原点回帰?
Title:メトロパルス
Musician:CAPSULE
Perfumeやきゃりーぱみゅぱみゅのプロデューサーとして、今やすっかりその名前を知らない人のいないプロデューサーとなった中田ヤスタカ。一時期に比べてPerfumeやきゃりーぱみゅぱみゅの人気が落ち着いてきたり、また、彼自身、あまり積極的に新たなミュージシャンのプロデュース業を手掛ける訳ではないため、一時期に比べると、その名前を聞く機会は減りましたが、昨年はかのAdoに提供した「新時代」が大ヒットを記録。その実力をまた知らしめる結果となりました。
そんな中田ヤスタカがメンバーとして参加しているユニットがCAPSULE。もともと中田ヤスタカの名前が知られる前の1997年から活動を行っているだけに、なにげに結成25年を誇るベテランユニットだったりします。中田ヤスタカ自身が参加しているということもあり、他のプロデュース業と異なり、特に彼がプロデューサーとして成功した後は、彼の演りたい曲をこのユニットで行う、という実験的なスタイルを取るユニットになっていました。
ここ最近は中田ヤスタカのソロとしてアルバムをリリースしていたりして、オリジナルアルバムとしては実に約7年10ヶ月ぶりとなるのが本作。一時期はEDM路線を取り、こしじまとしこのボーカルもひとつの「音」のような扱いのアルバムも目立っていましたが、今回のアルバムはちょっと懐かしさを感じさせる彼女のボーカルも前に押し出した「歌モノ」のエレクトロアルバムに仕上がっていました。
1曲目「ひかりのディスコ」からして、タイトルどおりのディスコチューンなのですが、サウンドからはラウンジ的な要素も感じられます。続く「ギヴ・ミー・ア・ライド」「フューチャー・ウェイヴ」も力強いエレクトロビートがベースとなりつつ、メロディー主導の歌モノ。スペーシーでレトロフューチャー的な作風が耳に残ります。
続く「スタート」もハンドクラップにエレクトロサウンドがちょっと懐かしさを感じる作品になっていまうし、「ワンダーランド」も一昔前のAORを彷彿とさせる楽曲。「シーサイド・ドリームス」もエレクトロサウンドがちょっと80年代っぽさを感じさせます。ラストの「トゥー・マイ・ワールド」もちょっとチープさを感じさせるエレクトロサウンドが懐古的に感じる曲に仕上がっていました。
既に知る人ぞ知る的な話ですが、このCAPSULE。デビュー当初はラウンジの要素を多く取り入れた、完全にピチカート・ファイヴのフォロワー的なユニットでした。もちろんその後、中田ヤスタカは独自のサウンドを構築していったのはご存じの通りですが、今回のアルバム、ラウンジの要素が入っていたり、レトロフューチャー的な要素が入っていたりと、ここらへん、初期のCASPULEを彷彿とさせる部分も感じさせる作品に仕上がっていました。
もちろん、ヘヴィーなエレクトロサウンドが軸となっており、もっとラウンジ色が強く、エレクトロ色は薄めだった初期の彼らの作品とは異なります。ただ、サウンドの方向性としてはどこか原点回帰的な印象も受けるアルバムに仕上がっていました。初期CAPSULEの時に感じた、中田ヤスタカの音楽的原点が反映されたアルバムになっていたのかもしれません。
様々な作品のプロデュースを手掛ける中でのリリースとなり、挑戦的な作品となっていたここ数作のCAPSULEの作品とは異なり、「挑戦」という肩肘はったような要素が抜けた、でも中田ヤスタカが演りたいんだろうなぁ、という音楽で構成された作品になっていました。そういう意味では目新しさという点はちょっと薄いものの、ただ純粋なポップアルバムとして非常に聴きやすいアルバムになっていたと思います。中田ヤスタカの音楽的趣向がより現れたような新作でした。
評価:★★★★★
CAPSULE 過去の作品
FLASH BACK
MORE!MORE!MORE!
FLASH BEST
PLAYER
WORLD OF FANTASY
STEREO WORXXX
rewind BEST-1(2012→2006)
rewind BEST-2(2005→2001)
CAPS LOCK
WAVE RUNNER
ほかに聴いたアルバム
退廃惑星/ROCKETMAN
お笑い芸人のふかわりょうのミュージシャンとしての名義ROCKETMANとして、約6年ぶりにリリースしたニューアルバム。「退廃惑星」というタイトルとは裏腹に、MICOやトミタ栞といった女性ボーカル、さらにはボーカロイドまで取り入れた優しい女性ボーカルを前に押し出したエレクトロポップの作品が目立ちます。目新しさことありませんが、リスナーにとっては非常に心地よいポップミュージックが流れる、いい意味で壺をついた作品になっていました。
評価:★★★★
RCOKETMAN(ロケットマン) 過去の作品
thank you for the music!
恋ロマンティック!!
ohashiTrio collaboration best -off White-/大橋トリオ
大橋トリオがいろいろなミュージシャンとコラボを行った曲を集めたベストアルバム。ただ、コラボが入ったとしても良くも悪くもいつも通りの大橋トリオの良質なポップソングが並びます。ある意味、あまり癖が強すぎないため、どんなミュージシャンとのコラボもはまりやすいのかも。そういう意味では彼らしさを感じるベストアルバムになっていました。
評価:★★★★
大橋トリオ 過去の作品
A BIRD
I Got Rhythm?
NEWOLD
FACEBOOKII
L
R
FAKE BOOK III
White
plugged
MAGIC
大橋トリオ
PARODY
10(TEN)
Blue
STEREO
植物男子ベランダー ENDING SONGS
植物男子ベランダーSEASON2 ENDING SONGS
THUNDERBIRD
This is music too
NEW WORLD
ohashiTrio best Too
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