2022年年間ベストアルバム(洋楽編)その2
昨日に引き続き、私的年間ベストアルバム洋楽編。本日は5位から1位までの紹介です。
5位 Carry Me Home/Mavis Staples&Levon Helm
聴いた当時の感想は、こちら
齢80歳を超えた今でも精力的に活動を続けるMavis Staples。本作は、The Bandのドラマー、リヴォン・ヘルムと録音した作品で、もともとは2011年に完成していたのですがお蔵入り。ようやく昨年リリースできた作品でした。結果としてヘルムの遺作となってしまった本作ですが、ヘルムのドラムプレイはさることながら、とにかくメイヴィスの力強く感情のこもったボーカルが魅力的な傑作に。レジェンド同士の共演に、最初から最後まで耳の離せない傑作アルバムに仕上がっていました。
4位 Blue Rev/Alvvays
聴いた当時の感想は、こちら
個人的に大好きなバンドにTEENAGE FANCLUBというイギリスのバンドがいるのですが、このバンドのフォロワーも個人的な壺にはまりまくりのバンドが多く、このカナダを拠点に活動するインディーポップバンドAlvvaysもそんなバンドの一組。このアルバムも、特に前半はTFCの影響を顕著に感じるドリーミーでポップな作品に。一方後半は、シンセを取り入れたり、さらにパンキッシュな作風になったりとバラエティーも豊富に。個人的に壺にはまりまくった1枚というだけではなく、ギターロックの作品としても文句なしの傑作アルバムに仕上がっていました。
3位 Boat Songs/MJ Lenderman
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アメリカのシューゲイザー系インディーロックバンドWEDNESDAYでギタリストとして活躍しているJake Lendermanによるソロプロジェクト。本作もまさにシューゲイザー直系のアルバムですが、同時にカントリーロックやブルースロックなど、70年代のロックからの影響を強く感じさせる作品。80年代インディーロックと70年代ロックを等距離で取り込んだサウンドが、実に個性的な作品で、2020年代の今となって、逆に新鮮味を感じさせる傑作アルバムとなっていました。
2位 Being Funny in a Foreign Language/The 1975 (邦題 外国語での言葉遊び)
聴いた当時の感想は、こちら
アルバムをリリースする毎に傑作をリリースし続けるイギリスのロックバンドThe 1975。5作連続全英チャート1位を獲得するなど、名実ともにイギリスを代表するバンドとなっている彼らですが、今回の作品も文句なしの傑作アルバムに。バラエティーに富んでいた前作と比べると、本作は、彼らの主軸とも言える80年代ポップスからの影響を受けた作品を軸としつつ、メロディアスなポップチューンを聴かせてくれる統一感のある内容に仕上がっていました。
1位 RENAISSANCE/Beyonce
聴いた当時の感想は、こちら
今年の洋楽アルバム1位は文句のつけようのなく本作でしょう!ジャケット写真からして、まさに「女王の貫録」を感じさせる内容になっていますが、作品の内容自体もダンスミュージックを軸としつつ、バラエティーに富ませた内容に。今のミュージックシーンにほどよくリンクさせつつ、一方では彼女のボーカリストとしての魅力をフルに発揮するソウルフルな楽曲も聴かせてくれるという、こちらもまさに「女王の貫録」を感じさせる楽曲に。彼女の圧倒的な実力を感じさせてくれる文句なしの傑作でした。
そんな訳で、今年の1位はBeyonce!各種メディアでも同作を1位に選んでいるメディアが圧倒的でしたが、文句のつけようのない2022年を代表するアルバムでした。この1位と2位のThe 1975の2枚は、今年のアルバムの中で頭ひとつ出ていたように感じます。
あらためてベスト10を振り返ると・・・
1位 RENAISSANCE/Beyonce
2位 Being Funny in a Foreign Language(邦題 外国語での言葉遊び)/The 1975
3位 Boat Songs/MJ Lenderman
4位 Blue Rev/Alvvays
5位 Carry Me Home/Mavis Staples&Levon Helm
6位 Glitch Princess/yeule
7位 Topical Dancer/Charlotte Adigery&Bolis Pupul
8位 Florist/Florist
9位 Skinty Fia/Fountaines D.C.
10位 Quality Over Opinion/Louis Cole
ほかの年間ベスト候補作として・・・
CAPRISONGS/FKA Twigs
LAUREL HILL/Mitski
Dragon New Warm Mountain I Believe in You/Big Thief
MOTOMAMI/ROSALIA
sore thumb/Oso Oso
Diaspora Problems/Soul Glo
Fear Of The Dawn/Jack White
WHO CARES?/Rex Orange County
We/Arcade Fire
Mr. Morale & the Big Steppers/Kendrick Lamar
A Light For Attracting Attention/The Smile
Ugly Season/Perfume Genius
Hold The Girl/Rina Sawayama
Fossora/Bjork
Endure/Special Interest
And in the Darkness, Hearts Aglow/Weyes Blood
ずらりと並びましたが、どのアルバムもベスト10に勝るとも劣らない傑作揃いで、全体的に傑作の多い1年だったように感じます。ここ3年間、豊作揃いの年が続いており、シーン全体の充実ぶりが感じられます。この傾向、今年も続いてほしいものです!
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コメント
Alvvaysのアルバムは「年間ベスト・アルバム 2022」に選びました。
アルバム・カヴァに3人のメンバーしか写っていない?‥‥と不審に思っていたら、
Molly Rankin(ヴォーカル)の家族写真(彼女は13歳の時に交通事故で父親を失った)だった。
〈After The Earthquake〉は村上春樹の短篇 「神の子どもたちはみな踊る」(2000)に触発されたという。
〈Belinda Says〉はBelinda Carlisle(The Go-Go's)のヒット曲〈Heaven Is A Place On Earth〉へのオマージュ。
コード進行も同じ曲で、アルバム・タイトルになった「Blue Rev」という歌詞も出て来る。
ちなみに「Rev」とはMolly RankinとKerri MacLellan(キーボード)が十代の頃に飲んでいたカナダ国内で販売されているウォッカ入りコーラ飲料(アルコール度数7%)のこと。
〈Tom Verlaine〉はTVの死の前と後では全く別の曲のように聴こえてしまう。
米ワシントン・シアトルのFMラジオ局KEXPのスタジオ・ライヴで、Alec O'Hanley (ギター)が弾いているのはフェンダー・ジャズ・マスターではなく、ジャガーです。
(https://www.youtube.com/watch?v=Gs_V6Pcf1ks)
投稿: sknys | 2023年2月 7日 (火) 22時42分
>sknysさん
情報ありがとうございます。村上春樹からの影響も受けているんですね・・・。
投稿: ゆういち | 2023年2月11日 (土) 00時07分