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2023年3月 5日 (日)

よりロックな局面を強調

カネコアヤノ Zepp Tour 2023”タオルケットは穏やかな”

会場 Zepp Nagoya 日時 2023年2月20日(月)19:00~

Kanekoayano1

個人的に、今、もっとも注目している女性シンガーの一人、カネコアヤノ。最新作「タオルケットは穏やかな」も傑作アルバムでしたが、それに続くツアーにも足を運んできました。会場はZepp Nagoya。最近注目のミュージシャン・・・とはいえ、決して万人受けしそうなタイプのミュージシャンでもないので、Zeppならそれなりに余裕をもって見られるのかなぁ、と思っていたのですが、すいません、見くびりました。Zepp Nagoyaは立席で超満員。その人気の高さを感じさせる客の入りとなっていました。

ステージは5分程度遅れただけでスタート。まずメンバーが登場すると、いきなり激しいジャムセッションからスタート。もともと、楽曲にヘヴィーなギターサウンドは加わっていたのですが、正直、かなり予想外に激しいライブのスタートとなりました。

そこからまずは「わたしたちへ」からスタート。最初は「カウボーイ」を挟んで「季節の果物」と、昔からの曲も挟みつつ、最新アルバムお曲がメインで進みます。その後も「やさしいギター」から「春」、「眠れない」といった展開でライブは続いていきました。

基本的にカネコアヤノのボーカルを中心として、バンドメンバー3人というシンプルなセット。このバンドメンバーの奏でるサウンドが非常に分厚く迫力があり、CD音源で聴くよりもヘヴィーなサウンドを聴かせてくれ、その演奏にも圧巻されるステージになっていました。ただ、それ以上にすごかったのがカネコアヤノのボーカル。もともと非常に声量のあるボーカリストだということはCD音源でもはっきりしていたのですが、ライブステージ上で、バンドメンバーの奏でる分厚い音に声が全く負けていません。ボーカルスタイルとしても、1曲1曲歌詞をかみしめるように歌うスタイルだっただけに、これだけ激しいバンドサウンドをバックにしつつ、歌詞の内容までしっかりと伝わってきます。彼女のボーカリストとしての実力を強く感じるステージになっていました。

その後の「愛のままを」ではまたヘヴィーなバンドサウンドを聴かせてくれたり、「こんな日に限って」でもサイケなサウンドで聴かせたりと、ロックな側面も非常に推し進めたステージになっていました。ステージもカネコアヤノ+メンバー3人のみとシンプルなセットになっていたのですが、照明もバックに電球のような光が並ぶだけという非常にシンプルなもの。メンバーの影も協調するようなステージは、なんとなく70年代あたりのアングラバンドのイメージを彷彿とさせます。そんな中で唯一、ちょっと凝っていたのが「月明かり」で、最初、動物の鳴き声からスタート。さらにパフォーマンス中はバックに回転灯が廻り、ちょっと不思議な空間を作り上げていました。

さらに「もしも」では歌詞の「小さなころのお前が」を繰り返してサイケ感を強めていたり、「車窓より」では激しいドラムソロを聴かせてくれたりと、楽曲のロックなイメージをより強調するようなパフォーマンスが続きます。逆に「花ひらくまで」では爽やかな雰囲気の曲を聴かせてくれており、ヘヴィーな展開が続いたライブの中でも大きなインパクトとなっていました。

ラストは「退屈な日々にさようならを」ではノイズで会場を埋め尽くし、ファンを圧巻したかと思えば、最後はアルバムの表題曲でもあり、ライブツアーのタイトルでもある「タオルケットは穏やかな」で締めくくり。こちらもヘヴィーなバウンドサウンドをこれでもかというほど聴かせてくれました。

そんな訳で、ライブは約1時間40分程度のパフォーマンス。バンドサウンドの演奏もさることながらも、それに負けない、力強いカネコアヤノのボーカルも非常に印象に残るステージでした。一方で、ライブの最中にMCは一切なし。最後に一言「ありがとうございました。」とだけ声を発してステージは終了しました。また、彼女自身、アコギ1本のみのアルバムもリリースしており、また、そのスタイルでのライブも行っているのですが、この日はそのようなパフォーマンスはありません。完全にバンドスタイルとアコースティックスタイルを切り離しているのですね。ただ、個人的には、今回のライブ、ある意味、同じようなスタイルの曲が続いていて、ちょっとメリハリが弱いようにも感じたので、途中、アコースティックなパフォーマンスを挟んでもよかったような気もするのですが、そこは切り離すというのが彼女のポリシーなんでしょうね。

より「ロック」な局面を強調した今回のパフォーマンス。カネコアヤノのボーカリストとしての実力も見せつけられた圧巻のステージだったと思います。彼女の才能をあらためて実感しました。次は、アコースティックスタイルのライブも見てみたいな。彼女の活躍はまだまだ続きそうです。

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