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2023年2月14日 (火)

どす黒いトラックがカッコいい!

Title:Cheat Codes
Musician:Danger Mouse & Black Thought

今回紹介するアルバムもまた、昨年の各種メディアの年間ベストアルバムの中で聴きもらしていたアルバムを後追いで聴いた1枚。今回はまた、メディアの年間ベストアルバムを集計して順位化したサイトAOTY 2022の上位にランクインした曲の中で未聴となっていた作品で、16位にランクインしていたDanger Mouse&Black Thought名義によるアルバム「Cheat Codes」です。

Danger Mouseはゴリラズやレッチリなどのプロデュースでも知られるアメリカの音楽プロデューサー。かつてGnarls Barkleyとしての活動も話題となりましたし、グラミー賞の受賞も6回にも及ぶなど、その実力は知れ渡っています。一方、Black Thoughtはご存じThe RootsのMC。この2人が組んだアルバムを遅ればせながらチェックしてみました。

これがまた、個人的に壺にはまりまくりなかなりカッコいいHIP HOPのアルバムに仕上がっていました。HIP HOP・・・と言っても、いわば「今風」な作品ではなく、むしろその逆。トラックに関しては昔ながらのソウルやファンクの要素を存分に取り入れた内容になっており、かなりレトロな雰囲気を醸し出しつつ、一方ではグルーヴィーなサウンドが非常にカッコよさを感じさせるアルバムになっています。

1曲目「Sometimes」もいきなり力強いソウルボーカルの歌声をサンプリングしてソウルフルに聴かせるトラックからスタート。否応なくアルバム全体の方向性を示唆する楽曲となっています。ファンキーなリズムがカッコいいのが「No Gold Teeth」でブリブリに聴かせるファンキーなベースラインのループがとにかく耳を惹きます。

「Belize」も同じくホーンの入った哀愁感たっぷりのトラックが耳を惹くのですが、こちらもゆっくりとビートを刻むグルーヴィーなベースラインが印象的。「Idential Deaths」も同じく哀愁感たっぷりのトラックで悲しげに聴かせるラップが印象的ですが、こちらもヘヴィーなベースラインがグルーヴを醸し出しています。

後半で印象的なのは「Strangers」でA$AP RockyとRun The Jewelsという豪華なゲストが魅力的。こちらもちょっとオールドスクール的な雰囲気を醸し出し、どこかレトロ調なサウンドに懐かしさを覚えつつ、グルーヴィーなリズムがカッコよさを感じさせる楽曲に。さらにラストを締めくくる「Saltwater」「Violas and Lupitas」は60年代的なレトロを感じさせるムーディーなトラックとなっており、最後までムーディーな雰囲気たっぷりにアルバムを締めくくっています。

アルバム全体としてはソウルやファンクの要素を多分に取り込みながら、レトロな懐かしさを感じさせるトラックが印象的。どす黒くゴリゴリと聴かせるグルーヴ感が非常にカッコよく、レトロといっても古臭さみたいな要素はゼロ。各種メディアの年間ベストで上位に食い込んでくるのも納得の傑作アルバムに仕上がっていました。こういうスタイルは、いかにもThe RootsのBlack Thoughtらしい、といった印象も受けるのですが・・・。ソウルやファンクとHIP HOPをうまく融合させた聴きごたえのある1枚でした。

評価:★★★★★


ほかに聴いたアルバム

Preacher's Daughter/Ethel Cain

Ethel-cain-preachers-daughter

こちらもAOTY 2022の上位にランクインした曲の中で未聴となっていた作品で19位にランクインした、アメリカのシンガーソングライターによるデビューアルバム。バンドサウンドをダイナミックに聴かせつつ、ピアノの音色も入れて荘厳な雰囲気でメランコリックな歌を聴かせる、独特な音楽性が魅力的な作品。間違いなく独特の個性を持ったミュージシャンで、デビュー作でこの内容という点、これからの活躍に期待できそう。ただ一方、アルバムとしては似たような雰囲気の曲も多く、もうちょっとバリエーションも欲しかったような気もします。

評価:★★★★

Proti Volta/Yiannis Dionysiou

Yiannis-dionysiou

こちらも2022年年間ベストを後追いで聴いた1枚。こちらは「ミュージックマガジン誌」ワールドミュージック部門で3位を獲得した作品。キプロスはリソマール出身の32歳になるシンガーソングライターのデビュー作。マケドニア大学音楽科学芸術学部に入学し、その後、同大学で講師なども務めるなど、正統派な「音楽家」だそうです。ラテンの要素も加えた哀愁感たっぷりの曲を、感情豊かなボーカルで歌い上げる作品。ある意味、まさに楽曲的にも「正統派」といった感じで、その歌声に聴きほれるアルバムでした。

評価:★★★★

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