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2023年2月10日 (金)

シンプルに楽しめるポップアルバム

Title:Harry's House
Musician:Harry Styles

今回もまた、2022年に各種メディアでベストアルバムに選ばれたものの聴き逃していた作品を後追いで聴いた1枚。今回は、2022年のベストアルバムを集計してランキング化したAOTY2022で18位にランクインしたHarry Stylesの「Harry's House」。Harry Stylesはご存じの通り、イギリスのアイドルグループ、ワン・ダイレクションの元メンバー。アイドルのポップスアルバムかぁ・・・と正直なところ、偏見交じりに聴き始めたのですが、ただ、これが素直に、非常に楽しいポップスアルバムに仕上がっていました。

まず1曲目、楽曲タイトルからして日本になじみがあるような「Music For a Sushi Restaurant」からして軽快なリズムと爽快なシンセの入った明るいポップチューンからスタート。ちょっと80年代っぽい雰囲気がまた楽しい、純粋にワクワクするようなポップチューンからスタートしています。日本人なら、このタイトルでこういう曲は作らなかっただろうなぁ・・・。

「As It Was」もニューウェーヴ風のシンセでリズミカルながらもメランコリックなメロディーラインが印象的な楽曲。「Little Freak」はちょっとカントリーっぽい雰囲気も感じる郷愁感あふれるメロディーがこれまた耳に残りますし、アコギを爪弾きながら聴かせる「Matilda」も切ないメロディーラインが心に響いてくるナンバー。楽曲の後半に流れるメランコリックなピアノがまた印象的です。

中盤、そんなしんみりとしたナンバーを聴かせつつ、後半にかけては再びテンポのよいポップチューンが続きます。これまたニューウェーヴ風のリズミカルな「Cinema」から、ホーンセッションが軽快な「Daydreaming」はやはりどこか80年代っぽいなつかしさが魅力的。さらにちょっとドリーミーながらも軽快なポップチューンの「Satellite」へと続きます。

最後はアコギの音色をバックに美しいハーモニーを聴かせる「Boyfriends」から、これまたメランコリックに聴かせる「Love Of My Life」で締めくくり。全体的にはニューウェーヴ風のシンセを取り入れつつ、メランコリックな歌を挟みつつも、純粋にポップな歌を楽しめるナンバーが並ぶアルバムに仕上がっていました。

正直目新しさは特にないのですが、それ以前に聴いていて素直に楽しめるポップチューンが並ぶ作品に。アイドルポップスみたいなわかりやすい派手さもなく、誠実にポップに向き合った作品と言ってもいいアルバムだったと思います。ちなみに「Harry's House」というタイトルは細野晴臣の名盤「Hosono House」から取ったそうで、日本人にとってもうれしいところですし、細野晴臣って、そんなに海外でも評価されているんだ・・・とあらためて実感しました。間違いなく比較的万人にお勧めできるポップアルバムでした。

評価:★★★★★

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