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2023年2月26日 (日)

ロックンローラーのイギー復活!

Title:Every Loser
Musician:IGGY POP

ここ最近、大物ミュージシャンの訃報が目立ちます。今年に入ってたった2か月にも関わらず、かのジェフ・ベックをはじめ、EW&Fのフレッド・ホワイト、デヴィッド・クロスビー、テレヴィジョンのトム・ヴァーレイン、バート・バカラック、さらに先日もデ・ラ・ソウルのトゥルーゴイ・ザ・ダヴの訃報も飛び込んできましたし、日本でも年明けに高橋幸宏の訃報が飛び込んできたほか、鮎川誠、ムーンライダーズの岡田徹、そしてつい先日もハイスタの恒岡章の急逝というショッキングなニュースが飛び込んできました。

ただ、これは「異常事態」というよりも、ロック全盛期でポピュラーミュージックがビジネスとして急成長を遂げた1960年代、70年代から50~60年を経て、当時、20代だった若者が、70、80代になり、寿命を全うした、というケースが増えたから、ということでしょう。実際、前述のミュージシャンたちも恒岡章こそまだ51歳という若さだったのですが、他のミュージシャンたちはほぼ70代や80代。大往生ではありませんが、少なくとも早世という年齢ではありません。残念ながら今後もこの傾向は続いていくでしょう。

一方では70歳を過ぎてもなお、現役でバリバリ活躍するミュージシャンも少なくありません。ローリング・ストーンズも、チャーリー・ワッツこそ鬼籍に入ってしまったものの残ったメンバーはバリバリの現役。ビートルズも残ったメンバーは2人になってしまいましたが、ポールもリンゴも現役のミュージシャンとして精力的な活動を続けています。そして今回紹介するIggy Pop。ご存じザ・ストゥージーズのメンバーであり、過激なパフォーマンスで知られた彼も、現在75歳。しかし、バリバリの現役活動を続けています。

特に今回のアルバムは非常にヘヴィーなロックチューンを聴かせてくれており、齢75歳にして、まだまだ20代に負けないくらいの若々しさを感じる作品になっていました。1曲目「Frenzy」のイントロからヘヴィーなギターサウンドでスタートし、現役のパンクバンド顔負けの力強いボーカルを聴かせてくれます。続く「Strung Out Johnny」もヘヴィーなロックチューン。ただこちらは、年齢の積み重ねを感じる渋みのあるボーカルが魅力的で、逆に、この年齢だからこそ出せる「味」を感じます。

その後も軽快なロックンロールチューン「Modern Day Ripoff」や疾走感あるタイトル通りのパンクチューン「Neo Punk」、力強いギターロックにシャフト気味のボーカルを聴かせる「All The Way Down」、さらにラストの「The Regency」も力強いギターロックに仕上がっており、最後の最後まで年齢を感じさせない力強いロックナンバーを聴かせてくれます。

その反面、中盤では「Morning Show」のようなミディアムチューンなナンバーをムーディーに聴かせてくれたり、インターリュード扱いですが、「The News For Andy」ではメランコリックなピアノの音色にのせて、渋い声で語りを聴かせてくれたりと要所要所にいい意味で年齢を感じさせる楽曲も聴かせてくれています。

イギーとしてはコンスタントに新作は作っているものの、前作「Free」はアンビエント的な作風。その前はUnderworldとのコラボ作があり、さらにソロとしての前々作「POST POP DEPRESSION」もおとなしい印象の作品でした。そういう意味では本格的なロックアルバムは久しぶり。さらにここ数作の彼の作品から、すっかりベテランとして枯れてしまったという印象すら受けていた彼ですが、いやいや、ロッカーとして全く衰えていなかったということをあらためて実感できたアルバムに仕上がっていました。

75歳という年齢を感じさせないパンキッシュな作品は、10代、20代という若い世代にも十分アピールできそうな内容だったと思います。一方ではいい意味での年齢を感じる渋みのある作品もあり、そういう意味では若手ミュージシャンでは絶対に達成できない境地にある作品でもあったと思います。文句なしの傑作アルバムで、年間ベストクラスの作品だったと思います。まだまだ現役の活動が続きそうなイギー。どうか、末永くお元気で!!

評価:★★★★★

IGGY POP 過去の作品
POST POP DEPRESSION
Teatime Dub Encounters(Underworld&Iggy Pop)
Free


ほかに聴いたアルバム

Sahara Koyo/Marmoucha Orchestra featuring Mehdi Nassouli

Saharakoyo

まだ続いています。2022年各種メディアでベストアルバムとしてセレクトされたアルバムで聴き漏らしていた作品を後追いで聴いた1枚。今回もミュージックマガジン誌ワールドミュージック部門で年間8位を獲得したアルバム。アフリカはモロッコで聴かせるグナワ音楽の作品で、イスラエル出身のピアニスト率いるオーケストラが、モロッコの弦楽器であるゲンブリの奏者を迎えての1枚。アフロビートなどを取り入れたトライバルな要素も強い作品ながらも一方ではジャズや管弦楽の要素も加えるなど、西洋音楽的な要素も多分に加えた作品。ほどよいトライバルさと爽やかさが融合された心地よい作品に仕上がっています。

評価:★★★★★

No Soul,No Blues/Stan Mosley

主にアメリカの黒人社会の音楽興行、チタリン・サーキットで活動をしており、知る人ぞ知る的存在だったソウルミュージシャン、Stan Moleyのニューアルバム。楽曲自体は昔ながらのソウルミュージックといったイメージなのですが、パワフルなボーカルがすごい!御年70歳だそうですが、そんな年齢を感じさせないパワフルさと、逆に年齢ゆえの深みのある表現力を持つボーカルに圧倒されるアルバムでした。

評価:★★★★

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