年齢を経たからこそ感じる魅力
Title:GRRR Live!
Musician:The Rolling Stones
2012年にバンド活動50周年を記念してリリースされたベストアルバム「GRRR」。その後、「50&カウンティングツアー」と題して北アメリカとヨーロッパで30回の公演を行いました。本作で収録されているのは、そのうち2012年12月15日に行われた、ニュージャージー州ニューアークのプルデンシャル・センターでのステージの模様をおさめたライブアルバムとなります。
まず、このライブアルバムの大きな特徴として、やはりベスト的な選曲の良さに目がいくでしょう。ベストアルバムリリース後のツアーで、ツアー自体も50周年を記念したツアーということもあって、彼らの代表曲を惜しみなくプレイしています。序盤から「It's Only Rock'N'Roll(But I Like It)」「Paint It Black」「Gimme Shelter」とキーラチューンの連続。さらに締めくくりも「Jumpin' Jack Flash」「(I Can't Get No)Satisfaction」と、おそらく会場でも大盛り上がり間違いなしの代表曲連続の選曲となっています。
ただ一方、ライブ盤を聴くにあたってちょっと気になったのは、失礼ながらもバンドメンバーが既に「おじいさん」とも言える年齢に達している点。この時、ミック・ジャガーは69歳、キース・リチャーズは68歳、チャーリー・ワッツは71歳、ロン・ウッドは65歳。先日鬼籍に入ったチャーリー・ワッツ以外は、10年以上経った今でも現役で元気に活動しているとはいえ、やはり年齢による衰えは気になってしまいます。
しかし、実際にライブ音源を聴くと、そんな懸念が杞憂であることを強く感じました。よくよく考えるともともとストーンズの魅力って、ロックバンドにありがちな若さあふれるパワフルなプレイ・・・ではないんですよね。キースのギターは見方によっては「ヘナヘナ」なのですが、あの独特のグルーヴ感が魅力ですし、チャーリーのドラムもジャズをベースとした軽やかなプレイ。ミックも決して声を張り上げるタイプではありません。
もっとも彼らの音楽の原点であるブルースは、もっと高齢者のプレイヤーはたくさんいて、年を取れば取るほど味が出てくるような音楽。そう考えると、ストーンズのプレイもメンバーが年を取れば取るほど、若い時とは別の味が出てきても当然かもしれません。そんな大ベテランとなった今だからこそ感じられるストーンズの魅力を再認識したライブアルバムになっていました。
また、このライブアルバムでもうひとつ大きな魅力なのが、豪華なゲスト陣。「Gimme Shelter」ではLady Gaga、「I'm Going Down」ではジョン・メイヤーとゲイリークラークジュニア、「Who Do You Love?」ではBlack Keys、「Midnight Rambler」ではミック・タイラー、さらに「Tumbling Dice」ではブルース・スプリングスティーンという超豪華なゲストが参加しています。ここらへん、ストーンズの偉大さを感じます。まあ、アメリカの中心部で行われたという土地柄の良さもあるのでしょうが・・・。
ここ最近のステージーといっても、もう10年以上前になってしまいましたがーで、若い頃に比べると、と思ってしまったのですが、この年齢になったからこそ感じられる味わいも覚えたステージになっていました。文句なしにファンなら要チェックのアルバムです。このメンバーでライブが行われることは残念ながらもうないのですが・・・残ったメンバーで1日も長く、活動を続けてほしいです。
評価:★★★★★
The Rolling Stones 過去の作品
Shine a Light: Original Soundtrack
Some Girls LIVE IN TEXAS '78
CHECKERBOAD LOUNGE LIVE CHICAGO 1981(邦題 ライヴ・アット・ザ・チェッカーボード・ラウンジ・シカゴ1981)(MUDDY WATERS&THE ROLLING STONES)
GRRR!
HYDE PARK LIVE
Sweet Summer Sun-Hyde Park Live
Sticky Fingers Live
Blue&Lonesome
Ladies & Gentlemen
ON AIR
Voodoo Lounge Uncut
Honk
The Rolling Stones Rock and Roll Circus
A Little Bang (Bigger Bang Tour EP)
ほかに聴いたアルバム
The Waeve/The Waeve
blurのギタリスト、グレアム・コクソンと、2000年代中盤に一時期話題となったレトロポップバンド、The Pipettesのメンバーだったシンガーソングライターのローズ・エリナー・ドゥーガルによるユニット。2人ともボーカルが取れるユニットということもあり、2人が交互にボーカルを取り、曲によりエレクトロポップやニューウェーヴ、ギターロック、ホーンセッションを入れたり、ストリングスを入れて伸びやかに聴かせたりとバラエティー富んだ展開が魅力的。これからの活躍も楽しみになってくるユニットです。
評価:★★★★★
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