおう、という魂胆でしょうか。

そういうこともあって、内容自体は非常にシンプルで、ボブ・ディランの入門書的な内容になっていました。最初は彼の簡単な活動歴の紹介からスタート。フォークシンガーからスタートし、ロックへの転身。さらにバイク事故からの隠遁生活、そしてその後の活動からノーベル賞へという流れが簡単に紹介されています。

その後はディランの曲と政治との関わりや、ブルースやフォークソングからの影響、さらにフランク・シナトラとの接点から彼の音楽が様々なジャンルからの影響を受けている点を映し出しています。特にこのボブ・ディランの曲が様々な音楽、文化から影響を受けて成立しているという点は本書の中でもかなりの分量を裂いており、最後の第8章では「ボブ・ディランは剽窃者なのか?」と題して、彼の書く歌詞は、様々な文学作品などを踏まえた作品であること紹介しています。

本書はあくまでも初心者向けの入門書的な役割を果たしているため、特に著者による斬新な解釈はありませんし、目新しいことはほとんどありません。むしろボブ・ディランを聴くには最低限、知らなくてはいけないことをあらためて1冊にまとめた、という印象の強く作品になっています。

全体的なテーマはボブ・ディランがいかに様々な文化の影響を受けたか、ということに焦点を当てているため、一方ではボブ・ディランの生い立ちなどについてはほとんど記載はありません。また、彼のディスコグラフィーなどもなく、その点は初心者向けとしては不親切だったかもしれません。実際、この本を読んだ後、最初の1枚として何を聴けばよいのか、迷う人も出てくるかもしれません。その点は、ディスコグラフィーや彼の活動をまとめた年表的なものがあれば、より初心者にもわかりやすくなったのではないでしょうか。

そういう気になった点はありつつも、概ね、ボブ・ディランについて非常によく集約されている1冊となっており、内容の読みやすさもあり、入門書としては最適な1冊だったのではないでしょうか。ボブ・ディランはどんなミュージシャンなのか知りたいような方には、まず手に取って損のない評伝でした。

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2023年4月27日 (木)

こちらは今週も新譜がズラリ

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

Hot Albumsは先週に続き、今週も新譜がズラリと並ぶチャートとなっています。

まず1位はジャニーズ系男性アイドルグループKing&Prince「Mr.5」がランクインです。5月22日でメンバーのうち3人の脱退が決まっている彼ら。本作は初となるベストアルバムとなります。CD販売数1位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上120万4千枚で1位初登場。直近のオリジナルアルバム「Made in」の初動48万6千枚(1位)からアップしています。

2位にはAgust D「D-DAY」がランクイン。韓国の男性アイドルグループBTSのメンバー、SUGAのソロ作。配信限定のミックステープのリリースはありましたが、CDリリースとなるオリジナルアルバムは本作が初。CD販売数2位、ダウンロード数1位。オリコンでは初動売上11万4千枚で2位初登場しています。

3位には大阪を拠点に活動するAKB系の女性アイドルグループNMB48「NMB13」がランク圏外から大きくアップし、4週ぶりにベスト10返り咲き。おそらく、通販限定のバージョンの売上が加算された影響と思われます。しかし、この商法、いつまで続ける気でしょうか・・・。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位に浜田麻里「Soar」がランクイン。CD販売数及びダウンロード数共に4位。オリコンでは初動売上1万3千枚で4位初登場。直近作はベスト盤「Light For The Ages - 35th Anniversary Best ~Fan's Selection -」で、同作の7千枚(4位)からはアップ。オリジナルアルバムとしては前作の「Gracia」(6位)からもアップしています。前作「Gracia」で約20年ぶりのオリコンでのベスト10ヒットを記録した彼女。世代的にストリーミングではなくCDを買って聴く、というファンが多いから、という側面もあるのでしょうが、ここに来て人気が再燃している感のある売上となりました。

5位は女性アイドルグループナナランド「七色の絵の具で」がランクイン。CD販売数5位。オリコンでは初動売上9千枚で5位初登場。新曲5曲+そのインストバージョン5曲という構成で、実質的にはシングルながらも、シングルではビルボード上、ヒットチャートに食い込めないのでアルバム扱いで売り出した・・・というここ最近、よくある「戦略」というところでしょうか。

6位にはFictionJunction「PARADE」が初登場。数多くのアニメソングを手掛け、最近では「鬼滅の刃」のテーマ曲として大ヒットを記録した「炎」の作詞作曲プロデュースも手掛けた音楽家、梶浦由記のソロプロジェクト。FictionJunction名義のオリジナルアルバムとしては2014年にリリースした「elemental」以来、実に約8年3ヶ月ぶりの新譜となりました。CD販売数6位、ダウンロード数11位。オリコンでは初動売上7千枚で7位初登場。直近作は梶浦由記名義のライブ盤「Yuki Kajiura LIVE vol.#15 “Soundtrack Special at the Amphitheater”」で、同作の初動売上1千枚(22位)からアップ。FictionJunction名義の前作「elemental」の初動6千枚(12位)からも若干ながらアップしています。

8位初登場は渡辺曜(斉藤朱夏)「LoveLive! Sunshine!! Third Solo Concert Album ~THE STORY OF "OVER THE RAINBOW"~ starring Watanabe You」。アニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ!サンシャイン!!」で誕生した架空のアイドルグループ、Aqoursのメンバーによるソロアルバム。オリコンでは発売日の関係で先週のランキングで初動売上2千枚で14位に初登場。今週は3千枚を売り上げて、12位にランクアップしています。同じく渡辺曜(斉藤朱夏)名義の作品の前作「LoveLive! Sunshine!! Second Solo Concert Album ~THE STORY OF FEATHER~ starring Watanabe You」は初動5千枚(7位)でしたので、今回の作品の2週の合計枚数と比較すると、ほぼ横バイという結果になっています。

9位には女性声優田村ゆかり「かくれんぼ。」がランクイン。CD販売数8位。オリコンでは初動売上5千枚で9位初登場。前作「あいことば。」の6千枚(10位)から微減。

また今週、ベスト10返り咲きがあと1枚。女性アイドルグループExWHYZ「xANADU」がCDリリースに合わせて先週の55位からランクアップし、3週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。今週はオリコンチャートにもランクインし、初動売上6千枚で8位にランクイン。前作「xYZ hYPER EDITION」(7位)から横バイ。

今週のHot Albumsは以上。チャート評は来週の水曜日に!

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2023年4月26日 (水)

ロングヒットになる曲は、どれ?

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

先週は珍しく新譜ラッシュとなったHot100。今週は先週初登場した動向で、今後のヒットが占えそうなチャートとなりました。

Yoasobiidle

まず1位はYOASOBI「アイドル」が獲得。ストリーミング数及びYouTube再生回数は先週に続く1位。ダウンロード数も2位から1位にランクアップ。こちらはかなりロングヒットになる可能性が高そうです。

そしてこちらも今後の動向に注目したいのがスピッツ「美しい鰭」。先週からワンランクダウンながらも3位を獲得。ストリーミング数が7位から2位にアップ。CD販売数は4位から20位、ダウンロード数は3位から6位、YouTube再生回数も13位から17位とダウンしているものの、ストリーミング数の好調さから、ロングヒットの兆しがあります。映画版名探偵コナン主題歌というタイアップの良さも影響しそうです。

さらにこちらもロングヒットになりそうなのがMAN WITH A MISSION×milet「絆ノ奇跡」で、先週から同順位の4位をキープ。ダウンロード数はワンランクダウンながらも2位をキープ。ストリーミング数も20位から6位、YouTube再生回数も今週4位に初登場しています。「鬼滅の刃」のアニメテーマ曲という絶好のタイアップからすると、こちらはロングヒットが堅そう。来週以降のベスト3入りも期待されます。

一方、SixTONES、BEYOOOOONDS、≠MEというアイドル勢は予想通りベスト10落ち。ちょっと残念なのが新しい学校のリーダーズ「オトナブルー」も13位にダウン。YouTube再生回数は3位と高順位ながらも、ダウンロード数15位、ストリーミング数は34位に留まっており、ダンス先行のグループなだけに、ロングヒットはちょっと厳しそうです。

さて一方今週の初登場曲はまず2位に日向坂46「One choice」がランクイン。秋元康系の女性アイドルグループ。CD販売数1位ながらもダウンロード数27位、ストリーミング数98位、ラジオオンエア数32位に留まり、総合順位はこの位置に。オリコン週間シングルランキングでは初動売上47万3千枚で1位初登場。前作「月と星が踊るMidnight」の初動42万8千枚(1位)よりアップしています。

5位にはFANTASTICS from EXILE TRIBE「PANORAMA JET」が初登場。LDH JAPAN所属の男性ダンスグループ。CD販売数及びラジオオンエア数2位。オリコンでは初動売上11万9千枚で2位初登場。前作「Choo Choo TRAIN」の初動1万5千枚(6位)より大幅増となっています。

10位には韓国の女性アイドルグループIVE「I AM」が先週の17位からランクアップし、2週目にしてベスト10入り。ダウンロード数44位、ストリーミング数8位、YouTube再生回数9位。先週のHot Albumsでランクインしたアルバム「I'VE IVE」のタイトル曲となります。

また、先週の新譜ラッシュによりベスト10からはじき出された曲も今週、ベスト10に返り咲いています。まず10-FEET「第ゼロ感」が先週の13位から8位にアップし、2週ぶりにベスト10入り。これで通算19週目のベスト10ヒットに。ただし、ダウンロード数は12位から10位、YouTube再生回数も24位から22位にあがっていますが、ストリーミング数は9位から11位にダウンしています。

優里「ビリミリオン」も11位から9位にアップし、2週ぶりのベスト10返り咲き。ただし、こちらもストリーミング数は5位から7位、YouTube再生回数は19位から21位、ダウンロード数は60位から84位と全体的には下落傾向となっています。

一方、ロングヒット曲はまずOfficial髭男dism「Subtitle」は7位から6位にアップ。これで28週連続のベスト10ヒットに。ただし、先々週まで25週連続1位を続けていたストリーミング数は2位から3位にさらにダウン。YouTube再生回数こそ12位から11位にアップしましたが、ダウンロード数は14位から24位に大きくダウンしており、全体的な下落傾向が続いています。

Vaundy「怪獣の花唄」も8位から7位にアップ。こちらも16週連続のベスト10ヒットとなっています。カラオケ歌唱回数は8週連続の1位をキープ。ただし、ストリーミング数は3位から4位、ダウンロード数も19位から26位、YouTube再生回数も18位から20位にダウンしています。

そんな訳で、新譜ラッシュの翌週ですが、以前のロングヒット曲の盛り返しは限定的で、新たなロングヒット曲誕生を予感させる結果となっています。特にYOASOBI、スピッツ、MWAM×miletの3曲が今後、どこまでヒットを伸ばせるか、来週の動向も要注目です。明日はHot Albums!

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2023年4月25日 (火)

とても優しさを感じる歌声でした

Bob Dylan "ROUGH AND ROWDY WAYS" WORLD WIDE TOUR 2021-2024

会場 愛知県芸術劇場 日時 2023年4月18日(火)19:00~

ボブ・ディラン待望の来日ツアー!2016年にノーベル文学賞を受賞後、フジロックへの来日公演はあったものの、ライブツアーとしては2016年以来となるライブツアーに参加してきました。1990年代以降、比較的コンスタントに来日している彼ですが、既に御年81歳。2020年に今回のツアータイトルとなっているアルバム「ROUGH AND ROWDY WAYS」をリリースするなど、現役感バリバリの活動を続けているとはいえ、はるか東洋の彼方、日本まで、あと何回来日してくれるか・・・年齢から考えても、これが最後になっても何ら不思議でもありません。レジェンドクラスのライブが見れる機会があるのならば、できるだけ見ておきたい!!ということもあって、今回、意を決してボブ・ディランのライブに足を運んできました。

「意を決して」なんていう書き方をするのは、当初、足を延ばそうかかなり迷ったため。というのは大きな要因となるのがチケット代。なんとS席で26,000円(!)という高額のチケット代。確かに、外タレのライブは1万超えは当たり前…とはいえ、2万円台後半というのはかなりの高額。今の日本が「安く」なってしまったからなのかなぁ・・・なんて思いつつ迷っていたのですが、この機を逃すと、二度と見れないかもしれまい・・・と思い、まさに意を決してチケットを確保しました。

そして当日、会場へ向かうと、いきなり入口で携帯の電気を切る旨のアナウンスが。さらに電源を切った携帯を、スタッフからわたされた、鍵付きのポシェットみたいなものに入れられて、会場内では一切、携帯を触れない状況になっていました。かなりの物々しさにビックリ。外タレって、携帯には比較的寛容で、ライブ会場でも写真撮り放題というミュージシャンも多いだけに、逆に日本のミュージシャンよりも厳しいスタンスにはビックリしました。会場には開演10分くらい前に入ったのですが、普段ならスマホで時間つぶし出来るところを、開演まで手持無沙汰に。でも、スマホが普及する前のライブって、こういう風だったなぁ。

会場を見渡すと、2階席以上は空いており、1階席も後ろの方はちょっと寂しい状況。平日だから、ということもあるのでしょうが、ちょっと寂しい感じ。やはり値段が高すぎるのでしょうか。会場は50代あたりがメインといった感じで、40代の私もかなり若い部類になっていました。これはまあ、予想通りなのですが。

さて、今回のボブ・ディランのライブ、ライブでは必ず行う事前の予習はほぼゼロ。というのも、ボブ・ディランはライブの毎にアレンジを大きく変え、歌詞すらも変えて、全く違う曲になってしまうとか。正直、熱烈なファンでもない私にとっては、予習をしても結局よくわからないだけじゃないか、と思い、事前に彼のアルバムなどを聴かずにライブに望みました。もちろん、最新アルバムについては発売当初にチェックはしているのですが。それなので今回、彼が歌った曲についてはほとんどわかりません!(苦笑)

ライブは19時ちょっと過ぎにスタート。会場が暗くなり、メンバーがステージ上にあがってきます。ただ、ステージ上にも照明はあまり当たっておらず、ちょっとくらい状況のステージ。最初は御大のご尊顔もほとんど見れないような状況。そんなボブ・ディラン本人はグランドピアノの後ろに陣取り、ライブはスタートです。

ただ、正直、最初の方はボブ・ディラン本人はボソボソと歌う感じで、あまり聴きとれない・・・。やはりさすがの彼も81歳になると、声も厳しいのかな、と思いながら聴いていたのですが、本人のテンションも徐々に上がってきたのか、途中からは徐々に声も出るようになり、その歌声もしっかり聴くことが出来ました。基本的には椅子に座り、ピアノを弾きながらのステージだったのですが、時には席から立ち上がり歌うようなシーン。81歳とは思えない若々しさも感じました。

選曲の方は、最初は「Watching the River Flow」「Most Likely You Go Your Way and I'll Go Mine」と昔のナンバーからスタートしつつ、その後はツアータイトルにもなっているアルバム「ROUGH AND ROWDY WAYS」からの曲が中心のセットリストに。全体的には落ち着いて聴かせる、ブルージーな雰囲気の漂う曲がメインとなっていました。最後の方ではグレイトフルデッドの「Brokedown Palace」のカバーも披露していました。

基本的に予習ゼロで臨んだので、曲名については正直ほとんどわかりません。しかし、それでも最後までそのパフォーマンスからは目を離せませんでした。特に印象的だったのがボブ・ディランの歌声。しゃがれ気味の独特の声色で、決して声量もあるわけでもないボーカルなのですが、なぜか、その渋みのあるボーカルに気が付いたら惹きつけられていました。決して派手ではないのですが、優しさを感じるボーカルで、今回のライブでも知らず知らずにその声に惹きつけられて、最後までステージを楽しむことが出来ました。

ボブ・ディランといえば、曲や歌詞にスポットがあたることが多いのですが、この声も非常に魅力的だなぁ、ということを今回のライブでは強く感じました。全2時間弱のステージだったのですが、そのため、最後まで飽きることなく、そのステージを満喫することが出来ました。

ライブでは時折「Thank you」という言葉を発するほかはMCはなし。ラスト前にバンド紹介だけ行い、アンコールなしで会場を去っていきました。でも、その歌声に惹かれつつ、あのレジェンドを目の前で見れた!という感情もあり、非常に満足度の高いステージだったと思います。意を決してチケットを確保してよかった!そして80歳を過ぎても現役感バリバリの彼にはあらためて驚かされました。これだけ元気ならば、これが最後の日本ライブツアー・・・にはならなさそうですね!とても気持ちよく、会場を後にしました。

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2023年4月24日 (月)

アコースティックスタイルでのカネコアヤノ

Title:タオルケットは穏やかな ひとりでに
Musician:カネコアヤノ

今、もっとも注目を集めている女性シンガーソングライターのひとり、カネコアヤノ。ここ数作、年間ベストクラスの傑作をコンスタントにリリースし続けていますが、最近のアルバムでは、オリジナルアルバムリリースに続き、アルバムタイトルに「ひとりでに」と付けたアコースティックバージョンをリリースするのが通例となっています。今回紹介するのもそんなアルバムの1枚で、1月にリリースしたオリジナルアルバム「タオルケットは穏やかな」のアコースティックアレンジバージョンとなります。

もともとオリジナルアルバムの方でも、バンドサウンドに負けない力強いボーカルが印象的で、歌もしっかりとアルバムの前面に押し出している彼女ですが、それでもアコースティックアレンジのアルバムをリリースしてくるあたり、「裸」の状態になった歌だけの魅力もしっかりと伝えたいという彼女の主張のあらわれでしょう。逆に言えば、オリジナルアルバムではそれだけサウンドの部分も注目してほしい、と主張しているとも言えるのかもしれません。

実際、アコースティックアレンジとなっても、全く原曲の魅力は衰えていません。ともすれば原曲で持っていたイメージから大きく乖離したような曲もありません。それだけ彼女の曲は、原曲の段階で歌を伝えることが出来ていたと言えるかもしれませんし、オリジナルではサウンドが非常に大きな要素を占めていたように感じた曲でも、実は歌も大きな力を持っていたんだな、ということを再認識しました。

特に今回のアルバムで印象的だったのがアルバムラストを飾る「もしも」で、ゆらゆら帝国あたりを彷彿とさせるシンプルなサウンドが耳に残るナンバーなのですが、この曲をアコギで静かに聴かせる「ひとりでに」のバージョンも全く違和感なく聴けたのが意外に感じました。

評価:★★★★★

Title:よすが ひとりでに
Musician:カネコアヤノ

で、2021年にリリースしたアルバム「よすが」も「ひとりでに」バージョンがあったのですが、いままで聴き逃してきたため、今回あらためてチェックしました。

基本的な感想は「タオルケットは穏やかな ひとりでに」と同じなのですが、こちらでは、アコースティックアレンジにしてより印象の変わった曲もありました。ひとつは「手紙」。原曲ではサイケなアレンジでちょっと明るさも感じるのですが、アコースティックアレンジでは静かなアレンジで、曲の持つメランコリックさがより際立っていたように感じます。

「閃きは彼方」も印象的で、もともと原曲からしてカントリー風のアレンジでアコースティックテイストの作風。こちらもアコースティックアレンジになると、軽快で明るさを感じた原曲から一転、歌をしんみり聴かせるメランコリックな雰囲気の作品に変わっていました。

「よすが」の場合、本編ラストの「追憶」はもともとアコースティックなアレンジでしたので「ひとりでに」では未収録。ただ「タオルケットは穏やかな ひとりでに」と同様、こちらのアルバムもアコースティックアレンジにすることでカネコアヤノの歌の魅力がより強調される作品になっていました。

ある意味、一々オリジナルアルバムのアコースティックアレンジをリリースするあたり、労力がかかりますし、そこまでして「歌」を伝えたい、というのはカネコアヤノのミュージシャンとしての自己顕示欲の強さも感じます。ただ一方、時としてサウンドに隠れてしまいそうになる歌の魅力もしっかりと伝えたいという彼女の主張は、「ひとりでに」を聴くとよくわかるようにも思います。オリジナルアルバムとセットでチェックしておきたいアルバムなのは間違いないでしょう。

評価:★★★★★

カネコアヤノ 過去の作品
燦々
燦々 ひとりでに
よすが
タオルケットは穏やかな
カネコアヤノ 単独演奏会 2022 秋 - 9.26 関内ホール


ほかに聴いたアルバム

JUNK or GEM/東京スカパラダイスオーケストラ

スカパラの6曲入りのミニアルバム。「Free Free Free」ではゲストボーカルの幾田りらがトランペット、「紋白蝶」ではSaucy Dogの石原慎也がチューバ、「青い春のエチュード」では緑黄色社会の長屋晴子がトロンボーンで参加というユニークな試みがされています。ただ一方でゲストボーカル3人が参加しているため、全体的にはスカパラのポップな側面がより目立つ作品に。また、爽やかなホーンセッションで明るく聴かせるナンバーがメインとなっており、スカパラらしさも感じられるミニアルバムとなっていました。

評価:★★★★

東京スカパラダイスオーケストラ 過去の作品
Perfect Future
PARADISE BLUE
WILD SKA SYMPHONY
Goldfingers
HEROES
Sunny Side of the Street
on the remix
Walkin'
欲望
Diamond In Your Heart
SKA ME FOREVER
The Last
TOKYO SKA Plays Disney
The Last~Live~
TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA~Selecao Brasileira~
Paradise Has NO BORDER
GLORIOUS
2018 Tour「SKANKING JAPAN」"スカフェス in 城ホール" 2018.12.24
TOKYO SKA TREASURES ~ベスト・オブ・東京スカパラダイスオーケストラ~
SKA=ALMIGHTY
S.O.S. [Share One Sorrow]

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2023年4月23日 (日)

理屈抜きのカッコよさ!

Title:ブラックレザー爆弾 LIVE AT WWWX
Musician:ギターウルフ

2022年3月11日に渋谷のWWWXで行われたギターウルフのライブを収録したライブアルバム。長らくバンドのドラムを担当していたドラムウルフことトオルが2021年12月に脱退を発表。ラストライブとなったこの日の模様を収録したライブアルバムとなっています。

まず今回のアルバム、ヘッドフォンから音が流れてきてすぐに感じたのは、まず何も言うことなく「カッコいい!!」ということでした。理屈抜き。ヘッドフォンから流れる大音量のバンドサウンドに文句なしに魅せられたアルバムになっていました。で、考えたことは一体何に、これだけのカッコよさを感じるのだろう?という点でした。

結成は1987年というから、もう結成後35年という歳月が経過したベテランバンド。CDデビューは1993年ですから、そこからも30年近い月日が経過しています。日本でのメジャーデビューを経て、日本での人気も高まり、おそらく私が彼らのアルバムをはじめて聴いたのは1999年の「ジェットジェネレーション」からだと思います。

そしてそこからも20年以上という月日を経過していますが、はっきりいえば、1999年の時点に彼らが奏でていた音とこのライブアルバムで奏でている音にほとんど違いがありません。あきらかに音がいいとは言い難いギターノイズを前面に出しつつ、テクニックよりもパッションを重視した疾走感あるバンドサウンド。間違いなく大いなるマンネリといった感じの音であるにも関わらず、このライブアルバムの音は、今でもむしろバンドとしての初期衝動すら感じられる緊張感があります。

あえて無理やりにこのライブアルバムで感じるギターウルフの魅力について言えば、迫力あるバンドサウンドにノイズ、そしてそんなサウンドに隠されたメロディーラインは意外とポップスさを感じる点ということも言えるかもしれません。またシンプルながらもどこかユーモアさを感じさせる(ある意味、勢いだけ重視した)歌詞も大きな魅力と言えるかもしれません。

ただ何より今回のライブアルバムで感じるのはメンバー3人のパフォーマンスが息の合ったものであり、バンドとしてのグルーヴ感を見事生み出している点が大きな魅力だったのではないでしょうか。特に彼らについては、2017年から2018年にかけてベーシストが相次いで脱退するなど、バンドとして不安定な時期が続いていました。しかし、そんな中リリースされた直近のオリジナルアルバム「LOVE&JETT」は、大いなるマンネリな内容でありながらも、ここ数作の彼らのアルバムの中ではもっとも魅力的で出来のいい傑作アルバムになっていました。

メンバーはセイジ、2018年から加入した新ベーシストGOTZ、そして今回脱退するドラムのトオルによるアルバムだったのですが、おそらくこの3人の相性がバッチリだったのではないでしょうか。今回のライブアルバムが文句なしにカッコよさを感じたのは、そんな3人の相性の良さがこのアルバムにも反映されていたから・・・そう強く感じました。

それだけにこの息の合った3人のパフォーマンスが、これで最後というのはあまりにも残念すぎます。ちょっとここ最近の相次ぐメンバーチェンジは気になってはいるのですが、残ったメンバーのあらたなパフォーマンスにも期待しつつ・・・。あらためてギターウルフのカッコよさを実感したアルバムでした。

評価:★★★★★

ギターウルフ 過去の作品
宇宙戦艦ラヴ
野獣バイブレーター
チラノザウスル四畳半
LOVE&JETT


ほかに聴いたアルバム

優游涵泳回遊録/フレデリック

フレデリックの5枚目となるミニアルバム。非常に難解な感じが並びますが、これで「ゆうゆうかんえいかいゆうろく」と読むそうです。いつものフレデリックらしいギターとシンセでリズミカルな楽曲が並ぶ点はおなじ。似たような曲というマイナスポイントはぬぐえませんが、今回のアルバムはそれ以上にダンサナブルで楽しい楽曲が並び、非常に楽しめる作品になっていました。フレデリックのアルバムの中では快心の1作かも。

評価:★★★★★

フレデリック 過去の作品
フレデリズム
TOGENKYO
フレデリズム2
ASOVIVA
ANSWER(フレデリック×須田景凪)
フレデリズム3

wheel of life/マカロニえんぴつ

ドラマ主題歌に起用された「リンジュー・ラヴ」を含む5曲入りのEP盤。同曲は、分厚いバンドサウンドを聴かせる、彼らにしてはロックなナンバーになっているのですが、その他の曲も力強いギターサウンドを聴かせる楽曲が並んでおり、ポップバンドである彼らにしてはちょっと珍しい、マカロニえんぴつとしてはロックな側面を押し出したアルバムになっています。ポップバンドだけではない彼らの側面を感じさせる作品でした。

評価:★★★★

マカロニえんぴつ 過去の作品
season
hope
愛を知らずに魔法は使えない
ハッピーエンドへの期待は

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2023年4月22日 (土)

レジェンドによるデビュー40周年記念作

Title:On The Street Again -Tribute & Origin-
Musician:The Street Sliders&Various

1983年にメジャーデビュー後、そのロックンロールのスタイルで数多くのミュージシャンたちに影響を与えたThe Street Sliders。惜しまれつつ2000年には解散した彼らですが、今年はデビュー40周年ということで数多くの企画が予定されており、5月3日には、日本武道館での再結成ライブも予定されています。そんな中、リリースされたのが本作。2枚組のアルバムのうち1枚はTributeとして、彼らの影響を受けた数多くのミュージシャンたちがスライダーズの代表曲をカバー。そしてもう1枚はOriginとして、彼らの代表曲をリマスタリングして収録したベストアルバムとなっています。

このトリビュートアルバムの方が非常に豪華で、The Birthdayにクロマニヨンズ、仲井戸麗市、渡辺美里、斉藤和義、エレカシといった大物からGEZAN、T字路sのような、知る人ぞ知る的な実力派バンドまでズラリと並んでおり、スライダーズが数多くのミュージシャンたちによくわかります。

どのミュージシャンたちも実力の持ち主なだけに、それぞれ楽曲を自分のスタイルで解釈しつつ、一方でスライダーズへの愛情もしっかりと感じさせるカバーになっていました。The Birthdayの「Let's go down the street」はチバのしゃがれ声が楽曲の雰囲気にピッタリマッチ。クロマニヨンズの「Boys Jump The Midnight」も彼ららしいパンキッシュにまとめつつ、楽曲をカバーできる喜びを感じさせる若々しいカバーになっています。

斉藤和義の「ありったけのコイン」も彼らしいブルージーなギターの弾き語りによるカバーになっており、エレカシの「のら犬にさえなれない」もまた、エレカシらしい力強いバンドサウンドを聴かせつつ、メランコリックさを前に押し出した点もエレカシらしさを感じます。

そんな中、個人的に耳を惹いたのは渡辺美里の「Special Women」。正直、最近の彼女のボーカルは、声量にまかせて声を張り上げただけ、といった印象があったのですが、ごめんなさい!長年のファンでありながら彼女のボーカリストとしての実力を甘く見ていました!!これでもかというほどパワフルなボーカルながらも、しっかりとリズムに乗ってロッキンに聴かせるカバーになっており、文句なしにカッコいい!最近、「大人」路線にシフトしたような彼女ですが、久しぶりにロックな渡辺美里を感じるカバーになっていました。

一方、2枚目のオリジナル盤。私自身は、スライダーズについてはリアルタイムではほとんど聴いておらず、2003年にリリースした「THE LEGEND」を聴いていたくらいの知識でした。そんな私が今回、久々に彼らの曲を聴いたのですが、こちらも文句なしにカッコいい!すっかりスライダーズのサウンドに魅了されてしまいました。

彼らの曲の大きな魅力は、やはりなんといってもそのバンドサウンドでしょう。サウンドは比較的音数を絞ってスカスカ。にも拘わらず、非常に力強いグルーヴ感を覚えます。ここらへん、明確にストーンズからの影響を感じさせるのですが、本家ストーンズと同様、グルーヴを生み出す独特のタイム感が素晴らしいの一言でしょう。そこに乗るHARRYのボーカルも非常にカッコよく、サウンドにもマッチ。こういうグルーヴを出せる日本のロックバンドは、今の時点でも稀有ではないでしょうか。

また「Baby、途方に暮れてるのさ」ではレゲエのリズムを取り入れていたり、「愛の痛手が一晩中」ではフォーキーに聴かせてくれていたりと、様々な音楽への挑戦も魅力的。さらにこれらの曲がロックのナンバーの中に入っていても全く違和感ない点、これらの曲でもしっかりとスライダーズらしさが楽曲を流れているからでしょう。

これだけ本格的なロックンロールを演りつつ、日本武道館を十分埋めれるだけの人気をしっかり確保していた点、日本の音楽シーンも捨てたもんじゃないな・・・とも思ってしまいます。彼らの曲の魅力は、今聴いても全く衰えることはありません。むしろ時代を経て、あらためて彼らの唯一無二のバンドサウンドに魅了されるロックリスナーも多いのではないでしょうか。今回のベストアルバムでは、そんな彼らの魅力を存分に味わうことが出来ました。5月3日のライブは残念ながらさすがに行けないのですが、ライブもカッコいいだろうなぁ・・・。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Sunshine/藤巻亮太

ソロデビュー10周年の節目に、約5年4か月ぶりにリリースしたオリジナルアルバム。レミオロメンの時から変わらないポップでメロディアス、ほどよくフックも利いたメロディーラインが魅力的な一方、全体的に無駄に分厚いサウンドが重ねられているようなアレンジにはちょっと陳腐さも感じます。レミオロメンの最後の方から思っているのですが、彼の書くメロディーは比較的シンプルなので、アレンジももっとシンプルの方がおもしろいと思うのですが・・・。

評価:★★★★

藤巻亮太 過去の作品
オオカミ青年
旅立ちの日
日日是好日
北極星
RYOTA FUJIMAKI Acoustic Recordings 2000-2010

君に会いたいんだ、とても/矢野顕子・野口聡一

宇宙飛行士の野口聡一がISSに滞在中に見た風景を歌詞にまとめ、それを矢野顕子が曲をつけてピアノ一本で歌い上げた作品。なんでこんな企画が登場したんだ??と思いますし、一歩間違えればトンデモになってしまいそうなアルバム・・・。実際、歌詞については、無理やり曲をつけたような作品も少なくなく、若干違和感が。「宇宙で見た世界」と言われても、うーん・・・と感じてしまいます。とはいえ、矢野顕子の曲自体は今回も絶品で、この企画をなんとか成立させている大きな要素になっています。

評価:★★★★

矢野顕子 過去の作品
akiko
音楽堂
荒野の呼び声-東京録音-
Get Together~LIVE IN TOKYO~(矢野顕子×上原ひろみ)
矢野顕子、忌野清志郎を歌う
飛ばしていくよ
JAPANESE GIRL - Piano Solo Live 2008 -
さとがえるコンサート(矢野顕子+ TIN PAN)
Welcome to Jupiter
矢野顕子+TIN PAN PARTⅡ さとがえるコンサート
(矢野顕子+ TIN PAN)
矢野山脈
Soft Landing
ラーメンな女たち(矢野顕子×上原ひろみ)
ふたりぼっちで行こう
音楽はおくりもの

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2023年4月21日 (金)

ウルフルズの実力を感じるカップリング&カバー曲集

Title:30th Anniversary レアトラックス・コンプリートBOX「こっちもええねん」
Musician:ウルフルズ

1992年のメジャーデビューから、昨年30周年を迎えたウルフルズ。そんな記念すべき30周年イヤーのラストにリリースされたのが、この4枚組からなるセレクションアルバム。Disc1から3は「SINGLE ANOTHER SIDE COLLECTION」と題してシングルのカップリング曲を網羅。Disc4は「COVER SONG COLLECTION」と題して、彼らのカバー曲が収録されています。

「SINGLE ANOTHER SIDE COLLECTION」の方は、過去のシングルカップリング曲のうち、一部インスト曲を除いてほぼ収録されています。8曲が収録され、今でいえば「EP盤」のような「ブギウギ'96」も表題曲の「ツギハギブギウギ」を除いて収録されていますし、アルバム未収録だった「コマソンNo.1」は表題曲がそのまま収録されています。資料的価値という意味合いもありますし、ファンとしてはうれしい企画盤と言えるでしょう。まあ、「網羅」ならば、一部インストで未収録になっているものもありますし、カラオケも未収録なので、こちらも入れてほしかったかも、という感じもしますが・・・。

さて、まず彼らのカップリング曲集ですが、こちらについては非常に自由度が高い、ということをまずは感じます。ウルフルズといえばルーツ志向のロックやソウル、ファンクなどからの影響が強いバンドなのですが、カップリング曲についてはそれに留まらない自由度を感じます。そもそも1曲目「パパイヤ・ママイヤ」からして裏打ちのリズムがレゲエ風ですし、「あの娘に会いたい」はギターのアルペジオのイントロはフォーキーな要素も感じます。「安産ママ」も軽快なロックンロールなのですが、タイトル通りの歌詞もユニーク。

Disc2も「マイアミ旅情(べつにえーやんけ)」は演歌調のお遊びソング。「ヤング ソウル ダイナマイト(DYNAMITE MIX 〜脈打つ鼓動編)」はディスコ調のアレンジになっているなど、バラエティー豊かな作風で、お遊び的な要素も強く、聴いていて素直に楽しくなります。

ただ、よくよく考えると、カップリング曲で「遊ぶ」という方向性はウルフルズ独自ではなく、90年代のJ-POPのシングルが元気だったころ、こういうカップリング曲で「遊ぶ」ミュージシャンは少なくなかったよなぁ、ということをふと感じました。それだけシーンに余裕があったということでしょう。また比較的最近のDisc3になると、そのようなお遊びソングが少なくなってきますので、シーン全体として徐々に余裕がなくなってきたのかもしれません。もっとも、そんな点を差し引いても、彼らのカップリング曲はいい意味で幅が広く、「お遊び」の要素もより強いのですが。

そしてもうひとつ特筆したいのがDisc4のカバー曲。これがどのカバーも、楽曲をウルフルズのテリトリーに無理やり入れて、ウルフルズ色たっぷりのカバーに仕上げています。特に「春一番」などは爽やかな原曲の雰囲気がガラリと変わる、非常にソウルフルなカバーに。最近、この手の歌謡曲のカバーは多いのですが、原曲のイメージをあまりいじらない「カラオケ」のようなカバーは少なくありません。そんな中、ウルフルズのカバーは間違いなく、ウルフルズにしか出来ないカバーに仕上げています。カバーという側面を通じても、非常に個性的なウルフルズの魅力を強く感じました。

4枚組というのはなかなかフルボリュームで、そういう意味ではファン向けアイテムと言えるかもしれません。しかしカップリング曲もカバー曲もユニークな作品が多く、飽きることなく一気に楽しめるアルバムに仕上がっていました。決してファン向けに留まらず、ウルフルズに興味がある方は要チェックのアルバムと言えるでしょう。彼らの実力がしっかりとわかる作品でした。

評価:★★★★★

ウルフルズ 過去の作品
KEEP ON,MOVING ON
ONE MIND
赤盤だぜ!
ボンツビワイワイ
人生
ウ!!!
ウル盤
フル盤
ズ盤
楽しいお仕事愛好会


ほかに聴いたアルバム

バレンタインが今年もやってくる/miwa

4曲入りのEP盤。男女デゥオ、打ち込み、バラード、アコギ弾き語りと4通りの曲調でラブソングを切なく聴かせる作品。わずか4曲のみの中で、バリエーションを持たせてmiwaというミュージシャンを様々な切り口で聴かせるスタイルは彼女の実力も感じさせます。こういうタイトルのラブソングEPをさらっと作ってしまうあたりも、良くも悪くも彼女らしさを感じるのですが。

評価:★★★★

miwa 過去の作品
guitarium
Delight
ONENESS
SPLASH☆WORLD
miwa THE BEST
Sparkle
君に恋したときから

THE YANK ROCK HEROES/氣志團

前作「Oneway Generation」は筒美京平楽曲のカバー、前々作「万謡集」は20周年の記念盤ということで、純然たるオリジナルアルバムそていは「不良品」以来、実に7年ぶりとなる新作。今回も彼ららしい80年代バンドブームの匂いを残したギターロックを主軸に、パンク、ラテン、歌謡曲などの要素を入れたスタイルが魅力的。ただ今回、綾小路翔意外のメンバーがそれぞれリードボーカルを取った曲も収録された結果、全体としてちょっと取っ散らかったという印象を受けるアルバムになってしまっています。氣志團らしさはしっかりと感じられ、メロディーにはインパクトもあるとは思うのですが。

評価:★★★★

氣志團 過去の作品
房総魂~Song For Route 127
木更津グラフィティ
蔑衆斗 呼麗苦衝音
日本人
氣志團入門
不良品
万謡集
Oneway Generation

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2023年4月20日 (木)

すべて入れ替え

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週、Hot100は新曲ラッシュとなりましたが、それはHot Albumsも同様。ベスト10がすべて入れ替えという結果になっています。

まず1位初登場はUNISON SQUARE GARDEN「Ninth Peel」。彼ら9枚目となるアルバムが新譜ラッシュを制して見事1位に輝きました。CD販売数1位、ダウンロード数6位。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上2万2千枚で1位初登場。ただし、前作「Patrick Vegee」の初動3万枚からはダウンとなっています。

2位初登場は中王区 言の葉党「Verbal Justice」。こちらはおなじみ声優によるラッププロジェクト「ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-」に登場する架空のHIP HOPグループのデビュー作で、5曲入りのミニアルバムとなります。CD販売数3位、ダウンロード数2位。オリコンでは初動売上1万4千枚で3位初登場。

3位にはBUCK-TICK「異空-IZORA-」がランクイン。ご存じ、ヴィジュアル系バンドの祖とも言えるロックバンドで、結成から35年以上活動を続ける超ベテランバンドの新作。CD販売数2位、ダウンロード数9位。オリコンでは初動売上1万7千枚で2位初登場。前作「ABRACADABRA」の初動2万枚(3位)よりダウンしています。

4位以下に続きます。4位はMETALLICA「72 Seasons」が初登場。こちらもバンド結成後、40年以上が経過しているアメリカのベテランヘヴィーメタルバンド。CD販売数4位、ダウンロード数3位。オリコンでは初動売上1万3千枚で4位初登場。前作「Hardwired...to Self-Destruct」の初動2万3千枚(5位)からはダウンしています。

5位初登場は斉藤和義「PINEAPPLE」。こちらももうデビュー30年を迎えるベテランSSW。CD販売数5位、ダウンロード数15位。オリコンでは初動売上9千枚で6位初登場。前作「55 STONES」の初動1万2千枚(5位)からこちらもダウンしています。

6位には岩崎琢「シン・仮面ライダー音楽集」がランクインしています。CD販売数6位、ダウンロード数4位。3月に公開された映画「シン・仮面ライダー」のサントラ盤。「シン・ゴジラ」「シン・ウルトラマン」に続く、昭和の特撮シリーズのリメイク版。ただ、前2作に比べると、あまり話題にのぼってないような・・・。オリコンでは初動売上6千枚で8位に初登場しています。

そして7位には、Hot100でもベスト10入りしてきました、新しい学校のリーダーズ「一時帰国」がランクイン。全7曲入りの配信オンリーのアルバムながらダウンロード数でなんと1位を獲得。総合チャートでもベスト10入りを果たしました。しかし、早々にブレイクしちゃいましたね。Hot100でも書いたのですが、ライブを一度見てみたいのですが、今の人気だとチケット取れないだろうなぁ。

8位には凛として時雨「last aurorally」がランクイン。最近はTKのソロ活動が目立っていたため、凛として時雨の純粋なオリジナルアルバムとしては、実に5年2か月ぶりと、久々の新譜となりました。CD販売数8位、ダウンロード数13位。オリコンでは初動売上4千枚で9位初登場。直近作はインディーズ時代のアルバムをリメイクした「#4 -Retornado-」でこちらの初動3千枚(27位)からはアップ。オリジナルアルバムとしての前作「#5」の初動1万1千枚(5位)からはダウンしています。

9位には、札幌を拠点に活動を続けるTHA BLUE HERBのMC、ILL-BOSSTINOのソロプロジェクト、tha BOSSのアルバム「IN THE NAME OF HIP HOP Ⅱ」がランクイン。CD販売数は17位ながらもダウンロード数で7位を獲得し、総合順位では見事ベスト10入りです。THA BLUE HERBも、HIP HOPリスナーの中では高い支持を誇るユニットながらも、アルバムはベスト10ヒットを飛ばすほどではなかっただけに、ソロでのベスト10ヒットは驚きです。オリコンでは初動売上2千枚で19位初登場。前作「IN THE NAME OF HIP HOP」の3千枚(18位)からは若干のダウン。

最後10位には昨年の紅白にも出場した韓国の女性アイドルグループIVE「I'VE IVE」がランクイン。CD販売数100位、ダウンロード数5位。かなり極端な差があるのですが、輸入盤だからCD販売数は上位に入ってこなかったということなのでしょうか。ただ、100位とはいえ、一部反映されているのがどのようなルートでの売上なのか、かなり気になります・・・。オリコンでは初動売上1万1千枚で5位初登場。アルバムではこれがデビュー作となります。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2023年4月19日 (水)

新譜ラッシュ!

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週のHot100は珍しく新譜ラッシュ。全10曲中7曲までがベスト10初登場の曲となっています。

Yoasobiidle

まず1位はYOASOBIの配信限定シングル「アイドル」が獲得。TOKYO MX系アニメ「【推しの子】」オープニングテーマ。ストリーミング数及びYouTube再生回数で見事1位を獲得。ダウンロード数2位、ラジオオンエア数22位で総合順位1位を獲得しています。「アイドル」という名前とは裏腹にアイドルソングっぽくない作風で、ラップ(それもちょっとトラップっぽい)を取り入れるなど、YOASOBIとしても新機軸を感じさせる作品になっていました。

2位初登場はスピッツ「美しい鰭」。CD販売数4位、ダウンロード数3位、ストリーミング数7位、ラジオオンエア数1位、YouTube再生回数13位とカラオケ歌唱回数以外、いずれのチャートも上位にランクインしてきています。劇場版「名探偵コナン 黒鉄の魚影」主題歌。ちなみに「うつくしいひれ」と読みます、念のため。こういうタイトルの曲を書いてくるのは彼ららしい感じがします。CDリリースされていますが、通常販売でのCDでのシングルは2019年の「優しいあの子」以来、ちょっと久々となりました。オリコン週間シングルランキングでは初動売上1万8千枚で4位初登場。その前作「優しいあの子」の初動2万5千枚(2位)からはダウンしています。

3位はジャニーズ系アイドルグループSixTONES「ABARERO」。CD販売数1位、ラジオオンエア数2位、YouTube再生回数10位。オリコンでは初動売上42万9千枚で同作が1位を獲得。前作「Good Luck!」の39万2千枚(1位)よりアップしています。

4位にはMAN WITH A MISSION×milet「絆ノ奇跡」がランクイン。ダウンロード数1位、ストリーミング数20位、ラジオオンエア数12位。フジテレビ系アニメ「『鬼滅の刃』刀鍛冶の里編」オープニングテーマ。5月31日リリース予定のシングルからの先行配信。MWAMらしさと「鬼滅の刃」らしさを足して2で割ると、こういう曲になるんだろうなぁ、という曲。「鬼滅の刃」関連はいずれもロングヒットを記録していますが、この曲もそれに続くのでしょうか?

5位初登場はハロプロ系女性アイドルグループBEYOOOOONDS「求めよ…運命の旅人算」。CD販売数は3位でしたが、ダウンロード数24位、ラジオオンエア数62位に留まり、総合順位はこの位置に。オリコンでは初動売上7万3千枚で3位初登場。前作「英雄~笑って!ショパン先輩~」の初動7万7千枚(2位)から若干のダウンとなっています。

もう1組、女性アイドルグループは6位初登場≠ME「天使は何処へ」。指原莉乃プロデュースの声優アイドルグループ。CD販売数は2位でしたが、その他はすべてランク圏外で、総合順位はこの位置に。オリコンは初動売上13万枚で2位初登場。前作「はにかみショート」の初動12万4千枚(2位)よりアップしています。

さらに今週は10位に新しい学校のリーダーズ「オトナブルー」が先週の57位からランクアップし、ランクイン7週目にしてベスト10入りを果たしました。セーラー服姿の女性4人組グループなのですが、アイドル…ではなく、奇抜で自由度の高いダンスパフォーマンスが特徴的なダンスグループ。実は個人的に最近はまって、YouTube動画も見まくったりしていたのですが、もうブレイクしちゃうんですね…。今、最もライブを見たいグループの1つなのですが、チケット取りにくそうだなぁ。特にYouTube再生回数で2位となっているほか、ダウンロード数13位、ストリーミング数38位、ラジオオンエア数90位を獲得し、今週、EP盤のリリースもあった影響もあり、見事ベスト10入りを果たしました。

さて、そんな訳で一気に7曲が初登場となっただけに、ロングヒット曲は軒並みダウン。なんとかベスト10に残ったのが、まずOfficial髭男dism「Subtitle」で、3位から7位にダウン。25週連続で1位を獲得していたストリーミング数は2位にダウン。YouTube再生回数も5位から12位にダウン。ダウンロード数14位は先週と同順位をキープしましたが、今週、一気にランクダウンしています。これで27週連続のベスト10ヒットとなりましたが、ベスト3ヒットは通算25週目でストップです。

もう1曲がVaundy「怪獣の花唄」で、先週の4位からこちらも8位にダウン。ストリーミング数は2位から3位、ダウンロード数は16位から19位、YouTube再生回数は13位から18位と軒並みダウン。カラオケ歌唱回数のみ7週連続の1位を維持しています。ただし、ベスト10ヒットは連続15週に伸ばしています。

今週のロングヒット曲はこの2曲のみで、その他のロングヒット曲は軒並みベスト10落ちしています。米津玄師「KICK BACK」は7位から14位にダウン。連続ベスト10ヒットは26週でストップ。なとり「Overdose」は8位から18位まで一気にダウン。ヒットの要因だったYouTube再生回数も2位から9位にダウン。ベスト10ヒットは通算18週でストップ。さらに10-FEET「第ゼロ感」も10位から13位にダウン。こちらも連続ベスト10ヒットは18週連続でストップしました。

新譜ラッシュとなった今週のHot100は以上。10年くらい前のオリコンチャートみたいに、週替わりでほぼ全曲が入れ替わり、という状況は望ましくないのですが、ロングヒットばかりで停滞感もあるHot100で、たまにはこういう新譜総入れ替えというのもいいですよね。2、3ヶ月に1度くらいはこういう週があったらおもしろいのですが。また、来週の動向で、今後の新たなロングヒットも占えそう。そういう意味でも来週のHot100も注目したいところでしょう。明日はHot Albums!

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2023年4月18日 (火)

結成20周年のオールタイムベスト

Title:the GazettE 20TH ANNIVERSARY BEST ALBUM HETERODOXY-DIVIDED 3 CONCEPTS-
Musician:the GazettE

90年代のブームは遥か彼方に去ってしまったものの、現在でも一部の層で根強い支持を得て、日本の音楽シーンの一角で確固たる地位を占めるようになったヴィジュアル系というジャンル。ただ、多くのバンドは一部の熱狂的なファンの人気に留まり、ヒットシーンの中心に出てくることはありません。とはいえ、そんな中でもヒットチャートの上位に顔を覗かせるバンドもあり、そのうちの一組が今回紹介するthe GazettE。個人的にもオリジナルアルバムをコンスタントに追っているミュージシャンの一組でもあるのですが、今回紹介するのは結成20周年を迎えた彼らの、オールタイムベストとなります。

今回のアルバムは3枚組に分かれていて、それぞれにコンセプトがあるのですが、Disc1がSINGLES、Disc2はABYSS、Disc3はLUCYというサブタイトルが付されています。「SINGLES」はタイトル通り、シングル曲を、「深淵」を意味する「ABYSS」はある意味ヴィジュアル系らしい、耽美さを前に押し出したナンバーを、「LUCY」はヘヴィーなサウンドを聴かせる楽曲がメインとなっているそうです。

一応、毎回オリジナルアルバムはチェックしているものの、今回のアルバムであらためて彼らの曲をまとめて聴いたのですが、彼らがヴィジュアル系の中でも高い人気を誇るのは納得するような、良いバランスの取れた音楽性を持つバンドということを強く感じました。

まず彼らは非常にインパクトのあるポップなメロを書いてきています。本作の冒頭を飾る「Cassis」の最初に流れてくるピアノのフレーズは絶品。このセンスには一流のものを感じますし、「REGRET」も哀愁感たっぷりのサビのメロが冒頭に飛び込んでおり、大きなインパクトを持っています。特にDisc1に収録されているシングル曲は、そんなメロディーラインが大きなインパクトとなる曲が並んでいます。良くも悪くも「ベタ」な感もあるのですが、その点を含めて、しっかりと壺をついたフックの効いたメロを書いてくる点は彼らの大きな実力と言えるでしょう。

そんなインパクトのあるメロディーラインを書きつつ、ヘヴィーなバンドサウンドにハードコア的な要素も取り入れている点も彼らの大きな特徴で、シングル曲でも「REMEMBER THE URGE」のようにデス声が飛び込んでくるような曲もあったりしますし、特に顕著なのがDisc3の「LUCY」で、「GABRIEL ON THE GALLOWS」のようなデジタルテイストも取り入れたハードコアの楽曲もありますし、他にもハードな楽曲が並びます。「ATTITUDE」のようなデジタルビートを取り入れた曲もありますし、このDisc3はハードコアが好きなリスナー層にも楽しめそうな作品となっています。

ただ一方、良くも悪くもなのが楽曲に共通する、いかにもヴィジュアル系的な耽美的なメロディーライン。この点はDisc2の楽曲により顕著なのですが、マイナーコード主体でメランコリックさをこれでもかというほど押し出したメロディーラインは、正直なところリスナー層を選びそう。もちろん、彼らのファンが「こういうメロが良い!」のでしょうから否定は出来ないのですが、ただその点を差し引いても、この耽美的という方向性があまりに一本調子で、似た曲が多い、という印象も受けてしまいます。

もっとも、上でも書いた通り、メロディーラインにはセンスも感じますし、この一本調子さはヴィジュアル系バンドである故の宿命なのかもしれません。彼らがもし、90年代のように、ヴィジュアル系が一部のリスナーではなく幅広い層が聴いていた頃だったら、おそらく、そんな幅広いリスナー層に合わせてメロディーラインもよりバラエティーの富んだものとなっていたのでは?と感じてしまいます。また、その時代だったら、おそらくGLAYやラルクにも匹敵するような人気も確保できていたのかもとも想像してしまいました。

とはいえ、似たような曲が多いとはいえ、全3枚フルボリュームのアルバムを、比較的ダレることなく十分楽しめる内容になっていました。特にDisc3については、普段ヴィジュアル系を聴かないようなロックリスナーも楽しめそう。それだけに楽曲によってはより広い層の支持も得られそうな予感もします。これからも彼らの活動には注目していきたいところです。

評価:★★★★

the GazettE 過去の作品
TRACES BEST OF 2005-2009
DIM
TOXIC
DIVISION
BEAUTIFUL DEFORMITY
DOGMA
TRACES VOL.2
NINTH
MASS


ほかに聴いたアルバム

Naked/家入レオ

ここ最近はムーディーな歌謡曲路線にシフトしてきており、このまま「大人なムード歌謡歌手」にシフトするのかとも思われた家入レオ。ただ新作はピアノ弾き語りや打ち込み、ハードロック路線やドリーミーなポップなどバリエーションのある作風に再びシフトしてきました。結果としては良くも悪くも今時の売れ線路線といったイメージに。ちょっと取っ散らかってしまった感もあります。迷走気味とまではいかないものの、デビューから10年を経過して、もうちょっと家入レオ独自の色合いを増した方がいいとは思うのですが。

評価:★★★

家入レオ 過去の作品
LEO
a boy
20
WE
5th Anniversary Best
TIME
DUO
Answer
10th Anniversary Best

コントラスト/Uru

実に約3年ぶりとなる女性シンガーソングライターUruのニューアルバム。清涼感のある歌声は魅力的で、アコースティックなサウンド主体で聴かせるオリジナル曲は魅力ではあるものの、全体的にこれといった特徴もなく、前作に引き続き平凡さは否めない印象が・・・。ただ一方、カバー曲に関しては、彼女の歌声が実に魅力的な絶品カバーに仕上がっています。ここらへんは前作と同様。ボーカリストとして魅力的なだけに、もうちょっとオリジナル曲を、と思ってしまうのですが・・・。

評価:★★★★

Uru 過去のアルバム
オリオンブルー

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2023年4月17日 (月)

ジャズの魅力がダイレクトに伝わる傑作アニメ映画

先日、最近話題となっている映画「BLUE GIANT」を見に行きました。

この原作になったマンガは知っていましたし、映画になったことも知っていたのですが、原作も読んでおらずなんとなくスルーしており、映画も最初は興味がなかったのですが、非常に評判がいいということで気になり、遅ればせながら先日足を運んできたのですが、確かに高い評判も納得の素晴らしい映画でした。

この「BLUE GIANT」という映画はジャズをテーマとした映画で、テナーサックスプレイヤーの主人公、宮本大が東京で仲間と出会って成長していく物語。音楽を通じて人々に感動を与える内容になっているのですが、この手の音楽映画で難しいのはこの「音楽」の取り扱い。主人公の演奏によって人々の心が動かされる・・・という展開が、特にマンガの場合、デフォルメ気味に描かれることが少なくありません。

そのため、映画の中の音楽は、それなりのものを描かなくてはいけなくなってしまうという難題にぶちあたってしまいます。この難題から、ある意味逃げてしまって酷評されたのがマンガ「BECK」の実写映画版。マンガでは主人公の「歌」が人々の心を動かす大きなキーになっているのですが、映画ではなんと、この「歌」の部分を「無音」にしてしまうという、「逃げ」の表現をしてしまい酷評を受けました。

しかし、この映画ではこの難題にガッチリと取り組むどころか、音楽を前面に押し出し、映画の中で実に4分の1が演奏シーンという音楽映画を作り上げています。なんといっても音楽担当には上原ひろみを起用。彼女自身が劇中のピアノ演奏を担当しているほか、サックスは馬場智章、ドラムスは石若駿という世界レベルの実力を持ったプレイヤーを配置。演奏シーンでも本格的なプレイを聴かせてくれます。

そのため、物語と同じく、文句なしにその演奏に心動かされる映像が出来上がっていました。映画評では「まるでライブハウスにいるような」という評価もされているそうですが、その評価も納得。物語の中での観客の感情と同期できるという、非常に幸せな鑑賞体験をすることの出来る映画になっていました。

もうひとつ素晴らしかったのが、映画の中で主人公はジャズの魅力として「激しいところ」と表現しています。これはとてもおもしろい視点で、ジャズというと一般的に「おとなしく聴く大人のムード音楽」というイメージが今や一般的となっています。しかし、確かに情熱的に感情を込めたプレイの激しさは決してロックに負けていません。そして、その魅力を、前述の通り、一流のプレイヤーの演奏によってしっかり再現しており、主人公の語るジャズの魅力を、映画を観ている私たちにもしっかりと伝えられています。

この映画のサントラ盤は、ヒットを記録しているのですが、そりゃあ、これだけ映画の中で魅力的なプレイを聴かされれば、サントラも聴きたくなっちゃうでしょう。そんな訳でサントラ盤のレビューも。

Title:BLUE GIANT(オリジナル・サウンドトラック)
Musician:上原ひろみ

実は、私はこのサントラ盤、映画とは関係なく、映画より前に聴いていたのですが・・・サントラ盤ということで、劇中の熱いプレイだけではなく、劇伴曲も収録されています。そういう意味では終始、劇中のような熱いプレイが展開する内容を期待すると、若干期待はずれの部分はあるかもしれません。

ただ、もちろん本編において要所で主人公たちがプレイしていた音源は収録されており、映画を観ていた方にとっては、映画の中での感動がよみがえるのは間違いないでしょう。そして、それを差し引いても、上原ひろみのニューアルバムとして聴き応えのある作品。劇伴曲でも彼女のピアノも聴くことが出来ます。

正直、サントラを聴くだけだと、上原ひろみの普段の作品と比べると、彼女の個性は抑え気味。映画の中で主人公が目指すような激しいプレイを聴くことは出来るのですが、上原ひろみのいつものアルバムは、もっとアグレッシブで独創的なので、これを聴いてその魅力に目覚めた方は、ぜひとも彼女の他のアルバムを聴いてほしいかも。ただもちろん上原ひろみをはじめ、トリオを組んでいる馬場智章、石若駿の魅力的なプレイが収録されていますので映画関係なく、上原ひろみファンなら間違いなく要チェックの、「上原ひろみの新作」としても聴くことが出来る内容になっていました。映画を観て感動した方はもちろん、映画を観ていなくても十分に楽しめる1枚でした。

評価:★★★★

上原ひろみ 過去の作品
BEYOUND THE STANDARD(HIROMI'S SONICBLOOM)
Duet(Chick&Hiromi)
VOICE(上原ひろみ featuring Anthony Jackson and Simon Phillips)
MOVE(上原ひろみ featuring Anthony Jackson and Simon Phillips)
Get Together~LIVE IN TOKYO~(矢野顕子×上原ひろみ)
ALIVE(上原ひろみ THE TRIO PROJECT)
SPARK (上原ひろみ THE TRIO PROJECT)
ライヴ・イン・モントリオール(上原ひろみ×エドマール・カスタネーダ)
ラーメンな女たち(矢野顕子×上原ひろみ)
Spectrum
Silver Lining Suite(上原ひろみ ザ・ピアノ・クインテット)

以下、ネタバレの感想も

続きを読む "ジャズの魅力がダイレクトに伝わる傑作アニメ映画"

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2023年4月16日 (日)

90年代オルタナ系を総花的に紹介

今回は、最近読んだ音楽系の書籍の紹介。

「90年代ディスクガイド USオルタナティヴ/インディ・ロック編」。タイトルそのまま、90年代のアメリカのオルタナ系ロック、インディー系ロックのアルバムを紹介するディスクガイド。音楽評論家の松村正人氏編集による1冊です。

内容も基本的にはタイトルそのまま。1990年代のオルタナ系ロックシーンのミュージシャンについて、最初は「Pre90s」として90年代以前のミュージシャンながらもその後のシーンに影響を与えたミュージシャンからスタートし、1990年代について1年毎に区切り、その年にリリースされたアルバムについて紹介。主要なミュージシャンについては個別にページを設定し、そのミュージシャンに関連するアルバムも含めてまとめて紹介しています。

ちなみに個別に取り上げたミュージシャンはSonic Youth、Pixiesからスタート。その後はNirvana、Pearl Jam、スマパンにR.E.M。Dinasour Jr.、Beck、レッチリ、Beastie Boys、NINなど大物をしっかり取り上げつつ、全体的にはインディー系のバンドを多く取り上げている印象があります。一方、有名どころは抑えつつもアルバム単位では取り上げられていたものの、Rage Against The MachineやWEEZERについては個別のページで取り上げられていないのはなぜ?

一方、ディスクガイドとして取り上げられているアルバムについては比較的、総花的に取り上げられている印象も。帯にも書いてありますが、ハードコアやパワーポップから、ポストロックまで幅広いミュージシャンが紹介されており、オフスプ、KORNのような、正直、サブカル的にはあまり評価の高くないようなバンドまでしっかりと取り上げられていました。

また、インタビュー記事としてボアダムスのEYヨとOGRE YOU ASSHOLEの出戸学へのインタビューも実施。こちらは音楽ファン的なマニアックな視点からの切り口はユニークでありつつ、非常に独自性のあるインタビューにもなっていました。どちらかというと出戸学へのインタビューはOGRE YOU ASSHOLEの音楽の源流として、なかなか興味ある内容になっていたように感じます。

個人的には90年代のオルタナ系ロックは以前から好みのジャンルではあり、いろいろなミュージシャンを積極的に聴いていたのですが、それでもまだ、知らないミュージシャン、アルバムも多く、まだまだ勉強不足も実感させられました。このディスクガイドを読んで、興味の出てきたミュージシャンも少なくなく、いろいろと聴いてみたく感じたディスクガイド。このジャンルが好きな方には、とりあえずはお勧めできる1冊だと思います。

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2023年4月15日 (土)

新世代のロック・アイコンか?

Title:Praise A Lord Who Chews But Which Does Not Consume;(Or Simply,Hot Between Worlds)
Musician:Yves Tumor

おそらく今、もっとも注目されているロックミュージシャンの一人、Yves Tumor(イヴ・トゥモア)。アメリカはマイアミ出身で現在はイタリア在住という彼。前々作「Safe in the Hands of Love」で、かのWarpからデビューしたことでも大いなる話題に。徐々に注目を集めており、今年のフジロック出演も決定。今回のアルバムは日本でも注目を集めており、一躍、話題のミュージシャンとなっています。

今回のアルバムリリースに際して「異形のロックスター」というコピーを用いているようですが、エレクトロサウンドを用いつつ、実験性の高い音楽性が持ち味の彼。特に前々作「Safe in the Hands of Love」ではその実験性という方向性が強く、若干聴きにくいアルバムになっていました。ただ、前作「Heaven to a Tortured Mind」ではよりポップな歌モノ路線にシフト。さらに今回のアルバムでは以前の彼ららしい実験性を垣間見せつつも、アルバム全体としてはポップで聴きやすいロックのアルバムといった作品になっていました。

まず冒頭「God Is a Circle」は軽快な打ち込みのリズムを入れつつ、疾走感あるギターサウンドが特徴的なナンバー。続く「Lovely Sewer」もテンポよいニューウェーヴ風の楽曲。エレクトロサウンドとロックを融合させた、テンポよく聴きやすさを感じさせるナンバーが続きます。

ただ、アルバムの中で大きな印象を受けるのが中盤「Parody」「Heaven Surrounds Us Like a Hood」ではないでしょうか。ファルセットボイスのメロがまず耳に残る作品で、清涼感を覚えるファルセットボイスによりAOR調にまとめられたメロディーラインはThundercatあたりを彷彿とさせる楽曲。そこに重なるサウンドはサイケロックにエレクトロサウンドも融合させたイヴ・トゥモア流のロックサウンド。ファルセットボイスに一種のセクシーさを感じさせつつ、彼らしい実験性のある、今のロックのスタイルを提示したような作品に仕上がっています。

後半の「Echolalia」も印象的。軽快でリズミカルなサウンドをベースとしつつ、セクシーさも感じるボーカルが加わり、グラムロック的な雰囲気を感じさせる楽曲。エロチックを感じさせる楽曲に独自性を感じさせるロックチューンに仕上がっています。

間には「Operator」「In Spite Of War」など疾走感のあるポップなギターロックを挟みつつ、アルバム全体としてはエレクトロやサイケロックを融合させたロックチューンは、グラムロック的な要素も強く、どこかセクシーさも感じさせます。彼については「ロック・アイコン」という呼ばれ方をしています。ヒットシーンの中心がHIP HOPに代わった現在において、ロック・アイコンという言葉はなかなかお目にかからなくなりましたが、独特の個性を押し出した音楽性を持つ彼は、まさに「ロック・アイコン」という言葉がふさわしいミュージシャンと言えるでしょう。現状、残念ながらまだ売上的に大きくブレイクはしていませんが、アルバム毎に楽曲のポピュラリティーも増しているだけに、今後一気にブレイクする可能性も高そう。今後のロック界を担う・・・というと大げさな表現かもしれまえんが、そんなポテンシャルも感じさせる傑作でした。

評価:★★★★★

Yves Tumor 過去の作品
Safe In The Hands of Love
Heaven To A Tortured Mind

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2023年4月14日 (金)

U2の名曲が新たなアレンジで

Title:Songs Of Surrender
Musician:U2

おそらく現在、最も「大物」であり「スケール感」のあるロックバンドといえばU2の名前を挙げる人が多いのではないでしょうか。社会派的な活動が目立つのもご存じの通りで、最近では昨年5月に戦争状態にあるウクライナのキーウを電撃訪問。地下鉄の駅でライブを行ったことも記憶に新しいのではないでしょうか。

そんな彼らの新作となるのが今回リリースされた4枚組となる本作。かなりボリューミーなアルバムとなっている本作ですが、全40曲、全編、既発曲をアコースティックにリアレンジし、あらたに録音した作品となります。約6年ぶりのアルバムが、全曲既発表曲の新録というのはちょっと残念な印象もあるのですが、ボノへのインタビューではコロナ禍の中での空いた時間により、以前から温めていたアイディアを実現化させたそうで、そういう意味でも本作もコロナ禍における副産物と言えるのかもしれません。

今回のアルバムでは、耳なじみのある彼らの代表曲もアコースティックにアレンジされています。その結果、曲によって原曲を大きくアレンジを変えた曲もあれば、むしろ原曲をそのままアコースティックアレンジとしただけという曲もあり、その点は曲による差も感じました。特に大きく変わったのが彼らの代表曲「I Still Haven't Found What I'm Looking For」で、スケール感もって歌い上げる原曲とは異なり、アコギを爪弾きながら聴かせるブルージーなアレンジになっており、原曲とは異なる、素直なメロディーラインの良さを再認識できるアレンジに仕上がっています。

同じく彼らの代表曲である「Sunday Bloody Sunday」もアコギを爪弾きながらも、感情たっぷりに哀しげに聴かせる曲になっており、こちらも原曲の持つメランコリックなイメージをより強調したようなアレンジとなっており、原曲のもともともっていた魅力を強く感じさせる曲になっていました。

逆に「Vertigo」などはスケール感のある楽曲ながらもアコースティックアレンジに落とし込んだ際、そのスケール感を無理やり表現しようとしていた感もあり、かなり違和感を覚える作品に。「Beautiful Day」「With Or Without You」は原曲の持つスケール感をアコースティックアレンジに上手く落とし込めた感はあるのですが、若干、アコースティックアレンジとする必然性を低く感じてしまいました。

そして今回のアルバムのひとつの目玉となるのが「Walk On」のリメイク「Walk On (Ukraine)」でしょう。タイトル通り、ウクライナへのメッセージソング。もともとロシアのウクライナへの侵攻の2ヶ月後の昨年4月に、Global Citizenが立ち上げた支援企画「Stand Up For Ukraine」に参加した際に発表された曲。タイトルも大幅に変更されており、まさに現在の世界情勢にマッチさせた曲になっています。

このように曲によってアコースティックアレンジにマッチした良リメイクもあれば、原曲とあまり変わらない、あるいは原曲の方がよかったので?というアレンジもあり、40曲というフルボリュームにするよりも、もうちょっと絞ってもよかったのでは?とも思う面もあります。ただ、それを差し引いても、全40曲2時間40分以上にも及ぶ本作は意外とダレることなく、一気に最後まで聴き切ることの出来る内容になっていました。それは何といってもU2の持つ曲の強度、メロディーラインの良さに起因しているのでしょう。やはりあらめて感じるのはU2の曲自体の良さ。特に最近の作品に関しては、無駄にスケール感に頼りがちでは?と思ってしまう部分も否定できないU2の曲ですが、やはりバンドとしてのスケール感を剥がしても、しっかり曲として魅力を持っているんだな、ということを実感しました。そういう意味でも非常に意義のあったリメイクアルバムと言えるのではないでしょうか。

あらためてU2の魅力と実力を実感できたアルバム。ただ、次は純粋なオリジナルアルバムを聴きたいかな。期待しつつ、新作を待っています!

評価:★★★★★

U2 過去の作品
No Line on the Horizon
Songs of Innocence
Songs Of Experience
The Virtual Road – U2 Go Home: Live From Slane Castle Ireland EP
Live At Red Rocks: Under A Blood Red Sky EP
The Virtual Road – PopMart Live From Mexico City EP
The Virtual Road – iNNOCENCE + eXPERIENCE Live In Paris EP

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2023年4月13日 (木)

教授のラストアルバムがランクイン

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

みなさん、ご承知おきのこととは思いますが、日本を代表する音楽家のひとり、「教授」こと坂本龍一が先月28日に71歳で亡くなりました。今週は、その影響もあり、今年1月にリリースし、彼の最後のオリジナルアルバムとなってしまった「12」が先週の95位から大きくランクアップ。一気に3位にランクインし、11週ぶりのベスト10返り咲きとなりました。ダウンロード数では8位、CD販売数では、なんと1位を記録しています。

ただ、今回の「12」の再ヒット、坂本龍一逝去のニュースにあたり、「Merry Christmas Mr.Lawrence」が大きく取り上げられたり、また本来、彼の作曲した作品ではない「RYDEEN」が取り上げられたりしています。ただ、もしそんなイメージしか教授に対して持っていないとしたら、アンビエント色が強い「12」を聴いてみてどう感じるんだろう・・・と思ってしまいました。また、坂本龍一逝去の報道の際、なぜかミリオンヒットを記録した「energy flow」や同じく大ヒットした「The Other Side of Love」はなんでほとんど取り上げられないのかも、ちょっと気になりました。まあ、前者はCM色が強すぎるのと、後者はボーカル曲なので取り上げにくいということがあるのでしょうが。

Zz3

一方、今週1位を獲得したのは女性アイドルグループももいろクローバーZ「ZZ's Ⅲ」。配信限定のセルフリメイクアルバムの第3弾で、ダウンロード数で1位を獲得。配信限定ながら総合順位でも1位獲得となりました。

2位は先週1位の優里「弐」がワンランクダウンながらも今週もベスト3をキープしています。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位には元NEWSのメンバーで、現在はジャニーズ事務所を退所しフリーで活躍している手越祐也のニューアルバム「CHECKMATE」がランクイン。CD販売数4位、ダウンロード数11位。オリコン週間アルバムランキングでは初動売上4千枚で4位初登場。直近作はミニアルバム「Music Connect」で、同作の初動売上(9位)からは横バイ。オリジナルアルバムとしての前作「NEW FRONTIER」の初動1万1千枚(8位)からはダウンとなっています。

5位初登場はヨルシカ「幻燈」。Hot100では、ダウンロード数で2位にランクインしているため、配信分のみの集計となりますが、フィジカルでのリリースではこちらは「画集」という取り扱いで、加藤隆氏の描いた絵に、スマホやタブレットのカメラをかざすと専用の音楽再生ページに接続する仕様となっているそうです。非常にユニークな試みで興味はあるのですが、税込8,250円という高さはさすがに手が出ない・・・。あと、専用の音楽再生ページは、将来的にサービスが停止するのでは?という点も気になってしまいます・・・。

6位にはBOYS PLANET「BOYS PLANET - ARTIST BATTLE」がランクイン。こちらは韓国の視聴者参加型のアイドルオーディション番組「BOYS PLANET」の曲を収録した配信限定のアルバム。ダウンロード数で3位を獲得し、総合順位はこの位置にランクインしています。

7位には星川サラ「きみとのShining Days」が初登場。にじさんじに所属しているバーチャルライバーによるデビュー作。CD販売数3位、ダウンロード数91位。オリコンでは初動売上6千枚で1位を獲得しています。

8位9位には韓国の男性アイドルグループのメンバーSUGAがAguestD名義でリリースした「AguestD」「D-2」がそれぞれランクインしています。「AguestD」は2016年に、「D-2」は2020年にそれぞれミックステープという形態でリリースされたもの。今回、おそらく4月26日にソロアルバム「D-DAY」リリースの公表に合わせてランクアップしたものと思われますが、それぞれダウンロード数で4位、5位にランクインし、初のベスト10ヒットを記録しました。

最後10位には「王様戦隊 キングオージャー 主題歌」がランクイン。CD販売数7位、ダウンロード数12位。こちらはテレビ朝日系で放送されている特撮テレビドラマに使用されている曲を収録したアルバム。オリコンでも初動売上2千枚で10位にランクインしています。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2023年4月12日 (水)

珍しくK-POP勢はゼロに

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週は最近のチャートでは珍しくK-POP勢がゼロに。アイドル勢も1曲のみというチャートとなっています。

とはいえ、そんな中で1位を獲得したのがJO1「Tiger」。吉本興業と韓国のCJ ENMの合弁会社であるLAPONEエンタテインメント所属の日本人男性アイドルグループで、「日韓共作」のアイドルグループになっています。CDリリースに合わせて先週の84位からランクアップし、今週1位を獲得。ダウンロード数、ラジオオンエア数でも1位を獲得。ストリーミング数31位、YouTube再生回数61位。オリコン週間シングルランキングでは同作を収録したシングル「TROPICAL NIGHT」が初動売上30万4千枚で1位初登場。前作「MIDNIGHT SUN」の初動売上49万2千枚(1位)からダウンしています。

2位はBUMP OF CHICKEN「SOUVENIR」がCDリリースに合わせて圏外から一気にランクアップし、昨年10月12日付チャート以来のベスト10返り咲き。また2位は先行配信時の4位を上回り、自己最高位を記録しています。テレビ東京系アニメ「SPY×FAMILY」オープニングテーマ。CD販売数は2位、ダウンロード数も74位から19位にランクアップ。ただストリーミング数及びYouTube再生回数はランク圏外となっています。オリコンでは初動売上5万9千枚で2位初登場。前作「なないろ」の初動10万5千枚(1位)からはダウンしています。

3位はOfficial髭男dism「Subtitle」が今週も同順位をキープし、3週連続の3位を獲得。ストリーミング数は25週連続の1位。YouTube再生回数も先週から変わらず5位をキープ。ただ、ダウンロード数は8位から14位にダウン。これで26週連続のベスト10ヒット&通算25週目のベスト3ヒットとなりました。

続いて4位以下ですが、今週は4位以下の初登場曲はゼロ。相変わらずロングヒット曲が並んでいます。

まず4位にはVaundy「怪獣の花唄」。ストリーミング数は4週連続の2位、カラオケ歌唱回数も6週連続の1位をキープ。ダウンロード数は15位から16位、YouTube再生回数も12位から13位に若干のダウンとなっています。これで14週連続のベスト10ヒットとなりました。

米津玄師「KICK BACK」は5位から7位に再びダウン。ストリーミング数は先週と変わらず5位。ダウンロード数は19位から20位にダウン。一方、YouTube再生回数は10位から9位にアップしています。これで26週連続のランクイン。一方、同時ランクインしている「LADY」は今週7位から5位にアップ。今週も2曲同時ランクインながら、両者の順位が入れ替わっています。こちらはダウンロード数が3位をキープしている一方、ストリーミング数は18位。ただ、ランクイン以来、27位→23位→18位と徐々にランクアップしており、こちらの動向次第ではロングヒットもありえそう。また先週までランク圏外だったYouTube再生回数も今週16位にランクインしています。

なとり「Overdose」も今週10位から8位とアップ。ストリーミング数が8位から7位にアップしているほか、YouTube再生回数も先週と変わらず2位をキープ。これで通算18週目のベスト10ヒットとなっています。

逆に10-FEET「第ゼロ感」は今週、6位から10位に大幅ダウン。ストリーミング数は7位から8位、ダウンロード数は7位から13位、YouTube再生回数も16位から18位といずれもダウン。これで18週連続のベスト10ヒットですが、こちらは後がなくなってきました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2023年4月11日 (火)

バラエティー富んだ音楽をコミカルに聴かせる

Title:10,000 gecs
Musician:100 gecs

ディラン・ブレイディとローラ・レスの2人組による、アメリカのハイパーポップデゥオ、100 gecs。2019年にリリースされた「1000 gecs」も大きな話題になったそうですが、本作はそれに続く2枚目のフルアルバム。タイトルは前作からそのままケタ1つ増えて「10,000 gecs」となりました。

そんな彼らのアルバムは、一言で言うと聴いていてワクワクする非常に楽しいポップアルバムになっています。エレクトロやハードコア、HIP HOPやスカなどを取り入れた音楽を全体的にポップにまぶして仕上げた、「なんでもあり」な内容。様々な音楽をごちゃまぜにした音楽性を、「おもちゃ箱をひっくり返したような」というベタな表現をすることがありますが、まさにそれにピッタリくるようなアルバムになっていました。

そもそも1曲目「Dumbest Girl Alive」はトラップ的な要素を取り入れたHIP HOP風の作品からスタートしたかと思えば、2曲目の「757」は強いビートを聴かせるエレクトロチューン。かと思えば「Hollywood Baby」ではヘヴィーなギターリフが軸となっているロッキンなナンバーになっており、さらに続く「Frog On The Floor」はタイトルからしてユニークですが、前曲から一転、軽快でコミカルなポップチューンに仕上がっています。

その後も「Doritos&Fritos」も疾走感あるエレクトロチューンなのですが、エレクトロのピコピコサウンドがどこかコミカル。しかし、次の「Billy Knows Jamie」では一転してヘヴィーなギターリフとラップのミクスチャーロック風、「One Million Dollars」も同じくヘヴィーなエレクトロビートが展開されるナンバーと、ある意味、ジェットコースター的な展開が続きます。

後半の「The Most Wanted Person In The United States」もダウナーながらも様々な音をサンプリングしたユーモラスな楽曲に。さらに「I Got My Tooth Removed」は再びどこかコミカルなスカパンクのナンバーになったかと思えば、ラストを締めくくる「mememe」は再びダイナミックなバンドサウンドとエレクトロサウンドのロックチューンに。こちらもポップなメロディーとサウンドがどこかコミカルさを感じさせます。

アルバムは10曲入りながらも27分弱という短さになっており、このバラエティー富んだ音楽性もあり、次々と一気に展開しており、息つく暇もない内容に。ある意味、バラバラな音楽性ではあるのですが、それをポップなメロディーラインと1曲あたり3分弱という曲の短さという勢いで補っている感のある作品で、違和感を覚える隙もありません。勢いで一気に展開するような構成ではあるものの、ただ1曲1曲は様々な音楽性を上手く咀嚼してポップにまとめあげており、そこに彼らの実力も感じました。

ポップでコミカルな作風なだけに、幅広いリスナー層にも支持を得そうな半面、自由度も高い宅録的なサウンドはいかにもインディーポップといった感もある作品。なによりも難しいこと抜きに聴いていて素直に「楽しい!」と思える作品で、そういう意味では理想的なポップアルバムと言えるでしょう。個人的にもはまりましたし、年間ベストクラスの傑作アルバムだと思います。広い層の方に素直にお勧めできる1枚です。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Radical Romantics/Fever Ray

もともと、スウェーデンのエレクトロ・デゥオThe Knifeのメンバーであったカリン・ドレイヤーが、The Knife解散後スタートさせたソロ・プロジェクトFever Rayの最新作。どこか不気味でダークさも感じさせる雰囲気を漂わせつつ、強いビートのエレクトロサウンドが特徴的。一方で、全体的にリズミカルで聴きやすく、ダークな雰囲気とは裏腹に意外とポップな作風になっています。ジャケット写真もどこかホラーテイストですが、一方でどこか人なつっこさも感じられますが、そんなジャケット写真にマッチしたような内容になっていました。

評価:★★★★★

Oh Me Oh My/Lonnie Holly

アメリカはアラバマ州バーミンガムに居を構えるミュージシャン。彼は自らの自宅の敷地に廃材や廃棄物を持ち込み、それを元に美術作品として制作活動も行っているそうです。それだけなら日本の「ゴミ屋敷」と一緒で、実際、退去を求められたこともあるようですが、ところが彼の作品は美術的にも高い評価を受けて、バーミンガム美術館をはじめ、アメリカの数多くの美術館にも展示されているとか。そんな文字通り「アーティスト」な彼の音楽作品は、ソウルやファンクを軸にしつつ、ギターロックのナンバーも顔を覗かせる、ジャンクさを感じさせる作品になっています。全体的にしゃがれ声の力強い作風も魅力的。渋さと同時にどこか感じるポップなジャンク感も魅力的な作品でした。

評価:★★★★★

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2023年4月10日 (月)

「KING」を超えて「GOD」に

Title:GOD Deluxe Edition
Musician:忌野清志郎

忌野清志郎が2005年にリリースしたソロアルバム。このたび、シングル及びレア音源をまとめたDisc2と、当時のカウントダウンジャパンのライブ映像などを収録したDVD/Blu-rayをまとめたデラックスエディションとしてリリースされました。

本作については、リアルタイムで聴いており、その当時の感想も当サイトでアップしていました。既に旧サイトは閉鎖しているのですが、手元パソコンに残っている過去ログでこのアルバムの感想をあらためて読んだのですが・・・あまりに稚拙な感想だったので今回は再アップはやめておきました。以前、「KING」のデラックスエディションをここでも取り上げたのですが、その時と一緒ですね・・・。

そんな訳で、本作を聴くのは発売当初にリアルタイムで聴いて以来なのですが、久々に聴くと、本作、こんなに素晴らしい傑作だったのか!!と驚いてしまいました。実はリアルタイムで聴いた時の感想はさほど高い評価ではなかったんですよね。ただ、それもその頃の私の音楽的な知識の拙さが大きな要因だったのですが。

前作「KING」もルーツ志向の強いアルバムでしたが今回のアルバムも彼のルーツ志向が非常に強い作品に仕上がっていました。まず1曲目「ROCK ME BABY」から、非常に分厚く「黒い」ホーンセッションをバリバリと聴かせる、ストーンズ張りのロックンロールからスタートします。「仕草」は哀愁たっぷりのムーディーな雰囲気で、ホーンセッションを聴かせつつ、フォーキーな要素も。「REMEMBER YOU」は60年代のポップソングを彷彿とさせるメロディアスで切ない曲調に仕上がっています。

タイトルチューン「GOD」もホーンとピアノで爽快なロックチューンに仕上げていますし、それに続く「KISS」もホーンセッションとギターでミディアムチューンのソウル風のナンバーに。「サイクリング・ブルース」もタイトル通りのブルースナンバーをしんみりと聴かせてくれます。

このアルバムは彼のプライベイトスタジオ「ロックン・ロール研究所」で1年かけて制作されたそうで、それだけの力の入れようも感じます。特にバックのホーンセッションやピアノのサウンドが非常に「黒さ」を醸し出しており、彼が大きな影響を受けたサザンソウルのサウンドの持つ、ザラザラ感をそのまま再現しています。そしてこのサウンドをバックにしているからこそ、アルバム全体として彼が影響を受けたロックンロールやソウル、ブルースからの影響を強く感じさせます。

一方、歌詞についても彼らしさが存分に発揮されており、この点は前作「KING」以上に社会派な歌詞が多い作品に。なんといっても「ママもうやめて」は児童虐待について取り上げたという、かなりヘヴィーなナンバー。「GOD」についても、「神」の存在をアイロニックに表現しており、このような歌詞は間違いなく彼のルーツであるブラックミュージックでは登場しないでしょう。

そしてラストを締めくくる「JUMP」。間違いなく忌野清志郎の曲の中でも指折りと言える傑作。切なさと明るさを同居させたメロディーも印象的ですし、社会情勢をユニークに切り込みつつ、一方では非常に前向きな歌詞も印象に残ります。もう文句のつけようのない締めくくりとなっています。

この時、キヨシローは54歳。既に言わずと知れた「レジェンド」と言える位置にいるミュージシャンでした。それにも関わらず、このアルバムは、彼にとって最高傑作では?とすら思えるほどの勢いのある充実したアルバムに仕上がっていました。

ちなみにDisc2のシングル&レア音源集ももちろんよかったですが、こちらは前作「KING」のボーナスディスクのライブ音源に比べると、ちょっと物足りなかったかな。ただそれを差し引いても、十分楽しめる内容ではありましたが。

あらためて忌野清志郎というミュージシャンの偉大さを感じることが出来る傑作アルバム。この次のアルバムが生前リリースした最後のオリジナルアルバムとなってしまうのですが、この段階でこれだけ脂ののったアルバムを作り上げており、あまりにも早かった彼の死を非常に残念に感じました。

評価:★★★★★

忌野清志郎 過去の作品
入門編
忌野清志郎 青山ロックン・ロール・ショー2009.5.9 オリジナルサウンドトラック
Baby#1
sings soul ballads
ベストヒット清志郎
COMPILED EPLP ~ALL TIME SINGLE COLLECTION~
KING Deluxe Edition


ほかに聴いたアルバム

Not Unusual/阿部真央

途中、カバーアルバムを挟んだため、オリジナルとしては実に約3年ぶりとなるあべまのニューアルバム。いままでギターの弾き語りスタイルだった彼女が、今回のアルバムでは主軸の楽器をピアノへとシフト。さらに全体としてバラードナンバーでしんみり聴かせるようなアルバムに。より大人になったような落ち着いた作風になっている一方、歌詞を含めて良くも悪くも大人しめの作風はちょっとパンチの弱さも感じます。とはいえ、次の一歩を歩みだすには必要な1枚とも言えるかもしれない本作。これからの彼女の動向も注目です。

評価:★★★★

阿部真央 過去の作品
ポっぷ
シングルコレクション19-24
おっぱじめ
Babe.
YOU
阿部真央ベスト
まだいけます
MY INNER CHILD MUSEUM

花降る空に不滅の歌を/a flood of circle

こちらは約1年3か月ぶりとなる新作。a flood of circleと言えば、アルバム毎に出来不出来の差が激しく、特にポップ路線にシフトした時は駄作率が高くなってしまっていました。前作「伝説の夜を君と」もポップ路線に走った結果、正直今一つだったので今回はどうか・・・と思っていたのですが・・・これが快心作とも言うべき傑作になっていました。特に疾走感あるギターロックを主軸としつつ、メロディーラインはほどよくポップ。ポップなメロとハードなサウンドをほどよく融合させたスタイルとなっており、前々作「2020」はまさにそんなポップとハードを上手く融合させた傑作になっていただけに、それに続く傑作になっていました。この路線を次回作以降も維持できれば良いのですが・・・ともかく、このアルバムに関しては彼ららしさが文句なしに発揮されていた傑作です。

評価:★★★★★

a flood of circle 過去の作品
泥水のメロディー
BUFFALO SOUL
PARADOX PARADE
ZOOMANITY
LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL
FUCK FOREVER
I'M FREE
GOLDEN TIME
ベストライド
"THE BLUE"-AFOC 2006-2015-
NEW TRIBE
a flood of circle
CENTER OF THE EARTH
HEART
2020
GIFT ROCKS
伝説の夜を君と

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2023年4月 9日 (日)

二律背反的な立場もユニーク

今日は最近読んだ音楽関連の書籍の紹介です。

ミュージシャンであり、最近では週間文春の「考えるヒット」の連載などで音楽評論家としても活躍している近田春夫の新刊。60年代後半に日本のヒットシーンで一世を風靡した音楽のムーブメント、グループサウンズについて取り上げた、著書名もそのまま「グループサウンズ」。もともと、近田春夫はグループサウンズに造詣が深いのですが、ある意味、そんなシーンを総括するような1冊となっています。

グループサウンズとジャンルは、もともとベンチャーズやビートルズ、ローリング・ストーンズといった欧米のギターロックに強い影響を受け、数多くのバンドが誕生したことがそのきっかけになっています。そのようにして登場した多くのバンドは、いずれも欧米の音楽シーンの強い影響を受け、洋楽テイストの強いロックを演奏して人気を博していました。そんなシーンに目をつけて、当時のレコード会社はそんなバンドをデビューさせたのですが、ところが、そうやってデビューさせた曲は、当時の歌謡界の大物作家に作詞作曲をさせたような歌謡曲そのものの楽曲。本来は、洋楽志向の強いバンドだったにも関わらず、グループサウンズのブームの中で、楽曲は歌謡曲に無理やりよせられて、「つまらない歌謡曲」を歌わざるを得なかった・・・これがグループサウンズに対する評論家的な見方となっています。

一方で、一般的に「懐かしのグループサウンズ」という扱いをされる時は、そのような見方は全く加味されません。むしろ歌謡曲に無理やりよせられて歌わされた「ヒット曲」をノルタルジックな感情たっぷりに取り扱われるのがもうひとつのグループサウンズの見方・・・こちらの見方の方が一般的ですし、なおかつ多数派の見方であることは間違いないでしょう。

本書が非常にユニークだったのは文春新書という媒体で、前者のような見方を求める音楽ファン層ではなく、後者のような見方をもとめる一般層を対象としつつ、しかし近田春夫の論調としては、むしろ前者のような見方が色濃く記載されている内容となっている点でしょう。前者のような「音楽ファン向け」では、通常、むしろB級とされるようなバンドがよく取り上げられるのに対して、本書で取り上げられているのはスパイダーズ、ブルーコメッツ、ザ・タイガース・・・といったいわばグループサウンズブースの中心にいた売れ線バンドばかり。それにも関わらず、近田春夫はそんなバンドの「売れ線」のヒット曲をつまらないと切って捨てて、そんなバンドが背後に抱えていた洋楽からの影響について積極的に分析しています。

さらに近田春夫自身、音楽的な観点からは決してグループサウンズを評価していない部分も見受けられます。本書でもGSが短命だった理由として「音楽そのものに対する研究の度合いが浅かった」と切って捨てています。ただ一方で、同じ文脈で、GSについて「軽佻浮薄なところこそ、俺なんかはどうしようもなく惹かれているんだけどさ(笑)」と語っています。ここらへん、本書の中でバンドの音楽性について分析しつつ、一方ではそんな部分から切り離された軽佻浮薄な点に惹かれるという、ある種の二律背反性が非常にユニークに感じました。これだけ売れ線バンドを取り上げつつ、「近田春夫の選ぶGS10曲」の冒頭が、あの山口富士夫が参加していたことでカルト的な人気を博しているB級GSバンド、ザ・ダイナマイツの曲ですしね・・・。

ただもちろん、バンド評については、近田春夫らしいユニークな切り口で分析しつつ、かつ「歌謡曲」という文脈で語られる場合には無視される洋楽からの影響についても分析されているため、非常に立体的なバンド像が浮かび上がってきます。単なる売れ線バンド、歌謡曲バンドではなく、「ロックバンド」としてのグループサウンズの側面は、非常に興味深く、あらためて彼らの曲を聴いてみたくもなりました。

一方でちょっと残念だったのは、本書の作りとして、バンド毎での分析に力を入れられていたため、グループサウンズブーム全体の流れについては、少々つかみにくい内容になっていた点でした。それこそグループサウンズブームをリアルタイムで体験していたような層を対象にしたからこそ、全体的な流れについては、いまさらあえて触れなかったという可能性もあるのですが、私のようにグループサウンズブームを「知識」としてしか知らない層には、もうちょっと全体の流れについて説明が欲しかったかな、という印象も受けました。

そんなマイナス要素もありつつも、ただ全体としては、グループサウンズについて「ヒット曲」しか知らないような層をターゲットに加えつつも、音楽ファンにとっても読みごたえのある内容になっていたと思います。読んでいて、あらためてここで紹介されているような曲についてチェックしたくなった1冊。グループサウンズ、引いては60年代後半の日本のミュージックシーンについて知りたい方には最適な新書本でした。

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2023年4月 8日 (土)

今回もいつものGorillaz

Title:Cracker Island
Musician:Gorillaz

ご存じ、blurのデーモン・アルバーンと、ヴィジュアル面を手掛けるジェイミー・ヒューレットの共同プロジェクトであり、ヴァーチャルバンドであるGorillaz。既に結成から25年を経過して、「バンド」としてすっかり定着した彼ら。今年はサマソニへのblurの出演が決定するなど、デーモンはblurとしての活動を再開させるようですが、Gorillazについても、いまだに積極的な活動を進めているようで、約3年ぶりにニューアルバムがリリースされました。売上的にも全英チャートで1位を獲得したほか、アメリカビルボードチャートでも3位を獲得するなど、ここに来て、まったく衰えを見せていません。「バンド」としてすっかり定着したといっていいでしょう。

基本的にそんなGorillazのニューアルバムは、方向性としてはいままでの彼らのアルバムと同じ。様々なミュージシャンとのコラボを行いつつ、デーモンの興味がある音楽をどんどんと繰り広げていくスタイルになっています。まず冒頭はいきなりタイトルチューン「Cracker Island」からスタート。こちらはここでも何度も取り上げているベーシストのThundarcatとのコラボ。軽快なエレクトロチューンとなっているのですが、楽曲の中に加えられたAOR的な要素がThundercatらしい感じ。彼がプレイするファンキーなベースサウンドも非常にカッコいい楽曲となっています。

続く「Oil」ではフリートウッド・マックのメンバーでもある女性シンガー、スティーヴィー・ニックスとコラボ。こちらはテンポよくメロディアスなエレクトロポップスに仕上がっていますし、Adeleye Omotayoとのコラボ「Silent Running」ではメランコリックに聴かせるナンバーに。こちらもニューウェーヴ風のエレクトロアレンジが印象的な楽曲となっています。

中盤「New Gold」ではTame Impalaとコラボ。こちらは音楽性をコラボ先に寄せたような、軽快なエレクトロダンスチューンに仕上がっていますし、Bad Bunnyとコラボした「Tormenta」も、こちらもコラボ先に寄せるような軽快なラテン風のポップチューンに。Bad Bunnyのメロウでリズミカルなラップも印象的な楽曲となっています。

そしてラストを締めくくる「Possession island」は、BECKとのコラボ。ピアノも入って実に美しいメロディーラインを聴かせてくれるドリーミーな楽曲。アコースティックな様相を保ちつつ、後半にホーンも入ってくるなど、何気に幾重にも重ねられたサウンドが印象的な作品に仕上がっています。

そんな様々なミュージシャンとコラボしつつ、そのコラボ先のミュージシャンの音楽性も取り込んで、自由度も高くバラエティーに富んだ本作。もちろん一方ではデーモン本人のメロディーセンスもしっかりと光っており、「Skinny Ape」のようなメロディアスでポップな作品も顔を覗かせますし、ポップなメロディーラインを聴かせてくれるからこそ、バラエティー富んだ作品に統一感もあり、また小難しさを感じることなく最後までポップなアルバムとして楽しめる作品になっていました。

全体的にはいつものGorillazのアルバムといった印象で、決して目新しさはある訳ではありません。ただ一方で、デーモンの実力がしっかり反映された作品になっており、リスナーとして十分な満足感を得られる傑作だったと思います。blurとしての活動もさることながらGorillazでもこれだけの傑作を聴かせてくれるとは、あらためて彼の実力を実感できた1枚でした。

評価:★★★★★

GORILLAZ 過去の作品
D-Sides
Plastic Beach
THE FALL
The Singles Collection 2001-2011
Humanz
The Now Now
Song Machine: Season One – Strange Timez

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2023年4月 7日 (金)

2人くるり、再び

Title:愛の太陽 EP
Musician:くるり

くるりのニューアルバムは6曲入りとなるEP盤。彼らにとってEP盤は2016年にリリースされた「琥珀色の街、上海蟹の朝」となります。ただ今回はEP盤といっても初回盤にはボーナスCDとして、映画「ちひろさん」のサントラ盤がついてくるほか、「くるりライブツアー2022 at Zepp Haneda, 2022.08.04」及び「京都音楽博覧会2022 at 京都梅小路公園, 2022.10.09」の模様をおさめたDVD/Blu-rayもついてくる仕様となっています。

さて、2021年3月にファンファンが脱退し、再び岸田繁と佐藤征史の2人体制となったくるり。今回のアルバムは2人体制のくるりとなって初となる音源となるのですが、その結果、ポップなメロディーに主軸を置いた、非常にシンプルなアルバムに仕上がっていました。

本作に流れてくるのは、決して派手ではないものの暖かみのあるメロディーラインを持った歌。基本的にバンドサウンドをバックに聴かせるものの、こちらもシンプルなギターサウンドであり、決して奇をてらったものではありません。まず表題曲「愛の太陽」はイントロこそギターサウンドが印象的に聴かせるものの、メロディーラインは暖かさとどこか感じるメランコリックさが大きな魅力。「Smile」「ポケットの中」は爽やかさも感じるメロディーラインは「魔法のじゅうたん」あたりの楽曲を彷彿とさせます。

「八月は僕の名前」はピアノをバックにゆっくり歌い上げるスタイルはくるりの中ではちょっと珍しいスタイルかも。ただサビはしっかりと分厚いギターサウンドの中、優しく歌い上げるスタイルはやはりくるりらしさを感じます。同じく「宝探し」もメロディアスなギターロックの暖かみを感じさせるナンバー。最後の「真夏日」はギターとピアノでゆっくりフォーキーに聴かせる作風で、郷愁感もある楽曲は、比較的初期のくるりを彷彿とさせるナンバーとなっていました。

そんな訳で今回のアルバムはメロディー主体のシンプルな作品となっており、くるりとしての目新しさはあまり感じません。ただ、くるりというと、ともすればアルバム毎にスタイルを変えるその幅広い音楽性に注目されがちなのですが、一方で間違いなく大きな魅力なのが岸田繁の書くメロディーライン。決して派手さはないのですが、何気に彼の書くメロディーラインは天性のものであり、個人的にはもっと評価されるべき才能の持ち主だと思っています。今回のアルバムでは、そんな岸田繁の書く「歌」の魅力が、より強調された作品になっているように感じました。

思えば以前、2人組体制だったくるりも、当初は「ワルツを踊れ」のような比較的、実験性の高いアルバムからスタートしたものの、徐々にシンプルなポップ路線にシフトしていった印象があります。その結果たどり着いた傑作が、2人くるりの最後のアルバム「言葉にならない、笑顔を見せてくれよ」でした。そして今回のアルバムは、その傑作を彷彿とさせましたし、また、再び、2人組となった彼らは、「言葉にならない~」の地点からスタートした、そんな印象を受けるアルバムになっていました。

ちなみに同時収録の映画「ちひろさん」のサントラは、こちらも比較的アコースティックでシンプルなサウンドが特徴的。もちろん、映画の世界観にあわせた曲調だとは思うのですが、一方でくるり岸田繁の興味が、変に凝った「挑戦的」な作風ではなく、こういうシンプルな音の世界に移っているのかもしれません。

2人くるりの再スタート地点として今後を占うアルバムとして興味深い今回のEP盤。その結果として非常にシンプルな「歌」を主軸としたアルバムが登場してきた点、今後のくるりはこの路線の延長を進むことが予想されます。それとも逆に、再び新メンバーが加入し、多彩なバンドサウンドを強調するスタイルに再びシフトする可能性も・・・。いろいろと今後については考えてしまいますが、一方でこの新作が傑作なのは間違いありません。個人的には、この路線で1枚、フルアルバムを聴きたい印象も。今年はメジャーデビューから25年(!)目の年になるのですが、ベテランになった彼らの今後に、これからも目が離せなさそうです。

評価:★★★★★

くるり 過去の作品
Philharmonic or die
魂のゆくえ
僕の住んでいた街
言葉にならない、笑顔を見せてくれよ
ベスト オブ くるり TOWER OF MUSIC LOVER 2
奇跡 オリジナルサウンドトラック
坩堝の電圧
くるりの一回転
THE PIER
くるりとチオビタ
琥珀色の街、上海蟹の朝
くるりの20回転
ソングライン
thaw
天才の愛


ほかに聴いたアルバム

カネコアヤノ 単独演奏会 2022 秋 - 9.26 関内ホール/カネコアヤノ

Kanekolive2022

タイトル通り、カネコアヤノがアコースティック形式で行うライブの模様を収録した配信限定のライブアルバム。アコースティックギター1本で力強く歌い上げる作品。非常にシンプルな形態なだけに、カネコアヤノの楽曲自体の良さがストレートに伝わるライブ盤。先日、はじめて見たライブ形式のライブも素晴らしかったのですが、単独演奏会のスタイルのライブも一度見てみたいなぁ。

評価:★★★★★

カネコアヤノ 過去の作品
燦々
燦々 ひとりでに
よすが
タオルケットは穏やかな

恋を知っているすべてのあなたへ/SHISHAMO

CDデビュー10周年を記念してリリースされた「恋」にまつわる歌を集めたコンセプトアルバム。2枚組のアルバムで、1枚目は「恋の喜びを知っているあなたへ」と題して明るいラブソングが、2枚目は「恋の痛みを知っているあなたへ」として切ないラブソングが収録されています。バンドサウンドも歌詞も全体的にシンプルな味付けが特徴的で、そのシンプルさがひとつの魅力だと感じながらも、正直、サウンドにしろ歌詞にしろ、もうひとひねり欲しいのではないか、と思ってしまうところも・・・。

評価:★★★★

SHISHAMO 過去の作品
SHISHAMO 3
SHISHAMO 4
SHISHAMO 5
SHISHAMO BEST
SHISHAMO 6
SHISHAMO 7
ブーツを鳴らして-EP

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2023年4月 6日 (木)

SSW対決

今週のHot Albums

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

最近はアイドル系の目だったHot Albumsでしたが、今週は上位にシンガーソングライターのアルバムが並びました。

そんな中で1位を獲得したのが優里「弐」。CD販売数2位、ダウンロード数1位。ご存じ「ドライフラワー」が大ヒットを記録したシンガーソングライターの2枚目のアルバム。2枚目のアルバムもヒットを記録しており、しっかりと「曲」ではなく「歌手」にファンがついたようです。オリコン週間アルバムランキングでも初動売上2万5千枚で2位初登場。前作「壱」の初動売上3万7千枚(4位)からはダウンしましたが、大ヒット作が収録された「壱」の次のアルバムとしては健闘した結果と言えるでしょう。

2位にはaiko「今の二人をお互いが見てる」が初登場。CD販売数はこちらが1位だったもののダウンロード数は4位となり総合順位は2位となりました。オリコンでは初動売上3万枚でこちらが1位獲得。前作「どうしたって伝えられないから」の初動4万6千枚(2位)からダウンしています。

3位には蓮ノ空女学院スクールアイドルクラブ「Dream Believers」が初登場。アニメキャラによるアイドルプロジェクト「ラブライブ!」シリーズに登場する架空のアイドルグループによるデビューミニアルバム。CD販売数3位、ダウンロード数11位。オリコンでは初動売上9千枚で5位初登場。

続いて4位以下の初登場盤です。まず4位にはExWHYZ「xANADU」がランクイン。WACK所属の女性アイドルグループ。4月1日リリース予定のアルバムからの先行配信となります。ダウンロード数で2位にランクインし、総合順位もこの4位にランクインです。

6位にはクリープハイプ「だからそれは真実」が初登場。CD販売数4位、ダウンロード数41位。5曲入りのEP盤。オリコンでは初動売上7千枚で6位初登場。直近のフルアルバム「夜にしがみついて、朝で溶かして」の初動売上1万4千枚(3位)からはダウンしています。

8位初登場は韓国の男性アイドルグループEXOのメンバーKAIによるEP盤「Rover」。CD販売数6位。オリコンでは初動売上4千枚で12位初登場。前作のEP「Peaches」は最高位14位でその時の売上枚数が5千枚でしたので、その時点の週間売上枚数は下回っています。

9位にはZIPANG OPERA「風林火山」がランクイン。CD販売数7位、ダウンロード数18位。LDH所属の4人組ダンスグループによる2枚目のアルバム。オリコンでは初動売上4千枚で10位初登場。前作「ZERO」(8位)から横バイとなっています。

最後10位にはFUNKY MONKEY BΛBY'S「ファンキーモンキーベイビーズZ」がランクイン。2000年代に人気を博し、2013年に解散した3人組ユニットFUNKY MONKEY BABY'Sでしたが、実家の住職を継いだDJケミカルを除くファンキー加藤とモン吉の2人組となって復活。本作は復帰後初のアルバムとなります。オリコンでは初動売上4千枚で9位初登場。解散前のラストアルバム「ファンキーモンキーベイビーズ5」の初動8万枚(2位)から大きくダウンしています。

一方、今週はベスト10圏外からの返り咲きも。「ポケモンTVアニメ主題歌 BEST of BEST of BEST 1997-2023」が先週の21位から7位に大きくランクアップ。2月8日付チャート以来、8週ぶりのベスト10ヒットとなりました。こちらはおそらく初回限定盤が再発された影響かと思われます。ポケモンの高い人気をあらためて実感する結果となりました。

今週のHot Albumsは以上。チャート評はまた来週の水曜日に!

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2023年4月 5日 (水)

アイドルソングが上位を占めるも、ロングヒットもランクアップ

今週のHot100

http://www.billboard-japan.com/chart_insight/

今週はまた1位2位にアイドルグループが並んでいます。

まず1位初登場は韓国の男性アイドルグループTREASURE「Here I Stand」。CD販売数及びラジオオンエア数2位、ダウンロード数73位、ストリーミング数17位。オリコン週間シングルランキングでは初動売上23万5千枚で2位初登場。本作が国内版では初のシングル曲となります。

2位は女性アイドルグループ乃木坂46「人は夢を二度見る」が先週の56位からCDリリースに合わせてランクアップし、ベスト10初登場。CD販売数では1位を獲得した一方、ダウンロード数12位、ラジオオンエア数26位、YouTube再生回数78位、その他は圏外となり、総合順位では2位初登場。オリコンでは初動売上51万6千枚で1位初登場。前作「ここにはないもの」の初動売上65万3千枚(1位)からダウンしています。

3位はOfficial髭男dism「Subtitle」が先週から同順位をキープ。ストリーミング数は24週連続の1位。YouTube再生回数は6位から5位にアップ。一方、ダウンロード数は7位から8位にダウンしています。これで25週連続のベスト10ヒット&通算24週目のベスト3ヒットとなりました。

続いて4位以下の初登場曲ですが、4位以下の初登場曲は今週は1曲のみでした。それが8位初登場の優里「ビリミリオン」。今年1月のリリースから徐々に順位を上げて、11週目にしてベスト10に初登場しました。ストリーミング数4位、YouTube再生回数13位、カラオケ歌唱回数40位。若さはお金に換えられず、何者に増して素晴らしいと歌う歌詞は、藤子・F・不二雄先生の「未来ドロボウ」に類似している感はあるのですが、この手のモチーフはネタとしてはよくあるみたいで・・・ただ、正直、ちょっと歌詞が説明口調すぎる感じが個人的にはかなりのノイズに感じられました。

そしてロングヒット曲ですが、今週は初登場が少なかった影響で、ロングヒット曲のランクアップが目立ちました。まずVaundy「怪獣の花唄」は4位をキープ。ストリーミング数は3週連続の2位、カラオケ歌唱回数は5週連続の1位をキープ。ダウンロード数は19位から15位、YouTube再生回数も13位から12位にアップしています。これで13週連続のベスト10ヒットとなりました。

米津玄師「KICK BACK」は7位から5位にアップ。ストリーミング数は4位から5位にダウンしましたが、ダウンロード数は23位から19位、YouTube再生回数も11位から10位にアップしています。これで25週連続のベスト10ヒットに。ちなみに先週2位にランクインした「LADY」は7位にダウン。2週連続で2曲同時ランクインとなりましたが、「LADY」はロングヒットに至らなさそうです。

先週まで2週連続9位だった10-FEET「第ゼロ感」は今週6位に再度ランクアップ。ストリーミング数は6位から7位、ダウンロード数も5位から7位にダウンしていますが、YouTube再生回数は19位から16位にアップ。これで17週連続のベスト10ヒットとなりました。

さらに今週、なとり「Overdose」が先週の11位から10位にランクアップ。2週連続のベスト10返り咲きとなりました。ストリーミング数は7位から8位にダウンしているものの、YouTube再生回数は3位から2位にアップ。これで通算17週目のベスト10ヒットとなりました。

今週のHot100は以上。明日はHot Albums!

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2023年4月 4日 (火)

貴重な音源がついにオフィシャル・リリース

Title:The Legendary Typewriter Tape:6/25/64 Jorma's House
Musician:Janis Joplin & Jorma Kaukonen

1960年代後半に活躍し、1970年に、わずか27歳という若さでこの世を去ったミュージシャン、ジャニス・ジョプリン。本作は、そんな彼女が若き日に録音した伝説の宅録音源がオフィシャル・リリース、ということで大きな話題となっています。この作品は、のちにジェファーソン・エアプレインに加入することになるギタリスト、ヨーマ・コーコネンとの共作となる作品。この時期、よくヨーマと共演していたジャニス。1964年にサンフランシスコのノース・ビーチで行われるショーでも共演することになり、その前にヨーマの自宅でリハーサルを行ったそうで、その時に、リハーサルの模様をなんとなくオープン・リールに録音したのがこの音源だそうです。

内容的には完全なデモ音源で、ヨーマの妻がタイプライターを叩く音もそのまま収録されている本作。その後、この音源が流出した時には、このタイプライターの音から「ザ・タイプライター・テープ」と名付けられたそうです。ただ、ファンの間で出回ったブートレグ音源は非常に音質が悪かったそうですが、このたび、この音源がオフィシャル音源として正式にリリース。リマスタリングもされて、非常にクリアな音質の作品に生まれ変わっています。

トラックは全8トラックなのですが、うち2トラックはこの日の会話を収録したもの。全6曲が収録されており、そのうち1曲を除いて、ブルースのスタンダードナンバーをカバーした作品となっています。バックにヨーマの妻が、演奏も気にせずタイプライターを叩いていることからもわかるように、全体的に非常にリラックスした雰囲気での演奏となっています。会話のトラックがそのまま残されているあたりも、そのリラックスした当日の空気がそのまま伝わってくるから、ということなのでしょうか。

そしてこのアルバム、なによりも耳を奪われるのが、言うまでもなくジャニスの歌声でしょう。まだビック・ブラザーとしてデビューする前であり、後の彼女のボーカルと比べると、やはりどこか若々しく、粗削りな部分も感じられるものの、この時点でそのボーカルには一種のすごみすら感じさせます。

序盤「Trouble in Mind」「Long Black Train」としゃがれ声を含ませつつ、非常に力強いボーカルがまずは魅力的。かと思えば、「Kansas City Blues」では一転、軽やかに歌い上げます。日本で「歌がうまい」というと、ともすればパワフルでこれでもかというほど声量を利かせたボーカルで歌い上げただけ、というパターンがよくありがちなのですが、彼女のボーカルは決して声量のみに頼るのではなく、緩急つけるボーカルを聴かせてくれます。そしてそのボーカルスタイルがこの時期に既に出来上がっていることを感じさせます。

その後も「Hesitation Blues」ではどこか気だるげな感じに切なさを感じられ、胸をグッとつかまされますし、続く「Nobody Knows You When You're Down and Out」も同様。歌声の向こうに感じられる哀愁感に胸をうつこと間違いありません。ラストの「Daddy,Daddy,Daddy」も、ヨーマとの掛け合いがありつつ、リラックスした雰囲気で軽やかに、しかし力強さも併せ持ちながら歌い上げています。

彼女のボーカルはもちろん、バックで奏でるヨーマのブルースフィーリングあふれたギターも非常に魅力的。ただ、ジャニスのボーカルにより、ブルースのスタンダードナンバーながらも、しっかりとジャニスの曲に染め上げられている点も印象的で、後の彼女の作品と比べると、まだまだ彼女のボーカルスタイルは定まっていない部分はあるものの、この時点で彼女のボーカリストとしての力量に圧倒される内容になっています。

事実上、わずか6曲とはいえ、非常に貴重な音源と言える本作。間違いなくジャニスの魅力を感じられる1枚だと思います。あらためてジャニス・ジョプリンの実力に圧倒された作品でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Red Moon In Venus/Kali Uchis

2018年にリリースしたデビュー作「Isolation」も大きな話題となったコロンビア出身アメリカ・ヴァージニア州育ちの女性ソウルシンガーによる3枚目のアルバム。ハイトーンボイスでメロウに聴かせる音楽性が大きな魅力となっており、なによりも感情たっぷりに聴かせるそのボーカルに聴き惚れる作品に仕上がっています。本作では初となるビルボードチャートのベスト10ヒットを記録。これからさらに注目を集める予感のある作品です。

評価:★★★★★

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2023年4月 3日 (月)

期待のポストロックバンド

Title:Dogsbody
Musician:Model/Actriz

アメリカはニューヨーク・ブルックリンを拠点する4人組ロックバンド、Model/Actrizのデビューアルバム。エクスペリメンタルまたはポストロックにカテゴライズされるバンドのようです。デビュー作である本作の評判も非常に高いようで、今回、はじめてチェックしてみました。

そんな彼らの1曲目「Donkey Show」はまずは静かにスタート。ただバックには不気味でメタリックなサウンドが鳴り響いています。そして中盤から徐々にメタリックなサウンドが鳴り響きつつ、テンポのよいエクスペリメンタルのサウンドが徐々にその全貌をあらわしてくる・・・そんな楽曲に仕上がっています。

もっとも、この楽曲を含み、アルバム全体としてはメタリックなサウンドを前に出しつつも、しっかりとしたメロディーラインが流れており、比較的ポップで聴きやすい、そんな印象も同時に受けるアルバムとなっています。実際、続く「Mosquito」ではメタリックなノイズが切り刻まれるものの、疾走感あるリズムが楽曲にポピュラリティーを与えています。「Slate」も同様に打ち込みのリズミカルなビートに聴きやすいという印象を受けるのではないでしょうか。

その後も力強いバンドサウンドとエレクトロビートが印象的な「Amaranth」、リズミカルなビートから後半はノイジーなギターでダイナミックに構成される「Pure Mode」など、打ち込みのリズムを入れつつ、ヘヴィーなエクスペリメンタルのサウンドを導入している楽曲が並びます。ただ一方で、「Maria」「Sleepless」など、そんなサウンドの中にメランコリックなメロディーラインの歌を取り入れている曲もあり、このバランス感覚が見事。メランコリックな歌と、ヘヴィーながらダークなサウンドが微妙にマッチしている点がアルバムをユニークなものとしています。

そんなアルバムの流れからしてもラストの「Sun In」は静かなサウンドをバックに、場面によってはフォーキーという印象すら受ける歌モノで締めくくっている点もまたユニーク。最後までユニークな構成のアルバムになっていました。

ポストロックバンドとして、今、注目されているバンドにblack midiがありましたが、彼らがプログレの方向にシフトしていることを考えると、彼らはエクスペリメンタルからむしろポップの方向にシフトしているとも考えられる1枚。どちらにしろ、これがデビューアルバムなだけに、これからどんな感じに作風をシフトしてくるのか楽しみな感じはします。間違いなく、今後に注目したいバンドでしょう。

評価:★★★★★

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2023年4月 2日 (日)

いかにも「アフリカ」的な

Title:Work Hard
Musician:King Ayisoba

今回紹介するのは、キング・アイソバというガーナ北部はボロガタンガ出身のミュージシャン。ガーナのハイライフという音楽とヒップホップを融合させたヒップライフというジャンルで話題となったミュージシャン。前々作「Wicked Leaders」が「ミュージックマガジン誌」の2014年ワールドミュージックアルバムの年間1位に選ばれるなど高い評価を得ました。実は2017年にはアルバム「1000 Can Die」をリリースしていたのですが、それは聴き逃してしまっており、今回、2作ぶりに彼のアルバムをチェックしてみました。

その話題となった「Wicked Leaders」は「未来の民俗音楽」などという言い方をされるように、アフリカの民俗音楽的な要素をかなり強く感じるアルバムになっていました。そして今回のアルバムは、ある意味、その「Wicked Leaders」以上に民俗音楽的な意識の強い作品になっていたように思います。

そもそも1曲目を飾る「Good Things God Knows」もいきなり歌詞で「Africa Music!」と身も蓋もないような叫びを入れた、コールアンドレスポンスとトライバルなパーカッションを入れた、「いかにも」な作品になっていますし、2曲目の「Bossi Labome」も、伸びやかで哀愁感たっぷりのボーカルとコーラスのコールアンドレスポンスでトライバルな雰囲気を否応なく高めています。

彼のしゃがれ声のボーカルも楽曲のトライバルな雰囲気に間違いなく一役を買っています。なによりも「People Talk Too Much」の冒頭の叫び声などが印象的。「Tribe」でも力強いシャウトを聴かせてくれています。(そしてこの曲でも「Africa!」と叫んでいます)

日本人にとって、ちょっとユニークに感じるのが「Namba Sonne」ではないでしょうか。笛が軽快に鳴り響くリズミカルなナンバーなのですが、この笛の音色とリズムが完全に日本の祭囃子。遠いアフリカのガーナと日本が、なんだかの形で結びついた・・・というよりも偶然の一致だとは思うのですが、やはり心躍るようなリズムと笛の音色は万国共通なのでしょうか?

後半には打ち込みのリズムでリズミカルに聴かせる「Abome」や、同じく打ち込みのリズムにホーンセッションも入った「Kokoko Enter」のような、西洋的な部分を感じる曲も聴かせつつ、ただ最後までいい意味で典型的に「アフリカ」的なトライバルな要素を残し、最後まで聴かせてくれます。

彼の奏でる「トライバル」な要素は、ある種のベタさも感じるのですが、迫力あるリズムやそのシャウトにより、そんなベタさも含めて最後まで楽しめる作品だったと思います。ワールドミュージック、特にアフリカ音楽が好きならば間違いなく気に入りそうなアルバムです。

評価:★★★★★

King Ayisoba 過去の作品
Wicked Leaders


ほかに聴いたアルバム

Girl In The Half Pearl/Liv.e

Live

LAを拠点に活躍し、HIP HOPやジャズ、ソウルなどを融合した音楽が特徴的なシンガーの2枚目となるアルバム。全面的にエレクトロビートを導入。爽やかでリズミカルなビートを奏でつつ、フュージョンやジャズ、ドリームポップやR&Bなどの要素を取り入れた音楽性が大きな魅力。さらにこのアルバム、40分の長さに17曲が収録されており、この様々な音楽性を持った曲が次々と展開していくような構成になっており、その展開の速さに最後まで耳の離せないアルバムになっていました。

評価:★★★★★

Optical Delusion/Orbital

イギリスのテクノユニットOrbitalの約5年ぶりとなるニューアルバム。基本的には心地よいエレクトロビートを聴かせてくれる作品で、良くも悪くも典型的なテクノのアルバム。目新しさはないものの、Orbitalに期待するサウンドについてしっかりと壺をおさえてくれるようなアルバムになっており、いい意味で安心して楽しめる作品でした。

評価:★★★★

Orbital 過去の作品
Wonky
onster Exist

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2023年4月 1日 (土)

バンドとしての安定感が増した1枚

Title:Tank-top Flower for Friends
Musician:ヤバイTシャツ屋さん

約2年半ぶりとなるヤバTのニューアルバム。相変わらず「Tシャツ屋さん」であるにも関わらずタイトルやジャケットがなぜかタンクトップというユニークさは相変わらず。人気の面では一時に比べて若干落ち着いた感もありますが、昨年8月には(ちょっと意外だったのですが)初となる日本武道館ライブを成功させるなど、まだまだバンドとしての勢いを感じさせる活動となっています。

前作「You need the Tank-Top」ではいい意味でバンドとしての安定感を感じさせる作品となりました。メンバーもそろそろ30代。現在のメンバーとなって活動も来年では10年目ということで、そろそろ有望若手株から中堅人気バンドに脱皮していっている感もあります。そんな中でリリースされたニューアルバムですが、前作以上にいい意味でバンドとしての安定感を覚える作品になっていました。

まず前作以上に楽曲のバリエーションを感じさせます。アルバムの冒頭「Blooming the Tank-top」こそ、マキシマム ザ ホルモン直系のハードコアからスタートするのですが、「ちらばれ!サマーピーポー」は夏フェスを意識したような爽やかさも感じるギターロックナンバー。冒頭2曲はハードなナンバーが続いたかと思いきや、続く「dabscription」はメロウなAORナンバーとなっており、ヤバTのイメージとは少々異なるナンバーに驚かされるのではないでしょうか。

その後もヘヴィーなギターロックが並んだかと思いきや、「インターネットだいすきマン」のような脱力的なポップスが入ってきたり、「くそ現代っ子ごみかす20代」「職務質問~1日2回も~」のようなハードコアテイストの曲が入ったかと思えば、岡崎体育とのコラボで話題となった「Beats Per Minute 220」のような疾走感あるポップ色も強いギターロックが入ったり、前作同様、パンクロック、ギターロックの色合いが目立つ構成になっていたのですが、いい意味で緩急を感じさせるアルバム構成も魅力的で最後まで一気に楽しむことが出来ます。

歌詞も前作同様、以前の彼らのような「いかにも」な内輪的なネタは消えて、「ちらばれ!サマーピーポー」や「俺の友達が俺の友達と俺抜きで遊ぶ」のような、陰キャ思考の、広い層が同調できそうなネタの曲が並びます。アニメ「かいけつゾロリ」の主題歌「ZORORI ROCK!!!」がアルバムの中に入っていたのはちょっと意外。アニメの内容に沿った歌詞の曲なので、普通、オリジナルアルバムには収録されなさそうなタイプの曲なのですが、こういう曲もアルバムの中に違和感なく組み込めるのも彼ららしいといった感じでしょうか。

ちなみに、彼らの歌詞を聴いてちょっと思ったのですが、ヤバTって、というか作詞担当のこやまたくやって、女の子や友人と一緒のバンド組んでいるし、さらにそれが大成功しているし、普通に考えれば今どきの言葉でいえば「陽キャ」だと思うのですが、それでも、こういう陰キャ視点の曲の方が受けがいいというのは、「ぼっちざろっく」が人気を博するように、もう、ロックというのは「陰キャ」が聴くものになったのでしょうか・・・?今時の「陽キャ」はHIP HOPなのかなぁ?ま、この年齢(40代)の私にとってはどうでもいいことといえばどうでもいいことなのですが。

そんなことを考えつつ、ただアルバムとしては前作同様、いい意味で安定感が増して、いままでのいかにも若手的な内容から徐々に「大人」にシフトしつつあるようにも感じます。バンドとして、まだまだ変化し続ける途上のようにも感じされる彼ら。そんな成長の最中の1枚として聴きごたえもある傑作でした。

評価:★★★★★

ヤバイTシャツ屋さん 過去の作品
We love Tank-top
Galaxy of the Tank-top
Tank-top Festival in JAPAN
You need the Tank-top


ほかに聴いたアルバム

WINK TOGETHER/CHAI

Winktogether

2021年5月にリリースしたアルバム「WINK」収録曲を、世界5か国のミュージシャンとコラボしたリミックスアルバム。もともとがエレクトロ色が強いポップスアルバムだったこともあり、リミックスの方もエレクトロ色が強め。ただ、ZAZEN BOYSと組んだ「ACTION」のファンキーなサウンドが断然カッコよく、やっぱり彼女たちはバンドサウンド主体のロックな方面が似合っているように思うんだよなぁ・・・。次回作がどの方面に振り切れるのか気になるところなのですが・・・。

評価:★★★★

CHAI 過去の作品
PINK
わがまマニア
PUNK
WINK

Journey through the new door/BLUE ENCOUNT

4人組ロックバンドによる5曲入りのミニアルバム。ほどほど分厚いサウンドを聴かせるギターロックに、メランコリックさを加味したポップなメロディーラインは、良くも悪くも典型的なJ-POPバンドといったイメージ。ただ、楽曲的にはインパクトもあり、バンドとしての訴求力も感じさせます。ちなみにこの春から、ベースの辻村勇太が活動拠点をアメリカに移しながらも、脱退はせず、楽曲制作やレコーディングは一緒に行うとか。正直なところ、あまり海外向けのバンドといった印象はないのですが、アメリカでの活動がこのバンドにどのような刺激を与えるのか、楽しみな感じはします。

評価:★★★★

BLUE ENCOUNT 過去の作品

THE END
VECTOR
SICK(S)
Q.E.D

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