アフロビートをベースに様々な音楽の要素も
Title:Yorba Odyssey
Musician:Adedeji
今回紹介するのは、毎年恒例、前年度の年間ベストアルバムのうち、聴き逃した曲を後追いでチェックした1枚。本作はミュージック・マガジン誌の2022年年間ベストワールドミュージック部門で1位を獲得した作品です。ナイジェリアのギタリストであり、シンガーソングライターでもあるAdedejiの3枚目となるアルバム。彼のアルバムを聴いたのは前作「Afreekanism」に続き2作目となります。
そんな本作はまず1曲目「Oruku」で特にアフリカの音楽が好きならば間違いなく壺をつかれそう。ホーンセッションを入れつつパーカッションが軽快なリズムを刻むファンキーな作品は、いかにもアフリカ的なトライバルな楽曲。9分弱という長尺で繰り広げられるトランシーなリズムにまずは魅了されること間違いありません。
ただ彼の作品でユニークなのは、そんなトライバルな要素を多く入れつつ、一方では様々な音楽的要素を加味した、どこかあか抜けた都会的な要素も感じさせる点でした。そんな雰囲気は2曲目「Olomo Ki Lo」で早くも感じさせます。こちらもトライバルなリズムを軽快に聴かせつつ、一方、バックに流れるシンセのサウンドにフュージョン的な要素を感じさせます。3曲目「Ojeje」もファンクの要素を取り入れているなど、様々な音楽からの影響を垣間見せます。
中盤も「Lagos Blues」ではゴスペル的な女性コーラスを取り入れつつ、伸びやかなボーカルで歌い上げるソウル風のナンバー。「Ololufe Mi」も軽快であか抜けた感じのポップチューンに仕上がっていますし、ラストを締めくくる「Tales of Agege」も非常に爽快な作風に仕上げています。
もちろん一方ではトライバルなアフロビートの影響も強く、後半でも「Gbanja」のような10分を超えるような曲もあり、こちらもシンセのサウンドを取り入れ、どこか都会的に感じさせつつもトランシーなリズムが心地よい楽曲に仕上がっています。
前作「Afreekanism」ではどちらかというとジャズの要素が強かったのですが、今回はジャズよりもアフロビートの要素がより強く、最後まで軽快なリズムに惹かれるアルバムに仕上がっていました。アフリカ的な要素と西洋音楽の要素がほどよいバランスで楽しませてくれる作品に。確かにワールドミュージック部門年間1位というのも納得の傑作アルバムでした。
評価:★★★★★
Adedeji 過去の作品
Afreekanism
ほかに聴いたアルバム
age/sex/location /Ari Lennox
こちらも各種メディアのベストアルバムを後追いで聴いた1枚。こちらはミュージックマガジン誌R&B/ソウル/ブルース部門で1位を獲得した、アメリカの女性R&Bシンガーのアルバム。これが2枚目のアルバムとなります。比較的シンプルなサウンドでメロウに聴かせるボーカルが心地よいネオソウル風の作品。感情たっぷりに聴かせる歌声が心地よい傑作アルバム。まだまだ売上的にはブレイク前といった感じですが、今後、一気に注目をあつめそうな予感のする作品でした。
評価:★★★★★
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