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2023年2月19日 (日)

4部作最終章

Title:SZNZ:Winter
Musician:WEEZER

2022年、季節の節目にあわせて4枚のEPシリーズ「SZNZ」をリリースし続けた、アメリカのパワーポップバンドWEEZER。春分の日に「SZNZ:Spring」、夏至の日に「SZNZ:Summer」、秋分の日に「SZNZ:Autumn」とリリースし、12月21日に「SZNZ:Winter」をリリースしました。一応、日本では冬至は12月22日なのですが、世界標準時では冬至は12月21日なんですね。日本人にとっては、ひょっとしたら1日早いサプライズリリースとなったかもしれません。

そんな「SZNZ」シリーズの第4弾となる本作。いままでの作品はいずれもWEEZERらしさを感じる分厚いバンドサウンドにキュートなメロディーが乗っかかるというWEEZERの王道路線ともいうべき作品が続いていましたが、そういう観点で言えば今回のアルバムも間違いなくWEEZERの王道を行くようなメロディアスなパワーポップの曲が並んでいました。

冒頭を飾る「I Want A Dog」などはまさにWEEZERらしい分厚いギターロックをバックにミディアムテンポのちょっとメランコリックでキュートなメロが乗った楽曲。続く「lambic Pentameter」も同じくメランコックなメロが印象的なギターロックの楽曲に仕上がっています。「Basketball」もノイジーなギターサウンドをバックにメロディアスに聴かせるロックチューンに仕上がっています。

また、今回のシリーズの大きな特徴としてヴィヴァルディの「四季」にインスパイアさえた作品ということで、いままでのアルバムの中でもヴィヴァルディの「四季」からのフレーズが散りばめられてきました。ただ、前作「Autumn」で「四季」の中の「冬」をつかってしまったためか、今回はネタ切れ(?)。ただ、そんな中でクラシックのフレーズを使ってきたのが「Sheraton Commander」で、ヴィヴァルディと同じバロック期の作曲家、アルビノーニの「弦楽とオルガンのためのアダージョ ト短調」が使われており、ダイナミックなサウンドを聴かせてくれます。

その後も3拍子で軽快に聴かせる「Dark Enough to See the Stars」に、軽快なギターロック「The One That Got Away」と続き、ラストの「The Deep and Dreamless Sleep」も彼ららしい分厚いサウンドにキュートなメロのパワーポップ。最後までWEEZERらしい曲が並び、このアルバムは幕を下ろします。

いままでの3枚と同様、よくも悪くも彼ららしいメロディアスなパワーポップを聴かせる作品に。いい意味でリスナーが期待するようなWEEZER像を演じており、しっかりと壺をおさえたアルバムに仕上がっていました。これで4枚に及ぶプロジェクトを終了された彼ら。本作も7曲21分という短さですし、どのアルバムもミニアルバムなのですが、結果として4枚合わせると全28曲1時間半という、結構なボリュームのアルバムを1枚リリースした、ということになります。4枚ともいいアルバムでしたし、ここ最近、比較的良質なアルバムが続いている彼らなのでバンドとしての状態は良いのでしょう。とにかくWEEZERを聴いた!という満足感にひたれるアルバムでした。

評価:★★★★★

WEEZER 過去の作品
WEEZER(Red Album)
RADITUDE
HURLEY
DEATH TO FALSE METAL
Everything Will Be Alright in the End
WEEZER(White Album)
Pacific Daydream
Weezer(Teal Album)
Weezer(Black Album)
OK HUMAN
Van Weezer
SZNZ:SPRING
SZNZ:SUMMER
SZNZ:Autumn


ほかに聴いたアルバム

Pa'lla Voy/Marc Anthony

こちらは昨年の年間ベストのうち聴き漏れていたアルバムを後追いで聴いた1枚。本作はミュージックマガジン誌ラテン部門で1位を獲得した、アメリカで活躍するサルサ系ラテン歌手によるニューアルバム。リズミカルなパーカッションと哀愁たっぷりのメロディーが魅力的。サルサのアルバムのようですが、軽快な歌はポピュラリティーも高く、普通のポップアルバムとしても楽しめそうなアルバムになっていました。

評価:★★★★

QVVJFA?/Baco Exu do Blues

Qvvjfa

こちらも年間ベストを後追いで聴いた1枚。こちらは同じくミュージックマガジン誌のブラジル部門で1位を獲得した、ブラジルはバイーア州出身のラッパーによるアルバムだそうです。ところどころエキゾチックさを感じさせつつも、全体的にはメロウでムーディーに聴かせるトラックが印象的。「ブラジル」という括りにとどまらず、純粋にHIP HOPのアルバムとして魅力的な1枚となっていました。

評価:★★★★★

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